このガイドでは、作成、コラボレーション、承認、リビジョン、公開、検索および取得から、保存、アーカイブや破棄に至るまでのライフサイクルを通じたコンテンツの管理を可能にする、Oracle WebCenter Contentに関連する機能とアプリケーションの概要を説明します。
このガイドは、次の章で構成されています。
このドキュメントで説明する多くのソフトウェアは、他のアプリケーションを利用することで自身の機能性および柔軟性を向上させます。たとえば、Oracle WebCenter Content: Imagingは、Oracle WebCenter Captureとの統合によって物理的なドキュメントを電子フォーマットに変換し、Imagingでのアップロードおよび使用を可能にします。
ここに記述するほとんどのソフトウェアは、Oracle WebCenter Contentを利用することで、一連の製品で使用するファイルを管理します。この相互作用を把握するため、ドキュメントを通読して、Oracle WebCenter Contentで使用可能な製品ファミリについて理解しておくことをお薦めします。
このドキュメントおよびオンラインヘルプで説明している機能とアプリケーションすべての詳細な資料を入手できます。製品の機能に関する情報は、ガイド以外にも、状況依存のツールチップ、クイック・ヘルプおよびヘルプ・メニューで参照できます。ページや画面にある「ヘルプ」ボタンをクリックすると、そのページや画面の状況依存のヘルプを表示できます。
この章では、次の項目についても説明します。
以前は、コンテンツ管理では、部門別ラインに沿って特化した用途のためにコンテンツを編成することに重点を置いていました。今日、多くの企業は管理する必要のある情報の量の急激な増加と闘っています。コンテンツは、多くの場合企業のリポジトリ、ラップトップおよびデスクトップ・コンピュータ、電子メールアカウントなどのまったく異なる場所に、様々な形式で保存されます。
Oracle WebCenter Contentを使用すると、企業は企業全体においてあらゆる種類のコンテンツを統合、管理および活用できます。マーケティング、ブランド管理、Webプレゼンス、販売、人事およびエンジニアリングなどの企業のすべての業務分野で、同じツールを共有して共通のリポジトリ内の同じ情報に容易にアクセスできます。
情報を一元化し、資格のあるユーザーに情報へのアクセスを許可することにより、Oracle WebCenter Contentはコストを削減し、冗長性を排除し、効率を向上させます。同時に、必要に応じて情報を適切に管理、追跡および処分できます。
適切なコンテンツ管理に加えて、企業では法令順守に関連してまたは訴訟目的でコンテンツを管理する必要にも直面しています。組織には適切なときに適切な情報を見つける能力が必要です。また、企業全体のポリシーに従って情報を保存および処分することも不可欠です。組織でコンテンツを追跡できないと、情報のセキュリティと処分に関して企業ポリシーを施行することは不可能ではないとしても困難になります。
Oracle WebCenter Content (Oracle Fusion Middlewareコンポーネント)は、コンテンツ管理用に設計されたアプリケーションの統合スイートです。Oracle WebCenter Contentには、コンテンツ・リポジトリの管理に使用されるOracle WebCenter Content Serverが含まれます。Oracle WebCenter Contentにアクセスするにはいくつかの方法があります。この項では、次の項目の概要を示します。
コンテンツ・リポジトリは、コンテンツを保存し、必要に応じてそれを適切な形式でユーザーに配信するために使用されます。特定のリポジトリ・ツールを使用することで、Oracle WebCenter Content管理者は構造化されていないコンテンツを管理し、セキュリティ権限に従って適切なコンテンツが適切なユーザーに配信されていることを確認できます。
Oracle WebCenter Content Serverは、コンテンツ・リポジトリにアクセスするWebベースのインタフェースで、作成から廃棄に至るまでのコンテンツ・ライフサイクルを管理するために使用されます。フォルダおよびフォリオを使用してコンテンツ・グループを管理したり、リポジトリにチェックインする際にコンテンツを分類することもできます。
コンテンツ・リポジトリの詳細は、第2章「Oracle WebCenter Contentを使用したコンテンツ管理」を参照してください。
Oracle WebCenter Content: Inbound Refineryは、ドキュメント、デジタル・イメージ、動画などの電子アセット用のファイル変換を管理する変換サーバーです。Inbound Refineryには、変換のほかに、ドキュメントとイメージに対するサムネイル機能、ビデオのストーリーボード作成機能、デジタル・イメージからEXIFデータを抽出して使用する機能、およびAdobe PhotoshopやAdobe Illustratorなどのプログラムから生成された電子ファイルからXMPデータを抽出して使用する機能があります。Inbound Refineryを使用して、Content Serverリポジトリに格納されているコンテンツ・アイテムを変換できます。
詳細は、第2.2.2項「ネイティブ・コンテンツの各種形式への変換」を参照してください。
Oracle WebCenter Contentでは、メイン・アプリケーションと統合されたオプションのレコード管理機能と、組織でコンテンツを追跡および保存するための追加の機能を提供するOracle WebCenter Content: Records製品を使用できます。組織内でコンテンツの目的が達成されたなら、そのコンテンツは処分するか、アーカイブできます。
組織では、規制上の要件を満たすためにコンテンツを保持する必要がある場合や、または訴訟に関連して効率的な保存管理を必要としている場合があります。この機能では、Content Server内に保存された内部コンテンツと、ウェアハウスや外部リポジトリに保存されたファイルなどの外部コンテンツを管理できます。このソフトウェアを使用すると、処理スケジュールの管理、外部ファイルに関連付けられたメタデータの検索、および外部ファイルの電子レンディションの管理を実行できます。
構成時のオプションの選択により、多数の規制(サーベンス・オクスリー法、DoD 5105.2、SEC Rule 17a、およびHIPAAとFDAなど)に準拠するため、および訴訟や業務に関連した必要性を満たすために、システムでレコードが確実に保存されるようにすることができます。
レコードと保存管理の詳細は、第2.4項「レコード保存の管理」および第2.5項「アダプタを使用したレコード保存の管理」を参照してください。
Oracle WebCenter Content: Imaging製品では、Oracle WebCenter Captureなどの追加のテクノロジを使用して、イメージの収集とカテゴリ化を自動化できます。コンテンツ・リポジトリは、イメージを保存するために使用されます。これにより、保存管理機能でイメージング・コンテンツのライフサイクルと処分を管理できるようになります。
また、Oracle BPMまたはBPELなどのツールにより、イメージング・コンテンツをビジネス・プロセスに直接挿入できます。
イメージングの詳細は、第3章「Oracle WebCenter Contentを使用したイメージング管理」および第4章「Oracle WebCenter Contentを使用したキャプチャ管理」を参照してください。
Oracle WebCenter Contentでは、アプリケーションとその機能にアクセスして使用するためのいくつかの方法をサポートしています。これらの方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Contentの使用』を参照してください。
Webブラウザ・インタフェース: Oracle WebCenter Contentは、すべてのOracle WebCenter Content機能にアクセスするためのシンプルで便利な手段となる、Webブラウザ・ユーザー・インタフェースを提供します。
デスクトップ・クライアント: Oracle WebCenter Content: Desktopをコンピュータにインストールすると、一般的なデスクトップ・アプリケーション(Microsoft Windowsエクスプローラ、Microsoft Officeアプリケーション、電子メール・クライアントおよび各種Webブラウザなど)からコンテンツ・サーバーに簡単にアクセスできるようになります。
モバイル・クライアント: Oracle WebCenter Contentでは、iPhone、iPadおよびAndroid携帯電話用のモバイル・アプリケーションを提供して、Oracle WebCenter Content Serverに保存されたコンテンツにアクセスできるようにします。
Oracle WebCenter Content 11gはOracle WebLogic Serverにデプロイされるようになったため、Oracle Universal Content Managementの以前のリリースの内容から大幅に変更されています。この項では、それらの変更点についてまとめます。
Oracle WebCenter Contentでは、Oracle Universal Installerおよびリポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を使用します。次の手順(詳細は『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Contentのインストールと構成』を参照)に従って、製品をインストールします。
WebLogic Suiteのインストール
更新パッチのインストール(必要な場合)
データベース・スキーマの設定
RCUの展開および実行
インストーラの展開および実行
構成ウィザードを使用したドメインの作成
ドメインでのサーバーの起動
管理対象サーバーのメモリー引数の変更やノード・マネージャの設定など、他のオプションのタスクも実行できます。
インストールおよびオプションの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Contentのインストールと構成』を参照してください。
Oracle WebCenter Contentでは、Oracle WebLogic Serverデータソースを使用して、メタデータおよびその他の情報が格納されているデータベースと通信します。このデータベースの接続性および通信パラメータは、以前のようなContent Serverのシステム・プロパティ・ユーティリティではなく、WebLogic管理コンソールを使用して管理されます。
その他の管理上の変更を次にまとめます。
スタンドアロン・モードでの実行: スタンドアロン・モードでアプリケーションやユーティリティを実行するには、システム・プロパティ・ユーティリティを使用してデータベースの接続情報をconfig.cfg
ファイルに入力する必要があります。
接続プールの使用および管理: Oracle WebLogic Serverデータソースの接続プール・メカニズムによってデータベース接続が処理されます。
IBM WebSphere Application Server (WAS)のサポートが追加されています。
ユーザー管理: Oracle WebCenter Contentでは、Oracle WebLogic Serverユーザー・ストアを使用してユーザー名およびパスワードを管理します。そのため、Content Serverのユーザー管理アプレットではなく、Oracle WebLogic Serverのユーザー管理ツールを使用して、ユーザー管理を実行する必要があります。すべてのユーザー認証は、Oracle WebLogic Serverユーザー・ストアに対して実行されます。管理アプレットを使用して、ユーザーを作成し、パスワードを割り当てることができますが、Oracle WebLogic Serverユーザー・ストアでもユーザーを作成し、パスワードを割り当てる必要があります。
システム管理: 11gリリース1 (11.1.1.8)以降、Content Serverの管理サーバーには、別のインタフェース・ページが含まれなくなりました。現在、管理サーバー機能にはContent Serverインタフェース内の「管理」トレイまたはメニューからアクセスできます。
次のリストに、Oracle WebLogic Server環境でOracle WebCenter Contentを使用する際のその他の重要な変更の概略を示しています。詳細は、製品ドキュメントを参照してください。
管理サーバーの使用: 各Content Serverインスタンスは、管理サーバー・インスタンスを1つ持ちます。管理サーバーでは、同じOracle WebLogic ServerドメインにインストールされたContent Serverに対する管理タスクのみを実行できます。
プロキシ・サーバー: 各Oracle WebLogic ServerドメインにインストールできるContent Serverは1つのみです。プロキシ設定されたContent Serverインスタンスを実行することはできなくなりました。
ポート: デフォルトで、Content Serverはいずれのポートもリスニングしなくなりました。特定のポートを使用するように構成設定を変更できます。
ログイン: Oracle WebCenter Contentでは、Basic認証のかわりにフォームベース認証を使用するログイン方法が提供されます。そのため、ブラウザを閉じることなくContent Serverからログアウトできます。
アクセス・モード: Oracle WebCenter Contentは、デフォルトではHTTPおよびHTTPS経由でアクセス可能です。
国際化: プロファイル・ページを使用してタイム・ゾーンを指定できます。プロファイルにロケールが指定されてない場合は、HTTPヘッダー変数からタイム・ゾーンが特定されます。
サービスおよびWLST: Oracle WebLogic Serverを使用して、Content ServerをWindowsサービスのように簡単に実行することはできません。WebLogic Scripting Tool (WLST)コマンドを介してアクセス可能なMbeanが用意されており、これを使用することで一部の構成パラメータを表示および設定できます。
ディレクトリ構造: ディレクトリ構造およびファイルの保存場所が大幅に変更されています。詳細は、製品ドキュメントを参照してください。