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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Server診断フレームワークの構成と使用
11g リリース1(10.3.6)
B60994-04
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2 WLDFアーキテクチャの概要

WebLogic診断フレームワーク(WLDF)は、WebLogic Serverインスタンスとそのインスタンスがホストするアプリケーションに関する診断情報の収集、アーカイブ、およびアクセスを行うために共同で動作する、いくつかのコンポーネントで構成されています。この章では、これらのコンポーネントのアーキテクチャの概要を示します。


注意:

この章では、WLDFの仕組みが理解しやすくなるように概念を説明しています。構成APIや実行時API、およびWebLogic Server管理コンソールにおけるWLDFの表現とは異なる部分もあります。すぐWLDFを構成して、使用し始めたい場合、この議論をスキップして第4章「WLDF構成について」から始めても支障はありません。

次の項では、WLDFアーキテクチャについて説明します。

WebLogic診断フレームワークの概要

WLDFは以下で構成されています。

データ・クリエータは、ロガーやハーベスタによって消費される診断データを生成します。ロガーおよびハーベスタ・コンポーネントは、アーカイブと連携してデータを永続化し、監視および通知サブシステムと連携して自動化されたモニターを提供します。アクセサは、ロガーおよびハーベスタと対話して現在の診断データを公開し、アーカイブと対話して履歴データを提示します。イメージ・キャプチャ機能は、主要なサーバーの状態の診断スナップショットをキャプチャする手段を提供します。これらのコンポーネント間の関係を図2-1に示します。

図2-1 主要なWLDFコンポーネント

図2-1の説明が続きます
「図2-1 主要なWLDFコンポーネント」の説明

すべてのフレームワーク・コンポーネントは、サーバー・レベルで動作し、サーバーのスコープしか認識しません。コンポーネントはすべてサーバーのプロセス内に存在し、標準的なサーバーのライフサイクルに参加しています。フレームワークのアーティファクトはすべて、サーバーごとに構成および格納されます。

データの作成、収集、およびインストゥルメンテーション

診断データは、いくつかのソースから収集されます。これらのソースは論理的に、現在の値を収集するために一定の間隔でサンプリングされるデータ・クリエータであるデータ・プロバイダか、同期的にイベントを生成するデータ・クリエータであるデータ・パブリッシャのいずれかに分類できます。データ・プロバイダとデータ・パブリッシャはコンポーネント全体にわたって配布され、図2-2 に示されているように、ロガー および/またはハーベスタによって生成されたデータを収集することができます。

図2-2 データ作成コンポーネントとデータ収集コンポーネントの関係

図2-2の説明が続きます
「図2-2 データ作成コンポーネントとデータ収集コンポーネントの関係」の説明

サーバー・ロギング・インフラストラクチャの呼出しは、インライン・データ・パブリッシャとして機能し、生成されたデータは、イベントとして生成されます。(ロギング・インフラストラクチャは、カタログ・インフラストラクチャかデバッグ・モデルを通じて、または直接ロガーを通じて呼び出せます)。

インストゥルメンテーション・コンポーネントは、モニターを作成して実行フロー内の定義された位置に挿入します。モニターはアーカイブにデータを直接パブリッシュします。

MBeanサーバーに登録されたコンポーネントも、ハーベスタに登録することでデータ・プロバイダとして認識できるようになります。収集されたデータは、監視および通知システムに公開されて自動的にモニターされると共に、アーカイブに公開されて永続化されます。

アーカイブ

システム内のフォルトの診断において、過去の状態が重要性を持つことがしばしばあります。そのため、状態をキャプチャして将来アクセスできるようアーカイブし、履歴アーカイブを作成しておくことが必要となります。WLDFでは、複数の永続化コンポーネントを持つアーカイブ・コンポーネントが、この要件に対応しています。イベントおよび収集されたメトリックの双方が、永続化されて履歴確認できるようになります。

人間に判読可能であり、サーバー・ログに含めることが意図されている、従来のロギング情報は、標準のロギング・アペンダによって永続化されます。システムでの消費が意図されている新しいイベント・データは、イベント・アーカイバを使用してイベント・ストア内で永続化されます。メトリック・データは、データ・アーカイバを使用して、データ・ストア内に永続化されます。アーカイブとロガーおよびハーベスタとの関係を図2-3 に示します。

アーカイブがアクセス・インタフェースを提供するので、アクセサは任意の永続化された履歴データを公開できるようになります。

図2-3 アーカイブとロガーおよびハーベスタとの関係

図2-3の説明が続きます
「図2-3 アーカイブとロガーおよびハーベスタとの関係」の説明

監視および通知

監視および通知システムは、特定の診断状態を観察する自動化されたモニターを作成し、構成されたルールに基づいて通知を送信するのに使用できます。

監視ルールでは、ログ・データ、インストゥルメンテーション・コンポーネントのイベント・データ、ハーベスタによって収集されるデータ・プロバイダのメトリック・データをモニターできます。監視マネージャは、いくつかの監視ルールで構成される監視の管理を行うことができます。関係は図2-4 に示します。

図2-4 ロガーおよびハーベスタと、監視および通知システムの関係

図2-4の説明が続きます
「図2-4 ロガーおよびハーベスタと、監視および通知システムの関係」の説明

1つまたは複数の通知を、監視による使用に備えて構成できます。デフォルトでは、各監視が、サーバー・ログ内にイベントを記録します。SMTP、SNMP、JMX、およびJMS通知もサポートされています。

データ・アクセサ

アクセサは、ログ、イベント、メトリック・データなど、WLDFによって収集されたすべてのデータへのアクセスを提供します。アクセサは、アーカイブと対話して、ログに記録されたイベント・データや永続化されたメトリックなどの履歴データを取得します。

実行中のサーバーのデータにアクセスする場合は、JMXベースのアクセス・サービスが使用されます。アクセサは、型、コンポーネント、および属性を基準としたデータ・ルックアップに対応しています。時間ベースのフィルタ処理を許可し、またイベントの場合には、重大度、ソース、およびコンテンツごとのフィルタ処理を許可します。

ツールでは、現在非アクティブなサーバーで永続化されたデータにアクセスすべき場合があります。そのような場合に備えて、オフライン・アクセサがあります。オフライン・アクセサを使用すると、後でアクセスできるように、アーカイブ済みのデータをXMLファイルにエクスポートすることができます。アクセサをこのように使用するには、WebLogic Scripting Tool (WLST)を使用します。また、マシンに物理的にアクセスする必要があります。

アクセサとハーベスタおよびアーカイブとの関係を、図2-5 に示します。

図2-5 オンラインおよびオフライン・アクセサとアーカイブの関係

図2-5の説明が続きます
「図2-5 オンラインおよびオフライン・アクセサとアーカイブの関係」の説明

監視ダッシュボードおよびリクエスト・パフォーマンス・ページ

WLDFでは、診断データが視覚的に表示される2つのWebページが用意されています。

監視ダッシュボード

監視ダッシュボードは、メトリック・ランタイムMBean属性を視覚的に提供し、WebLogic Serverおよびホストされたアプリケーションの現在および過去の動作状態を表示します。このメトリック・ランタイムMBean属性で、重要性の高いランタイム・パフォーマンス・メトリックの一部およびこのメトリックの一定期間での変更が表示されます。過去の動作状態が、アーカイブで永続化されている収集メトリックで表されています。収集されたメトリックをアーカイブから表示する場合、ハーベスタを構成して監視するデータをキャプチャする必要があります。

監視ダッシュボードは、メトリック情報の一連のビューを表示します。ビューは、メトリックを表示する1つ以上のチャートの集合です。監視ダッシュボードには、ドメイン内のすべての実行中のWebLogic Serverインスタンスに使用可能なランタイム・メトリックの組込みビューの事前定義したセットが含まれます。組込みビューは、重要性の高いランタイムWebLogic Serverパフォーマンス・メトリックの一部を提示し、監視ダッシュボードのグラフィック機能の例として機能します。

カスタム・ビューは、それを作成したユーザーのみ使用可能です。カスタム・ビューは自動的に永続化され、監視ダッシュボード・セッションを再起動すると、再度アクセスできます。

詳細は、第15章「監視ダッシュボードの使用」を参照してください。

診断リクエスト・パフォーマンス・ページ

WebLogic Server管理コンソールの診断リクエスト・パフォーマンス・ページには、インストゥルメンテーション・コンポーネントを使用してキャプチャしたメソッド・パフォーマンス情報のリアルタイムおよび履歴ビューが表示されます。リクエスト・パフォーマンス情報を表示する場合、このデータを使用するには、最初にインストゥルメンテーション・コンポーネントを構成する必要があります。

詳細は、「リクエスト・パフォーマンス・データの作成」を参照してください。

診断イメージ・キャプチャ

診断イメージ・キャプチャのサポートでは、問題の診断に使用される主要なサーバーの状態について最も一般的な情報を収集します。図2-6 に示されているように、技術者を支援するために利用可能な単一のアーティファクトにその状態をパッケージ化します。診断イメージは、実質的にはサーバーからの診断スナップショットまたはダンプであり、UNIXの「コア」ダンプと似ています。

WebLogic ServerがOracle JRockitで構成され、JRockitフライト・レコーダが無効になっていない場合、診断イメージ・キャプチャにはすべてのプロデューサから使用できるすべてのJRockitフライト・レコーダ・データが含まれます。また、JRockitフライト・レコーダでキャプチャされたWebLogic Server診断情報を生成するようにWLDFを構成すると、その情報もJFRファイルに含まれます。JFRファイルは診断イメージ・キャプチャから抽出し、JRockit Mission Controlで表示することができます。第3章「Oracle JRockitフライト・レコーダと連携したWLDFの使用」を参照してください。

イメージ・キャプチャ・サポートには次のものが含まれます。

詳細は、次を参照してください:

図2-6 診断イメージ・キャプチャ

図2-6の説明が続きます
「図2-6 診断イメージ・キャプチャ」の説明

全体の構成

図2-7は、WLDFのすべての要素がどのように組み合わさっているかを示します。

図2-7 WebLogic診断フレームワークの全体図

図2-7の説明が続きます
「図2-7 WebLogic診断フレームワークの全体図」の説明