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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebCenter Portalの管理
11gリリース1 (11.1.1.8.3)
E51441-03
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10 アクティビティ・グラフの管理

この章では、WebCenter PortalおよびPortal Frameworkアプリケーションのアクティビティ・グラフを構成および管理する方法について説明します。


注意:

アクティビティ・グラフを確認および構成する際には、アクティビティ・グラフ管理、Fusion Middleware ControlまたはWLSTコマンド行ツールを必ず使用してください。手動によるファイルの編集は、構成ミスにつながる可能性があるため、(手動による編集を特に指示している場合を除いて)お薦めしません。


この章には次のトピックが含まれます:


権限:

この章のタスクを実行するには、Oracle WebLogic Server管理コンソールでWebLogic ServerのAdminロール、デプロイされたアプリケーションでAdministratorロールが付与されている必要があります。

  • WebCenter Portal: Administratorロール。ポータル・ビルダー管理から付与します。

  • Portal Frameworkアプリケーション: Administratorロール。管理コンソールから付与します。

ロールと権限の詳細は、第1.8項「管理操作、ロールおよびツールの理解」を参照してください。


10.1 アクティビティ・グラフについて

アクティビティ・グラフでは、既存のコネクションやアプリケーション内のオブジェクトへの共通のやり取りに基づいて、ユーザーが関心を寄せている可能性のある人を提案します。また、ユーザーが現在表示しているポータルやアイテムでの類似する操作または最もアクティブなアイテムに基づいて、ユーザーが興味を持つ可能性があるポータルやコンテンツも示されます。

アクティビティ・グラフが表示するこれらの提案は、アクティビティ・グラフ・エンジンによって収集および分析されたデータに基づいています。アクティビティ・グラフ・エンジンは、エンタープライズ・アプリケーションによって収集されたアクションのセントラル・リポジトリとして機能します。数学的なグラフの観点から考えた場合、アプリケーション・ユーザー、およびユーザーが対話を行うエンタープライズ・コンテンツはそれぞれがノードであり、ユーザー間およびユーザーとコンテンツ間で実行されるアクションは有向エッジです(図10-1)。

図10-1 アクティビティ・グラフ

図10-1の説明が続きます
「図10-1 アクティビティ・グラフ」の説明

アクティビティ・グラフでは、次の3つの主要コンポーネントが使用されます。

図10-2は、これらの異なるコンポーネントがどのように連動するかを示しています。このプロセスについて次に説明します。

図10-2 アクティビティ・グラフのアーキテクチャ

図10-2の説明が続きます
「図10-2 アクティビティ・グラフのアーキテクチャ」の説明

たとえば、Montyが自分のドキュメントを表示している、などのアクションがWebCenter Portalで発生すると、分析イベント・コレクタによってそのアクションがピックアップされ、アクティビティ・データベース内のイベント表に記録されます。

アクティビティ・データ収集プロセスが開始されると、分析アクティビティ・プロバイダが分析イベント表からアクションを読み取り、登録されているマッピング・セットを使用してアクティビティを生成します。アクティビティはアクションの1回の発生を表します。アクティビティを使用して、アクションの複数の発生が集計されたリレーションが決定され、リレーション表に格納されます。たとえば、Montyが特定のドキュメントを5回表示したという事実は、1つのリレーションを表します。リレーション表内の情報は、推奨と検索ランクの決定に使用されます。

アクティビティ・グラフ問合せAPIは、アクティビティ・グラフのタスク・フローで使用され、レシピを使用して推奨用の問合せをリレーション表に対して実行するJava APIです。レシピはランクまたは類似度計算の重み付けリストです。類似度計算では、特定の基準に基づく2つのオブジェクトの類似度を示す類似度スコア(0から1の範囲の数値)が生成されます。それぞれの計算の重み付けによって、推奨の総合スコアに与える影響が変化します。推奨は、推奨スコアの合計によって順序付けされます。WebCenter Portalはデフォルトの計算群を備えており、これらの計算がアクティビティ・グラフのタスク・フローで使用されます。これらの計算を編集したり、カスタムの計算を作成することができます。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter PortalおよびOracle Jdeveloperでのポータルの開発』のカスタムの類似度計算の定義に関する項を参照してください。

特定のオブジェクトに関する推奨の初期リストが生成された後は、より適切で有用な結果をユーザーに示すために結果をフィルタ処理できます。これには、問合せ結果ポスト・プロセッサ(QRPP)が使用されます。QRPPは推奨結果の現在のリストを取り込み、変更済リストを出力として返します。QRPPでは、現在のユーザーが表示を許可されていないオブジェクトに関する推奨の削除など、推奨のフィルタ処理を実行したり、結果メタデータの追加や変更を行ったりすることができます。

その後、アクティビティ・グラフのタスク・フローを通じて、ユーザーに推奨が示されます。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter PortalおよびOracle Jdeveloperでのポータルの開発』の設計時におけるアクティビティ・グラフの追加に関する項を参照してください。

10.2 アクティビティ・グラフの構成ロードマップ

この項では、ロードマップを構成プロセスにおける管理者のガイドとして使用します。

10.3 アクティビティ・グラフの前提条件

アクティビティ・グラフを使用するには、アクティビティ・グラフ・エンジン・アプリケーションがインストールおよび構成されている必要があります。詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter Portalインストレーション・ガイドを参照してください。

また、アプリケーションで、WebCenter Portalスキーマおよびアクティビティ・データベースへの接続を作成する必要があります。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter PortalおよびOracle Jdeveloperでのポータルの開発』のデータベース接続の設定に関する項を参照してください。

分析イベント・コレクタに使用状況イベントを送信するように、アプリケーションを構成する必要があります。詳細は、第11.5項「アプリケーション用の分析コレクタの登録」を参照してください。

アクティビティ・グラフが推奨を行う前に、アクティビティ・グラフ・エンジンが少なくとも1回実行され、データが収集されて、類似度スコアが計算されている必要があります。詳細は、第10.4項「アクティビティ・グラフのデータの準備」を参照してください。

また、類似アイテム・タスク・フローで提案されるアイテム、トップ・アイテム・タスク・フローおよび推奨データ制御は、アプリケーションで使用できるツールとサービスによって異なります。たとえばドキュメントは、ドキュメント・ツールが有効な場合にのみ推奨されます。また、アイテムを所有するツール/サービスのリソース認可者が、そのアイテムを推奨からフィルタで除外することも可能です。

クラスタ環境では、アクティビティ・グラフ・エンジン・アプリケーションのインスタンスを1つのみにし、他のすべてのインスタンスを無効にする必要があります。詳細は、『Oracle Fusion Middleware高可用性ガイド』のWebCenter Portal用のアクティビティ・グラフの構成に関する項を参照してください。

10.4 アクティビティ・グラフのデータの準備

アクティビティ・グラフ・エンジンは、データの収集、類似度スコアの計算および検索ランキングの計算を実行する3つの個別エンジンで構成されています。3つのエンジンは次のとおりです。

アクティビティ・グラフがオブジェクトの推奨を開始するには、これらのエンジンが少なくとも1回実行され、データが収集されて、類似度スコアが計算されていることが必要です。この初期実行後は、必要に応じて、またはスケジュールに基づいてエンジンを実行することによって、新しいアクティビティが確実に取得され、分析されるようにすることができます。

この項には次のトピックが含まれます:

10.4.1 アクティビティ・グラフ・エンジンのスケジュール実行

アクティビティ・グラフ・エンジンをスケジュールに基づいて実行することによって、新しいアクティビティが定期的に確実に取得され、分析されるようにすることができます。これは、トラフィック量が多く、コンテンツが頻繁に更新されるアプリケーションで役立ちます。

アクティビティ・グラフ・エンジンをスケジュールに基づいて実行するには:

  1. Fusion Middleware Controlにログインし、アクティビティ・グラフ・アプリケーション(activitygraph-engines)のホームページに移動します。

    ナビゲータを使用してページにアクセスし、次のいずれかを選択します。

    - 「アプリケーション・デプロイメント」→「activitygraph-engines」

    - 「WebLogicドメイン」→「wc_domain」→「WC_Utilities」「activitygraph-engines」

  2. 「Webモジュール」の下で、「アクティビティ・グラフのスケジュールとステータス」ページのURLをクリックし、ログインします。


    注意:

    このページにアクセスするには、Administratorsグループのメンバーである必要があります。

    「アクティビティ・グラフのスケジュールとステータス」ページでは、マルチバイトのユーザー名およびパスワードをサポートしていないため、ASCIIのみのユーザー名およびパスワードを使用してログインする必要があります。



    ヒント:

    「アクティビティ・グラフのスケジュールとステータス」ページには、次のURLに直接進んでアクセスすることもできます。

    http://host:port/activitygraph-engines
    

    ここで、http://host:portWC_Utilities管理対象サーバーのURLです。


  3. 「アクティビティ・グラフのスケジュールとステータス」ページで、「スケジュールで実行」を選択します。

  4. 「開始日」フィールドに、スケジュールの開始日を入力します。

  5. 「実行」フィールドに、プロセスの定期的な実行間隔を示す値を入力します。たとえば、プロセスを毎日実行する場合は、このフィールドに1と入力します。プロセスを1日おきに実行する場合は、このフィールドに2と入力します。

  6. 「日時」ドロップダウン・リストから、プロセスを開始する時刻を選択します。

  7. 「開始」をクリックします。

    指定した日付の選択した時刻にプロセスが実行され、その後、スケジュールしたとおりに継続して実行されます。

10.4.2 アクティビティ・グラフ・エンジンのオンデマンド実行

アプリケーションのデータがそれほど頻繁には変わらない可能性がある場合は、必要なときにアクティビティ・グラフ・エンジンをオンデマンド実行できます。このオプションは、定期的なスケジュール実行間隔中に、アクティビティ・グラフ・エンジンをオンデマンドで実行する目的でも使用できます。

アクティビティ・グラフ・エンジンをオンデマンドで実行するには:

  1. Fusion Middleware Controlにログインし、アクティビティ・グラフ・アプリケーション(activitygraph-engines)のホームページに移動します。

    ナビゲータを使用してページにアクセスし、次のいずれかを選択します。

    - 「アプリケーション・デプロイメント」→「activitygraph-engines」

    - 「WebLogicドメイン」→「wc_domain」→「WC_Utilities」「activitygraph-engines」

  2. 「Webモジュール」の下で、「アクティビティ・グラフのスケジュールとステータス」ページのURLをクリックし、ログインします。


    注意:

    このページにアクセスするには、Administratorsグループのメンバーである必要があります。

    「アクティビティ・グラフのスケジュールとステータス」ページでは、マルチバイトのユーザー名およびパスワードをサポートしていないため、ASCIIのみのユーザー名およびパスワードを使用してログインする必要があります。



    ヒント:

    「アクティビティ・グラフのスケジュールとステータス」ページには、次のURLに直接進んでアクセスすることもできます。

    http://host:port/activitygraph-engines
    

    ここで、http://host:portWC_Utilities管理対象サーバーのURLです。


  3. 「今すぐ1回実行」を選択します。

  4. アクティビティ・グラフ・エンジンの前回の実行以後に発生したアクティビティによって表を更新する場合は、「増分更新」を選択します。

    既存のすべてのデータを削除し、すべてのアクティビティを表に再移入する場合は、「完全再ビルド」を選択します。この場合、時間がかかることがあります。

  5. 「開始」をクリックします。

    ダイアログの「ステータス」セクションで、プロセスの進行状況をモニターできます。

  6. 必要に応じて「停止」をクリックすることによって、随時プロセスを停止できます。

  7. プロセスのオンデマンド実行後に定期的なスケジュールに戻す場合は、「スケジュールで実行」を必ず選択し、詳細に誤りがないことを確認して、「開始」をクリックします。それにより、スケジュールが再開されます。

10.5 類似度計算の理由文字列のカスタマイズ

類似度計算には、特定の推奨がなぜ行われたかをユーザーが理解するのに役立つ理由文字列を関連付けることができます。人またはオブジェクトが推奨されたときに、最も高いスコアリングに関連する類似度計算に理由文字列が関連付けられている場合、その文字列がタスク・フローに表示されます。類似度計算で表示される理由文字列は編集可能であり、また、追加の文字列を作成することもできます。

各類似度計算では、個々の理由ごとに単数形と複数形の2つのフレーズを定義できます。

理由文字列は次のトークンを使用してカスタマイズできます。

たとえば、user-connect類似度計算では、次の2つの理由文字列が定義されています。

reason-user-connect=You share {NUMBER_OF_ITEMS} connections with {RECOMMENDED_ITEM}.

reason-user-connect=You share {NUMBER_OF_ITEMS} connection with {RECOMMENDED_ITEM}.

類似度計算の理由文字列をカスタマイズする手順は次のとおりです。

  1. UIBundle.propertiesファイルを開きます。

  2. カスタマイズする理由文字列を見つけて、必要に応じて編集します。

  3. 新しい理由文字列を作成する場合は、次の形式を使用します。

    reason-similarity-calculation=string
    
  4. UIBundle.propertiesファイルを保存します。

10.6 アクティビティ・グラフ・スキーマのカスタマイズの管理

WebCenter Portalは、アクティビティ・グラフとの即時利用可能な統合を提供します。これには、分析からのWebCenter Portalイベント・データをマッピングするためのメタデータ定義が含まれます。このメタデータは、アクティビティ・グラフ・エンジン・アプリケーションの最初の起動時に自動的にロードされます。

XMLファイルを操作することによって、アクティビティ・グラフ・メタデータを拡張し、分析からのアクションの収集方法を変更できます。メタデータを使用するためには、まずデータをXMLファイルにエクスポートする必要があります。XMLファイルの編集後、メタデータをアクティビティ・グラフに再びインポートできます。

この項には次のトピックが含まれます:

アクティビティ・グラフ・メタデータを拡張する方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter PortalおよびOracle Jdeveloperでのポータルの開発』のアクティビティ・グラフの拡張に関する項を参照してください。

10.6.1 アクティビティ・グラフ・メタデータのエクスポート

WLSTコマンドのexportAGMetadataを使用して、アクティビティ・グラフ・メタデータ定義をXMLファイルにエクスポートします。コマンドの構文と例は、『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』のexportAGMetadataに関する項を参照してください。

例:

exportAGMetadata(appName='activitygraph-engines',
directoryPath='/scratch/monty', definitionFileName='activityGraphMetaData.xml',
includeProviderConfigurations=1)

WLSTコマンドの実行方法の詳細は、第1.13.3.1項「Oracle WebLogic Scripting Tool (WLST)コマンドの実行」を参照してください。

10.6.2 プロバイダ構成のエクスポート

WLSTコマンドのexportAGProviderConfigurationを使用して、特定のプロバイダに関するプロバイダ構成メタデータをアクティビティ・グラフ・メタデータ定義ファイルにエクスポートします。コマンドの構文と例は、『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』のexportAGProviderConfigurationに関する項を参照してください。

例:

exportAGProviderConfiguration(appName='activitygraph-engines',
directoryPath='/scratch/monty',
definitionFileName='activityGraph-analytics-mappings.xml',
urn='oracle.webcenter.activitygraph.providers.analytics')

WLSTコマンドの実行方法の詳細は、第1.13.3.1項「Oracle WebLogic Scripting Tool (WLST)コマンドの実行」を参照してください。

10.6.3 アクティビティ・グラフ・メタデータのインポート

WLSTコマンドのimportAGMetadataを使用して、アクティビティ・グラフ・メタデータ定義をXMLファイルからインポートします。コマンドの構文と例は、『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』のimportAGMetadataに関する項を参照してください。

WLSTコマンドの実行方法の詳細は、第1.13.3.1項「Oracle WebLogic Scripting Tool (WLST)コマンドの実行」を参照してください。

10.6.4 アクティビティ・グラフ・メタデータの削除

WLSTコマンドのdeleteAllAGMetadataを使用して、WebCenter Portalアプリケーションで定義されているすべてのアクティビティ・グラフ・メタデータを削除します。アクティビティ・グラフ・メタデータを完全に再インストールするには、このコマンドをWLSTコマンドimportAGMetadataと組み合せて使用します。コマンドの構文と例は、『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』のdeleteAllAGMetadataに関する項を参照してください。


注意:

このコマンドは、新しいメタデータ・セットをインポートすることを予定している場合にのみ使用してください。


アクティビティ・グラフの個別オブジェクトのメタデータは、次のWLSTコマンドを使用して削除できます。

  • ノード・クラス(deleteAGNodeClass)

  • アクション(deleteAGAction)

  • 類似度計算(deleteAGSimilarityCalculation)

  • ランク計算(deleteAGRankCalculation)

  • プロバイダ割当て(deleteAGProviderAssignment)

  • QRPP (deleteAGQRPPRegistration)


注意:

これらのdeleteメソッドでは、メタデータがスキーマから削除されます。その結果、アクティビティ・グラフ・エンジンの次回の実行時に、アクティビティ・データベース内のあらゆる関連データが削除されます。


詳細は、『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』のアクティビティ・グラフに関する項を参照してください。

10.6.5 アクション名およびノード・クラス名の変更

WLSTコマンドのrenameAGNodeClassを使用して、アクティビティ・グラフに現在登録されているノード・クラスのURNを変更します。コマンドの構文と例は、『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』のrenameAGNodeClassに関する項を参照してください。

WLSTコマンドのrenameAGActionを使用して、アクティビティ・グラフに現在登録されているアクションのURNを変更します。コマンドの構文と例は、『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』のrenameAGActionに関する項を参照してください。


注意:

これらのコマンドでは、影響を受けるノード・クラスまたはアクションに関連付けられたメタデータについては削除されません。


10.7 Oracle Secure Enterprise Searchのアクティビティ・ランクの設定

WebCenter PortalアプリケーションとFusionアプリケーションを介して提供されるエンタープライズ・コンテンツは充実した構造をしています。この構造はマルコフ連鎖分析という数学的技法の使用に役立ちます。この技法がランク・エンジンで使用され、より関連性の強い結果セットが生成されることで、エンド・ユーザーの検索を改善するアクティビティ・ランクが各ノードに生成されます。これは、Oracle Secure Enterprise Search (Oracle SES)検索索引に様々なオブジェクトの重要度のメジャーを導入することによって実現されます。その後、他の標準の検索基準(条件頻度など)と組み合せて、この重要度が結果の順序付けで考慮されます。オブジェクトの重要度の決定は、そのオブジェクトとのユーザーの対話の履歴に基づいて予測されます。

アクティビティ・ランクでは、人の重要度は、その人物が作成および編集するアイテムの数、それらのアイテムの重要度、その人物とコネクションがある人の数、およびそれらの人々の重要度に依存します。アイテムの重要度は、その作成者の重要度、そのアイテムを表示、タグ付けおよび編集する人々の数、およびそれらの人々の重要度に依存します。

ランク・エンジン・プロセスは次の4つのフェーズに分けることができます。

アクティビティ・ランク候補は、WebCenter Portalオブジェクトのうち、Oracle SESクローラ実装を持つオブジェクト、WebCenter Portal分析インストゥルメンテーションを持つオブジェクト、およびアクティビティ・グラフ・ランク計算への登録があるオブジェクトの共通部分に制限されます。

検索の動作に影響するアクティビティ・ランクをオブジェクトが受信するためには、イベント・データが分析から収集されること、ランク計算がアクティビティ・グラフによって生成されること、およびアクティビティ・グラフに登録されているいずれかのクラスに一致する値をwc_serviceId属性値として持つ索引付きエントリが検索に含まれることの条件をオブジェクトが満たすことが必要です。現在サポートされているオブジェクトは次のとおりです。


注意:

オブジェクトのクラス自体が検索可能でない場合でも、ランクは計算され、使用されます。


アクティビティ・ランクの計算で考慮されるアクションの範囲は、activityGraphMetaData.xmlファイルに指定されたrankCalculationによって定義されます。初期状態の宣言には次のユーザー・アクションが含まれています。

<component actionURN="connect" weight="10.0"/>
<component actionURN="edit" weight="20.0" inverse="true"/>
<component actionURN="view-count" weight="1.0"/>
<component actionURN="create" weight="100.0" inverse="true"/>
<component actionURN="create" weight="100.0"/>
<component actionURN="edit-count" weight="20.0"/>
<component actionURN="download" weight="5.0"/>
<component actionURN="tag" weight="10.0"/>
<component actionURN="comment" weight="10.0"/>

ここから、ドキュメントの表示という単一アクションの場合、そのドキュメントに対する重要度(weight="1.0")は、ドキュメントの作成アクション(weight="100.0")やタグ付けアクション(weight="10.0")に比べてきわめて低いことがわかります。

また、inverse属性がtrueに設定されている場合、オブジェクトとユーザー間のリレーションシップが示されます。このリレーションシップの効果は、ランクの高いオブジェクトによってユーザーが信頼性を高められることです。たとえば、他のユーザーがドキュメントに対して実行したアクション(タグ付け、表示、ダウンロード)によってそのランクが上昇するにつれ、そのドキュメントの作成者(createリレーションシップ)がそのドキュメントのランクを収集し、そのユーザーの将来のアクションの重みが増幅されます。

アクティビティ・グラフ・ランク・エンジンは、影響を受けるすべてのオブジェクトに関するランク計算を完了すると、1から10の範囲の正規化されたランクを持つ識別子の結果セットをプラグイン・クラスSesRankResultAcceptorに送信します。このクラスは、Oracle SES SOAP APIを使用して、検索索引にランクをそのままプッシュします。このランクは(Oracle SESではdocscoreと呼ばれています)、SOAP APIに受け入れられるとすぐに検索ランキングで考慮されます(DocScore機能が完全に有効化されている場合)。

したがって、結果セットの同じ階層内の複数のアイテムでは、docscoreがより高いアイテムが、より低いアイテムより高い検索スコアを取得するため、より高いアイテムはその階層内でより上位のランクに押し上げられる可能性があります。

始める前に

アクティビティ・ランクはOracle SESと連携して動作します。そのため、Oracle SESが適切にインストールおよび構成されていることを確認する必要があります。また、アクティビティ・ランクは検索可能アイテムにのみ作用するため、ランク・エンジンはSESクローラの実行後に実行してください。詳細は、第18章「WebCenter PortalでのOracle Secure Enterprise Searchの管理」を参照してください。

Oracle SESのアクティビティ・ランクを構成するには:

  1. ランク・エンジンでは、ACTIVITY-RANKに対して外部名DOC_SCORE_1を持つdocscore属性、およびLIKE-RANKに対して外部名DOC_SCORE_2を持つdocscore属性をそれぞれ使用することを期待しています。そのため、ストアド・プロシージャeq_sdata.create_sdata_attributeをコールすることによって、これらのフィールドを設定するための1回限りのマッピング・コールを実行する必要があります。

    exec eq_sdata.create_sdata_attribute('ACTIVITY-RANK');
    exec eq_sdata.create_sdata_attribute('LIKE-RANK');
    

    注意:

    これらのストアド・プロシージャは、Oracle SESインスタンスをホストするサーバーから呼び出す必要があります。


  2. また、これらの属性の重みを決定するエントリをOracle SES ranking.xmlファイルに追加する必要があります。

    Oracle SES 11.1.2.2の場合のみ、次のように追加します。

    <ranking>
      <docscore-factor>
        <attribute-name>ACTIVITY-RANK</attribute-name>
        <column-name>DOC_SCORE_1</column-name>
        <weight>1.0</weight>
      </docscore-factor>
      <docscore-factor>
        <attribute-name>LIKE-RANK</attribute-name>
        <column-name>DOC_SCORE_2</column-name>
        <weight>1.0</weight>
      </docscore-factor>
    </ranking>
    

    他のすべてのバージョンのOracle SESでは、次のように追加します。

    <ranking>
      <docscore-factor>
        <attribute-name>ACTIVITY-RANK</attribute-name>
        <column-name>DOC_SCORE_1</column-name>
        <weight>1.0</weight>
      </docscore-factor>
      <docscore-factor>
        <attribute-name>LIKE-RANK</attribute-name>
        <column-name>DOC_SCORE_2</column-name>
        <weight>1.0</weight>
      </docscore-factor>
      <docscore-factor>
        <attribute-name>Doc_Score</attribute-name>
        <weight>1.0</weight>
      </docscore-factor>
    </ranking>
    

    ヒント:

    ranking.xmlファイルは次のディレクトリにあります。

    $SES_HOME/search/webapp/config
    

  3. Oracle SES中間層を再起動して、変更を有効にします。

  4. WLSTコマンドのsetAGPropertyを使用して、次のアクティビティ・グラフ・プロパティを設定します。

    oracle.webcenter.activitygraph.providers.datasources.ses.soap.admin.url
    oracle.webcenter.activitygraph.providers.datasources.ses.soap.query.url
    

    例:

    setAGProperty(appName='activitygraph-engines',
    propertyName='oracle.webcenter.activitygraph.providers.datasources.ses.soap.admin.url',
    propertyValue='http://seshostname:7777/search/api/admin/AdminService',
    propertyType='String')
    
    setAGProperty(appName='activitygraph-engines',
    propertyName='oracle.webcenter.activitygraph.providers.datasources.ses.soap.query.url',
    propertyValue='http://seshostname:7777/search/query/OracleSearch',
    propertyType='String')
    

    これらのプロパティを設定すると、Oracle SESサーバーに接続して索引にランクを記録するSESRankResultAcceptorが有効化されます。

  5. WLSTコマンドのsetAGPasswordCredentialを使用して、2つのプロパティによって定義されたURLにアクセスするときに使用するユーザー名とパスワードを設定します。


    注意:

    検索可能なすべてのアイテムへのアクセス権を持つユーザーと一致する資格証明を指定してください。


    例:

    setAGPasswordCredential(appName='activitygraph-engines',
    propertyName='oracle.webcenter.activitygraph.providers.datasources.ses.soap.admin.credential',
    userName='eqsys',
    password='MyPassword1')
    
    setAGPasswordCredential(appName='activitygraph-engines',
    propertyName='oracle.webcenter.activitygraph.providers.datasources.ses.soap.query.credential',
    userName='orcladmin',
    password='MyPassword1')
    
  6. アクティビティ・グラフ・エンジン・アプリケーションがデプロイされている管理対象サーバー(つまり、WC_Utilities管理対象サーバー)を再起動します。

10.8 推奨に関する問題のトラブルシューティング

この項では、アクティビティ・グラフの使用中に発生する可能性がある問題のトラブルシューティングに役立つ情報を提供します。


注意:

次に示すトラブルシューティングの解決法では、アクティビティ・グラフ・エンジンが正しくデプロイされていること、WC_Utilities管理対象サーバーが稼働していること、およびopenusage enabledプロパティがtrueに設定されていることを前提としています。

また、第10.3項「アクティビティ・グラフの前提条件」も必ず読んでおいてください。


10.8.1 アクティビティ・グラフ・エンジンの「スケジュールとステータス」ページのトラブルシューティング

問題

アクティビティ・グラフ・エンジンの実行中に、「アクティビティ・グラフのスケジュールとステータス」ページでエラーがスローされる

解決策

この場合の基本的な検証内容は、WebLogicコンソールからアクティビティ・グラフ・エンジンのデプロイ・ステータスを検証することです。

問題

「スケジュールとステータス」ページからアクティビティ・グラフ・エンジンを起動したときに、エンジンのステータスがUIに反映されない。

解決策

アクティビティ・グラフのログで、エンジンが実際に実行されているかどうか確認します。エンジンが実行されていることがログに示されている場合は、問題はUIのみに関連します。この場合、タスク・フローに表示される推奨には影響しません。収集/CFEエンジンのエントリがログに何も示されていない場合は、イベント・マッピング・ファイルに問題がある可能性があります。


ヒント:

アクティビティ・グラフ・エンジンのログは次の場所にあります。

domain/log/WC_Utilities.out
domain/servers/WC_Utilities/logs/WC_Utilities-diagnotics.log

問題

「アクティビティ・グラフのスケジュールとステータス」ページにログインできない。

解決策

「アクティビティ・グラフのスケジュールとステータス」ページでは、マルチバイトのユーザー名およびパスワードはサポートされていません。ASCII文字のみのユーザー名とパスワードを持つ管理者としてログインしてください。