この章では、DB2 LUWソースおよびターゲット・データベースのためにOracle GoldenGateを構成するのに必要な基本手順について概説します。
この章の内容は次のとおりです。
ここでは、次のプロセスの基本パラメータ(構成)ファイルを構成する方法を示します。
プライマリExtract(データ・ソースからトランザクション・データを取得)
データ・ポンプExtract(ローカル記憶域からターゲット・システムにデータを伝播)
Replicat(レプリケートされたデータをターゲット・データベースに適用)
ビジネス要件によってはより複雑なトポロジが必要ですが、この手順がその他の構成手順の基礎となります。
手順を実行することで、次のことが可能です。
基本的な構成ファイルが作成されます。
環境に適用する機能や要件を決定する際にパラメータを追加して、後から作成します。
コピーを使用して、一から作成するよりも短時間で追加パラメータ・ファイルを作成します。
次に関する詳細は、Oracle GoldenGate Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIXを参照してください。
構成しているプロセスおよびファイル
詳細な構成情報
セキュリティ・オプション
データ統合オプション(フィルタリング、マッピング、変換)
複雑なトポロジの構成手順
レプリケーション環境の初期インスタンス化を実行する手順
管理トピック
次の手順では、トランザクション・データをソースDB2 LUWデータベースから取得し、一時的な格納のためにデータをローカル証跡に書き込むプライマリExtractを構成します。
ソース・システムのGGSCIで、Extractパラメータ・ファイルを作成します。
EDIT PARAMS name
name
は、プライマリExtractの名前です。
次に示す順序でExtractパラメータを入力します。パラメータ文ごとに新しい行を開始します。詳細およびパラメータの説明は、表4-1を参照してください。
プライマリExtractの基本パラメータ
EXTRACT finance SOURCEDB mysource, USERIDALIAS myalias LOGALLSUPCOLS ENCRYPTTRAIL AES192 EXTTRAIL /ggs/dirdat/lt TABLE hr.*;
表4-1 プライマリExtractの基本パラメータ
パラメータ | 説明 |
---|---|
EXTRACT |
|
SOURCEDB |
ソースDB2 LUWデータベースの実際の名前(別名ではなく)と、Extractに割り当てられているユーザーのデータベース・ログイン資格証明を指定します。この資格証明は、Oracle GoldenGate資格証明ストアに存在する必要があります。詳細は、1.3.2項「Oracle GoldenGateプロセス用データベース・ユーザー」を参照してください。 |
ENCRYPTTRAIL |
ローカル証跡を暗号化します。Oracle GoldenGateの証跡暗号化オプションの詳細は、Oracle GoldenGate Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIXを参照してください。 |
EXTTRAIL |
一時的な格納のために、取得したデータをプライマリExtractが書き込むローカル証跡のパス名を指定します。 |
TABLE |
データを取得するデータベース・オブジェクトを指定します。
ワイルドカードを使用して、または使用せずにオブジェクト名を指定する方法の詳細は、Oracle GoldenGate Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIXを参照してください。DB2 LUWではアスタリスク(*)ワイルドカードのみがサポートされます。このデータベースでは疑問符(?)ワイルドカードはサポートされません。 パラメータ文はセミコロンで終了します。 ワイルドカード指定から表を除外するには、 詳細およびデータのフィルタリング、マッピングおよび操作を制御するその他の |
構成に推奨されるオプションのExtractパラメータを入力します。このファイルは、GGSCIのEDIT PARAMS
コマンドを使用して、処理を開始する前にいつでも編集できます。パラメータのリストおよび詳細なリファレンスへのリンクについては、Oracle GoldenGate Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXを参照してください。
ファイルを保存して閉じます。
次の手順では、ローカル証跡を読み取り、データをネットワーク経由でターゲット上のリモート証跡に送信するデータ・ポンプを構成します。データ・ポンプはオプションですが、使用することをお薦めします。
ソース・システムのGGSCIで、データ・ポンプ・パラメータ・ファイルを作成します。
EDIT PARAMS name
name
は、データ・ポンプExtractの名前です。
次に示す順序でデータ・ポンプ・パラメータを入力します。パラメータ文ごとに新しい行を開始します。入力変数は異なるものになります。説明については、表4-2を参照してください。
データ・ポンプExtractグループの基本パラメータ:
EXTRACT extpump SOURCEDB mypump, USERIDALIAS myalias RMTHOST fin1, MGRPORT 7809 ENCRYPT AES192, KEYNAME securekey2 RMTTRAIL /ggs/dirdat/rt TABLE hr.*;
表4-2 データ・ポンプExtractの基本パラメータ
パラメータ | 説明 |
---|---|
EXTRACT |
|
SOURCEDB |
ソースDB2 LUWデータベースの実際の名前(別名ではなく)と、Extractに割り当てられているユーザーのデータベース・ログイン資格証明を指定します。この資格証明は、Oracle GoldenGate資格証明ストアに存在する必要があります。詳細は、1.3.2項「Oracle GoldenGateプロセス用データベース・ユーザー」を参照してください。 |
RMTHOST |
その他のオプションおよび暗号化の詳細は、Oracle GoldenGate Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXを参照してください。 |
RMTTRAIL |
リモート証跡のパス名を指定します。詳細は、Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXを参照してください。 |
TABLE |
表または順序、またはワイルドカードで指定された複数のオブジェクトを指定します。ほとんどの場合、このリストはプライマリExtractパラメータ・ファイルのリストと同じです。
ワイルドカードを使用して、または使用せずにオブジェクト名を指定する方法の詳細は、Oracle GoldenGate Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIXを参照してください。DB2 LUWではアスタリスク(*)ワイルドカードのみがサポートされます。このデータベースでは疑問符(?)ワイルドカードはサポートされません。 パラメータ文はセミコロンで終了します。 ワイルドカード指定から表を除外するには、 詳細およびデータのフィルタリング、マッピングおよび操作を制御するその他の |
構成に推奨されるオプションのExtractパラメータを入力します。このファイルは、GGSCIのEDIT PARAMS
コマンドを使用して、処理を開始する前にいつでも編集できます。パラメータのリストおよび詳細なリファレンスへのリンクについては、Oracle GoldenGate Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXを参照してください。
ファイルを保存して閉じます。
次の手順では、DB2 LUWターゲット・システムでReplicatプロセスを構成します。他のタイプのデータベースにReplicatを構成する場合は、そのデータベースのインストールおよび構成マニュアルを参照してください。
チェックポイント表はReplicatの必須コンポーネントです。
Replicatは、リカバリ・チェックポイントをチェックポイント表に保持して、ターゲット・データベースに格納します。チェックポイントは、Replicatトランザクション内でチェックポイント表に書き込まれます。チェックポイントはトランザクションに対して成功または失敗のいずれかであるため、プロセスまたはデータベースで障害が発生した場合でも、トランザクションは一度のみ適用されることがReplicatにより保証されます。
チェックポイント表を構成する場合は、Oracle GoldenGate Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIXを参照してください。
次の手順では、Replicatプロセスを構成します。このプロセスでは、レプリケートされたデータがDB2 LUWターゲット・データベースに適用されます。
ターゲット・システムのGGSCIで、Replicatパラメータ・ファイルを作成します。
EDIT PARAMS name
name
は、Replicatグループの名前です。
次に示す順序でReplicatパラメータを入力します。パラメータ文ごとに新しい行を開始します。説明については、表4-3を参照してください。
Replicatグループの基本パラメータ:
REPLICAT financer TARGETDB mytarget, USERIDALIAS myalias ASSUMETARGETDEFS MAP hr.*, TARGET hr2.*;
表4-3Replicatの基本パラメータ
パラメータ | 説明 |
---|---|
REPLICAT |
|
TARGETDB |
ターゲットDB2 LUWデータベースの実際の名前(別名ではなく)と、Replicatに割り当てられているユーザーのデータベース・ログイン資格証明を指定します。この資格証明は、Oracle GoldenGate資格証明ストアに存在する必要があります。詳細は、1.3.2項「Oracle GoldenGateプロセス用データベース・ユーザー」を参照してください。 |
ASSUMETARGETDEFS |
データ定義の解釈方法を指定します。 ソース表とターゲット表の定義が異なる場合は、かわりに |
MAP |
ソース表または複数オブジェクト、および対応するターゲット・オブジェクトの間の関係を指定します。
このパラメータ文はセミコロンで終了します。 DB2 LUWではアスタリスク(*)ワイルドカードのみがサポートされます。このデータベースでは疑問符(?)ワイルドカードはサポートされません。ワイルドカード指定から表を除外するには、 詳細およびデータのフィルタリング、マッピングおよび操作を制御するその他の |
構成に推奨されるオプションのReplicatパラメータを入力します。このファイルは、GGSCIのEDIT PARAMS
コマンドを使用して、処理を開始する前にいつでも編集できます。パラメータのリストおよび詳細なリファレンスへのリンクについては、Oracle GoldenGate Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXを参照してください。
ファイルを保存して閉じます。
Oracle GoldenGateは柔軟性に富んでおり、プロセスを起動する前に検討する必要のある機能やオプションが数多く用意されています。ビジネス・ニーズにあわせてOracle GoldenGateを詳細に構成するには、次を参照してください。
特定のレプリケーション・トポロジを実現するためのその他の構成のガイドラインについては、Oracle GoldenGate Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIXを参照してください。このガイドには、次の情報も記載されています。
Oracle GoldenGateのアーキテクチャ
Oracle GoldenGateのコマンド
Oracle GoldenGateの初期ロード方法
セキュリティの構成
カスタマイズ機能の使用
異なるデータを含む列のマッピング
データのフィルタリングおよび操作
このガイドに示されているOracle GoldenGate GGSCIコマンドおよびOracle GoldenGateパラメータの構文オプションと説明については、Oracle GoldenGate Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXを参照してください。
レプリケーションは、ソース・データとターゲット・データが同期している状態、つまり、ソース表とターゲット表の対応する行に同一のデータ値が含まれる場合に開始する必要があります。現在のユーザー・アクティビティがない完全に新規のソース・データベースとターゲット・データベースから始める場合以外、変更の取得を有効にし、初期ロードをターゲットに適用する間に進行中のトランザクション変更を処理するプロセスを適用する必要があります。このプロセスは初期同期、またはインスタンス化とも呼ばれます。初期ロードでは、ソース・データのポイントインタイム・スナップショットが取得されてターゲットに適用されると同時に、その時点以降に行われた変更がOracle GoldenGateによって保持されます。
インスタンス化オプションについては、Oracle GoldenGate Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIXを参照してください。
本番マシンにデプロイする前に、テスト環境で構成をテストすることが重要です。これは、信頼できるソースのデータがレプリケーション・プロセスからアクセスされる可能性のあるアクティブ/アクティブまたは高可用性の構成で特に重要です。テストによって、ターゲットでの再ロードや他のトラブルシューティング・アクティビティのためにユーザー・アクティビティを中断することなく、構成の誤りやデータの問題を検出して解決できます。