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Oracle Fusion Middleware 2日で管理者ガイド
11gリリース1(11.1.1)
B55896-04
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8 Oracle Fusion Middlewareのバックアップとリカバリ

バックアップとリカバリとは、ハードウェア障害やデータ損失に対処する際や、データ消失時にデータを再構築する際における計画や手順を指します。この章では、基本的なバックアップおよびリカバリの計画と手順について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

8.1 バックアップとリカバリの概要

An Oracle Fusion Middleware環境は、様々なコンポーネントおよび構成で成り立ちます。一般的なOracle Fusion Middleware環境には、Oracle SOA SuiteなどのJavaコンポーネントを含むOracle WebLogic Serverドメインおよび、Identity Managementコンポーネントを含むWebLogic Serverドメインが含まれます。Oracle HTTP Server、Oracle Web Cache、Oracle Internet Directory、Oracle Virtual Directoryなどのシステム・コンポーネントを含めることもできます。

Oracle Fusion Middleware環境の各インストールは、互いに依存しており、それらのインストールに含まれる構成情報、アプリケーションおよびデータは同期状態が維持されます。たとえば、構成を変更すると、構成ファイル内の情報が更新されます。また、アプリケーションのデプロイでは、ドメインやクラスタのすべての管理対象サーバーにアプリケーションがデプロイされる場合があります。

したがって、バックアップおよびリカバリを実行するときは、Oracle Fusion Middleware全体の環境を考慮することが重要になります。Oracle Fusion Middleware環境全体を一度に、その後定期的にバックアップしてください。そうすれば、ファイルやデータなどが失われた場合でも、環境を一貫性のある状態にリストアできます。

8.1.1 バックアップ操作の概要

次の機能を使用してOracle Fusion Middleware環境をバックアップできます。

  • copy、xcopy、tar、jarなどのファイル・コピー用ユーティリティ。ユーティリティでは、次のことを確認してください。

    • シンボリック・リンクが保持されること

    • 長いファイル名がサポートされること

    • ファイルの権限と所有権が保持されること

    例:

    • Windowsの場合、オンライン・バックアップにはcopyを使用し、オフライン・バックアップにはcopy、xcopyまたはjarを使用します。Winzipは、ファイル名や拡張子が長いと機能しないため、使用しないでください。

      一部のバージョンのWindowsでは、ファイル名が256文字を超えていると失敗します。この問題が発生しないようにするには、次のスイッチを指定したxcopyコマンドを使用できます。

      xcopy /s/e  "C:\Temp\*.*"  "C:\copy"
      

      構文と制限の詳細は、xcopyのヘルプを参照してください。

    • LinuxおよびUNIXの場合、オンライン・バックアップ、オフライン・バックアップともに、tarを使用します。

  • Oracle Fusion Middlewareで使用されるデータベース・ベースのメタデータ・リポジトリとすべてのデータベースのバックアップに使用するOracle Recovery Manager(RMAN)。RMANでは、全体バックアップまたは増分バックアップを実行できます。RMANを使用したデータベースのバックアップについては、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

バックアップを長期間保持する必要がある場合は、Oracle Secure Backupを使用するなどして、テープにバックアップします。

構成ファイルのバックアップ・コピーを作成するようにOracle WebLogic Serverを構成することもできます。これによって、構成の変更を元に戻す必要がある場合や、ほとんど可能性はなくとも構成ファイルが破損した場合のリカバリが簡単になります。管理サーバーの起動時に、構成ファイルを格納したconfig-booted.jarという名前の.jarファイルが保存されます。構成ファイルを変更した場合、変更前のファイルは、ドメイン・ディレクトリの下のconfigArchiveディレクトリに、config-1.jarなどの続き番号が付けられた.jarファイルとして保存されます。ただし、構成アーカイブは常に、管理サーバー・ホストのローカルとして保存されます。アーカイブは外部の場所にバックアップすることをお薦めします。

8.1.1.1 バックアップのタイプ

  • オフライン・バックアップとは、環境を停止してからファイルをバックアップする必要があることを意味します。オフライン・バックアップを実行するときには、管理サーバー、ドメインにあるすべての管理対象サーバー、およびOracleインスタンスのすべてのシステム・コンポーネントを停止する必要があります。

    環境のオフライン・バックアップは、インストール直後およびパッチやアップグレードの適用後に実行します。

  • オンライン・バックアップとは、環境を停止せずにファイルをバックアップすることを意味します。バックアップの矛盾を防ぐために、バックアップが完了するまで構成を変更しないでください。Oracle WebLogic Serverドメインが変更されないようにするには、第2.3.2項の説明に従って、WebLogic Server構成をロックします。

Oracle Fusion Middleware環境全体をバックアップできるほか、頻繁に更新が発生するファイルであるランタイム・アーティファクトをバックアップすることもできます。

全体バックアップを実行するには、静的ファイルおよび静的ディレクトリとともに、ランタイム・アーティファクトをバックアップする必要があります。

静的ファイルおよび静的ディレクトリとは、頻繁に変更されないファイルおよびディレクトリのことです。これには次のものがあります。

  • Middlewareホーム(MW_HOME)。Middlewareホームは、WebLogic Serverホーム(Oracle WebLogic Server製品ディレクトリ)、Oracle Commonホーム、およびOracleホーム(オプション)で構成されます。user_projectsディレクトリを含めることもできますが、ここに格納されているOracle WebLogic ServerドメインとOracleインスタンス・ホームは静的ファイルではありません。

  • OraInventory

  • LinuxおよびUNIXの場合はOraInst.locファイル。これは、次のディレクトリにあります。

    (Linux and IBM AIX) /etc
    (Other UNIX systems) /var/opt/oracle
    
  • LinuxおよびUNIXの場合はoratabファイル。これは、次のディレクトリにあります。

    /etc
    
  • beahomelistファイル。このファイルは、次のディレクトリにあります。

    (UNIX) user_home/bea/beahomelist
    (Windows) C:\bea\beahomelist
    
  • Windowsの次のレジストリ・キー。

    HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Oracle
    

    さらに、Oracle Web Cacheなどのシステム・コンポーネントについて、次のWindowsレジストリ・キーをバックアップする必要があります。

    HKEY_LOCAL_MACHINE\System\CurrentControlSet\Services
    

ランタイム・アーティファクトとは、頻繁に変更されるファイルのことです。これらのファイルは、全体バックアップのほか、定期的にバックアップする必要があります。ランタイム・アーティファクトには、次のものがあります。

  • 管理サーバーおよび管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリ(デフォルトではドメイン・ディレクトリはMW_HOMEにありますが、別の場所を指定して構成することもできます)。

    ほとんどの場合、管理サーバーにはそのドメインにあるすべての管理対象サーバーに関する情報が格納されているので、管理対象サーバーのディレクトリを別途バックアップする必要はありません。

  • すべてのOracleインスタンス・ホーム。デフォルトではMW_HOMEにありますが、別の場所を指定して構成できます。

  • .earファイルや.warファイルなど、ドメインの外部に存在するアプリケーション・アーティファクト。

    管理対象サーバーのドメインにあるアプリケーションのアーティファクトは、管理対象サーバーの起動時に管理サーバーから取得できるので、バックアップする必要はありません。

  • MDSリポジトリなどのデータベースのアーティファクト。

  • Oracle Fusion Middlewareで使用されるすべてのデータベース・ベースのメタデータ・リポジトリ。Oracle Recovery Manager(RMAN)を使用してOracleデータベースをバックアップします。

  • JMSプロバイダやトランザクション・ログなどの永続ストア。デフォルトではuser_projectsディレクトリに常駐していますが、別の場所に構成できます。

8.1.1.2 推奨されるバックアップ計画

この項では、バックアップの実行で推奨される計画について説明します。この計画を使用すると、この本のリカバリ手順も実行できるようになります。

  • 全体オフライン・バックアップの実行。これには、第8.1.1.1項で説明されているエンティティのバックアップが含まれます。全体オフライン・バックアップは、次の時期に実行します。

    • Oracle Fusion Middlewareをインストールした直後

    • Oracle Fusion Middleware環境のアップグレードの直前

    • オペレーティング・システム・ソフトウェアをアップグレードした直後

    • Oracle Fusion Middlewareのアップグレードまたはパッチ適用直後

  • ランタイム・アーティファクトのオンライン・バックアップの実行。ここでは、第8.1.1.1項で説明されているランタイム・アーティファクトのバックアップを扱います。ランタイム・アーティファクトをバックアップすることで、最新の構成およびメタデータ・バックアップを行った時点と矛盾のない状態に環境をリストアできます。バックアップの矛盾を防ぐために、バックアップが完了するまで構成を変更しないでください。ランタイム・アーティファクトのオンライン・バックアップは、次の時期に実行します。

    • 定期的なバックアップ。ランタイム・アーティファクトのバックアップは、夜間に実行することをお薦めします。

    • コンポーネントに対して構成の変更を行う前。

    • コンポーネントに対して構成の変更を行った後。

    • カスタムJava EEアプリケーションを管理対象サーバーまたはクラスタにデプロイする前。

    • サーバーやクラスタの作成などの大きな変更をデプロイメント・アーキテクチャに適用した後。

  • データベースの全体バックアップまたは増分バックアップの実行: RMANを使用してデータベースをバックアップします。RMANの使用方法および推奨されるデータベースのバックアップ方法については、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

8.1.2 リカバリ操作の概要

リカバリ計画を使用すると、実際のデータ損失が関係する重大な障害からのリカバリが可能になります。損失のタイプによっては、次に示すファイル・タイプの組合せのリカバリが必要になります。

  • Oracleソフトウェア・ファイル

  • 構成ファイル

  • Oracleシステム・ファイル

  • Windowsレジストリ・キー

  • アプリケーションのアーティファクト

Oracle Fusion Middleware環境は、Oracle Fusion Middlewareのオフライン時にリカバリできます。

次の機能を使用してOracle Fusion Middleware環境をリカバリできます。

  • copy、xcopy、tarなどのファイル・コピー・ユーティリティ

    ファイルのリストア時、圧縮ファイルの解凍には、それに適したツールを使用します。

    • Windowsの場合、オンライン・リカバリにはcopyを使用し、オフライン・リカバリにはcopy、xcopyまたはjarを使用します。

      一部のバージョンのWindowsでは、ファイル名が256文字を超えていると失敗します。この問題が発生しないようにするには、次のスイッチを指定したxcopyコマンドを使用できます。

      xcopy /s/e  "C:\Temp\*.*"  "C:\copy"
      

      構文と制限の詳細は、xcopyのヘルプを参照してください。

      長いファイル名や拡張子には対応していないため、Winzipは使用しないでください。

    • LinuxおよびUNIXの場合はtarを使用します。

    使用しているツールが、ファイルの権限とタイムスタンプを保存することを確認してください。

  • データベースに基づくメタデータ・リポジトリのリカバリに使用するOracle Recovery Manager(RMAN)

8.1.2.1 リカバリのタイプ

Oracle Fusion Middleware環境は、その一部または全体をリカバリできます。リカバリ対象は次のとおりです。

  • Middlewareホーム

  • Oracle WebLogic Serverドメイン

  • Oracle WebLogic Server管理サーバー

  • Oracle WebLogic Server管理対象サーバー

  • Oracleホーム

  • Oracleインスタンス

  • Oracle SOA SuiteやOracle HTTP Serverなどのコンポーネント

  • Oracle WebLogic Serverクラスタ

  • デプロイ済アプリケーション

8.1.2.2 推奨されるリカバリ計画

リカバリに関する次の重要事項を確認してください。

  • リカバリの実行中は、Oracle Fusion Middleware環境をオフラインにする必要があります。

  • 意図せずに必須ファイルを上書きしてしまわないように、既存の重要なファイルとディレクトリの名前を変更した後でバックアップからのファイルのリストアを開始します。

  • 少数のファイルのみが失われたり破損したりしているように見える場合でも、それらのファイルのみをリストアするのではなく、Oracleインスタンスやコンポーネントなど、要素全体のディレクトリ構造をリストアする必要があります。このようにすると、リカバリが正常に実行される可能性が高くなります。

  • ポイント・イン・タイム・リカバリを使用して、データベースを最新の状態にリカバリします(アーカイブ・ログ・モードで構成されているデータベースの場合)。このリカバリによって、通常はデータベース障害が発生する直前の状態に戻ります。

8.2 環境のバックアップ

次のトピックでは、各種のバックアップの実行方法について説明します。

8.2.1 全体オフライン・バックアップの実行

全体オフライン・バックアップを実行するには、Oracle Fusion Middlewareファイルを含むディレクトリをコピーします。

任意のアーカイブ用ツールを使用して、ソースMiddlewareホームをアーカイブおよび圧縮します。第8.1.1項の説明に従って、使用するツールに、ファイルに対するアクセス権があることを確認してください。

次の例は、LinuxでMiddlewareホームをアーカイブおよび圧縮する方法を示しています。

cd Middleware_Home 
tar cf - * | gzip > Middleware_Home.tar.gz

tarユーティリティでは、スティッキーなビットが設定されているファイルがあると警告が発行されることがあります。これらの警告は無視してもかまいません。

全体オフライン・バックアップを実行するには:

  1. Middlewareホームのプロセスをすべて停止します。たとえば、管理対象サーバー、管理サーバー、およびMiddlewareホームで実行されているOracleインスタンスを停止します。

  2. すべてのホストでMiddlewareホーム(MW_HOME)をバックアップします。例:

    tar -cf mw_home_backup_061112.tar MW_HOME/*
    
  3. Middlewareホーム内にドメインがない場合は、管理サーバー・ドメインを別個にバックアップします。これによって、Oracle SOA SuiteやOracle WebCenter PortalなどのJavaコンポーネントがバックアップされます。

    例:

    tar -cf domain_home_backup_061112.tar MW_HOME/user_projects/domains/domain_name/*
    

    ほとんどの場合、管理サーバー・ドメインにはそのドメイン内の管理対象サーバーの情報が含まれるため、管理対象サーバーのディレクトリを別個にバックアップする必要はありません。

  4. Oracleインスタンス・ホームがMiddlewareホーム内に見つからない場合は、Oracleインスタンス・ホームをバックアップします。Oracleインスタンス・ホームには、Oracle HTTP ServerやOracle Internet Directoryなどのシステム・コンポーネントに関する構成情報が含まれています(システム・コンポーネントのリストは、第2.4.2項を参照してください)。

    例:

    tar -cf instance_home_backup_061112.tar ORACLE_INSTANCE/*
    
  5. ドメイン・ディレクトリに管理対象サーバーがない場合は、管理対象サーバー・ディレクトリをバックアップします。例:

    tar -cf mg1_home_backup_061112.tar MW_HOME/user_projects/domains/domain_name/servers/server_name/*
    
  6. OraInventoryディレクトリをバックアップします。例:

    tar -cf Inven_home_backup_061112.tar /scratch/oracle/OraInventory
    
  7. LinuxおよびUNIXの場合は、OraInst.locファイルをバックアップします。これは、次のディレクトリにあります。

    (Linux and IBM AIX) /etc
    (Other UNIX systems) /var/opt/oracle
    
  8. LinuxおよびUNIXの場合は、oratabファイルをバックアップします。これは、次のディレクトリにあります。

    /etc
    
  9. Oracle Recovery Manager(RMAN)を使用して、データベース・リポジトリをバックアップします。詳細な手順は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。次のリンクから入手可能です。

    http://www.oracle.com/technology/documentation/database.html
    
  10. Windowsでは、次のレジストリ・キーをエクスポートします。

    HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Oracle
    

    さらに、Oracle Web Cacheなどのシステム・コンポーネントについて、次のWindowsレジストリ・キーをエクスポートします。

    HKEY_LOCAL_MACHINE\System\CurrentControlSet\Services
    

    キーをエクスポートするには、次のコマンドを使用します。

    regedit /E  FileName Key
    

    例:

    regedit /E C:\oracleregistry.reg HKEY_LOCAL_MACHINE/oracle 
    

    レジストリ・エディタを使用して、キーをエクスポートすることもできます。詳細は、レジストリ・エディタのヘルプを参照してください。

  11. Oracle Fusion Middleware環境のレコードを作成します。第8.4項を参照してください。

8.2.2 ランタイム・アーティファクトのオンライン・バックアップの実行

ランタイム・アーティファクトのバックアップは、定期的に実行するほか、第8.1.1.2項で説明されている時期に実行してください。

ランタイム・アーティファクトをバックアップするには:

  1. バックアップの矛盾を防ぐために、バックアップが完了するまで構成を変更しないでください。Oracle WebLogic Serverドメインが変更されないようにするには、第2.3.2項の説明に従って、WebLogic Server構成をロックします。

  2. 管理サーバー・ドメイン・ディレクトリをバックアップします。これによって、Oracle SOA SuiteやOracle WebCenter PortalなどのJavaコンポーネントがバックアップされます。例:

    tar -cf domain_home_backup_061112.tar MW_HOME/user_projects/domains/domain_name/*
    

    Oracle Portal、Oracle Reports、Oracle Forms ServicesおよびOracle Business Intelligence Discovererの場合、管理サーバー・ドメインに加えて、管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリをバックアップする必要があります。

  3. Oracleインスタンス・ホームをバックアップします。これにより、Oracle HTTP Serverなどのシステム・コンポーネントをバックアップできます。例:

    tar -cf instance_home_backup_061112.tar ORACLE_INSTANCE/*
    
  4. Oracle Recovery Manager(RMAN)を使用して、データベース・リポジトリをバックアップします。詳細な手順は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。次のリンクから入手可能です。

    http://www.oracle.com/technology/documentation/database.html
    
  5. Oracle Fusion Middleware環境のレコードを作成します。第8.4項を参照してください。

8.3 データ損失、破損またはメディア障害後のリカバリ

この項では、実際のデータ損失や破損、またはディスクのリストアが不可能なメディア障害が引き起こした停止のリカバリ計画について説明します。このタイプの障害では、Oracle Fusion Middleware環境を再起動して通常の処理を続ける前に、ある種のデータ・リストアの実行が必要になります。ここでは、次のトピックについて説明します。

ホスト損失後のリカバリの詳細は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』のホスト損失後のリカバリに関する項を参照してください。

8.3.1 Middlewareホームのリカバリ

破損したMiddlewareホームやファイルが削除されたMiddlewareホームをリカバリできます。

Middlewareホームをリカバリするには:

  1. 関連するすべてのプロセスを停止します。つまり、管理サーバー、ノード・マネージャ、管理対象サーバーなど、ドメインに関連するすべてのプロセスを停止します。たとえば、Linux上で管理サーバーを停止するには、次のように指定します。

    DOMAIN_HOME/bin/stopWeblogic.sh username password [admin_url]
    
  2. Middlewareホーム・ディレクトリをバックアップからリカバリします。例:

    cd MW_HOME
    (UNIX) tar -xf mw_home_backup_061112.tar
    (Windows) jar xtf mw_home_backup_061112.jar
    
  3. 関連するすべてのプロセスを起動します。つまり、そのMiddlewareホームで実行するすべてのプロセスを起動します。たとえば、管理サーバーを起動するには次のように指定します。

    DOMAIN_HOME/bin/startWebLogic.sh -Dweblogic.management.username=username
     -Dweblogic.management.password=password
     -Dweblogic.system.StoreBootIdentity=true
    

8.3.2 Oracle WebLogic Serverドメインのリカバリ

破損したOracle WebLogic Serverドメインやファイル・システムから削除されたOracle WebLogic Serverドメインをリカバリできます。


注意:

ドメインレベルでリカバリすると、実行しているシステムの他の部分に影響する可能性があり、バックアップの後で構成に適用した変更内容がすべて失われます。


Oracle WebLogic Serverドメインをリカバリする手順は次のとおりです。

  1. 関連するすべてのプロセスを停止します。つまり、管理サーバーや管理対象サーバーなど、ドメインに関連するすべてのプロセスを停止します。たとえば、管理サーバーを停止します。

    DOMAIN_HOME/bin/stopWeblogic.sh username password [admin_url]
    
  2. ドメイン・ディレクトリをバックアップからリカバリします。例:

    cd MW_HOME/user_projects/domains/domain_name
    (UNIX) tar -xf domain_backup_061112.tar 
    (Windows) jar xtf domain_backup_061112.jar 
    
  3. 関連するすべてのプロセスを起動します。つまり、ドメインに関連するすべてのプロセスを起動します。たとえば、管理サーバーを起動します。

    DOMAIN_HOME/bin/startWebLogic.sh -Dweblogic.management.username=username
     -Dweblogic.management.password=password
     -Dweblogic.system.StoreBootIdentity=true
    
  4. 管理サーバーを起動できない場合は、第8.3.3項の説明に従って、管理サーバーをリカバリします。

  5. 管理対象サーバーを起動できない場合は、第8.3.4項の説明に従って、管理対象サーバーをリカバリします。

8.3.3 管理サーバー構成のリカバリ

ファイルの削除やファイル・システムの破損によって管理サーバー構成が失われた場合、問題発生時に管理サーバー・コンソールがすでに起動されていれば、管理サーバーは機能し続けます。管理サーバーのディレクトリは、セキュリティ情報以外は自動的に再生成されます。その結果、管理サーバーを起動するたびに、ユーザー名とパスワードの入力が求められます。この事態を回避するために、構成をリカバリできます。


注意:

ドメインレベルでリカバリすると、実行しているシステムの他の部分に影響する可能性があり、バックアップの後で構成に適用した変更内容がすべて失われます。


管理サーバー構成をリカバリするには:

  1. 管理サーバー、管理対象サーバーおよびノード・マネージャが起動している場合はこれらも含めて、すべてのプロセスを停止します。たとえば、Linuxで管理サーバーを停止するには、次のスクリプトを使用します。

    DOMAIN_HOME/bin/stopWeblogic.sh username password admin_url
    
  2. ドメイン・ホームのバックアップを一時的な場所にリカバリすることで、管理サーバー構成をリカバリします。次に、configディレクトリを次の場所にリストアします。

    DOMAIN_HOME/config
    
  3. 管理サーバーを起動します。WLSTまたは次のスクリプトを使用できます。

    DOMAIN_HOME/bin/startWebLogic.sh -Dweblogic.management.username=username
       -Dweblogic.management.password=password
       -Dweblogic.system.StoreBootIdentity=true
    
  4. 管理サーバーが正常に起動し、アクセス可能であることを確認します。

次回の構成変更時に、管理サーバーにある構成が管理対象サーバーに送信されます。管理対象サーバーを再起動するたびに、この構成が管理サーバーから取得されます。

8.3.4 管理対象サーバーのリカバリ

このシナリオでは、管理対象サーバーが適切に動作しない場合や起動できない場合を想定しています。この原因としては、構成の削除、構成の破損、構成を誤って変更したがその変更内容が不明であることなどが考えられます。

起動できない管理対象サーバーをリカバリするには:

  1. 管理サーバーにアクセスできない場合は、第8.3.3項の説明に従って管理サーバーをリカバリします。

  2. 管理対象サーバーが起動しない場合やファイル・システムが失われた場合は、次の手順を実行します。

    1. 必要に応じて、Middlewareホームをバックアップからリカバリします。例:

      tar -xf mw_home_backup_061112.tar 
      
    2. packユーティリティを使用して、管理サーバーのドメイン・テンプレートjarファイルを作成します。例:

      pack.sh -domain=MW_HOME/user_projects/domains/domain_name
         -template=/scratch/temp.jar -template_name=test_install 
         -template_author=myname -log=/scratch/logs/my.log -managed=true
      

      -managed=trueオプションを指定すると、管理対象サーバーのみが圧縮されます。ドメイン全体を圧縮する場合は、このオプションを省略します。

    3. unpackユーティリティを使用して、ドメイン・テンプレートjarファイルを圧縮解除します。

      unpack.sh -template=/scratch/aime1/ms.jar
         -domain=MW_HOME/user_projects/domains/domain_name
         -log=/scratch/logs/new.log -log_priority=info
      
    4. 管理対象サーバー・ホストからアプリケーションのアーティファクトにアクセスできることを確認します。つまり、アプリケーションのアーティファクトは、管理対象サーバーと同じサーバー上にない場合、管理対象サーバーからアクセス可能な場所に存在している必要があります。


      注意:

      • stageモードのアプリケーションの場合、管理対象サーバーにあるステージング・ディレクトリへのビットの送信は、管理サーバーが処理します。

      • nostageアプリケーションおよびexternal-stageアプリケーションの場合、管理対象サーバーのステージング・ディレクトリでアプリケーション・ファイルが使用可能であることを確認してください。

      stage、nostageおよびexternal_stageの各モードのアプリケーションの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』 を参照してください。


    5. 管理対象サーバーを起動します。Oracle WebLogic Server管理コンソール、WLSTまたは次のスクリプトを使用できます。

      DOMAIN_HOME/bin/startManagedWebLogic.sh managed_server_name 
                admin_url 
      

      管理対象サーバーが管理サーバーに接続し、管理対象サーバーの構成変更が更新されます。

8.3.5 Oracleホームのリカバリ

Oracleホームがリカバリ可能です。Oracleホームには、特定のコンポーネントのバイナリ・ファイルが格納されています。

特定のコンポーネントについてOracleホームをリカバリするには:

  1. Oracleホームをバックアップ・ファイルから元のディレクトリにリカバリします。例:

    cd ORACLE_HOME
    tar -xf Oracle_home_backup_061112.tar 
    
  2. WLSTのstartコマンドを使用して、アプリケーションのデプロイ先の管理対象サーバーを再起動します。例:

    wls:/mydomain/serverConfig> start('myserver','Server')
    

8.3.6 Oracleインスタンスのリカバリ

Oracleインスタンス・ホームには、Oracle HTTP ServerやOracle Internet Directoryなどのシステム・コンポーネントに関する構成情報が含まれています(システム・コンポーネントのリストは、第2.4.2項を参照してください)。

次の各項では、Oracleインスタンスをリカバリする方法について説明します。

8.3.6.1 ファイル・システムからOracleインスタンス・ホームが削除された後のリカバリ

破損したOracleインスタンス・ホームやファイル・システムから削除されたOracleインスタンス・ホームをリカバリできます。

破損したOracleインスタンス・ホームやファイル・システムから誤って削除されたOracleインスタンス・ホームをリカバリするには:

  1. 関連するすべてのプロセスを停止します。つまり、そのOracleインスタンスに関連するすべてのプロセスを停止します。

  2. Oracleインスタンス・ホーム・ディレクトリをバックアップ・ファイルからリカバリします。例:

    cd ORACLE_INSTANCE
    (UNIX) tar -xf Instance_home_backup_061112.tar 
    (Windows) jar xtf Instance_home_backup_061112.jar
    
  3. 関連するすべてのプロセスを起動します。つまり、そのOracleインスタンスに関連するすべてのプロセスを起動します。

    opmnctl startall
    

8.3.6.2 Oracleインスタンス・ホームが登録解除された後のリカバリ

誤ってドメインから登録解除されたOracleインスタンス・ホームをリカバリできます。

登録解除されたOracleインスタンス・ホームをリカバリするには:

  1. Oracleインスタンス・ホーム・ディレクトリをバックアップ・ファイルからリカバリします。たとえば、Linuxでは次のように指定します。

    cd ORACLE_INSTANCE
    tar -xf Instance_home_backup_061112.tar 
    
  2. opmnctlのregisterInstanceコマンドを使用して、Oracleインスタンスとそのすべてのコンポーネントを管理サーバーに登録します。例:

    opmnctl registerInstance -adminHost admin_server_host 
         -adminPort admin_server_port -adminUsername username 
         -adminPassword password
         -oracleInstance ORACLE_INSTANCE_dir -oracleHome ORACLE_HOME_dir
         -instanceName Instance_name -wlserverHome Middleware_Home
    

8.3.7 コンポーネントのリカバリ

ほとんどのコンポーネントについて、次の各項でコンポーネントをリカバリする方法について説明します。

特定のコンポーネントのリカバリで必要な場合のある追加アクションの詳細は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』のコンポーネントのリカバリに関する項を参照してください。

8.3.7.1 コンポーネント・ファイルの削除後または破損後のリカバリ

コンポーネント・ファイルを削除または破損した場合、あるいはコンポーネント構成を変更してコミットしたためにコンポーネントが起動しない場合や正常に機能しない場合、コンポーネント・ファイルをリストアできます。問題発生の原因になった変更内容が確認できないため、以前のリリースに戻す必要が生じることもあります。

コンポーネントをリカバリする場合、実行する手順はコンポーネント・タイプによって異なります。

  • Oracle SOA SuiteなどのJavaコンポーネントの場合、第8.3.4項の説明に従って管理対象サーバーをリカバリします。

  • Oracle HTTP ServerやOracle Web Cacheなどのシステム・コンポーネントの場合は、次の手順を実行します。

    1. コンポーネントを停止します。たとえば、次のようにOracle HTTP Serverを停止します。

      opmnctl stopproc ias-component=HTTP_Server
      

      コンポーネントの停止の詳細は、第3.4.4項を参照してください。

    2. コンポーネント固有のファイルをバックアップからリカバリします。各コンポーネントに必要なディレクトリおよびファイルのリストは、『Oracle Fusion Middleware Administrator's Guide』を参照してください。たとえば、Oracle HTTP Serverのファイルをリカバリするには、次のディレクトリをリカバリします。

      ORACLE_INSTANCE/config/OHS/component_name
      ORACLE_INSTANCE/diagnostics/logs/OHS/component_name
      ORACLE_INSTANCE/tmp/OHS/component_name
      
    3. コンポーネントを起動します。たとえば、次のようにOracle HTTP Serverを起動します。

      opmnctl startproc ias-component=HTTP_Server
      

      コンポーネントの起動の詳細は、第3.4.4項を参照してください。

8.3.7.2 クラスタの構成変更後のコンポーネントのリカバリ

クラスタ・レベルで構成を変更してコミットしたためにそのクラスタにあるコンポーネントが起動しない場合や正常に機能しない場合は、そのコンポーネントをリカバリできます。問題発生の原因になった変更内容が確認できないため、以前のリリースに戻す必要が生じることもあります。


注意:

ドメインレベルでリカバリすると、実行しているシステムの他の部分に影響する可能性があり、バックアップの後で構成に適用した変更内容がすべて失われます。


コンポーネントをリカバリするには:

  1. クラスタを停止します。

    stop('cluster_name', 'Cluster')
    
  2. 管理対象サーバーや管理サーバーなど、すべてのプロセスを停止します。たとえば、Linuxで管理サーバーを停止するには、次のスクリプトを使用します。

    DOMAIN_HOME/bin/stopWeblogic.sh username password admin_url
    
  3. ドメイン・ホームのバックアップを一時的な場所にリカバリすることで、管理サーバー構成をリカバリします。次に、configディレクトリを次の場所にリストアします。

    DOMAIN_HOME/config
    
  4. 管理サーバーを起動します。WLSTまたは次のスクリプトを使用できます。

    DOMAIN_HOME/bin/startWebLogic.sh -Dweblogic.management.username=username
     -Dweblogic.management.password=password
     -Dweblogic.system.StoreBootIdentity=true
    
  5. クラスタを起動します。Oracle WebLogic Server管理コンソールまたはWLSTを使用できます。たとえば、次のようにWLST起動コマンドを使用します。

    start('clusterName', 'Cluster')
    

クラスタのすべてのメンバーで、管理サーバーから最新の構成が取得されます。

8.4 Oracle Fusion Middleware構成のレコードの作成

Oracle Fusion Middleware環境のリストアおよびリカバリが必要な場合、必要な情報をすべて自由に使用できることが重要です。これは、特にOracle Fusion Middleware環境全体(またはその一部)を新しいディスクまたはホストに再構築する必要があるような、ハードウェアの損失が発生した場合に当てはまります。

この項で説明されている情報を含む、Oracle Fusion Middleware環境の最新記録を維持管理する必要があります。この情報は、印刷物と電子形式の両方で保管してください。電子形式のデータは、Oracle Fusion Middleware環境とはまったく別のホストまたは電子メール・システム上に格納する必要があります。

Oracle Fusion Middlewareのハードウェアおよびソフトウェア構成の記録には、次のものが含まれます。

8.5 関連情報

Oracle Fusion Middlewareのバックアップとリカバリの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Administrator's Guide』の次の各項を参照してください。