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Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Managementアップグレード・ガイド
11gリリース1(11.1.1.7.0)
B56245-05
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10 Oracle Identity Managementマルチマスターおよびファンアウト・レプリケーション・アップグレードの実行

この付録では、Oracle Internet Directoryレプリケーション環境でのOracle Identity Management 11gリリース1(11.1.1.7.0)へのアップグレード方法について説明します。

詳細は、次の項を参照してください。

10.1 タスク1: レプリケーション環境をアップグレードするための用語、前提条件および主な概念の確認

この章のアップグレード手順を進める前に、次の前提条件と要件を確認します。

10.1.1 この章の用語の規則

この章では、アップグレード先レプリカとは、新しくインストールおよびアップグレードされた11gリリース1(11.1.1.7.0)のレプリカであり、ソース・レプリカとは、アップグレードを実行する10gリリース2(10.1.2)または10g(10.1.4.0.1)のレプリカになります。

10.1.2 レプリケーション環境をアップグレードする場合の有効な開始ポイント

この章のアップグレード手順は、Oracle Internet Directory 10gリリース2(10.1.2)または10g(10.1.4.0.1)マルチマスターまたはファンアウト・レプリケーション環境をインストールおよび構成した管理者を対象としています。

この章では、レプリケーション環境のOracle Identity Managementコンポーネントが分散されているものとします。つまり、Oracle Internet Directory(およびオプションでOracle Directory Integration Platform)コンポーネントを1つ以上のOracleホームにインストールし、Oracle Single Sign-OnとOracle Delegated Administration Servicesコンポーネントを別の1つ以上のOracleホームにインストールしています。

図10-1に、典型的なOracle Identity Management 10gリリース2(10.1.2)マルチマスター・レプリケーション環境を示します。この詳細は、10gリリース2(10.1.2)の『Oracle Fusion Middleware高可用性ガイド』のマルチマスター・レプリケーションでのIdentity Managementのデプロイに関する項を参照してください。

図10-1 典型的なOracle Identity Management 10gリリース2(10.1.2)マルチマスター・レプリケーション環境

図10-1の説明は前後の文章を参照してください。

ファンアウト・レプリケーションでのOracle Identity Managementのデプロイについては、Oracle Application Server 10g(10.1.4.0.1)の『Oracle Identity Management概要および配置プランニング・ガイド』を参照してください。このガイドは、Oracle Application Server 10gリリース2(10.1.2)ドキュメント・ライブラリで入手できます。

10.1.3 レプリケーション環境をアップグレードする場合の推奨事項

アップグレード手順の推奨事項は次のとおりです。

  • アップグレード先レプリカをアップグレードした後、アップグレード先レプリカとソース・レプリカとの間のレプリケーションを無効にします。アップグレード先レプリカではソース・レプリカから変更を受け取って処理できますが、ソース・レプリカではアップグレード先レプリカからの変更を処理できません。

  • レプリケーション環境は単一マスターになります(つまり、読取りと書込みに設定されるレプリカは1つのみで、その他のレプリカはすべて読取り専用に設定されます)。

10.2 タスク2: Oracle Identity Managementマルチマスターまたはファンアウト・レプリケーション・アップグレードの準備

レプリケーション環境でOracle Internet Directoryのアップグレードを開始する前に、マスター定義サイト(MDS)・レプリカまたはプライマリ・サプライヤ・レプリカ以外のレプリカすべてについて次の手順を実行する必要があります。

  1. アップグレードするレプリカのデータベースのデータベース登録エントリを見つけます。

    Windowsの場合:

    SOURCE_ORACLE_HOME\bin\ldapsearch 
         -h hostname_of_replica_being_upgraded 
         -p port 
         -D cn=orcladmin 
         -w superuser_password 
         -b "cn=oraclecontext" 
         -s one "(objectclass=orcldbserver)" dn
    

    UNIXの場合:

    SOURCE_ORACLE_HOME/bin/ldapsearch 
         -h hostname_of_replica_being_upgraded
         -p port 
         -D cn=orcladmin 
         -w superuser_password 
         -b "cn=oraclecontext" 
         -s one "(objectclass=orcldbserver)" dn
    

    これにより、Oracle Internet Directoryに登録されているすべてのデータベースに対応する識別名(DN)のリストが次の形式で返されます。

    cn=database_name,cn=oraclecontext
    

    返されたエントリのリストで、次のエントリのDNを見つけて書き留めます。これは、アップグレードするレプリカに対応しています。

    cn=dbname_of_replica_to_be_upgraded,cn=oraclecontext
    
  2. 次のコマンドを発行して、アップグレードするレプリカのレプリカIDを特定します。

    Windowsの場合:

    SOURCE_ORACLE_HOME\bin\ldapsearch 
         -h hostname_of_replica_being_upgraded 
         -p port 
         -D cn=orcladmin 
         -w superuser_password 
         -b "" -s base "(objectclass=*)" orclreplicaid
    

    UNIXの場合:

    SOURCE_ORACLE_HOME/bin/ldapsearch 
         -h hostname_of_replica_being_upgraded 
         -p port 
         -D cn=orcladmin 
         -w superuser_password 
         -b "" 
         -s base "(objectclass=*)" orclreplicaid
    
  3. レプリカ・サブエントリのseeAlso属性を変更して、アップグレードしようとしているデータベースを指し示すようにします。

    seeAlso属性は、標準のOracle Internet Directory属性です。詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Managementリファレンスの関連項目を参照してください。

    seeAlso属性を変更するには、次のようにします。

    1. 次の内容のファイル(mod.ldifなど)を作成します。

      #File Name : mod.ldif
      dn: orclreplicaid=replicaid_from_step_2,cn=replication configuration
      changetype: modify
      replace: seeAlso
      #The DN used in seealso attribute is obtained in Step #1.
      seeAlso: cn=dbname_of_replica_being_upgraded,cn=oraclecontext
      
    2. ldapmodifyコマンドを使用して、レプリカ・サブエントリを変更します。

      Windowsシステムの場合:

      SOURCE_ORACLE_HOME\bin\ldapmodify 
         -h hostname_of_replica_being_upgraded 
         -p port 
         -D superuser_DN 
         -w superuser_password 
         -v 
         -f mod.ldif
      

      UNIXシステムの場合:

      SOURCE_ORACLE_HOME/bin/ldapmodify 
         -h hostname_of_replica_being_upgraded 
         -p port 
         -D superuser_DN 
         -w superuser_password 
         -v 
         -f mod.ldif
      
  4. 次のディレクトリに移動して、ias.propertiesファイルを見つけます。

    Windowsシステムの場合:

    SOURCE_ORACLE_HOME\config
    

    UNIXシステムの場合:

    SOURCE_ORACLE_HOME/config
    
  5. ias.propertiesファイルを開き、表10-1に示すプロパティが正しく有効であることを確認します。

  6. Oracle Internet Directoryサーバーが稼働していることを確認します。

    Oracle Internet Directoryが稼働中であることを確認するには、次のいずれかのコマンドを入力します。


    注意:

    ldapbindコマンドを実行する前に、一時的にORACLE_HOME環境変数をOracle Internet Directory Oracleホームに設定する必要があります。

    Oracle Internet Directoryが稼働中であることを確認した後、ORACLE_HOME環境変数が定義されていないことを確認してから、11gリリース1(11.1.1.7.0)インストーラを起動してアップグレード手順を開始してください。


    非セキュア・ポートでOracle Internet Directoryを実行している場合:

    SOURCE_ORACLE_HOME/bin/ldapbind -p Non-SSL_port
    

    セキュア・ポートでOracle Internet Directoryを実行している場合:

    SOURCE_ORACLE_HOME/bin/ldapbind -p SSL_port -U 1
    

    これらのコマンドにより、バインド成功のメッセージが返されます。

  7. 次に示すように2番目のLDAPサーバーを停止します。

    この例では、2番目のインスタンスに使用されるインスタンス番号が2であると仮定しています。

    SOURCE_ORACLE_HOME/bin/oidctl connect=connect_string_of_db server=oidldapd instance=2 stop
    

表10-1 レプリケーションのアップグレード前にias.propertiesで確認するプロパティ

プロパティ名 レプリケーション・アップグレード前の正しい値

OID.LaunchSuccess

True

OIDhost

レプリカのホスト名

OIDport

レプリカのポート

OIDsslport

レプリカのSSLポート


10.3 タスク3: Oracle Internet Directoryレプリカのアップグレードの実行

一度に1つのレプリカをアップグレードしたり、すべてのレプリカを同時にアップグレードしたりすることができます。詳細は、次の項を参照してください。

10.3.1 レプリカ・アップグレード方法の選択

レプリケートされる環境で一度に1台ずつコンピュータをアップグレードすることで、アップグレード中もOracle Internet Directoryを追加、変更および検索に使用できるようにします。この方法を使用する場合、アップグレードするレプリカのみが停止します。それ以外のレプリカは引き続き稼働するため、ユーザーが使用できます。

複数のレプリカを同時にアップグレードする場合、ネットワーク全体が一時ステージングを使用せずにアップグレードされます。この手順は、一度に1つのレプリカをアップグレードするよりも簡単ですが、ディレクトリ・サービスのダウンタイムが発生します。

10.3.2 一度に1つのレプリカのアップグレード

次の手順に従い、一度に1つのレプリカをアップグレードします。

  1. 第10.2項「タスク2: Oracle Identity Managementマルチマスターまたはファンアウト・レプリケーション・アップグレードの準備」の手順を実行済であることを確認します。

  2. アップグレードするレプリカのレプリケーション・サーバーを特定します。

    レプリカはLDAPベースの一部またはファンアウト・レプリカになります。または、Oracle Advanced Replication(ASR)ベースのマルチマスター・レプリカになります。


    関連項目:

    『Oracle Fusion Middleware Oracle Internet Directory管理者ガイド』のディレクトリ・レプリケーションの概念に関する項を参照してください。


  3. アップグレードしようとしているレプリカにトラフィックをルーティングしないように、ロード・バランサを変更します。かわりに、クライアントのすべてのトラフィックをそれ以外のレプリカにルーティングします。

  4. このレプリカがそれ以外のレプリカからの変更で最新になっていることを確認します。

    このチェックは、レプリケーションを無効にする前に、最初のレプリカからの変更がすべて2番目のレプリカで取得されているかどうかを確認するために必要です。

  5. アップグレードするレプリカのレプリケーション・サーバーを停止します。

    UNIXシステムの場合:

    SOURCE_ORACLE_HOME/oidctl
       connect=db_connect_string
       server=OIDREPLD
       instance=1
       flags="-p port_at_which_ldap_server_is_listening"
       stop
    

    Windowsシステムの場合:

    SOURCE_ORACLE_HOME\oidctl
       connect=db_connect_string
       server=OIDREPLD
       instance=1
       flags="-p port_at_which_ldap_server_is_listening"
       stop
    

    関連項目:

    oidctl管理ツールの詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Identity ManagementリファレンスのOracle Identity Managementサーバー管理ツールに関する項を参照してください。


  6. Oracle Internet Directoryサーバー、Oracle Internet Directoryデータベースおよびデータベース・リスナーが稼働していることを確認します。

  7. ASRベースのレプリカをアップグレードする場合、oidrdjob.sqlスクリプトを発行してその他のレプリカのASRジョブをすべて削除します。

    たとえば、次のようになります。

    export TWO_TASK=db_name_of_replica_being_upgraded
    ORACLE_HOME/bin/sqlplus repadmin/password@connect_string_of_db
           @ORACLE_HOME/ldap/admin/oidrdjob.sql
    

    このレプリカに変更内容を転送した他のマスター・サイト上のすべてのASRジョブは削除されます。これによって、現在アップグレード中のレプリカはレプリケーション環境から除外されて変更が行われないようになります。また、その他のレプリカは引き続き稼動して変更をレプリケートします。

  8. レプリカの構成に応じて、次のドキュメント・リソースを参照してレプリカのアップグレードを実行します。

    レプリカをアップグレードするには、次の手順が必要です。

    • Oracle WebLogic Serverのインストールおよびミドルウェア・ホームの作成

    • Oracle Internet Directoryのインストールおよび構成

    • Oracle Internet Directory 10gインスタンスから11gに構成をアップグレードするためのアップグレード・アシスタントの実行

    • 環境に合せたアップグレード後タスクの実行

  9. レプリカをアップグレードしたら、アップグレードしたレプリカOracleホームのデータベースが稼働していることを確認します。

  10. その他のレプリカへの接続をテストします。

    Net Servicesアップグレード・アシスタントにより、listener.oratnsnames.oraが変更されるため、接続が解除されている場合があります。接続が解除されている場合は、ファイルで変更されたエントリを特定し、ソースOracleホームの対応するファイルからエントリをリストアします。

    たとえば、元のエントリを、ソースOracleホームの次のファイルからアップグレード先Oracleホームの対応するファイルにコピーします。

    SOURCE_ORACLE_HOME/network/admin/listener.ora
    SOURCE_ORACLE_HOME/network/admin/sqlnet.ora
    SOURCE_ORACLE_HOME/network/admin/tnsnames.ora
    
  11. Oracle Advanced Replication(ASR)ベースのレプリカをアップグレードする場合、アップグレード後に次のコマンドを発行することにより、各レプリカでジョブを再作成します。

    export LD_LIBRARY_PATH=DESTINATION_ORACLE_HOME/lib
    DESTINATION_ORACLE_HOME/ldap/bin/remtool –asrrectify
    

    以前に削除されたジョブが再作成されます。これらのジョブにより、既存の変更や新しい変更が、その他のレプリカからアップグレードしたレプリカに転送されます。

  12. 新しくアップグレードしたレプリカについては、第10.4項「タスク4: 各レプリカのアップグレードの完了」で説明する手順を実行します。

  13. 10gレプリケーション・サーバーを停止します。

    これで、アップグレードされたレプリカが、まだアップグレードされていないレプリカでレプリケートされなくなります。

    次のコマンドを実行します。

    export TWO_TASK=db_name_of_second_replica
    sqlplus repadmin/welcome1@db_connect_string 
            @$ORACLE_HOME/ldap/admin/oidrdjob.sql
    
  14. 次の環境変数を再定義します。

    たとえば、次のようになります。

    export INSTANCE_NAME=asinst_1
    export COMPONENT_NAME=oid1
    export ORACLE_HOME=11g_ORACLE_HOME_PATH
    export ORACLE_INSTANCE=11g_ORACLE_INSTANCE_PATH
    
  15. 新しくアップグレードしたレプリカのレプリケーション・サーバーを起動します(すでに実行していない場合)。

    DESTINATION_ORACLE_HOME/oidctl
       connect=db_connect_string
       server=OIDREPLD
       instance=1
       flags="-p port_at_which_ldap_server_is_listening"
       start
    

    関連項目:

    oidctl管理ツールの詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Identity ManagementリファレンスのOracle Identity Managementサーバー管理ツールに関する項を参照してください。


  16. クライアントのトラフィックを新しくアップグレードしたレプリカにルーティングするように、ロード・バランサを変更します。

  17. 最初のレプリカのアップグレードに使用した手順で、残りのレプリカをアップグレードします。

10.3.3 複数のレプリカのOracle Internet Directoryの同時アップグレード

次の手順で、すべてのレプリカを同時にアップグレードします。

  1. MDSレプリカやプライマリ・サプライヤ・レプリカ以外のすべてのレプリカで、第10.2項「タスク2: Oracle Identity Managementマルチマスターまたはファンアウト・レプリケーション・アップグレードの準備」に示すアップグレード前の手順を実行したことを確認します。

  2. ディレクトリ・レプリケーション・グループ(DRG)のすべてのレプリカでレプリケーション・サーバーを停止します。

    SOURCE_ORACLE_HOME/oidctl
       connect=db_connect_string
       server=OIDREPLD
       instance=1
       flags="-p port_at_which_ldap_server_is_listening"
       stop
    

    関連項目:

    oidctl管理ツールの詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Identity ManagementリファレンスのOracle Internet Directory管理ツールに関する項を参照してください。


  3. 第5章「Oracle Internet Directory環境のアップグレード」の手順を使用して、レプリカをOracle Internet Directory 11gにアップグレードします。

    レプリカをアップグレードするには、第5章「Oracle Internet Directory環境のアップグレード」で説明した次の手順が必要です。

    • Oracle WebLogic Serverのインストールおよびミドルウェア・ホームの作成

    • Oracle Internet Directoryのインストールおよび構成

    • Oracle Internet Directory 10gインスタンスから11gに構成をアップグレードするためのアップグレード・アシスタントの実行

    • 環境に合せたアップグレード後タスクの実行

  4. レプリカをアップグレードしたら、アップグレードした各レプリカのデータベースが稼働していることを確認します。

  5. その他のレプリカへの接続をテストします。

    Net Servicesアップグレード・アシスタントにより、listener.oratnsnames.oraが変更されるため、接続が解除されている場合があります。接続が解除されている場合は、ファイルで変更されたエントリを特定し、ソースOracleホームの対応するファイルからエントリをリストアします。

    たとえば、元のエントリを、ソースOracleホームの次のファイルからアップグレード先Oracleホームの対応するファイルにコピーします。

    SOURCE_ORACLE_HOME/network/admin/listener.ora
    SOURCE_ORACLE_HOME/network/admin/sqlnet.ora
    SOURCE_ORACLE_HOME/network/admin/tnsnames.ora
    
  6. アップグレードした各レプリカについては、第10.4項「タスク4: 各レプリカのアップグレードの完了」の手順を実行します。

  7. アップグレードした各レプリカのレプリケーション・サーバーを起動します。

    DESTINATION_ORACLE_HOME/oidctl
       connect=db_connect_string
       server=OIDREPLD
       instance=1
       flags="-p port_at_which_ldap_server_is_listening"
       start
    

    関連項目:

    oidctl管理ツールの詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Identity ManagementリファレンスのOracle Internet Directory管理ツールに関する項を参照してください。


10.4 タスク4: 各レプリカのアップグレードの完了

次の項では、レプリカのアップグレードの完了後に実行する必要のあるタスクについて説明します。

10.4.1 各レプリカのOracle Internet DirectoryウォレットのレプリケーションDNパスワードの変更

レプリカのアップグレード後、レプリケーション識別名(DN)のパスワードを変更します。パスワードを変更またはリセットすると、oidmon、LDAPサーバーおよびレプリケーション・サーバーを開始できます。

詳細は、次の項を参照してください。

10.4.1.1 レプリケーションDNパスワードの変更

各レプリカをアップグレードしたら、レプリケーション環境管理ツール(remtool)を使用して、次のようにレプリケーション識別名(DN)パスワードを変更する必要があります。

DESTINATION_ORACLE_HOME/ldap/bin/remtool
    -pchgwalpwd -v -bind host:port/repl_dn_pwd

remtoolコマンドラインに既存のパスワードを指定する必要があります。レプリケーションDNパスワードが不明の場合は、10.4.1.2項「レプリケーションDNパスワードのリセット」を参照してください。


関連項目:

remtoolコマンドで使用可能な引数(-pchgwalpwdおよび-presetpwdなど)の詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Managementリファレンスのremtoolに関する項を参照してください。


10.4.1.2 レプリケーションDNパスワードのリセット

レプリケーションDNパスワードが不明の場合は、次のコマンドを使用してレプリケーションDNパスワードをリセットします。

DESTINATION_ORACLE_HOME/ldap/bin/remtool -presetpwd -v -bind host:port

ファンアウト・レプリカをアップグレードする場合、そのサプライヤでもレプリケーションDNのパスワードをリセットする必要があります。サプライヤでレプリケーションDNのパスワードをリセットするには、次のようにします。

  1. 次の内容のLDIFファイル(modpwd.ldifなど)を作成します。

    dn: cn=replication dn,orclreplicad=consumer_replicaid,cn=replication configuration 
          changetype: modify
          replace: userpassword
          userpassword: new_password
    
  2. 次のコマンドを発行して、アップグレードするレプリカのレプリカIDを特定します。


    注意:

    コマンドを実行する前に、ORACLE_INSTANCE環境変数を設定する必要があります。


    Windowsシステムの場合:

    SOURCE_ORACLE_HOME\bin\ldapsearch 
         -h hostname_of_replica_being_upgraded 
         -p port 
         -D cn=orcladmin 
         -w superuser_password 
         -b "" -s base "(objectclass=*)" orclreplicaid
    

    UNIXシステムの場合:

    SOURCE_ORACLE_HOME/bin/ldapsearch 
         -h hostname_of_replica_being_upgraded 
         -p port 
         -D cn=orcladmin 
         -w superuser_password 
         -b "" 
         -s base "(objectclass=*)" orclreplicaid
    
  3. 次の内容のLDIFファイル(modpwd.ldifなど)を作成します。

    dn: cn=replication dn,orclreplicad=consumer_replicaid,cn=replication configuration
    changetype: modify
    replace: userpassword
    userpassword: new_password
    
  4. 次に示すように、ldapmodifyツールを使用してサプライヤで変更を適用します。

    ldapmodify  -h supplier_hostname
                -p supplier_port_number> 
                -D cn=orcladmin
                -w super_user_password_of_supplier
                -f modpwd.ldif
    

10.4.2 アップグレードした11gディレクトリでのorclreplicationid属性の設定

10gリリース2(10.1.2)レプリカをファンアウト・レプリケーション環境でアップグレードする場合、Oracle Internet Directory属性のorclreplicationidを有効な値に設定する必要があります。

この手順は、10g(10.1.4.0.1)からアップグレードする場合は不要です。これはOracle Identity Management 10g(10.1.4.0.1)で導入された新しい属性であるためです。

この属性の値を、既存のorclagreementID属性の値と一致するように設定することをお薦めします。このタスクを実行するには、次のようにします。

  1. 次のコマンドを発行して、アップグレードするレプリカのレプリカIDを特定します。

    Windowsシステムの場合:

    SOURCE_ORACLE_HOME\bin\ldapsearch 
         -h hostname_of_replica_being_upgraded 
         -p port 
         -D cn=orcladmin 
         -w superuser_password 
         -b "" -s base "(objectclass=*)" orclreplicaid
    

    UNIXシステムの場合:

    SOURCE_ORACLE_HOME/bin/ldapsearch 
         -h hostname_of_replica_being_upgraded 
         -p port 
         -D cn=orcladmin 
         -w superuser_password 
         -b "" 
         -s base "(objectclass=*)" orclreplicaid
    
  2. 次の内容のid.ldifというLDIFファイルを作成します。

    dn: orclagreementid=000002,orclreplicaid=replicaid,cn=replication configuration
    changetype: modify
    replace: orclreplicationid
    orclreplicationid: 2 
    

    LDIFファイルでは、前述の例の最初の2行が1行で表示されていることに注意してください。

  3. 次のldapmodifyコマンドを使用してLDIFファイルを適用します。

    ldapmodify -p port 
               -h host 
               -D DN 
               -w password 
               -f id.ldif
    

    この例では、porthostDNおよびpasswordを、環境に合せた適切な値で置き換えます。


    関連項目:

    orclreplicationid属性の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Internet Directory管理者ガイド』の章「Oracle Internet Directoryレプリケーションの概念」のレプリケーション契約エントリに関する項を参照してください。

    ldapmodifyコマンドの使用の詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle Identity ManagementリファレンスのOracle Internet Directoryデータ管理ツールに関する項を参照してください。