この章では、ご使用のミドルウェア・コンポーネントのインストール、構成、および管理などの管理タスクを実行するために使用されるOracle Fusion Middlewareのツールについて説明します。また、アプリケーションを開発するためのツールについても説明します。
Oracle Fusion MiddlewareではOracle Fusion Middlewareをインストール、構成、およびアップグレードするために、次の基本ツールを提供しています。
Oracle Universal Installer (OUI)は、ユーザーによるOracleコンポーネントのインストール、アンインストールを可能にするJavaベースのインストーラです。コンポーネントベースのインストールの他に、統合されたバンドルやスイートのインストール、Web上でのインストールなど、複雑なインストールを実行します。
OUIの主な特長の1つとして、インストール環境の準備状況を診断する前提条件チェック・ツールが提供されています。前提条件チェックは、インストール・プロセスの一部として実行されますが、別のアプリケーションとしても実行できます。
詳細は、Oracle Universal Installerを使用したソフトウェアのインストールに関するドキュメントを参照してください。
Oracle Fusion Middlewareコンポーネントの多くは、インストールの前にデータベース内にスキーマが存在している必要があります。このようなスキーマを作成してデータベースにロードするには、Repository Creation Utility (RCU)を使用します。詳細は、『Repository Creation Utilityによるスキーマの作成』を参照してください。
OPatchはOracleのソフトウェアに個別パッチを適用するプロセスを支援するユーティリティです。OPatch 11.1はJavaベースのユーティリティで、OUIベースのOracleホームまたはスタンドアロンのホームで実行できます。Oracleがソフトウェアをリリースしているすべてのオペレーティング・システム上で動作します(OPatchによるパッチの適用のドキュメントを参照)。
構成ウィザードはWebLogic Serverドメインまたはスタンドアロン・ドメインに適切なディレクトリ構造、ドメイン構成ファイル、およびドメインでのサーバーの開始に使用できるスクリプトを作成します。
構成ウィザードでは、ドメインに含める製品コンポーネントを選択したり、テンプレートJARファイルを選択してご使用のターゲット環境向けにドメインを作成または更新するプロセスを、順を追って説明します。必要に応じて、管理対象サーバー、クラスタ、およびマシン定義を追加または構成したり、定義済JDBCデータ・ソースおよびJMSファイル・ストア・ディレクトリをカスタマイズすることにより、ご使用の環境に合わせてドメインをカスタマイズすることもできます。
詳細は、『構成ウィザードによるドメインの作成』の構成ウィザードの概要に関する説明を参照してください。
再構成ウィザードはWebLogic Serverドメインを再構成します。ドメインにあるアプリケーションに応じて、次の項目が自動的に更新されます。
WLSコア・インフラストラクチャ
ドメイン・バージョン
ドメインにOracle Fusion Middleware製品も含まれている場合は、個々の製品に応じて他の項目も更新されます。これにより、Oracle Fusion Middlewareの最新バージョンに含まれている新機能も利用できます。詳細は、Oracle Fusion Middlewareコンポーネントのインストールおよびアップグレード・ガイドを参照してください。
詳細は、『Oracle WebLogic Serverのアップグレード』のグラフィカル・モードでのWebLogicドメインの再構成に関する説明を参照してください。
アップグレード・アシスタントを使用すると、Oracle Fusion Middleware環境の多くの部分でアップグレードが自動化されます。Oracle Fusion Middlewareアップグレード・アシスタントは、以前のバージョンからのアップグレード処理を順を追って説明します。詳細は、『Oracle Fusion Middlewareのアップグレードのプランニング』を参照してください。
Oracle Fusion Middlewareをインストールして構成すると、グラフィカル・ユーザー・インタフェースまたはコマンドライン・ツールを使用して、環境を管理できるようになります。
Oracle Fusion Middlewareインストールを管理するために、次のような主要なツールが用意されています。
特にファイルの編集を必要とする手順がないかぎり、すべての管理タスクを実行する際には、構成ファイルを直接編集するより、これらのツールを使用してください。ファイルを編集すると、設定に不整合が生じて問題が発生する場合があります。
Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control (Fusion Middleware Control)は、ドメインの監視および管理に使用できるWebブラウザベースのグラフィカル・ユーザー・インタフェースです。
管理対象サーバー、クラスタの他、ドメインにインストールおよび構成されていて、実行されているOracle Fusion Middlewareのコンポーネントを管理できます。
Fusion Middleware Controlでは、様々なパフォーマンス・データおよび管理機能が、ドメイン、クラスタ、サーバー、コンポーネントおよびアプリケーションごとに個別のWebベース・ホームページに編成されます。Fusion Middleware Controlのホームページでは、最も重要な監視データや最も頻繁に使用される管理機能を、すべて各自のWebブラウザから容易に検索することができます。
Fusion Middleware Controlでは、Oracle WebLogic Server管理コンソールに直接アクセスすることができます。Fusion Middleware ControlインタフェースのWebページには、管理コンソールにアクセスできるリンクが含まれています。たとえば「ドメイン」ホームページで「概要」領域に移動すると、管理コンソールへのリンクがあります。
詳細は、『Oracle Fusion Middlewareの管理』のOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlの使用のスタート・ガイドを参照してください。
Oracle WebLogic Server管理コンソールは、Oracle WebLogic Serverドメインの管理に使用する、Webブラウザ・ベースのグラフィカル・ユーザー・インタフェースです。これは、管理サーバーへのネットワーク・アクセスでサポートされるWebブラウザからアクセスできます。
管理コンソールでは、次の操作を行います。
Oracle WebLogic Serverインスタンスの構成、起動、および停止
Oracle WebLogic Serverクラスタを構成します。
データベース接続(JDBC)やJMSメッセージングなど、Oracle WebLogic Serverサービスの構成
セキュリティ・パラメータの構成(ユーザー、グループおよびロールの作成や管理など)
Java EEアプリケーションの構成およびデプロイ
サーバーおよびアプリケーションのパフォーマンスの監視
サーバーおよびドメインのログ・ファイルの表示
アプリケーション・デプロイメント・ディスクリプタの表示
選択したランタイム・アプリケーションのデプロイメント・ディスクリプタ要素の編集
詳細は、『Oracle Fusion Middlewareの管理』のOracle WebLogic Server管理コンソールの使用のスタート・ガイドを参照してください。
Oracle WebLogic Scripting Tool (WLST)は、Oracle WebLogic Serverドメインおよびスタンドアロン・ドメインの作成、管理および監視に使用するコマンドライン・スクリプト環境です。これは、Javaのスクリプト・インタープリタであるJythonがベースとなっています。WLSTでは、ローカル変数、条件変数、フロー制御文などの標準のJython機能がサポートされている以外に、Oracle WebLogic ServerおよびOracle Fusion Middlewareコンポーネントに固有の一連のスクリプト関数(コマンド)が用意されています。Jythonの言語構文に従うことで、必要に応じてWebLogicのスクリプト言語を拡張できます。
WLSTのコマンドは、次のいずれかの方法で呼び出すことができます。
コマンドラインでの対話的な呼出し
スクリプト・モードでのファイルへの指定
Javaコードへの埋込み
詳細は、『Oracle Fusion Middlewareの管理』および『WebLogic Server WLSTコマンド・リファレンス』のOracle WebLogic Server Scripting Tool (WLST)の使用のスタート・ガイドを参照してください。
Oracle Enterprise Manager Cloud Controlは、Oracle WebLogic Server、Oracle Fusion Middleware、Oracle以外のミドルウェア・テクノロジおよびライフサイクル管理(構成管理、コンプライアンス管理、プロビジョニング、パッチ適用など)のための包括的なソリューションを提供します。Oracleの製品は、Oracle WebLogic Server、Oracle CoherenceおよびOracle HTTP Serverなど複数のミドルウェア・ソフトウェアにわたって、すぐに利用できる可用性とパフォーマンス監視、強固な診断、構成管理、そしてライフサイクル管理を提供します。
Oracle Enterprise Manager Cloud Controlは、複数のOracle Fusion Middleware環境およびOracle WebLogic Serverドメインの監視に使用できるWebブラウザベースのグラフィカル・ユーザー・インタフェースです。実際、Cloud Controlは、Oracleパッケージ・アプリケーション、Oracle DatabaseおよびOracle VMなどのOracleテクノロジに対して詳細な管理ソリューションを提供しています。また、Cloud Controlは、Microsoft MOM、IBM WebSphere、JBoss、EMCストレージ、F5 BIG IP、Check Point Firewall、Remedyなど、24を超える異機種管理プラグインおよびコネクタにより、Oracle以外のテクノロジに対しても幅広くサポートします。
Cloud Controlでは、単一インタフェースからのデータ・センター全体の管理以外にも、Oracle Fusion MiddlewareおよびOracle WebLogic Serverのより効率的な管理を支援する重要な機能を提供しています。このようなその他の管理機能には、次のものがあります。
収集した可用性データおよびパフォーマンス・データに基づいて傾向を分析し、レポートします。
事前定義したしきい値を超えたメトリックに対するアラート通知を(電子メール、ページ、SNMPを介して)受け取ります。
一般的な管理操作(起動および停止、WLSTスクリプトなど)を自動化します。
すべてのJavaアクティビティ(インフライト・トランザクションを含む)に対する表示機能や、JavaからデータベースおよびデータベースからJavaへのトランザクションのトレースにより、迅速に問題を解決します。
許可済および未許可の構成変更をリアルタイムで検出、検証、およびレポートします。
開発環境と本番環境間での構成の一貫性を確保します。
Oracle Enterprise Manager Cloud Controlの詳細は、OTNで入手可能な『Oracle Enterprise Manager Cloud Control概要』を参照してください。
この項では、Oracle ADFおよび統合された開発環境であるOracle JDeveloperでFusion Webアプリケーションを構築するためのOracle Fusion Middlewareのサポートについて説明します。Fusion Webアプリケーションは、Oracle Fusion Middleware環境で動作することを目的としたデータベース中心のアプリケーションです。
この章の内容は次のとおりです。
Oracle JDeveloperは、Java、XML、WebサービスおよびSQLの最新の標準を使用してSOAアプリケーションを構築するための統合開発環境(IDE)です。これは、開発ライフサイクル全体をサポートし、アプリケーションのモデリング、コーディング、デバッグ、テスト、プロファイリング、チューニングおよびデプロイのための統合された機能を提供します。Oracle JDeveloperは、Oracle Fusion Middleware製品スイートの主要な開発プラットフォームです。これは、Windows、Linux、Mac OS Xおよびその他のUNIXベースのシステム上で動作するクロス・プラットフォームのIDEです。
Oracle JDeveloperは、視覚的で宣言的な開発手法を提供し、Oracle ADFと連携して開発を簡略化します。
Oracle JDeveloperの主要な機能は次のとおりです。
Java、SOA、Oracle WebCenter Portal、SQLとPL/SQL、HTMLおよびJavaScriptを含む様々なテクノロジ・スタックに使用可能な一貫した開発環境。
XMLベースのアプリケーション開発。
データベース・オブジェクトおよびストアド・プロシージャを構築するための完全な開発およびモデル化環境。
本番環境にデプロイする前にアプリケーションを実行してテストするための統合ランタイム・サービスである、統合Oracle WebLogic Serverを含む様々なアプリケーション・デプロイメント・オプション。
開発のニーズに基づいてIDEのカスタマイズを可能にし、機能を追加する拡張機能。
詳細は、『Oracle Jdeveloperによるアプリケーションの開発』を参照してください。
Oracle ADFは、Java EE標準およびオープン・ソース・テクノロジを基盤とするエンドツーエンドのアプリケーション・フレームワークで、サービス指向アプリケーションの実装を簡素化および迅速化します。Oracle ADFは、Web、無線、デスクトップまたはWebサービスのインタフェースを使用してデータの検索、表示、作成、変更および検証を行うアプリケーションを作成するエンタープライズ開発者に適しています。Oracle JDeveloper 11gとOracle ADFを併用することにより、設計からデプロイまでの開発ライフサイクル全体に対応する環境を実現できます。この環境には、ドラッグ・アンド・ドロップによるデータ・バインディング、ビジュアルUI設計およびチーム開発機能が組み込まれています。
詳細は、『Oracle Application Development Frameworkの理解』を参照してください。
Oracle TopLinkは、高度なオブジェクト永続性およびオブジェクト変換フレームワークであり、開発ツールおよびランタイム機能を提供することにより、開発およびメンテナンスの労力を軽減し、エンタープライズ・アプリケーションの機能を高めます。
Oracle TopLinkは、リレーショナル・データベースに永続オブジェクト指向データを格納する、パフォーマンスの高いアプリケーションを作成します。オブジェクト指向データが、リレーショナル・データまたはExtensible Markup Language (XML)要素に正常に変換されます。
Oracle TopLinkの詳細は、『Oracle TopLinkの理解』の「Oracle TopLinkの概要」を参照してください。
Oracle Helpは、JavaアプリケーションおよびWebアプリケーションについてHTMLベースのヘルプ・システムを開発および表示する方法を提供します。作成者は、1つのヘルプ・システムを作成し、変更することなく、Java環境ではOracle Help for Javaを使用し、Web環境ではOracle Help for the Webを使用して表示できます。Oracle Help for the Webは、Oracle Help for the Web - UIXとOracle Help for the Web – Rich Clientの2つの形式で利用可能です。
Oracle Help for Java (OHJ)は、Javaコンポーネント、Java API、およびJava環境でHTMLベースのヘルプ・コンテンツを開発および表示するためのファイル形式の仕様のセットです。OHJは、基本的にJavaアプリケーションでヘルプを表示するように設計されていますが、Java環境で使用するスタンドアロン・ドキュメント・ビューアとして実装することもできます。
Oracle Help for the Web – UIX (OHW-UIX)は、JavaサーブレットおよびWeb環境でHTMLベースのヘルプ・コンテンツを開発および配信するためのファイル形式の仕様です。OHW-UIXは、Webアプリケーションのコンテキスト依存ヘルプを提供するためや、Web上で独立したHTMLコンテンツの構造化ビューを処理および表示する方法として使用できます。
Oracle Help for the Web – Rich Client (OHW-RC)は、OHW-UIXと同様に、Web環境でHTMLベースのヘルプ・コンテンツを配信します。これは、JavaServer Faces (JSF)に基づいたOracle Application Development Framework (Oracle ADF)を使用して、オラクル社のBrowser Look And Feel Plus (BLAF+)ガイドラインに準拠したユーザー・インタフェースを構築します。
Oracle Helpの詳細は、『Oracle Helpによるヘルプ・システムの開発』の「Oracle Helpの概要」を参照してください。