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Oracle® Fusion Middleware Oracle Adaptive Access Manager管理者ガイド
11gリリース1 (11.1.1)
E67347-01
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20 エンティティの作成および管理

トランザクションは、請求書の支払、電信送金、住所変更などのプロセスです。Oracle Adaptive Access Managerトランザクションのコア要素はエンティティおよびトランザクション・データです。エンティティは、トランザクションのインスタンスとして定義および関連付けることができます。

この章では、エンティティの作成、編集、アクティブ化、非アクティブ化、インポートおよびエクスポートの詳細を説明します。

20.1 概要と概念

この項では、エンティティの概念を紹介します。

20.1.1 エンティティ

エンティティは、一連の属性から構成されるユーザー定義データ構造です。エンティティは、様々なトランザクションで再利用できます。エンティティの例として、住所をあげることができます。エンティティをトランザクションと関連付けると、ユーザーは住所エンティティから配送先住所と請求先住所を作成できます。

図20-1 住所エンティティ

この図には、住所エンティティが示されています

20.1.2 データ要素

データ要素はエンティティを構成する属性を記述するために使用されます。たとえば、クレジット・カード・エンティティは、住所1、住所2、市区町村、郵便番号および都道府県などの属性を持ちます。説明、長さ、タイプなどといったデータ要素は各属性を記述するために使用されます。

20.1.3 表示要素

表示要素は、ユーザー・インタフェースに表示する要素およびエンティティの値を表示する順序です。たとえば、住所を表示する場合に、住所1を最初のアイテム、住所2を2番目のアイテム、市区町村を3番目のアイテム、都道府県を4番目のアイテムおよび郵便番号を5番目のアイテムとして表示します。

20.1.4 IDスキーム

IDスキームはエンティティを一意に識別できるデータ要素で構成され、つまり、ユーザーはエンティティを識別する一意の組合せを定義します。たとえば、クレジット・カード・エンティティは多数の属性を持ちますが、クレジット・カードを一意に識別するには、16桁のクレジット・カード番号を使用します。その場合、IDスキームは単にクレジット・カード番号です。

別の例としては、住所エンティティは住所1、住所2、市区町村、都道府県および郵便番号を属性として持ちます。都道府県および市区町村属性を除く、住所1、住所2および郵便番号属性を使用することによっても、住所を一意に識別できます。

20.1.5 内部ID

内部IDは、エンティティのデータ要素の識別に使用されます。これは表示名に基づき作成されます。たとえば、Address Line 1が表示名の場合、単語間のスペースは小数点で置き換えられて内部IDが作成されます。

内部IDの例として、Address.Line.1、Address.Line.2またはZip.Codeなどがあります。

IDは自動的に作成されます。

20.1.6 外部ID

クライアントにより、外部ID値が提供されます。Oracle Adaptive Access Managerでは、クライアントのこの値を格納するか、それを使用してエンティティを特定できます。たとえば、クライアントは、業者、製品およびカスタマのエンティティを送信できます。これらのエンティティには、すでにクライアントによるIDがあります。

20.2 エンティティ検索ページへのナビゲート

エンティティ検索ページにナビゲートするには、ナビゲーション・ツリーで「エンティティ」をダブルクリックします。

または次の方法を使用できます。

エンティティ検索ページは、エンティティを管理するための開始位置です。エンティティ検索ページでは、次の操作が可能です。

エンティティの検索ページの例を図20-2に示します。

図20-2 エンティティ検索ページ

エンティティ検索ページが示されています。

20.3 エンティティの検索

エンティティを検索する手順:

  1. 第20.2項「エンティティ検索ページへのナビゲート」の説明に従って、エンティティ検索ページにナビゲートします。

  2. 検索フィルタに基準を指定して、エンティティを検索します。

    検索フィルタ基準については、表20-1で説明します。

    表20-1 検索フィルタの基準

    フィールド 説明

    名前

    エンティティの名前。

    説明キーワード

    説明キーワード

    ステータス

    エンティティのステータス。


  3. 「検索」をクリックします。

「検索結果」表には、「名前」「説明キーワード」および「ステータス」フィールドで指定された基準に一致するエンティティの概要が表示されます。

エンティティ名へのリンクがあります。エンティティの詳細を表示するには、リンクをクリックします。

20.4 エンティティの作成

新規エンティティを作成するには、この項の手順を実行します。エンティティをアクティブ化するには、その前に「エンティティ詳細」ページのすべてのタブに必要な情報を提供する必要があります。


注意:

エンティティの作成後、それをトランザクションで使用するには、そのエンティティをアクティブ化する必要があります。トランザクションで使用できるのはアクティブなエンティティのみです。デフォルトでは、エンティティは作成時には無効になっています。エンティティのアクティブ化の詳細は、20.9項「エンティティのアクティブ化」を参照してください。


20.4.1 初期手順

エンティティを作成するには、次の手順を実行します。

  1. 第20.2項「エンティティ検索ページへのナビゲート」の説明に従って、エンティティ検索ページにナビゲートします。

  2. エンティティ検索ページで、「新規エンティティ」ボタンをクリックします。

    作成ページを開く別の方法は、3.9項「検索、作成およびインポート」を参照してください。

    「新規エンティティ」ページの例を図20-3に示します。

    図20-3 「新規エンティティ」ページ

    「新規エンティティ」ページが示されています。
  3. 「新規エンティティ」ページで、一意のエンティティ名を入力します。

  4. データ要素の説明を入力します。たとえば、「Credit card number of customer」や「Account number of customer」と入力できます。

  5. 「適用」をクリックします。

    エンティティが正常に作成されたというメッセージを示す確認ダイアログが表示されます。

  6. 「OK」をクリックしてダイアログ・ボックスを閉じます。

    作成したエンティティの「エンティティ詳細」ページが表示されます。

    ページには次の4つのタブが含まれます。

    • サマリー - 一般詳細

    • データ - データ要素(エンティティのデータ要素の追加および編集のために使用されます)

    • IDスキーム - データ要素(エンティティのデータ要素の追加および編集のために使用されます)

    • 表示 - 表示要素(識別スキームに基づいてエンティティの表示要素を追加および編集するために使用されます)

    要素を追加した場合、「データ」、「IDスキーム」および「表示」のタブ・タイトルでは、存在するデータ要素の数がカッコ内に示されます。

20.4.2 データ要素の追加および編集

「データ」タブは、エンティティのデータ要素の追加および編集に使用されます。

「データ」タブで、そのエンティティの一部であるデータ要素を指定します。

たとえば、住所のようなエンティティの場合、要素は住所1、住所2、市区町村、都道府県および郵便番号になります。ラベル、説明、データ型などのメタデータ要素は、エンティティのこれらの要素を記述します。

次の手順を実行して、各要素のデータ要素を定義します。

  1. ラベルを入力します。

    たとえば、住所1、住所2、市区町村または郵便番号になります。

  2. データ要素の説明を入力します。

    データ要素はエンティティの属性です。

    たとえば、ログインするカスタマの住所です。

  3. 要素が必須かどうかを指定します。

    データ要素の中には、エンティティがそのデータがなくても機能できるために、常に移入されるわけではないものがあります。これらの要素は、必須ではないものです。たとえば、住所には「住所2」が存在しないことが多いため、必須ではありません。

  4. 要素を暗号化するかどうかを指定します。

    「暗号化済」「True」に設定されている場合、データが暗号化されてデータベース内に安全に保存できるため、機密データが保護されます。

    暗号化されたフィールドには次の制約があります。

    • これらのフィールドはルールでは使用しないでください。使用された場合、これらのフィールドとの比較対象として通常の値を指定できず、値は暗号化された値にする必要があります。

    • これらのフィールドは、問合せ画面からトランザクションを問い合せるときに、検索基準で使用できません。

      数値フィールドは暗号化できません。

    暗号化されたフィールドはOAAM管理に表示できます。

  5. データ要素「データ型」を指定します。

    Stringなどが該当します。

  6. 別の要素を追加する場合は、ツールバーで「追加」ボタンをクリックし、手順1から7を繰り返します。

  7. 「保存」をクリックします。

「削除」ボタンを使用して、エンティティ内のデータ要素を削除できます。


注意:

行および列の値はデータ型に基づいて自動的に割り当てられ、データベース内の値を再配置する場合を除き、変更しないでください。


20.4.3 IDスキームの要素の選択

「IDスキーム」タブで、エンティティを一意に識別するために使用する要素を選択します。

たとえば、クレジット・カード・エンティティは多数の属性を持ちますが、クレジット・カードを一意に識別するには、16桁のクレジット・カード番号を使用します。その場合、IDスキームは単にクレジット・カード番号です。

別の例としては、住所エンティティは住所1、住所2、市区町村、都道府県および郵便番号を属性として持ちます。住所1、住所2および郵便番号の属性は、住所を一意に識別するために使用できます。都道府県および市区町村の属性は必須ではありません。

住所1単独では、住所は一意に識別されません。たとえば、150 Main Streetは複数のロケーションに存在する場合があります。

「IDスキーム」タブの例を図20-4に示します。

図20-4 「IDスキーム」タブ

エンティティの「IDスキーム」ページが示されています。
  1. 「データ識別スキーム」を選択します。

    識別スキームにより、エンティティの一部である要素を使用してエンティティを一意に識別する方法が決定されます。選択された要素はプレーン・テキスト(キー)または暗号化済(ダイジェスト)として保存する必要があります。

    • キー別: このスキームは、エンティティの選択された要素を連結して、一意の識別子を作成します。

    • ダイジェスト別: このスキームは、エンティティの選択された要素の値をハッシュして、一意の識別子を作成します。結果として作成されるキーは、通常は暗号化されます。データ値が大きい場合、またはデータ値を保護する必要がある場合、このスキームを使用します。

  2. ツールバーで「追加」ボタンをクリックして、データ要素を追加します。

  3. 「データ要素の追加」画面で、IDスキームに追加するデータ要素を選択し、「追加」をクリックします。

    識別スキームに追加する1つ以上のデータ要素を選択できます。

    たとえば、クレジット・カードを識別するには、16桁のクレジット・カード番号のみが必要です。

    追加されたデータ要素は、その後リストで選択できなくなります。

  4. 要素の順序を選択します。

    順序によって、エンティティを識別するデータの構成時にデータが連結される方法が決まります。順序は必須ではなく、この情報を入力しない場合は、自動的に事前入力されます。

「削除」ボタンを使用して、エンティティ内のデータ要素を削除できます。

20.4.4 表示スキームのデータの指定

「表示」タブで表示スキームを定義します。表示スキームは、表示するデータ要素、およびレポートでエンティティの値を表示する際のデータ要素の順序を指定します。

  • データ要素は表示できるエンティティ・データを構成します。

  • 順序によって、エンティティに対して表示されるデータの構成時にデータが連結される方法が決まります。

「表示」タブの例を図20-5に示します。

図20-5 「表示」タブ

エンティティの「表示」ページが示されています。

表示することを選択したデータ要素は「トランザクション詳細」ページに表示されます。

データ要素を選択するには、次の手順を実行します。

  1. 「追加」ボタンをクリックして、データ要素を追加します。

  2. 「データ要素の追加」画面で、表示に追加するデータ要素を選択し、「追加」をクリックします。

    たとえば、住所の場合、住所1、市区町村、都道府県および郵便番号を表すように選択できます。

  3. 要素の順序を選択します。

    順序によって、エンティティのデータが表示されるときに、どのデータが1番目、2番目、3番目などに表示されるかが決まります。順序は必須ではなく、この情報を入力しない場合は、自動的に事前入力されます。

    たとえば、住所を表示する場合に、住所1を最初のアイテム、住所2を2番目のアイテム、市区町村を3番目のアイテム、都道府県を4番目のアイテムおよび郵便番号を5番目のアイテムとして表示するとします。

「削除」ボタンを使用して、表示要素を削除できます。

20.4.5 エンティティのアクティブ化

エンティティの作成後、それをトランザクションで使用するには、そのエンティティをアクティブ化する必要があります。トランザクションで使用できるのはアクティブなエンティティのみです。デフォルトでは、エンティティは作成時には無効になっています。エンティティのアクティブ化の詳細は、20.9項「エンティティのアクティブ化」を参照してください。

20.5 特定のエンティティの詳細の表示

特定のエンティティの詳細を表示するには:

  1. 第20.2項「エンティティ検索ページへのナビゲート」の説明に従って、エンティティ検索ページにナビゲートします。

  2. エンティティ検索ページで、必要なエンティティを検索します。

    表20-1にフィルタを示します。

  3. 「結果」表で、エンティティ名をクリックします。

    「エンティティ詳細」ページの例を図20-6に示します。

    図20-6 「エンティティ詳細」ページ

    「エンティティ詳細」ページが示されています。

20.6 エンティティの編集

特定のエンティティの詳細を編集するには:


注意:

エンティティを編集する際には注意してください。エンティティを編集し、そのエンティティが複数のトランザクションに含まれる場合、異なるトランザクションに含まれるそのエンティティのすべてのインスタンスに編集が適用されます。


  1. 編集するエンティティの「エンティティ詳細」ページが表示されていない場合は、第20.5項「特定のエンティティの詳細の表示」の手順を実行します。

  2. 「サマリー」タブから、エンティティの名前および説明を変更し、エンティティをアクティブ化または非アクティブ化できます。

  3. 「データ」および「IDスキーム」タブから、エンティティのデータ要素を変更できます。

    スキームからデータ要素を削除すると、そのデータ要素が「追加」リストに追加されて、次に「データ要素の追加」を選択したときに使用できるようになります。

  4. 「表示」タブから、エンティティの表示方法を編集できます。

  5. 「適用」をクリックします。

20.7 エンティティのエクスポート

エンティティをエクスポートするには:

  1. 第20.2項「エンティティ検索ページへのナビゲート」の説明に従って、エンティティ検索ページにナビゲートします。

  2. エンティティ検索ページで、必要な検索基準を入力して「検索」をクリックします。第20.3項「エンティティの検索」を参照してください。

  3. エクスポートする各エンティティの行を選択します。

  4. 「エクスポート」ボタンをクリックするか、または「アクション」メニューの「選択項目のエクスポート」を選択します。

  5. 「エンティティのエクスポート」画面で「エクスポート」をクリックします。

  6. 「保存」画面で「OK」をクリックします。

20.8 エンティティのインポート

エンティティをインポートするには:

  1. 第20.2項「エンティティ検索ページへのナビゲート」の説明に従って、エンティティ検索ページにナビゲートします。

  2. エンティティ検索ページで、「インポート」をクリックします。

  3. エンティティのインポート画面で、「参照」をクリックしてインポートするエンティティ・ファイルを検索します。

  4. 「OK」をクリックします。

20.9 エンティティのアクティブ化

エンティティをアクティブ化するには:

  1. 第20.2項「エンティティ検索ページへのナビゲート」の説明に従って、エンティティ検索ページにナビゲートします。

  2. エンティティ検索ページで、必要な検索基準を入力して「検索」をクリックします。第20.3項「エンティティの検索」を参照してください。

  3. アクティブ化する各エンティティの行を選択します。

  4. 「アクティブ化」ボタンを押します。

    「アクティブ化」を押すと、エラーについてエンティティが検証されます(データ要素が存在する場合)。エラーがある場合は、エンティティをアクティブ化する前に修正する必要があります。

    トランザクションで使用できるのはアクティブなエンティティのみです。エンティティ定義をトランザクションで使用する場合は、必ずアクティブ化してください。

20.10 エンティティの非アクティブ化

エンティティを非アクティブ化するには:

  1. 第20.2項「エンティティ検索ページへのナビゲート」の説明に従って、エンティティ検索ページにナビゲートします。

  2. エンティティ検索ページで、必要な検索基準を入力して「検索」をクリックします。第20.3項「エンティティの検索」を参照してください。

  3. 非アクティブ化する各エンティティの行を選択します。

  4. 「非アクティブ化」ボタンを押します。

20.11 エンティティの削除

エンティティを削除するには:

  1. 第20.2項「エンティティ検索ページへのナビゲート」の説明に従って、エンティティ検索ページにナビゲートします。

  2. エンティティ検索ページで、必要な検索基準を入力して「検索」をクリックします。第20.3項「エンティティの検索」を参照してください。

  3. 削除する各エンティティの行を選択し、ツールバーから「削除」ボタンを選択します。

    削除するために選択したエンティティが使用されていないかトランザクションにリンクされている場合、確認を求める警告メッセージが表示されます。

    エンティティが使用されている場合、そのエンティティは削除できません。

  4. 「削除」をクリックしてエンティティを削除します。

  5. 確認ダイアログで、「はい」をクリックします。

複数のエンティティを削除するために選択し、選択したエンティティの一部のインスタンスが含まれるトランザクションがある場合、「次のインスタンスがトランザクションにリンクされているため削除できません。それ以外のエンティティを削除しますか?」で始まる警告メッセージが表示されます「削除」をクリックすると、リンクされていないエンティティが削除されます。

非アクティブ化したエンティティはトランザクションで使用できなくなります。

20.12 「IDスキーム」タブと「表示」タブの行の順序変更

すべての要素を追加した後、「IDスキーム」タブと「表示」タブの行をドラッグ・アンド・ドロップして列の順序を変更できます。「IDスキーム」タブと「表示」タブのどちらも順序は重要です。

「IDスキーム」タブにおける行の順序によって、情報がデータベースに保存される方法および一意に識別される方法が決まります。

「表示」タブにおける行の順序によって、情報が表示される順序が決まります。

たとえば、英国および米国の住所には、市区町村、都道府県、郵便番号を表示に含めることができます。

20.13 ベスト・プラクティス

この項では、エンティティ作成のベスト・プラクティスについて説明します。