この章では、Upgrade Assistantを使用してOracle Fusion Middlewareを12c (12.1.2)にアップグレードする際に発生する可能性のある一般的な問題を解決する方法について説明します。
この章では、次の項目について説明します。
Upgrade Assistantの実行時にエラーが発生した場合は、次の手順を実行して問題のトラブルシューティングを行ってください。
Upgrade Assistantログ・ファイルを検索し、テキスト・エディタで開きます。
ログ・ファイルの場所については、第3.2項「ログ・ファイルの確認」を参照してください。
UPGAST-00091
などの番号で識別されるエラー・メッセージを検索します。
エラー・メッセージに関する説明でそのエラーを参照してください。
エラー・メッセージに関する説明のエラーについての説明には、エラーの原因およびそのエラーを解決するために実行する必要がある処置についての説明が含まれています。
エラー・メッセージおよびエラー・メッセージの説明を検索できるかどうかに応じて、次の操作を実行します。
ログ・ファイルおよびエラー・メッセージに関する説明を確認することによってアップグレード時に発生した障害の解決方法を識別できる場合は、その解決方法を実行した後、Upgrade Assistantを再起動し、アップグレードを再度実行します。
Upgrade Assistantを再実行しても、前回のアップグレード時に正常にアップグレードされたコンポーネントは影響を受けません。ただし、前回ユーティリティを実行した際に正常にアップグレードされなかったコンポーネントに対しては、Upgrade Assistantによってアップグレードが試行されます。
説明されていないエラーまたはエラーの後に説明されている処置によって解決できないエラーについては、Oracleサポート・サービスに連絡してください。一部のエラーでは、バックアップからリポジトリをリストアし、問題を解決してアップグレードを再実行する必要があります。
Upgrade Assistantの実行時に障害が発生した場合、問題を診断して修正するためにログ・ファイルが必要になるため、ログ・ファイルは削除しないでください。Upgrade Assistantを実行中、ログ・ファイルの内容は、コマンドラインから別の-logLevel
を指定することで変更できます。-logDir
パラメータを使用して、ログ・ファイルの場所を変更できます。
ヒント: 確認プロセスを容易にするには、「エラー」という語句を検索します。 |
ログ・ファイルのエラー・メッセージを理解するには、「Upgrade Assistantの一般的なエラーの解決方法」を参照してください。
ログ・ファイルは、次のデフォルトのディレクトリに格納されます。
UNIXオペレーティング・システムの場合:
ORACLE_HOME/oracle_common/upgrade/logs/ua<timestamp>.log
Windowsオペレーティング・システムの場合:
ORACLE_HOME\oracle_common\upgrade\logs\ua<timestamp>.log
一部のコンポーネントでは、ua
<timestamp
.out
という2番目のログ・ファイルが、同じ場所に作成されます。
timestamp
には、Upgrade Assistantが実行された実際の日時が反映されます。
特定のコンポーネントのデータベース・スキーマのアップグレードでは、シェル・プロセスで実行されたコマンドやPL/SQLスクリプトとして実行されたコマンドの画面出力を含む出力(.out
)ファイルが存在することもあります。これらの出力ファイルは、同じデフォルトのディレクトリ内にあります。
注意: このガイドの情報で解決できない、アップグレード時に発生した障害に関する質問や問題がある場合、ログ・ファイルを保存しておくことが重要です。サービス・リクエストが必要な場合、Upgrade Assistantの.logファイル全体をサービス・リクエストにアップロードする必要があります。 |
確認時の障害の原因を判別するには、次の手順を実行します。
Upgrade Assistantダイアログ・ボックスまたはコマンドライン出力内の障害が発生したコンポーネントの名前を書き留めます。
最新のUpgrade Assistantログ・ファイルを開きます。
ログ・ファイルの場所については、第3.2項「ログ・ファイルの確認」を参照してください。
ログ・ファイルで、Starting to examine
component_name
というメッセージを検索します。
アップグレード時の障害の原因を判別するには、次の手順を実行します。
Upgrade Assistantダイアログ・ボックスまたはコマンドライン出力内の障害が発生したコンポーネントの名前を書き留めます。
最新のUpgrade Assistantログ・ファイルを開きます。
ログ・ファイルの場所については、第3.2項「ログ・ファイルの確認」を参照してください。
Starting to upgrade
component_name
というメッセージを検索します。
Upgrade Assistantの実行時にエラーが発生した場合は、それらの原因となる状況を修正してから、アップグレードを再試行する必要があります。次の項では、発生する可能性のある一般的なエラーについて説明します。
注意: この項では、最も一般的なアップグレード・エラーについて説明します。すべてのFusion Middlewareエラーにリストについては、エラー・メッセージに関する説明を参照してください。 |
ディスク領域不足が原因でアップグレードに障害が発生した場合、バックアップからデータベース・サーバー環境を復元し、十分なディスク領域を追加するか、データベース・サーバーから不要なファイル(一時ファイルまたはトレース・ファイル)を削除して、アップグレードを再試行する必要があります。
注意: このクラスのエラーが原因でデータベース・スキーマのアップグレードに障害が発生すると、ディスク領域を追加するだけではアップグレードを再試行できません。スキーマが不整合な状態になり、「INVALID」としてマークされた可能性があります。バックアップから元のデータベースの状態を復元しないと、このエラーから復元できません。 |
次の例は、発生する可能性のあるディスク領域不足によるエラーを示しています。
ORA-01114: ファイル<ブロック番号>にブロックを書込み中にIOエラーが発生しました
原因: ファイルが保存されているデバイスが、オフラインになっている可能性があります。そのファイルが一時ファイルの場合、そのデバイスは領域不足である可能性があります。これは、一時ファイルのディスク領域が、ファイル作成時に割り当てられるとはかぎらないために発生する場合があります。
処置: デバイスへのアクセス権限を正しく設定するか、または不要なファイルを削除して、領域を解放してください。
ORA-09945: 監査証跡ファイルの初期化ができません。
原因: システムが、監査証跡として使用されるファイルへのヘッダー情報の書込みに失敗しました。監査ファイルを生成するためのaudit_trail_dest(監査証跡の生成先)のディスク領域が一杯です。
処置: 領域を解放してから操作を再試行してください。
Linux-x86_64 Error: 28: No space left on device
Upgrade Assistantを使用してコンポーネント・スキーマをアップグレードするときに、データベースへの接続障害が発生した場合、SQL*Plusなどの別のツールを使用して、データベースへの接続を試行してください。これにより、データベースが稼働中でネットワークから使用できることを検証することで、問題のトラブルシューティングが可能になります。
GUIモードでUpgrade Assistantを実行する場合、DISPLAY変数を適切に設定しないと、次のエラーが発生する場合があります。
Xlib: connection to ":1.0" refused by server
Xlib: No protocol specified
原因: これらのエラーは、画面にGUIの表示を許可するDISPLAY
変数が適切に設定されていないことを示しています。
措置: 使用するローカル・ワークステーションのシステム名またはIPアドレスにDISPLAY
環境変数を設定して、Upgrade Assistantを再実行します。
DISPLAY
変数を設定してもこれらのエラーが発生し続ける場合は、vncconfigなどの他のGUIツールの起動を試みてください。同じエラーが表示される場合は、DISPLAY
環境変数が正しく設定されていない場合があります。
Upgrade Assistantが失敗するか、コンポーネントが部分的にしかアップグレードされない場合、それらの解決を試みてから次の手順を実行します。
バックアップした11g環境をリカバリします。
Upgrade AssistantをGUIモードまたはコマンドラインモードで起動します。
注意: アップグレードに障害が繰り返し発生する場合は、より多くの情報がロギングされるよう、 |