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Oracle® Fusion Middleware WebCenter Sitesインストレーション・ガイド
11g リリース1 (11.1.1.8.0)
E49672-02
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12 コミュニティ-ガジェットの概要

この章では、WebCenter Sites: コミュニティ-ガジェットの概要を示し、その構成を単純な開発環境とコンテンツ管理環境、および複雑な本番環境の両方について説明します。

この章の内容は、次のとおりです。

12.1 コミュニティ-ガジェットについて

コミュニティ-ガジェットは、Oracle WebCenter Sitesと統合されたJava EE Webアプリケーションのセットであり、ソーシャル・コンピューティング・アプリケーションとして分散環境で機能します。コミュニティ-ガジェットは、ユーザーに2つのWebエクスペリエンス管理(WEM)アプリケーション(コミュニティおよびガジェット)を提供します。

コミュニティWEMアプリケーションを使用すると、Webサイトのコンテンツに対するビジターのコメント、レビューおよび評価を収集するためのウィジェットを構成できます。コミュニティWEMアプリケーションでは、目的のトピックに関するアンケートを実施するための投票を作成して管理することもできます。ガジェットWEMアプリケーションを使用すると、Webサイトのビジターに、個別のガジェットをデプロイしたり、1つ以上のガジェットが含まれるダッシュボードをデプロイしたりできます。

コミュニティ-ガジェットをインストールするための構成手順に進む前に、この章では、コミュニティ-ガジェットの概要、コミュニティ-ガジェットとWebCenter Sitesとの関係、そのコンポーネント、およびそれらの目的について説明します。

この項の内容は、次のとおりです。

12.1.1 WebCenter Sitesのコンポーネントを使用するコミュニティ-ガジェット

コミュニティ-ガジェットは、Webエクスペリエンス管理フレームワークを介してWebCenter Sitesと統合され、次のリソースを使用します。

  • アセット・リポジトリ: コミュニティ-ガジェットにはアセット・リポジトリが必要です。WebCenter Sitesは、アセット・リポジトリ、つまりデータベースを提供します。コミュニティ-ガジェットはデータベースに直接アクセスしません。データベースとのやりとりはWebCenter Sitesによってすべて管理されます。

  • WebCenter Sites: Webエクスペリエンス管理フレームワーク (WEMフレームワーク)。RESTサービスおよびCentral Authentication Service (CAS)をコミュニティ-ガジェットに提供します。

    • コミュニティ-ガジェットは、RESTサービスによってWebCenter Sitesと通信し、そのアセット・モデルを使用します。

    • CASはREST API用の認証サービスを提供するために使用されます。


      注意:

      WebCenter Sites同様、コミュニティ-ガジェットには独自のCASインスタンスがありますが、それを使用できるのは本番サイドのみです。CASインスタンスを区別するため、WebCenter Sitesに同梱されているCASをWEM CAS (またはSites CAS)、コミュニティ-ガジェットに同梱されているCASをVisitors CASと呼びます。CAS Webアプリケーション(WEM CASおよびVisitors CAS)はコード・レベルではほとんど同じですが、構成が異なり、代替可能ではありません。それらを同じアプリケーション・サーバーまたはクラスタにインストールすることもできません。


      CASの詳細は、次のURLを参照してください。

      http://www.jasig.org/cas


      注意:

      WebCenter Sitesは(CASのかわりに)OAMと統合できます。

      • 管理システムのコミュニティ-ガジェットは、WebCenter Sitesに統合された同じOAMを使用して、WebCenter Sitesと通信します。

      • 本番システムのコミュニティ-ガジェットは、Visitors CASを使用してビジターを認証します。これをOAMに置き換えることはできません。ただし、(管理システムのWebCenter Sites同様)本番システムのWebCenter SitesはOAMと統合でき、コミュニティ-ガジェットはOAMを使用して本番システムのWebCenter Sitesと通信できます。


12.1.2 コミュニティ-ガジェットの管理および本番コンポーネント

コミュニティ-ガジェットは、アプリケーションの管理セットと本番(配信)セットの2つの部分で構成されています。


注意:

管理コミュニティ-ガジェットと本番コミュニティ-ガジェットは、別々のアプリケーション・サーバー・インスタンスにデプロイする必要があります。1つのアプリケーション・サーバーに両方をデプロイすることはサポートされていません。


  • 管理コミュニティ-ガジェットには、次の2つのWebアプリケーションが含まれています。

    • コミュニティ-ガジェットWebアプリケーション

    • Shindig Webアプリケーション

  • 本番コミュニティ-ガジェットには、次の3つのWebアプリケーションが含まれています。

    • コミュニティ-ガジェットWebアプリケーション

    • Shindig Webアプリケーション

    • CAS Webアプリケーション

管理コミュニティ-ガジェットは、ユーザーが生成したコンテンツ(UGC)の管理、ガジェットの登録および同様の機能に使用されます。セキュリティ上の理由から、通常、それには内部からのみアクセスできます。ビジターは、本番コミュニティ-ガジェットに、Webページにデプロイされているウィジェットおよびガジェット・ダッシュボードを使用してアクセスします。ビジターの認証はVisitors CASを介して管理されます。

管理と本番のどちらのコミュニティ-ガジェットでも、ガジェットのレンダリングにShindig OpenSocialコンテナが使用されます。本番コミュニティ-ガジェットは、外部からアクセス可能であることが必要です。Shindig Webアプリケーションの詳細は、次のURLを参照してください。

http://shindig.apache.org/

コミュニティ-ガジェットは、そのエンド・ユーザーに対して2つのWEMアプリケーションを提供します。

  • コミュニティWEMアプリケーション: コミュニティ・インタフェースを提供します。これを使用して、ビジターのコメント、レビュー、評価および投票時の投票数を収集するためのウィジェットを構成します。コミュニティWEMアプリケーションは、ユーザーが生成したコンテンツのモデレートにも使用されます。

  • カジェットWEMアプリケーション: ガジェット管理者インタフェース(グローバル・カタログ)およびガジェット・ユーザー・インタフェースを提供します。ユーザーにどのインタフェースが表示されるのかは、ユーザーのロールによって決まります。どちらのインタフェースも、ガジェットの管理に使用され、それにはガジェットの登録、共有および構成とダッシュボードが含まれます。

WEM FrameworkおよびWEMアプリケーションの詳細は、『Oracle Fusion Middleware WebCenter Sites管理者ガイド』および『Oracle Fusion Middleware WebCenter Sites開発者ガイド』を参照してください。

12.2 本番および管理環境

ユーザーが生成したコンテンツを管理するために、コミュニティ-ガジェットは2つの環境を必要とします。管理環境と本番(配信)環境です。そこで管理および本番コミュニティ-ガジェット・インスタンスは、WebCenter Sitesと絶えず通信を行います。

この項の内容は、次のとおりです。

12.2.1 WebCenter Sitesの通信

WebCenter Sitesでは、図12-1に示すように、Webサイトのコンテンツは、すべて管理システム上で生成および管理され、本番システムにパブリッシュされます。テンプレートは、コンテンツ管理システム上で生成され、本番システムにパブリッシュされて、パブリッシュされたコンテンツの外観を構成します。

図12-1 WebCenter Sitesの通信

図12-1の説明が続きます
「図12-1 WebCenter Sitesの通信」の説明

Webサイトのコンテンツはすべて、WebCenter Sitesコンテンツ管理システムのユーザーによって、生成、管理およびパブリッシュされます。

12.2.2 コミュニティ-ガジェットとWebCenter Sitesとの通信

コミュニティ-ガジェット・システムでのコンテンツの生成および管理のプロセスは、WebCenter Sites上のものとは異なります。それは、それらにはWebサイトのビジターなど様々なタイプのユーザーが関与し、それらすべての人がWebCenter Sitesを介して互いのコンテンツと相互作用するためです。

  • ウィジェットおよびガジェットは、管理コミュニティ-ガジェット・インスタンスのユーザーによって生成され、WebCenter Sites本番システムにデプロイされます。

  • コメントやレビューなどユーザーが生成するコンテンツは、コミュニティ-ガジェットの本番インスタンス上にデプロイされたウィジェットに、Webサイトのビジターによって入力されます。

  • ユーザーが生成したコンテンツは、WebCenter Sitesの本番データベースに格納されます。このコンテンツは、管理コミュニティ-ガジェットの管理者およびモデレータ・ユーザーによって管理されます。

これらの相互作用全体にわたって、ウィジェット、ガジェットおよびコンテンツは、WebCenter Sitesの管理および本番データベースに格納されます。図12-2に示すように、コミュニティ-ガジェットに関与するすべてのコンテンツ生成および管理プロセスは、WebCenter Sitesを通過します。

図12-2 コミュニティ-ガジェットとWebCenter Sitesとの通信

図12-2の説明が続きます
「図12-2 コミュニティ-ガジェットとWebCenter Sitesとの通信」の説明


注意:

図12-2は、ファイアウォールの使用を示しています。ファイアウォールは、WebCenter Sitesおよびコミュニティ-ガジェットによって使用されるすべてのポート上で自由な情報交換を許可する必要があります。


12.3 コミュニティ-ガジェットの構成

コミュニティ-ガジェット環境は、多くの方法で構成できます。この項では、一般的に使用される基本と本番の構成について説明します。

この項の内容は、次のとおりです。

12.3.1 基本構成

基本コミュニティ-ガジェット環境は、4つの自己完結ブロックで構成されています。コミュニティ-ガジェット(本番)、コミュニティ-ガジェット(管理)、WebCenter Sites(本番)およびWebCenter Sites(コンテンツ管理)です。これらのブロックを図12-3に示します。それらには、A、B、CおよびDのラベルが付いています。

図12-3 基本コミュニティ-ガジェット環境: 開発、ステージング、または限定的な本番環境

図12-3の説明が続きます
「図12-3 基本コミュニティ-ガジェット環境: 開発、ステージング、または限定的な本番環境」の説明

図12-3に示すブロックは、各ブロック内の各アプリケーションに個別のアプリケーション・サーバーが使用されるかぎり、いくつかの方法でどのような構成でもデプロイできます。


注意:

可能な構成の範囲は、4つのブロックすべてを異なるサーバー上で実行することから、1つのサーバーですべてのブロックを実行することまでです。1つのサーバーへの管理および本番アプリケーションのデプロイメントは、開発目的(本番環境ではない)の場合にのみサポートされています。


図12-3に示す構成は、開発およびステージングの場合に最適であり、一般的に使用されます。これは、ロードが限定的で、拡張性や冗長性が不要なQAおよび本番に対しても使用されることがあります。図12-3では、2つの独立したサーバーが使用されています。各サーバーには、WebCenter Sites: コミュニティ-ガジェットの1つのインスタンスおよびWebCenter Sitesの1つのインスタンスで構成された独立したスタックがあります。つまり、各サーバーには、2つの独立した(クラスタ化されていない)アプリケーション・サーバーおよび1つのローカル・データベースがあります。2つのサーバー間の通信は(セキュリティの要件に応じて)オプションのファイアウォールを通過します。

12.3.2 本番構成

本番環境へのコミュニティ-ガジェットのデプロイでは、第12.3.1項「基本構成」で説明したものと同じ4つの基本ブロックを使用します。ただし、冗長性とスケーラビリティの両方を提供するために、これらの各ブロックはサブブロックに分割されています。複数のブロックに分割することに加えて、セキュリティを向上させるためにすべての通信にHTTPSを使用することをお薦めします。

この章の残りの図では、本番環境で使用される様々なクラスタ化された構成を高度なレベルで示します。

  • 図12-4は、本番環境のサンプル管理スタックを示しています。

  • 図12-5は、本番環境のサンプル本番(配信)スタックを示しています。

  • 図12-6は、2つのサブブロックに分割されたコミュニティ-ガジェット本番ブロックを示しています。

  • 図12-7は、6つのサブブロックに分割されたコミュニティ-ガジェット本番ブロックを示しています。

図12-4 本番環境のサンプル管理スタック

図12-4の説明が続きます
「図12-4 本番環境のサンプル管理スタック」の説明

図12-4は、図12-3に示した管理スタックのクラスタ化されたバージョンを示しています。

図12-4では、管理コミュニティ-ガジェット(図12-3のブロックB)がクラスタ化されています。管理WebCenter Sitesアプリケーション(図12-3のブロックD)もクラスタ化されており、データベース・クラスタが使用されます。

図12-5 本番環境のサンプル本番(配信)スタック

図12-5の説明が続きます
「図12-5 本番環境のサンプル本番(配信)スタック」の説明

図12-5は、図12-3に示した本番スタックのクラスタ化されたバージョンを示しています。

図12-5では、本番コミュニティ-ガジェット(図12-3のブロックA)がクラスタ化されています。本番WebCenter Sitesアプリケーション(図12-3のブロックC)もクラスタ化されており、データベース・クラスタが使用されます。

図12-6 2つのサブブロックで構成されているコミュニティ-ガジェット本番ブロック

図12-6の説明が続きます
「図12-6 2つのサブブロックで構成されているコミュニティ-ガジェット本番ブロック」の説明

図12-6では、コミュニティ-ガジェット本番ブロック(図12-3のブロックA)は、2つのサーバーからなるクラスタに分割されています(これは、図12-7に示すようにサブブロックを複製するのみで任意の数のサーバーに拡張できます)。

  • 各サブブロックの機能に不可欠なことは、アプリケーション・サーバーが完全にクラスタ化されており、セッション・フェイルオーバーが含まれていることです。

  • 各クラスタ・メンバーには、コミュニティ-ガジェット、ShindigおよびVisitors CASに固有の構成ファイルが必要なため、ファイル・システムが各インスタンス上で複製されています。


    注意:

    図12-6の例では、共有ファイル・システムを使用しています。共有ファイル・システムは必須ではありませんが、関連ディレクトリを簡単にコピーできます(必要な場合)。


  • 障害発生時のフェイルオーバーを提供するために、クラスタ・メンバーの前にロード・バランサが配置されています。

図12-7 6つのサブブロックで構成されているコミュニティ-ガジェット本番ブロック

図12-7の説明が続きます
「図12-7 6つのサブブロックで構成されているコミュニティ-ガジェット本番ブロック」の説明

図12-7では、コミュニティ-ガジェット本番ブロック(図12-3のブロックA)は、6つのサーバー上の6つのサブブロックに分割されています。このコミュニティ-ガジェット本番ブロックは、 3つの独立したクラスタで構成されています。1つはVisitors CAS用、1つはShindig用、そして1つはコミュニティ-ガジェット用です。この種類の分割は可能ですが、お薦めはしません。通常、図12-6に示すような2つのサブブロックからなる1つのクラスタで、必要な機能およびフェイルオーバーは提供され、管理オーバーヘッドも少なくなります。

  • 図12-7で、各サブブロックの機能に不可欠なことは、アプリケーション・サーバーが完全にクラスタ化されており、セッション・フェイルオーバーが含まれていることです。

  • 構成情報については、すべてのサーバーが同じ共有ファイル・システムにアクセスします。


    注意:

    図12-7の例では、共有ファイル・システムを使用しています。共有ファイル・システムは必須ではありませんが、関連ディレクトリを簡単にコピーできます(必要な場合)。


  • 3つのロード・バランサが配置されています。1つはコミュニティ-ガジェット用、1つはShindigアプリケーション用、そして1つはVisitors CAS用です。