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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverアップグレード・ガイド
11g リリース1 (10.3.6)
B61642-04
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3 セキュリティ・プロバイダのアップグレード

WebLogic Serverバージョン8.1環境でカスタム・セキュリティ・プロバイダを使用している場合、WebLogicアップグレード・ウィザードを使用して、セキュリティ・プロバイダをWebLogic Server 10.3.6のアプリケーション環境で使用できるようアップグレードすることができます。


注意:

WebLogic Server 9.1には、XACML認可プロバイダおよびXACMLロール・マッピング・プロバイダという2つの新しいセキュリティ・プロバイダが含まれています。既存のWebLogicドメインを10.3.6にアップグレードして、現在指定されている認可プロバイダおよびロール・マッピング・プロバイダ(サード・パーティ・パートナのプロバイダ、オリジナルのWebLogic認可プロバイダおよびロール・マッピング・プロバイダなど)を引き続き使用できます。WebLogic Server独自のプロバイダを使用している既存ドメインを、必要に応じてXACMLプロバイダに移行することもできます(既存ポリシーのバルク・インポートも含む)。詳細は、『Oracle WebLogic Serverインフォメーション・ロードマップ』のセキュリティに関する項を参照してください。


次の項では、WebLogicアップグレード・ウィザードを使用してセキュリティ・プロバイダをアップグレードする方法について説明します。

カスタム・セキュリティ・プロバイダの開発については、『Oracle WebLogic Serverセキュリティ・プロバイダの開発』を参照してください。

セキュリティ・プロバイダのアップグレードの仕組み

セキュリティ・プロバイダをアップグレードする場合、アップグレード元のディレクトリとアップグレード先のディレクトリを指定すると、WebLogicアップグレード・ウィザードが既存のJARをアップグレードします。これにより、セキュリティ・プロバイダはWebLogic Server 10.3.6のアプリケーション環境で実行可能となります。


注意:

セキュリティ・プロバイダJARには、MBeanを定義するMBean定義ファイル(MDF)が含まれていなければなりません。MDFは、特定のMBeanタイプの.javaファイルを生成するために使用されます。MDFの作成については、『Oracle WebLogic Serverセキュリティ・プロバイダの開発』を参照してください。MDFがJARファイルに含まれていない場合、当該セキュリティ・プロバイダのアップグレード・プロセスは正常に実行されません。

MDFに未登録のタグがある場合は、アップグレード・プロセス中に警告が表示されます。これらの警告はアップグレードに影響しないので無視してかまいません。ただし、MDFから未登録のタグを削除して、この警告が表示されないようにすることをお薦めします。

9.2より前の構成で定義されているセキュリティ・レルムでは、ロックアウト・マネージャ(UserLockoutManagerMBean)が定義されていなければなりません。また、これらのセキュリティ・レルムは、JMXオブジェクトのネーミング・ルール(Security:Name=name)に準拠していなければなりません。そうでない場合、当該セキュリティ・プロバイダのアップグレード・プロセスは正常に実行されません。


アップグレード中、アップグレード・ウィザードは次のタスクを実行します。

セキュリティ・プロバイダのアップグレード

WebLogic Server 10.3.6環境で実行する各カスタム・セキュリティ・プロバイダをアップグレードする必要があります。


注意:

WebLogic Server 10.3.6をWebLogic Serverバージョン8.1がインストールされている既存のホーム・ディレクトリ脚注 1 にインストールする場合、デフォルトの場所WL_HOME\server\lib\mbeantypes (WL_HOMEは、9.0より前のインストールのルート・ディレクトリ)にあるすべてのカスタム・セキュリティ・プロバイダは自動的にアップグレードされます。すべてのカスタム・セキュリティ・プロバイダがデフォルトの場所に格納されている場合は、ここで説明するセキュリティ・プロバイダのアップグレード手順を実行する必要はありません。


脚注 1 この場所は、10.3.1より前のリリースのWebLogic ServerではBEAホーム・ディレクトリと呼ばれていました。リリース10.3.1からは、この場所をMiddlewareホーム・ディレクトリと呼び、MW_HOME変数で表すことになりました。

カスタム・セキュリティ・プロバイダがアップグレードされたかどうかを確認するには、WL_HOME\server\lib\mbeantypesディレクトリ(WL_HOMEは10.3.6インストールのルート・ディレクトリ)の、アップグレードされたセキュリティ・プロバイダsecurity_provider_name_Upgraded(security_provider_nameはセキュリティ・プロバイダの名前)を確認します。

WebLogicアップグレード・ウィザードでは、次のどちらかのモードでセキュリティ・プロバイダをアップグレードすることができます。

ドメイン内の各コンピュータのセキュリティ・プロバイダをアップグレードする必要があります。

次の項では、セキュリティ・プロバイダをアップグレードする方法について説明します。

セキュリティ・プロバイダのグラフィカル・モードでのアップグレード

次の項では、グラフィカル・モードでWebLogicアップグレード・ウィザードを使用してセキュリティ・プロバイダをアップグレードする方法について説明します。

セキュリティ・プロバイダをアップグレードするためグラフィカル・モードでWebLogicアップグレード・ウィザードを起動する方法


注意:

先に進む前に、「アップグレードの準備」の手順がすでに実行されていなければなりません。


グラフィカル・モードでWebLogicアップグレード・ウィザードを起動してセキュリティ・プロバイダをアップグレードするには:

  1. WebLogicドメインが稼働していないことを確認します。

  2. MS-DOSコマンド・プロンプト・ウィンドウ(Windows)またはコマンド・シェル(UNIX)を開き、「ステップ6: 環境の設定」の説明に従って環境を設定します。

  3. コマンド・プロンプトで、次のコマンドを入力します。

    java weblogic.Upgrade -type securityproviders [-out file]
    

    -out引数は省略可能です。これにより、すべての標準出力(stdout)とエラー・メッセージが書き込まれるファイルを指定することができます。デフォルトでは、これらのメッセージはコマンド・ウィンドウに書き込まれ、アップグレード・プロセスの終了時にそのサマリーが表示されます。このコマンドを実行すると、図3-1のようにWebLogicアップグレード・ウィザードが起動します。

    図3-1 セキュリティ・プロバイダのWebLogicアップグレード・ウィザード

    図3-1の説明が続きます
    「図3-1 セキュリティ・プロバイダのWebLogicアップグレード・ウィザード」の説明

  4. 「次へ」をクリックして、「アップグレード元のディレクトリの選択」ウィンドウに進みます。

セキュリティ・プロバイダをアップグレードする手順

表3-1に、WebLogicアップグレード・ウィザードを使用してセキュリティ・プロバイダをアップグレードする手順の概要を示します。

表3-1 セキュリティ・プロバイダをアップグレードする手順

手順 実行する操作

アップグレード元のディレクトリの選択

アップグレードする必要のあるセキュリティ・プロバイダJARが格納されているディレクトリを選択します。デフォルトでは、選択したディレクトリがカレント・ディレクトリです。

デフォルトでは、セキュリティ・プロバイダはWL_HOME\server\lib\mbeantypes(WL_HOMEはWebLogic Server 9.0より前のインストール先のルート・ディレクトリ)に格納されています。

注意: セキュリティ・プロバイダJARには、関連付けられているMBeanのMBean定義ファイル(MDF)が含まれている必要があります。MDFの作成については、『Oracle WebLogic Serverセキュリティ・プロバイダの開発』を参照してください。JARファイルにMDFがない場合、関連付けられているセキュリティ・プロバイダのアップグレード・プロセスは正常に実行されません。

「次へ」をクリックして、「アップグレード先のディレクトリの選択」ウィンドウに進みます。

アップグレード先のディレクトリの選択

新しいセキュリティ・プロバイダJARファイルの保存先のディレクトリを選択します。デフォルトのディレクトリはWL_HOME\server\lib\mbeantypes(WL_HOMEはWebLogic Server 10.3.6のインストール先のルート・ディレクトリ)です。

注意: ドメインのアップグレードが確実に実行されるようにするには、アップグレードされたセキュリティ・プロバイダがデフォルトの保存先ディレクトリ(WL_HOME\server\lib\mbeantypes)に保存されるよう指定する必要があります。セキュリティ・プロバイダを別の場所に保存する必要がある場合は、ドメインのアップグレード・プロセスが完了してから、別の場所に移動できます。

「次へ」をクリックして、次のウィンドウに進みます。

セキュリティ・プロバイダのアップグレード進行中

ウィザードの進行状況(アップグレードされたJARの保存やアップグレード・プロセス中に作成された一時ファイルの削除)を確認します。進行状況を通知するメッセージがウィンドウに表示されます。

セキュリティ・プロバイダJARには、関連付けられているMBeanのMBean定義ファイル(MDF)が含まれている必要があります。MDFの作成については、『Oracle WebLogic Serverセキュリティ・プロバイダの開発』を参照してください。JARファイルにMDFがない場合、関連付けられているセキュリティ・プロバイダのアップグレード・プロセスは正常に実行されません。例:

Now processing mySecurityProviderToo.jar ...
No MDFs (.xmls) found in the old security provider jar with 
name mySecurityProviderToo.jar

MDFに未登録のタグがある場合は、アップグレード・プロセス中に警告が表示されます。この警告はアップグレードに影響しないので無視して構いません。ただし、MDFから未登録のタグを削除して、このメッセージが表示されないようにすることを薦めます。

ウィザードが製品と共にインストールされたセキュリティ・プロバイダJAR、すでにアップグレードされているセキュリティ・プロバイダJAR、または無効なセキュリティ・プロバイダJARを検出した場合、そのJARはアップグレードされません。例:

Not upgrading foo.txt because either this is a Out of the Box 
Oracle Security Provider jar or this Security Provider jar is 
already upgraded or this is not a valid archive (may be not a .jar)

「次へ」をクリックして、次のウィンドウに進みます。

アップグレード完了

アップグレードが完了したら表示されるアップグレード結果を確認します(さらなる検討を要する重要なメッセージなど)。

「完了」をクリックしてウィザードを閉じます。


セキュリティ・プロバイダのサイレント・モードでのアップグレード

たとえば、セキュリティ・プロバイダがリモート・コンピュータにある場合などに、WebLogicアップグレード・ウィザードをグラフィカル・モードで使用するのは合理的ではありません。このような場合、ウィザードをサイレント・モードで使用して、セキュリティ・プロバイダをアップグレードすることができます。


注意:

先に進む前に、「アップグレードの準備」の手順がすでに実行されていなければなりません。


サイレント・モードでWebLogicアップグレード・ウィザードを起動してセキュリティ・プロバイダをアップグレードするには:

  1. WebLogicドメインが稼働していないことを確認します。

  2. MS-DOSコマンド・プロンプト・ウィンドウ(Windows)またはコマンド・シェル(UNIX)を開き、「ステップ6: 環境の設定」の説明に従って環境を設定します。

  3. (オプション)アップグレード要件を定義するXMLスクリプトを作成します。詳細については、付録E「サイレント・アップグレード用XMLスクリプト・リファレンス」を参照してください。

  4. アップグレードするセキュリティ・プロバイダが格納されているディレクトリに移動します。

  5. コマンド・プロンプトで、次のコマンドを入力します。

    java weblogic.Upgrade -mode silent -type securityproviders [-responses xmlfile] [-out file]
    

    -responses引数と-out引数は省略可能です。これらの引数は、次の設定のデフォルト値をオーバーライドする場合に含めます。

    • アップグレード要件を定義するXMLファイルの場所。-responses引数でファイルを指定しない場合、ウィザードはデフォルト値をアップグレード・プロセスで使用します。XMLファイルの形式とデフォルト値の詳細は、付録E「サイレント・アップグレード用XMLスクリプト・リファレンス」を参照してください。

    • すべての標準出力(stdout)とエラー・メッセージが書き込まれる出力ファイル。-out引数でファイルを指定しない場合、これらのメッセージはコマンド・ウィンドウに書き込まれます。