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Oracle® GoldenGate DB2 for iのためのOracle GoldenGateのインストールおよび構成
12c (12.1.2)
B70207-03
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1 システム要件とインストール前の指示

この章では、Oracle GoldenGateをサポートするシステムおよびデータベース・リソースの要件について説明します。

この章は次の項で構成されています:

1.1 IBM DB2 for i用Oracle GoldenGateの概要

IBM DB2 for i用Oracle GoldenGateを使用すると、サポートされている類似のまたは異なるDB2 for iバージョン間でデータをレプリケートしたり、DB2 for iデータベースと他のタイプのデータベースとの間でデータをレプリケートできます。DB2 for i用Oracle GoldenGateでは、このドキュメントに特に記載がないかぎり、データのフィルタ処理、マッピングおよび変換がサポートされます。

DB2 for i用Oracle GoldenGateをDB2 for iソース・システムで直接実行し、レプリケーション用トランザクション・ジャーナルからターゲット・システムへデータを取得します。ターゲットDB2 for iデータベースにデータを適用するには、Oracle GoldenGateをDB2 for iターゲット・システムで直接実行するか、リモートのWindowsまたはLinuxシステムで実行します。リモート・システムにインストールした場合は、ReplicatがODBC接続を使用してデータを配信するため、Oracle GoldenGateソフトウェアはDB2 for iターゲットにはインストールしません。


注意:

DB2 for iプラットフォームでは、1つ以上のジャーナルを使用してトランザクション変更データのレコードが保持されます。ベースとなるOracle GoldenGateの管理ドキュメントやリファレンス内の用語との一貫性を保つため、「ジャーナル」という語を使用する必要性がない場合、「ログ」または「トランザクション・ログ」という語を「ジャーナル」と区別せずに使用します。その他のOracle GoldenGateドキュメントのリストは、*項「関連ドキュメント」を参照してください。

1.2 サポートされるプラットフォーム

データベース・バージョンとオペレーティング・システムの特定の組合せで使用可能なOracle GoldenGateのビルドを確認するには、http://support.oracle.comにログオンし、「動作保証」タブを選択します。不明な点がある場合は、「動作保証検索のヒント」をクリックしてください。

このサイトに入るには、電子メールとパスワードが必要です。

1.3 オペレーティング・システム要件

この項では、ローカル・オペレーティング・システムでのOracle GoldenGateのサポートの要件を概説します。

1.3.1 一般的な要件

  • Portable Application Solution Environment (PASE)がシステムにインストールされている必要があります。

  • OpenSSHのシステムへのインストールをお薦めします。OpenSSHは、IBM Portable Utilitiesライセンス付きプログラムに含まれており、これを使用すると、SSH端末からシステムへ他のLinuxシステムと同様にアクセスできます。

  • 次の各表に、Oracle GoldenGateのリリースで必要なIBM DB2 for iのプログラム一時修正(PTF)の詳細をまとめます。

    IBM i7.1のグループPTF レベル 名前 注意
    SF99710 13037 累積PTF その他の必須PTF: 5770SS1、SI51060

    コマンドによる確認: DSPPTF LICPGM(5770SS1) SELECT(SI51060)

    SF99701 26 DB2 for i
    SF99709 99 グループHIPER
    SF99367 7 TCP/IP
    SF99572 12 JAVA Javaエージェントではプロダクト5761JV1オプション12 (Java SE 6 64ビット)が必要です。

    IBM i6.1のグループPTF レベル 名前 注意
    SF99610 13058 累積PTF その他の必須PTF: 5761SS1、SI51061、コマンドによる確認: DSPPTF LICPGM(5761SS1) SELECT(SI51061)
    SF99601 30 DB2 for i
    SF99609 153 グループHIPER
    SF99354 15 TCP/IP
    SF99562 24 JAVA Javaエージェントではプロダクト5761JV1オプション12 (Java SE 6 64ビット)が必要です。

    IBM OS/400 V5R4のグループPTF レベル 名前 注意
    SF99540 12094 累積PTF その他の必須PTF: 5722SS1、SI50721、

    コマンドによる確認: DSPPTF LICPGM(5722SS1) SELECT(SI50721)

    SF99504 33 DB2 for i
    SF99539 198 グループHIPER
    SF99315 22 TCP/IP
    SF99291 33 JAVA Javaエージェントではプロダクト5761JV1オプション10 (Java Developer Kit)が必要です。

    これらの必須PTFのレベルは、11g R2リリースおよび12cリリースのOracle GoldenGateがテストされる対象となったレベルです。グループPTFレベルを確認するには、5250端末セッションからWRKPTFGRPコマンドを使用し、前述の表に記載されているコマンドで特定のPTFを確認する必要があります。特定の必須以外のPTFは、少なくとも一時的に適用する必要があります。

1.3.2 メモリー要件

Oracle GoldenGateに必要なメモリー量は、処理されるデータ量、実行するOracle GoldenGateプロセス数、Oracle GoldenGateで使用できる主記憶域(RAMまたは物理メモリー)の量、使用可能な物理メモリーを超えるトランザクション・データのキャッシュにOracle GoldenGateで使用できる補助記憶域(共有メモリー・セグメントとして使用可能なディスク領域)の量によって異なります。

Oracle GoldenGateによって使用される主記憶域の量は、Oracle GoldenGateプロセスではなく、オペレーティング・システムによって制御されます。Oracle GoldenGateキャッシュ・マネージャは、オペレーティング・システムのメモリー管理機能を利用して、Oracle GoldenGateプロセスを持続的かつ効率的に機能させます。

DB2 for iプラットフォームでは、Oracle GoldenGateキャッシュ・マネージャに十分な共有メモリー・セグメントを用意するために、PASE_MAXSHR64環境変数に推奨される設定値は513 (128GB)以上です。DB2 for iネイティブのOracle GoldenGateコマンドを使用する場合は、PASE_MAXSHR64を設定してキャッシュ・マネージャに128GBの共有メモリー・セグメントを自動的に用意します。DB2 for iネイティブ・コマンドを使用しない場合は、DB2 for i PASEセッションを開始する前にこの環境変数を設定できます。Oracle GoldenGateのメモリー要件の評価の詳細は、Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXCACHEMGRパラメータに関する項を参照してください。


注意:

PASE_MAXSHR64が設定されていない場合、仮想メモリーが推奨量より少ないことを示す警告メッセージが表示される場合があります。トランザクションが非常に大規模で長時間の場合や同時トランザクションの数が非常に多い場合以外、このメッセージは無視してもかまいません。

1.3.3 ディスク要件

この項では、Oracle GoldenGateのディスク要件を概説します。

  • Oracle GoldenGateダウンロード・ファイルのサイズを確認するには、Oracle Software Delivery Cloudから選択したビルドをダウンロードする前に、「サイズ」列を表示します。表示される値は、圧縮形式でのファイルのサイズです。ディスクで解凍した後のOracle GoldenGateインストール・ディレクトリのサイズは、それより大幅に大きくなります。詳細は、2.2項「Oracle GoldenGateのダウンロード」を参照してください。

  • 仮想メモリー用に十分なディスク領域を使用可能にします。Oracle GoldenGateキャッシュ・マネージャによって設定されるデフォルトは、64ビット・システムでは64GBです。メモリー管理の詳細は、1.3.2項「メモリー要件」を参照してください。

  • Oracle GoldenGate証跡(作業用データが含まれているファイル)をホストするシステムに追加で1GBのディスク領域。証跡によって消費される領域は処理されるデータ量に応じて異なるため、これとは多少異なる容量が必要となる場合があります。Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIXで証跡のサイズ設定のガイドラインを参照してください。

1.3.4 ネットワーク要件

Oracle GoldenGateは、次のネットワーク・リソースを必要とします。

  • DNSを含むTCP/IPサービスを使用するようにシステムを構成します。Oracle GoldenGateはIPv4とIPv6をサポートし、これらのプロトコルのいずれか、または両方ともがサポートされるシステムで稼働します。

  • Oracle GoldenGateのプロセスをホストし、Oracle GoldenGateの接続先となるすべてのシステムのホスト名またはIPアドレスを使用してネットワークを構成します。ホスト名を使用する方が簡単です。

  • Oracle GoldenGateでは、予約されていない制限なしのTCP/IPポートが必要とされます。必要な数は、構成内のプロセスの数とタイプによって異なります。必要なポートに対応するようManagerプロセスを構成する方法の詳細は、Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIXを参照してください。

  • Oracle GoldenGateに割り当てたポートを記録します。Managerプロセスの構成時にパラメータを使用してそれらを指定します。

  • Oracle GoldenGateポートを介した接続を受け入れるようにファイアウォールを構成します。

1.3.5 Oracle GoldenGateセキュリティ権限

この項では、Oracle GoldenGateがソースDB2 for iシステムおよびWindowsまたはLinuxターゲット・システムで必要とするセキュリティ権限について概説します。

1.3.5.1 DB2 for iソース・システムでのOracle GoldenGateセキュリティ権限

サブディレクトリを作成する処理やプログラムを実行する処理を実行するため、Oracle GoldenGateをインストールするユーザーに、Oracle GoldenGateのインストール・ディレクトリに対する読取りと書込みの権限が必要です。このユーザーにはRSTOBJコマンドに対する権限も必要です。また、必要に応じてライブラリを作成できる必要があります。インストールを簡単にするために、製品をインストールするユーザーは*ALLOBJ権限を保有することをお薦めします。

DB2 for iソース・システムでは、ManagerおよびExtractプロセスがアクティブです。異なるターゲット・システムにデータをレプリケートする場合、DEFGENユーティリティもアクティブです。DB2 for iターゲット・システムでは、リモートのWindowsまたはLinuxシステムにReplicatをインストールしないかぎり、Replicatプロセスはアクティブです。どちらのシステムでもプロセスはすべて双方向構成で実行されます。

Oracle GoldenGateプロセスに、Oracle GoldenGate専用のユーザー・プロファイル・アカウントを割り当てます。他のプログラムでは使用できません。1つのユーザー・プロファイルをすべてのOracle GoldenGateプロセスで使用できます。このプロファイルでは、Oracle GoldenGateによる操作対象のオブジェクトにのみ権限を付与します。特定の変更データがOracle GoldenGateからアクセスできない場合、そのデータは、Oracle GoldenGateユーザー・プロファイルからアクセス可能なジャーナルには含めないでください。すべてのOracle GoldenGateプロセスに、Oracle GoldenGateインストール・ディレクトリ内のファイルおよびディレクトリの読取り、書込みおよび削除権限が必要です。

Managerプロセスには、他のすべてのOracle GoldenGateプロセスを制御する権限が必要です(DB2 for i *JOBCTL権限)。

Extractユーザー・プロファイルがアクセスする必要のあるシステム上のすべてのオブジェクトには、*USE権限を割り当てます。Replicatユーザー・プロファイルがアクセスする必要のあるシステム上のすべてのオブジェクトには、*CHANGE権限を割り当てます。これを行うには、*ALLOBJ権限をユーザーに付与するか、ユーザーがアクセスする必要のあるオブジェクト(FILELIBRARYおよびJOURNALオブジェクト)に個別の権限を設定します。これには、SQLカタログが含まれるQSYS2ライブラリ内のオブジェクトが含まれます。これらの権限は、5250端末セッションを介したネイティブDB2 for iインタフェース、またはIBM社から入手できるDB2 for i Operations Navigator製品を使用して付与する必要があります。

ExtractおよびReplicatのユーザー・プロファイルは、パラメータ・ファイルを構成する(第4章「DB2 for iのためのOracle GoldenGateの構成」を参照)ときに、データベースとやり取りするGGSCIコマンドを発行する前に、DBLOGINコマンドでUSERIDパラメータを使用して指定する必要があります。

1.3.5.2 WindowsまたはLinuxシステムでのOracle GoldenGateセキュリティ権限

サブディレクトリを作成する処理やプログラムを実行する処理を実行するため、Oracle GoldenGateをインストールするユーザーに、Oracle GoldenGateのインストール・ディレクトリに対する読取りと書込みの権限が必要です。Windowsでは、Oracle GoldenGateをインストールするユーザーは管理者としてログインする必要があります。

WindowsまたはLinuxシステムでは、Manager、ReplicatおよびCollector(プログラム名は"server")がアクティブです。Managerは、他のプロセスを制御し、受信データを受け取るCollectorと対話します。Replicatは、ODBCを介してターゲットDB2 for iデータベースにデータを適用します。

Oracle GoldenGateプロセスに、Oracle GoldenGate専用のユーザー・アカウントを割り当てます。他のプログラムでは使用できません。1つのユーザー・アカウントをすべてのOracle GoldenGateプロセスで使用できます。このアカウントには、Oracle GoldenGateインストール・ディレクトリ内のファイルおよびディレクトリの読取り、書込みおよび削除権限が必要です。

Extractユーザー・プロファイルに必要な権限がない場合、Extractは次のエラーを記録して停止します。

[SC=-1224:SQL1224N A database agent could not be started to service a request, or was terminated as a result of a database system shutdown or a force command.SQL STATE 55032: The CONNECT statement is invalid, because the database manager was stopped after this application was started]

ユーザー・プロファイルは、パラメータ・ファイルを構成する(第4章「DB2 for iのためのOracle GoldenGateの構成」を参照)ときに、データベースとやり取りするGGSCIコマンドを発行する前に、DBLOGINコマンドでUSERIDパラメータを使用して指定する必要があります。

1.4 サポートされているDB2 for iデータ型

Oracle GoldenGateでは、「サポートされていないDB2 for iデータ型」に示されているデータ型を除くすべてのDB2 for iデータ型がサポートされます。

サポートの制限

Extractは、TIMESTAMP(0)からTIMESTAMP(6)までの取得および適用を完全サポートします。ExtractはTIMESTAMP(7)からTIMESTAMP(12)までの取得も行いますが、データをマイクロ秒(最大6桁の端数)までで切り捨て、警告をエラー・ログに出力します。Replicatは、DB2 for iターゲットで他のソースからのタイムスタンプ・データをTIMESTAMP(7)からTIMESTAMP(12)までに適用する際、マイクロ秒までで切り捨てます。

Oracle GoldenGateでは、0001/01/03:00:00:00.000000から9999/12/31:23:59:59.999999までのタイムスタンプ・データがサポートされます。タイムスタンプがGMTからローカル時間に変換される場合、これらの制限も結果のタイムスタンプに適用されます。タイムゾーンに応じて、変換により時間が追加または引かれる場合があり、これにより、タイムスタンプがサポートされている上限を超えたり、下回ったりすることがあります。

1.5 サポートされていないDB2 for iデータ型

Oracle GoldenGateでは、次のIBM for iデータ型はサポートされません。

  • XML

  • DATALINK

  • DECFLOAT

  • ユーザー定義型

1.6 DB2 for iについてサポートされているオブジェクトおよび操作

Oracle GoldenGateでは、次のDB2 for iオブジェクトと操作がサポートされます。

  • システム名(大文字)で識別されるデフォルトのDB2 for iデータベースのみがサポートされます。独立補助ストレージ・プール(IASP)の名前付きデータベースはサポートされません。

  • DML操作の抽出およびレプリケーション

  • 行の最大長がデータベースでサポートされている表。

  • データベースでサポートされている列の最大数、最大サイズまでの数およびサイズの列を含む表。

  • TRUNCATE TABLEおよびClear Physical File Member (CLRPFM)

  • マテリアライズ問合せ表自体ではなく、MQTの基となるベース表。ターゲット・データベースは、Replicatによってベース表に適用された変更に基づいて、自動的にMQTの内容を整備します。

  • 別名(SQL表を使用する際、*FILEオブジェクトの最初のメンバー以外のメンバーのレプリケーションを可能にします)

1.7 DB2 for iについてサポートされていないオブジェクトおよび操作

Oracle GoldenGateでは、次のDB2 for iに対するオブジェクトおよび操作はサポートされません。

  • DDL操作

  • 末尾に空白を含むスキーマ名、表名および列名。

  • データベースの複数インスタンス

  • パーティション表

1.8 DB2 for iに対してサポートされないOracle GoldenGateパラメータ

この項には、DB2 for iプラットフォームに対してサポートされないOracle GoldenGate構成パラメータの一部を示します。Oracle GoldenGateのパラメータとそのパラメータでサポートされるデータベースの詳細は、Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXを参照してください。


BATCHSQL (V5R4およびi6.1でのみサポートされません)
BR
ASCIITOEBCDICおよびEBCDICTOASCII
BINARYCHARS
CHARSET
CHARSETCONVERSION
LOBMEMORY
TRAILCHARSETEBCDIC
AES暗号化を使用する暗号化オプション

1.9 サポートされているオブジェクト命名規則

Oracle GoldenGateでは、SQL命名規則がサポートされます。library/file(member)という形式のネイティブ・ファイル・システム名もサポートされます。

ネイティブ(システム)名の場合、Oracle GoldenGateでワイルドカードに関する標準のDB2 for i命名規則がサポートされ、*ALLまたは名前の一部分の後ろにアスタリスク(*)ワイルドカードを付加したものを使用できます。例を次に示します。

  • library/*all(*all)

  • library/a*(a*)

  • library/abcde*

Oracle GoldenGateでは、ライブラリ名に対するワイルドカードの使用は許可されません。

メンバー名はオプションで省略できます。その場合、すべてのメンバーのデータが抽出されますが、ライブラリ名とファイル名のみが取得され、証跡に書き込まれるレコードに含められます。その結果、データは、ソースの1つのメンバーのみから取得されたように見え、メンバー間でキーの重複がある場合、ターゲットで整合性の競合が起きる可能性があることに注意してください。証跡のレコードにメンバー名を含めるには、メンバーを明示的に含めるか、ワイルドカードのメンバー指定を使用して含めます。

SQL名の場合、DB2 for iシステムでのSQLの標準の処理に従って、基になるネイティブ・ファイルの最初のメンバーのみが抽出されます。SQL名の場合、Oracle GoldenGateで表名に対してはワイルドカードの使用はサポートされますが、スキーマ名に対してはサポートされません。ワイルドカードを使用したSQL名の詳細は、Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIXを参照してください。