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Oracle® Fusion Middleware Oracle Identity Managementアプリケーション開発者ガイド
11g リリース1(11.1.1)
B56242-05
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1 Oracle Identity Managementアプリケーションの開発

11gリリース1(11.1.1)リリースの時点で、Fusion Middlewareアプリケーション開発者へ推奨されるセキュリティAPIはOracle Platform Security for Javaです。詳細は、『Oracle Fusion Middlewareアプリケーション・セキュリティ・ガイド』を参照してください。現在のドキュメントに記載されているOracle Identity Managementインタフェースは、Oracle Platform Security for Javaに含まれるものではありません。

Oracle Identity Managementは、すべてのOracleアプリケーションに共有インフラストラクチャを提供します。また、サード・パーティのエンタープライズ・アプリケーションの開発を容易にするサービスやインタフェースも提供します。このインタフェースは、アプリケーションにアイデンティティ管理を組み込む必要のあるアプリケーション開発者にとって有益です。

この章では、このインタフェースについて説明し、Oracle Identity Management環境におけるアプリケーション開発の推奨ベスト・プラクティスを示します。

この章の項目は次のとおりです。

1.1 アプリケーション統合に使用可能なOracle Identity Managementサービス

カスタム・アプリケーションでは、ドキュメントに記載され、サポートされている一連のサービスやAPIを通じてOracle Identity Managementを使用できます。次に例を示します。


注意:

Oracle Fusion Middleware 11gリリース1(11.1.1)には、Oracle Single Sign-OnもOracle Delegated Administration Servicesも含まれていません。ただし、Oracle Internet Directory 11gリリース1(11.1.1)は、Oracle Single Sign-OnおよびOracle Delegated Administration Services 10g(10.1.4.3.0)以上と互換性があります。


1.2 既存のアプリケーションとOracle Identity Managementとの統合

新規のアプリケーションでは、Oracle Fusion Middlewareセキュリティ・ガイドに記載されているOracle Platform Security for Javaを使用します。

企業は重要な業務機能を実行するために特定のアプリケーションをすでにデプロイしている可能性があります。Oracle Identity Managementは、既存アプリケーションの変更のため、デプロイメントで活用できる次のサービスを提供します。

1.3 Oracle Identity Managementのプログラミング: 概要

この項では、Oracle Identity Management Software Developer's Kitについて説明します。アプリケーションでキットを使用してディレクトリと統合する方法の概要を示します。ディレクトリ製品スイートのその他のコンポーネントも示します。

この項では、次の項目について説明します。

1.3.1 Oracle Internet Directory SDKでサポートされているプログラミング言語

SDKは、C、C++およびPL/SQLを使用するアプリケーション開発者を対象としています。Java開発者がディレクトリとの統合を行う場合は、JNDIプロバイダを使用する必要があります。

1.3.2 Oracle Identity Management SDKコンポーネント

Oracle Identity Management Software Developer's Kit 11gリリース1(11.1.1)は、次のもので構成されます。

  • LDAPバージョン3に準拠したC API

  • PL/SQL API(DBMS_LDAPというPL/SQLパッケージに同梱)

  • 『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Managementアプリケーション開発者ガイド』(このドキュメント)

  • コマンドライン・ツール

1.3.3 Oracle Identity Management環境でのアプリケーション開発

この項では、次の項目について説明します。

1.3.3.1 Oracle Identity Managementアプリケーションのアーキテクチャ

ほとんどのOracle Identity Managementアプリケーションは、複数のユーザーからの複数のリクエストを同時に処理するバックエンド・プログラムです。図1-1に、これらのアプリケーションによるディレクトリの使用方法を示します。

図1-1 ディレクトリ対応のアプリケーション

図1-1の説明が続きます
「図1-1 ディレクトリ対応のアプリケーション」の説明

図1-1に示すように、ユーザー・リクエストがLDAP対応の操作を必要とする場合、アプリケーションはあらかじめ確立されたディレクトリ接続の一部を使用してリクエストを処理します。

1.3.3.2 アプリケーション・ライフサイクルでのOracle Identity Managementの相互作用

表1-1に、アプリケーションがライフサイクルで行う通常のディレクトリ操作を順に示します。

表1-1 アプリケーション・ライフサイクルでの相互作用

アプリケーションのライフサイクルでのポイント ロジック

アプリケーションのインストール

  1. ディレクトリにアプリケーションのアイデンティティを作成します。アプリケーションはこのアイデンティティを使用して、ほとんどのLDAP操作を実行します。

  2. LDAP認可を指定するために、アプリケーションのアイデンティティを正しいLDAPグループに含めます。この認可により、アプリケーションはユーザー資格証明を受け入れて、ディレクトリに対して認証することができます。また、ディレクトリは、そのユーザーにかわってLDAP操作を実行する必要があるときに、アプリケーション認可を使用してユーザーの代理を務めることができます。

アプリケーションの起動とブートストラップ

アプリケーションは、自身をディレクトリに対して認証するための資格証明を取得する必要があります。

Oracle Internet Directoryに構成メタデータを格納しているアプリケーションは、そのメタデータを取得して、アプリケーションの他の部分を初期化できます。

次に、アプリケーションは、接続のプールを確立してユーザー・リクエストを処理できます。

アプリケーションの実行

LDAP操作が必要なすべてのエンド・ユーザー・リクエストについて、アプリケーションは次の処理を行うことができます。

  • LDAP接続のプールから接続を選択します。

  • エンド・ユーザーの有効な権利を使用してLDAP操作を実行する必要がある場合は、ユーザーをエンド・ユーザー・アイデンティティに切り替えます。

  • この章で説明する標準APIまたはAPI拡張機能を使用して、LDAP操作を実行します。

  • LDAP操作の完了時、有効なユーザーがアプリケーションのアイデンティティになっていることを確認します。

  • LDAP接続を接続のプールに戻します。

アプリケーションの停止

未処理のLDAP操作を中止して、すべてのLDAP接続をクローズします。

アプリケーションの削除

アプリケーションのアイデンティティとそのアプリケーションのアイデンティティに指定されているLDAP認可を削除します。


1.3.3.3 アプリケーションをOracle Identity Managementと統合するためのサービスおよびAPI

アプリケーション開発者は、表1-2で説明するサービスおよびAPIを使用してOracle Identity Managementを統合することができます。

表1-2 Oracle Internet Directoryとの統合用のサービスとAPI

サービス/API 説明 詳細

C、PL/SQLおよびJavaでの標準的なLDAP API

これらのAPIによって、基本的なLDAP操作が可能になります。Javaで使用する標準的なLDAP APIは、LDAPサービス・プロバイダで使用可能なJNDI APIです。

第2章「標準的なLDAP APIを使用したアプリケーションの開発」


標準的なC、PL/SQLおよびJava APIに対するOracleの拡張機能

これらのAPIは、アイデンティティ管理関連の様々な概念をモデル化するプログラム・インタフェースを提供します。

第4章「標準的なAPIに対するOracleの拡張機能を使用したアプリケーションの開発」


Oracle Delegated Administration Service


Oracle Delegated Administration Servicesは、セルフ・サービス・コンソールと管理インタフェースで構成されています。管理インタフェースは、サード・パーティ・アプリケーションをサポートするように変更できます。

10g (10.1.4.0.1)ライブラリ。

Oracle Directory Provisioning Integration Service


Oracle Provisioning Integration Systemを使用して、サード・パーティ・アプリケーションのプロビジョニング、およびその他のプロビジョニング・システムの統合を行うことができます。


図1-2に、表1-2のサービスの一部を利用するアプリケーションを示します。

図1-2 APIとサービスを利用するアプリケーション

この図は本文で説明されています。

図1-2に示すとおり、アプリケーションは次のようにOracle Internet Directoryと統合されます。

  • PL/SQL、CまたはJavaのAPIを使用して、ディレクトリに対してLDAP操作を直接実行します。

  • ユーザーをOracle Delegated Administration Servicesのセルフ・サービス機能に転送する場合もあります。

  • Oracle Internet Directory内のユーザーまたはグループのエントリに対する変更について通知を受けます。Oracle Directory Provisioning Integration Serviceでこの通知を行います。

1.3.3.4 既存のアプリケーションとOracle Identity Managementとの統合

Oracleのアイデンティティ管理インフラストラクチャとの統合の対象となるアプリケーションが企業内にすでにデプロイされている場合があります。表1-3に示すサービスを使用して、これらのアプリケーションを統合できます。

表1-3 既存のアプリケーションを変更するためのサービス

サービス 説明 詳細

ユーザーの自動プロビジョニング

Oracleのアイデンティティ管理インフラストラクチャでプロビジョニング・イベントが発生したときに、ユーザーのプロビジョニングを自動的に行うエージェントを開発できます。このエージェントの開発には、Oracle Directory Provisioning Integration Serviceのインタフェースを使用します。

第7章「プロビジョニング統合アプリケーションの開発」


ユーザー認証サービス

ユーザー・インタフェースがHTTPに基づいている場合、ユーザー・インタフェースをOracle HTTP Serverと統合できます。これにより、mod_ossoとOracleAS Single Sign-Onを使用してアプリケーションのURLを保護できるようになります。

『Oracle Application Server Single Sign-On管理者ガイド』


ユーザー・プロファイルの一元管理

ユーザー・インタフェースがHTTPに基づいていて、OracleAS Single Sign-Onと統合されている場合、Oracle Internet Directoryセルフ・サービス・コンソールを使用してユーザー・プロファイルを一元管理できます。コンソールは、アプリケーションの要件に応じてカスタマイズできます。

  • 10g (10.1.4.0.1)ライブラリ。

  • 『Oracle Identity Management委任管理ガイド』の委任管理サービス・フレームワークに関する章