この章には、このガイドの使用方法と高可用性環境を使用する理由について、それぞれの概要情報が含まれています。
内容は次のとおりです。
このドキュメントは、高可用性の概念やタスクに関する情報のリファレンス・ガイドとして、高可用性環境を設定するときに使用します。
このガイドを使用する前には、標準的なインストール・トポロジが製品に設定されている必要があります。これは、高可用性の設定に必要な開始点です。標準的なインストール・トポロジの設定方法については、Oracle Fusion Middlewareインフラストラクチャの標準的なインストール・トポロジの理解に関する項および標準的なインストール・トポロジのインストールと構成の手順に関する項を参照してください。
表1-1は、このガイドに記載されていない、高可用性環境を設定するためのタスクとリソースを示しています。
表1-1 高可用性環境の設定
作業 | 説明 | 参照先 |
---|---|---|
管理タスクの実行および環境の準備 |
新しく作成したドメインで実行する共通のタスクです。 |
製品インストレーション・ガイドのWebLogicドメインの可用性を高めるための管理と準備に関する項を参照 |
WebLogic Serverのインストールの計画 |
トポロジを理解して、必要な配布、コンポーネント、機能を特定するための説明です。 |
『Oracle Fusion Middlewareのインストールのプランニング』を参照 |
WebLogic Serverソフトウェアのインストール |
インストール・プロセスの開始方法とインストール画面の各過程についての説明です。 |
製品インストレーション・ガイドのOracle Fusion Middlewareインフラストラクチャのソフトウェアのインストールに関する項を参照 |
ドメインの構成 |
ドメインの作成と構成を行います。 |
製品インストレーション・ガイドのOracle Fusion Middlewareインフラストラクチャのドメインの構成に関する項を参照 |
Oracle Fusion Middlewareの管理 |
起動および停止、ポートの変更、アプリケーションのデプロイ、Oracle Fusion Middlewareのバックアップおよびリカバリの各手順が含まれます。 |
『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』を参照 |
Oracle Fusion Middleware環境のパフォーマンスの監視および最適化 |
パフォーマンスに影響するコンポーネントの場合は、複数のコンポーネントを使用して、パフォーマンスを最適化したり、パフォーマンス重視のアプリケーションを設計します。 |
『Oracle Fusion Middlewareパフォーマンスのチューニング・ガイド』を参照 |
製品固有のエンタープライズ・デプロイメントの設定 |
製品固有のエンタープライズ・デプロイメントについて、実証済の高可用性テクノロジ、セキュリティ・テクノロジおよび推奨事項に基づいたベスト・プラクティスの青写真です。 |
製品のエンタープライズ・デプロイメント・ガイドを参照 |
製品環境の管理 |
製品を使用して、アプリケーションのデプロイ、管理、監視および構成を行います。 |
製品の管理者ガイドを参照 |
ノード・マネージャの構成 |
ノード・マネージャは、管理サーバーおよび管理対象サーバーのインスタンスに対して、リモートの場所から起動、停止、再起動を実行できる、高可用性環境に必須のユーティリティです。 |
『Oracle WebLogic Serverノード・マネージャの管理』を参照 |
Oracle Fusion Middleware 12cリリース1 (12.1.2)の新機能、およびOracle Fusion Middlewareの前リリースからの変更内容は次のとおりです。
ミドルウェアのトポロジが変わりました。詳細は、「Middlewareのアーキテクチャ設計の理解」を参照してください。
ドメインベースのノード・マネージャがサポートされるようになりました。詳細は、「ノード・マネージャとは」を参照してください。
システム・コンポーネントの管理。Oracle Fusion Middlewareでは、OPMNエージェントおよびopmnctl
コマンドライン・ユーティリティを使用する必要がなくなりました。システム・コンポーネントの管理は、WebLogic Management Framework (WLSTなどの管理ツールを含む)を使用して行います。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middlewareコンセプトの理解』および『WLSTコマンドおよび変数リファレンス』のWebLogic Management Frameworkの概要に関する項を参照してください。
Oracleホームの再定義およびミドルウェア・ホームの削除。詳細は、『Oracle Fusion Middlewareコンセプトの理解』の12cリリース1 (12.1.2)で新しく追加された用語と非推奨になった用語に関する項を参照してください。
Javaオブジェクト・キャッシュがCoherenceに置き換わりました。詳細は、第2.4項「Coherenceクラスタと高可用性」を参照してください。
関連項目: 新しく追加された内容と非推奨になった内容の包括的なリストは、次の各項を参照してください。
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高可用性とは、必要なシステムまたはデバイスに対して、常にアクセス可能な状態を維持する能力のことです。
高可用性アーキテクチャにより、サービスを中断することなく、ユーザーはシステムにアクセスできます。高可用性システムをデプロイすることで、システムの停止時間つまり使用不可の時間が最小化され、システムの稼働時間つまり使用可能な時間が最大化されます。
高可用性は、冗長なシステムおよびコンポーネントから生じます。高可用性ソリューションは、冗長性のレベルによってアクティブ/アクティブ・ソリューションとアクティブ/パッシブ・ソリューションに分類されます。
アクティブ/アクティブ・ソリューションは、複数のアクティブなサーバーをデプロイし、スケーラビリティの向上の他、高可用性の提供に使用できます。アクティブ/アクティブのデプロイメントでは、すべてのインスタンスが同時にリクエストを処理します。単一サイトにミドルウェアをデプロイする場合は、常にアクティブ/アクティブ・ソリューションを使用することをお薦めします。アクティブ/パッシブ・ソリューションでは、リクエストを処理するアクティブ・インスタンスと、スタンバイ状態のパッシブ・インスタンスをデプロイします。
高可用性ソリューションは、単一データ・センターのデプロイメントで高可用性を実現するローカル高可用性ソリューションと、障害時リカバリ・ソリューションに分類できます。
ローカル高可用性ソリューションは、プロセス障害、ノード障害、メディア障害および人為ミスから保護することができ、単一データ・センターのデプロイメントで高可用性を提供します。
障害時リカバリ・ソリューションは、一般的に地理的に分散されたデプロイメントで、洪水や広範囲のネットワーク停止などの災害からアプリケーションを保護します。障害時リカバリ・ソリューションを地理的に分散してデプロイすることで、データ・センター全体に影響を及ぼす物理的災害から保護できます。Oracle Fusion Middlewareコンポーネントの障害時リカバリの詳細は、『Oracle Fusion Middlewareディザスタ・リカバリ・ガイド』を参照してください。
図1-1は、Oracle Fusion Middlewareのローカルの高可用性デプロイメントで推奨される標準的な高可用性トポロジを示しています。
『Oracle Fusion Middleware Oracle Fusion Middleware Infrastructureのインストールと構成』および『Oracle HTTP Serverのインストールと構成』の各ガイドの手順に従って構成すると、このデプロイメントは、インフラストラクチャの標準的なインストール・トポロジおよびOracle HTTP Serverの標準的なインストール・トポロジと同じ状態になります。
図1-1 Oracle Fusion Middlewareの高可用性デプロイメント・トポロジ(一般的な企業)
このトポロジは多層アーキテクチャを表しています。ユーザーはクライアント層からシステムにアクセスします。リクエストはハードウェア・ロード・バランサを通過し、Web層のOracle HTTP Serverが稼働しているWebサーバーにルーティングされます。Webサーバーでは、プロキシ・プラグイン(mod_wl_ohs)を使用して、リクエストをアプリケーション層のWebLogicクラスタにルーティングします。次に、アプリケーション層のWebLogicクラスタで稼働しているアプリケーションが、データ層のデータベース・クラスタと対話して、リクエストに応じます。
表1-2 Oracle Fusion Middlewareインフラストラクチャの標準的な高可用性トポロジ内の要素の説明
要素 | 説明および関連ドキュメントへのリンク |
---|---|
APPHOST |
アプリケーション層をホストするマシンを表します。 |
WEBHOST |
Web層をホストするマシンを表します。 |
WebLogicドメイン |
Javaコンポーネントの論理的に関連したグループです(ここでは、管理サーバー、管理対象サーバーおよびその他の関連ソフトウェア・コンポーネントが含まれています)。 詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解のOracle WebLogic Serverドメインの概要に関する項を参照してください。 |
管理サーバー |
ドメインの中央制御エンティティとして、ドメインの構成オブジェクトを保持し、構成内の変更を管理対象サーバーに配布します。 |
Enterprise Manager |
Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control。ドメインの管理で主に使用するツールです。 |
クラスタ |
複数のWebLogic Serverインスタンスが同時に稼働し、相互に作用する集合です。 |
マシン |
1つまたは複数のWebLogic Serverインスタンス(サーバー)をホストするコンピュータを論理的に表します。また、マシンはWebLogic管理対象サーバーとノード・マネージャ間を論理的に結び付けます(ノード・マネージャを使用して管理対象サーバーを起動または停止するには、管理対象サーバーがマシンと関連付けられている必要があります)。 |
管理対象サーバー |
アプリケーション、アプリケーション・コンポーネント、Webサービスおよび関連リソースをホストします。 詳細は、Oracle Fusion Middlewareの理解のOracle Enterprise Manager Fusion Middlewareの制御に関する項を参照してください。 |
インフラストラクチャ |
次のものを含むサービスの集合です。
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関連項目:
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