Oracle® Fusion Middleware WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス 11g リリース1 (10.3.6) B55569-07 |
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診断フレームワークによって、クリティカル・エラーについて関連する診断を適時に捕捉できます。診断は、詳細に分析するためにOracleサポートに送信できます。診断フレームワークのコマンドを使用して、インシデントを生成し、既存のインシデントを問い合せ、個別の診断ダンプを実行して特定の診断データを収集します。この章では、診断フレームワーク用のWLSTコマンド、およびそのコマンド構文、引数、コマンド例を詳細に説明します。
診断フレームワークの使用方法の詳細は、Oracle Fusion Middleware管理者ガイドの問題の診断に関する項を参照してください。
注意: これらの診断フレームワーク・カスタムWLSTコマンドを使用するには、Oracle共通ホームからWLSTスクリプトを起動する必要があります。Oracle Fusion Middleware管理者ガイドのカスタムWLSTコマンドの使用に関する項を参照してください。 |
表15-1は、診断フレームワークのコマンドの様々なカテゴリを示しています。
表15-1 診断コマンドのカテゴリ
コマンド・カテゴリ | 説明 |
---|---|
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問題およびインシデントを表示し、インシデントを作成します。 |
|
ダンプに関する情報を表示し、ダンプを実行します。 |
|
指定された間隔で診断ダンプのサンプルを取得します。 |
表15-2のコマンドを使用して、問題およびインシデントを表示し、インシデントを作成します。
表15-2 インシデント・コマンド
このコマンドを使用します... | 次を行うには... | WLSTの使用... |
---|---|---|
|
診断インシデントを作成します。 |
オンライン |
|
指定したインシデント・ファイルの内容を取得します。 |
オンライン |
|
一連のADRホームのパスを一覧表示します。 |
オンライン |
|
一連の診断インシデントを一覧表示します。 |
オンライン |
|
一連の診断問題を一覧表示します。 |
オンライン |
|
すべてのカスタム診断ルールまたは指定されたルールを再ロードします。 |
オンライン、オフライン |
|
指定したインシデントの詳細を表示します。 |
オンライン |
WLSTでの使用: オンライン
createIncident([adrHome] [,incidentTime] [,messageId] [,ecid] [,appName] [,description] [,server])
引数 | 定義 |
---|---|
adrHome
|
インシデントを作成するADRホームのパス。ADRホームが存在している必要があります。この引数が指定されていない場合、デフォルトADRホームが使用されます。 デフォルトADRホームは次の場所です。 ADR_BASE/diag/OFM/domain_name/server_name |
incidentTime
|
インシデントが発生した時点のタイムスタンプ。これが指定されていない場合、現在の時刻が使用されます。次のものを指定できます。
|
messageId
|
エラー・メッセージのID。たとえば、MDS-50400です。 |
ecid
|
エラー・メッセージの実行コンテキストID。 |
appNname
|
診断を収集する対象となるデプロイされたアプリケーションの名前。 たとえば、複数のADFアプリケーションをデプロイした場合、それぞれがadf.dumpというダンプを登録することがあります。このコマンドを特定のアプリケーションに対して実行するには、そのアプリケーション名を指定する必要があります。 |
description
|
インシデントと関連付ける説明テキスト。これは、後でインシデントを確認する場合に便利です。 |
server
|
情報の収集元となる管理対象サーバーの名前。この引数は、管理サーバーに接続している場合にのみ有効です。 |
WLSTでの使用: オンライン
getIncidentFile(id, name [,outputFile] [,adrHome] [,server])
引数 | 定義 |
---|---|
id
|
取得するインシデントのID。 |
name
|
取得するファイルの名前。ファイルの名前を見つけるには、showIncident コマンドを使用します。 |
outputFile
|
出力の書き込み先となるファイルの名前。 |
adrHome
|
情報の取得元となるADRホームのパス。この引数が指定されていない場合、デフォルトADRホームに問い合されます。 デフォルトADRホームは次の場所です。 ADR_BASE/diag/OFM/domain_name/server_name |
server
|
情報の収集元となる管理対象サーバーの名前。この引数は、管理サーバーに接続している場合にのみ有効です。 |
WLSTでの使用: オンライン
listIncidents([id] [, adrHome] [,server])
引数 | 定義 |
---|---|
id
|
一連の診断インシデントを一覧表示する問題のID。 |
adrHome
|
インシデントを問い合せるADRホームのパス。この引数が指定されていない場合、デフォルトADRホームに問い合されます。 デフォルトADRホームは次の場所です。 ADR_BASE/diag/OFM/domain_name/server_name |
server
|
情報の収集元となる管理対象サーバーの名前。この引数は、管理サーバーに接続している場合にのみ有効です。 |
WLSTでの使用: オンライン
listProblems([adrHome][,server])
引数 | 定義 |
---|---|
adrHome
|
問題を問い合せるADRホームのパス。この引数が指定されていない場合、デフォルトADRホームに問い合されます。 デフォルトADRホームは次の場所です。 ADR_BASE/diag/OFM/domain_name/server_name |
server
|
情報の収集元となる管理対象サーバーの名前。この引数は、管理サーバーに接続している場合にのみ有効です。 |
WLSTの使用状況: オンライン、オフライン
reloadCustomRules([name] [, server])
引数 | 定義 |
---|---|
name
|
カスタム診断ルールの名前。この引数はオプションです。指定した場合は、指定したルールのみが再ロードされます。この引数を指定しない場合、すべてのカスタム診断ルールが再ロードされます。 カスタム診断ルールを含むファイルが、次のいずれかのディレクトリに置かれている必要があります。 DOMAIN_HOME/config/fmwconfig/dfw DOMAIN_HOME/config/fmwconfig/servers/server_name/dfw |
server
|
ルールの再ロード先のサーバーの名前。この引数はオプションです。指定しない場合、ルールはすべてのサーバーに再ロードされます。 このオプションは、管理サーバーに接続している場合にのみ有効です。 |
WLSTでの使用: オンライン
showIncident(id, [adrHome][, server])
引数 | 定義 |
---|---|
id
|
表示するインシデントのID。 |
adrHome
|
インシデントを問い合せるADRホームのパス。この引数が指定されていない場合、デフォルトADRホームに問い合されます。 デフォルトADRホームは次の場所です。 ADR_BASE/diag/OFM/domain_name/server_name |
server
|
情報の収集元となる管理対象サーバーの名前。この引数は、管理サーバーに接続している場合にのみ有効です。 |
次の例では、IDが10のインシデントに関する情報を表示します。
showIncident(id="10")
Incident Id: 10
Problem Id: 1
Problem Key: MDS-50300 [WLS_Spaces] [oracle.mds.repos]
Incident Time: 25th March 2010 10:12:15 GMT
Error Message Id: MDS-50300
Execution Context: 0000ICK4rbYC8xT6uBf9EH1AX1qF000000
Flood Controlled: false
Dump Files :
dms_ecidctx1_i1.dmp
jvm_threads2_i1.dmp
dms_metrics3_i1.dmp
odl_logs4_i1.dmp
diagnostic_image_AdminServer_2010_03_25_11_12_15.zip
readme.txt
表15-3のコマンドを使用して、ダンプに関する情報を表示し、ダンプを実行します。
表15-3 診断ダンプ・コマンド
このコマンドを使用します... | 次を行うには... | WLSTの使用... |
---|---|---|
|
指定した診断ダンプの説明を表示します。 |
オンライン |
|
指定した診断ダンプを実行します。 |
オンライン |
|
実行できる一連の診断ダンプを表示します。 |
オンライン |
WLSTでの使用: オンライン
describeDump(name [,appName] [.server])
引数 | 定義 |
---|---|
name
|
情報を表示するダンプの名前。 |
appName
|
情報を収集するデプロイされたアプリケーションの名前。 たとえば、複数のADFアプリケーションをデプロイした場合、それぞれがadf.dumpというダンプを登録することがあります。このコマンドを特定のアプリケーションに対して実行するには、そのアプリケーション名を指定する必要があります。 |
server
|
情報の収集元となる管理対象サーバーの名前。この引数は、管理サーバーに接続している場合にのみ有効です。 |
次の例では、odl.logsという名前のダンプに関する情報を表示します。listDumpsコマンドを使用して、使用可能なダンプのリストを取得します。
describeDump(name="odl.logs")
Name: odl.logs
Description: Dumps recent ODL logs, or logs correlated by ECID
Manadatory Arguments:
Optional Arguments:
Name Type Description
ECID String Execution Context Id to correlate log entries with
timestamp String Timestamp to query logs 5 minutes before/after
WLSTでの使用: オンライン
executeDump(name [,args] [,outputFile] [,id] [,adrHome] [,server])
引数 | 定義 |
---|---|
name
|
実行する診断ダンプの名前。 |
args
|
ダンプに渡す必須またはオプションの引数。 |
outputFile
|
ダンプの書き込み先となるファイルの名前。この引数を指定しない場合、出力はコンソールに書き込まれます。 |
id
|
ダンプを関連付けるインシデントのID。デフォルトでは、指定したダンプはインシデントと関連付けされません。 |
adrHome
|
インシデントが含まれているADRホーム。この引数を指定しない場合、デフォルトADRホームが使用されます。 デフォルトADRホームは次の場所です。 ADR_BASE/diag/OFM/domain_name/server_name |
server
|
情報の収集元となる管理対象サーバーの名前。この引数は、管理サーバーに接続している場合にのみ有効です。 |
argsキーワードを使用して、必須またはオプションの引数を指定できます。例:
executeDump("java.sysprops",args={"prop" : "os.name"})
次の例では、jvm.threadsという名前のダンプを実行し、それをdumpout.txtファイルに書き込みます。
executeDump(name="jvm.threads", outputFile="/tmp/dumpout.txt")
Diagnostic dump jvm.threads output written to /tmp/dumpoutput.txt
次の例では、jvm.threadsという名前で、インシデントIDが33のダンプを実行し、それをdumpout.txtファイルに書き込みます。
executeDump(name="jvm.threads", outputFile="/tmp/dumpout.txt", id="33")
Diagnostic dump jvm.threads output associated with incident 33 in ADR Home diag/ofm/base_domain/AdminServer
次の例では、引数prop
を値os.name
に設定してダンプを実行します。
executeDump(name="java.sysprops",args={"prop" : "os.name"})
WLSTでの使用: オンライン
listDumps([appName] [,server])
引数 | 定義 |
---|---|
appName
|
診断を収集する対象となるデプロイされたアプリケーションの名前。 たとえば、複数のADFアプリケーションをデプロイした場合、それぞれがadf.dumpというダンプを登録することがあります。このコマンドを特定のアプリケーションに対して実行するには、そのアプリケーション名を指定する必要があります。 この引数を指定した場合、指定されたアプリケーションのダンプが返されます。この引数を指定しない場合、システム・ダンプが返されます。 |
server
|
情報の収集元となる管理対象サーバーの名前。この引数は、管理サーバーに接続している場合にのみ有効です。 |
表15-4に示すコマンドを使用して、指定された間隔で診断ダンプのサンプルを取得します。
表15-4 ダンプ・サンプリング・コマンド
このコマンドを使用します... | 次を行うには... | WLSTの使用... |
---|---|---|
|
診断フレームワーク・ダンプに対するサンプリングを作成します。 |
オンライン |
|
すべてのダンプ・サンプリングを有効化または無効化します。 |
オンライン |
|
すべてのダンプ・サンプリングを、個々のサンプリング・ファイルとREADMEファイルを含むzipファイルに収集します。 |
オンライン |
|
ダンプ・サンプリングが有効化されているかどうかを示します。 |
オンライン |
|
すべてのダンプ・サンプリング、指定されたダンプ・サンプリングまたは指定されたサーバーに関連付けられているすべてのダンプ・サンプリングを表示します。 |
オンライン |
|
指定されたダンプ・サンプリングを削除します。 |
オンライン |
|
サンプリングの設定を変更して、指定されたダンプ・サンプリングを更新します。 |
オンライン |
WLSTでの使用: オンライン
addDumpSample(sampleName, diagnosticDumpName [, appName], samplingInterval, rotationCount [, dumpedImplicitly] [, toAppend] [, args] [, server=])
引数 | 定義 |
---|---|
sampleName
|
サンプリングの名前。 |
diagnosticDumpName
|
取得する診断ダンプの名前。 |
appName
|
オプション。指定された診断ダンプに関連付けられているアプリケーションの名前。appNameを指定しない場合、診断ダンプの対象はシステムになります。 |
samplingInterval
|
秒単位のサンプリング間隔。0または負の値を指定すると、サンプリングは一時停止されます。 |
rotationCount
|
ローテーション・リストに含める診断ダンプ・サンプルの最大数。この上限に達すると、最も古いサンプルが削除されます。 |
dumpedImplicitly
|
オプション。診断ダンプ・アーカイブをdfw.samplingArchiveに含めるかどうかを指定するブール値。有効な値は、 値がfalseの場合に、ダンプ・アーカイブをdfw.samplingArchiveに含めるには、argsパラメータを使用してサンプリング名をexecuteDumpコマンドに渡す必要があります。 |
toAppend
|
オプション。診断ダンプ・サンプルを前のサンプルに追加するかどうかを指定するブール値(dfw.samplingArchiveの実行時にアーカイブは1つしか作成されない)。有効な値は、 |
args |
オプション。各サンプリング時に診断ダンプにより使用される診断ダンプ引数。引数は名前/値ペアで指定します。 |
server
|
オプション。情報の収集元となるサーバーの名前。このパラメータを指定しないと、このコマンドにより、ダンプ・サンプリングが管理サーバーに関連付けられます。 |
WLSTでの使用: オンライン
enableDumpSampling(enable [,server])
引数 | 定義 |
---|---|
enable
|
ダンプ・サンプリングを有効化するかどうかを指定するブール値。有効な値は、 |
server
|
オプション。ダンプ・サンプリングを有効化または無効化するサーバーの名前。このパラメータを指定しないと、このコマンドにより、管理サーバーに対するダンプ・サンプリングが有効化または無効化されます。 |
WLSTでの使用: オンライン
getSamplingArchives([sampleName,] outputFile [,server])
引数 | 定義 |
---|---|
name
|
オプション。取得する特定のダンプ・サンプリングの名前。この引数を指定しない場合、このコマンドにより、すべてのダンプ・サンプリングが返されます。 |
outputFile
|
ダンプ・サンプリングが書き込まれるファイルの絶対パス。 |
server
|
オプション。情報の収集元となるサーバーの名前。このパラメータを指定しないと、このコマンドにより、管理サーバーに対するダンプ・サンプリングが収集されます。 |
次の例では、ダンプJVMThreadDumpに対するダンプ・サンプリングを取得します。
getSamplingArchives(sampleName="JVMThreadDump", outputFile="/tmp/jvm_dump.zip")
wrote 63518 bytes to /tmp/jvm_dump.zip
zipファイルの内容を次に示します。
unzip -l jvm_dump.zip Archive: jvm_dump.zip Length Date Time Name -------- ---- ---- ---- 508780 08-21-12 07:25 dfw_samplingArchive1065570966467923683.JVMThreadDump.dmp 840 08-21-12 07:25 dfw_samplingArchive7749640004639161119.readme.txt -------- ------- 509620 2 files
WLSTでの使用: オンライン
isDumpSamplingEnabled([server])
引数 | 定義 |
---|---|
server
|
オプション。ダンプ・サンプリングが有効化されているかどうかを判断するサーバーの名前。この引数は、管理サーバーに接続している場合にのみ有効です。 |
WLSTでの使用: オンライン
listDumpSamples([sampleName] [, server])
引数 | 定義 |
---|---|
sampleName
|
オプション。サンプリングの名前。 |
server
|
オプション。ダンプ・サンプリングを一覧表示するサーバーの名前。このパラメータを指定しないと、このコマンドにより、管理サーバーに対するダンプ・サンプリングが一覧表示されます。 |
次の例では、サーバーsoa_server1に関連付けられているすべてのダンプ・サンプリングを一覧表示します。
listDumpSamples(server="soa_server1")
Location changed to domainRuntime tree. This is a read-only tree with DomainMBean as the root.
For more help, use help(domainRuntime)
Name : JavaClassHistogram
Dump Name : jvm.classhistogram
Application Name :
Sampling Interval : 1800
Rotation Count : 5
Dump Implicitly : false
Append Samples : true
Dump Arguments :
Name : JVMThreadDump
Dump Name : jvm.threads
Application Name :
Sampling Interval : 60
Rotation Count : 10
Dump Implicitly : true
Append Samples : true
Dump Arguments : context=true, timing=true
WLSTでの使用: オンライン
removeDumpSample(sampleName [,server])
引数 | 定義 |
---|---|
sampleName
|
削除するダンプ・サンプリングの名前。 |
server
|
オプション。サンプリングの削除元となるサーバーの名前。このパラメータを指定しないと、管理サーバーからダンプ・サンプリングが削除されます。 |
WLSTでの使用: オンライン
updateDumpSample(sampleName [, appName], samplingInterval, rotationCount [,dumpedImplicitly] [, toAppend] [, arg,] [, server])
引数 | 定義 |
---|---|
sampleName
|
ダンプ・サンプリングの名前。 |
appName
|
オプション。指定された診断ダンプに関連付けられているアプリケーションの名前。appNameを指定しない場合、診断ダンプの対象はシステムになります。 |
samplingInterval
|
オプション。秒単位のサンプリング間隔。0または負の値を指定すると、サンプリングは一時停止されます。 |
rotationCount
|
オプション。ローテーション・リストに含める診断ダンプ・サンプリングの最大数。この上限に達すると、最も古いサンプリングが削除されます。 |
dumpedImplicitly
|
オプション。診断ダンプ・アーカイブをdfw.samplingArchiveに含めるかどうかを指定するブール値。有効な値は、 値がfalseの場合に、ダンプ・アーカイブをdfw.samplingArchiveに含めるには、argsパラメータを使用してサンプリング名をexecuteDumpコマンドに渡す必要があります。 |
toAppend
|
オプション。診断ダンプ・サンプルを前のサンプルに追加するかどうかを指定するブール値(dfw.samplingArchiveの実行時にアーカイブは1つしか作成されない)。有効な値は、 |
args |
オプション。各サンプリング時に診断ダンプにより使用される診断ダンプ引数。引数は名前/値ペアで指定します。 |
server
|
オプション。情報の収集元となるサーバーの名前。このパラメータを指定しないと、管理サーバーに対してダンプ・サンプリングが更新されます。 |