この章では、データベース環境に適用可能な構成のその他の考慮事項について説明します。
この章の内容は次のとおりです。
Oracle GoldenGateでは、レプリケートされた更新および削除に対して正しいターゲット行を見つけるために、ソース表とターゲット表に一意の行識別子が必要です。TABLE
文またはMAP
文で、KEYCOLS
句を使用しない場合には、ロギングされる制約数およびタイプに応じて、Oracle GoldenGateにより、使用される行識別子が次の優先順位で選択されます(3.2項「ロギング・プロパティの構成」を参照)。
拡張(32K) VARCHAR2/NVARCHAR2
列が含まれない場合は、主キー。
一意キー。非統合Replicatの場合、一意キーの選択は次のとおりです。
仮想列、UDT、ファンクション・ベース列、NULL値可能列、および拡張(32K) VARCHAR2/NVARCHAR2
列がない英数字順で最初の一意キー。表示されない索引の一部である列を含むキーをサポートするには、Oracle GoldenGate GLOBALS
ファイルでALLOWINVISIBLEINDEXKEYS
パラメータを使用する必要があります。
仮想列、UDT、拡張(32K) VARCHAR2/NVARCHAR2
列、ファンクション・ベース列はないが、Null値可能列がある英数字順で最初の一意キー。表示されない索引の一部である列を含むキーをサポートするには、Oracle GoldenGate GLOBALS
ファイルでALLOWINVISIBLEINDEXKEYS
パラメータを使用する必要があります。
前のどのキー型も存在しない場合(表に定義されているその他のキー型が存在する可能性があっても)、Oracle GoldenGateによって、一意なキーでデータベースを使用できるすべての列の擬似キー(仮想列、UDT、ファンクション・ベース列、拡張(32K) VARCHAR2/NVARCHAR2
列、およびOracle GoldenGateユーザーによって、Oracle GoldenGate構成から明示的に除外されている列を除く)が作成されます。
注意: 表に使用可能な他のキーがない場合や、表にキーがまったくない場合、Oracle GoldenGateは該当するメッセージをレポート・ファイルに記録します。すべての列からキーを作成すると、ソース・システムのOracle GoldenGateのパフォーマンスが低下します。ターゲットでは、このキーはReplicatであまり効率的でないより大きいWHERE 句が使用される原因となります。 |
表に適切なキーがない場合、あるいは既存のキーを使用しない場合は、表に一意の値が常に含まれる列があれば、代替キーを定義できます。ExtractのTABLE
パラメータとReplicatのMAP
パラメータ内にKEYCOLS
句を含めることで、この代替キーを定義します。指定されたキーがOracle GoldenGateで検出される既存の主キーまたは一意なキーよりも優先されます。詳細は、『Oracle GoldenGate for Windows and UNIXリファレンス』を参照してください。
Oracle順序をサポートするには、いくつかのデータベース・プロシージャをインストールする必要があります。これらのプロシージャは、Oracle GoldenGateプロセスを初めて起動した直後(通常、初期データ同期手順を実行するとき)に発行するOracle GoldenGate FLUSH SEQUENCE
コマンドをサポートします。
Oracle順序オブジェクトのインストール手順
ソース・システムおよびターゲット・システムで、手順を実行します。
SQL*Plusで、SYSDBA
としてソースおよびターゲットのOracleシステムに接続します。
Oracle GoldenGate DDLレプリケーション機能をサポートするデータベース・ユーザーがすでに割り当てられている場合は、この手順をスキップできます。そうでない場合は、両方のシステムのSQL*Plusで、DDLユーザーでもあるデータベース・ユーザーを作成します。
CREATE USERDDLuser
IDENTIFIED BYpassword
; GRANT CONNECT, RESOURCE, DBA TODDLuser
;
各システムのOracle GoldenGateインストール・ディレクトリからGGSCIを実行します。
GGSCIで、次のコマンドを各システムで発行します。
EDIT PARAMS ./GLOBALS
各GLOBALS
ファイルにGGSCHEMA
パラメータを入力し、この手順の前の部分で作成したDDLユーザーのスキーマを指定します。
GGSCHEMA schema
ファイルを保存し、閉じます。
両方のシステムのSQL*Plusで、sequence.sql
スクリプトをOracle GoldenGateインストール・ディレクトリのルートから実行します。このスクリプトは、Oracle GoldenGateプロセスで使用するいくつかのプロシージャを作成します。(これらを手動で実行しないでください。)最初の手順で作成したユーザー情報の入力が求められます。
@sequence.sql
ソース・システムのSQL*Plusで、DBLOGIN
コマンドの発行に使用されるデータベース・ユーザーにupdateSequence
プロシージャのEXECUTE
権限を付与します。このユーザーについて記録しておいてください。プロシージャをコールするFLUSH SEQUENCE
コマンドを発行する前に、DBLOGIN
を使用してデータベースにログインします。
GRANT EXECUTE onDDLuser
.updateSequence TODBLOGINuser
;
ターゲット・システムのSQL*Plusで、Replicatデータベース・ユーザーにreplicateSequence
プロシージャのEXECUTE
権限を付与します。
GRANT EXECUTE onDDLuser
.replicateSequence TOReplicatuser
;
ソース・システムのSQL*Plusで、次の文を発行します。
ALTER TABLE sys.seq$ ADD SUPPLEMENTAL LOG DATA (PRIMARY KEY) COLUMNS;
この項は、特に断りのないかぎり、Extractがクラシック・キャプチャ・モードで動作する場合も統合キャプチャ・モードで動作する場合も該当します。次のOracleデータ型に対する特別な構成要件について説明します。
マルチバイト・キャラクタは、サポートされている文字セットの一部としてサポートされます。Oracleソース・データベースのセマンティクス設定がBYTE
で、Oracleターゲットの設定がCHAR
の場合、構成でReplicatパラメータSOURCEDEFS
を使用し、DEFGEN
ユーティリティによって生成された定義ファイルをターゲットに配置します。これらの手順は、ソースおよびターゲットのデータ定義が同一であるかどうかにかかわらず、セマンティクス内の差異のサポートに必要です。Replicatでは、定義ファイルを参照して固定サイズの文字列のサイズ上限を決定します。
キャラクタ・セットのサポートの詳細は、Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIXを参照してください。
SOURCEDEFS
およびDEFGEN
ユーティリティの詳細は、『Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIX』を参照してください。
SDO_GEORASTER
オブジェクト型の列が1つ以上含まれている表をOracleソースからOracleターゲットにレプリケートするには、それらが正しく処理されるよう、次の手順に従ってOracle GoldenGateを構成します。
GeoRaster表とそれに関連するラスター・データ表に対するTABLE
文とMAP
文を作成します。
SDO_GEORASTER
データ型のMETADATA
属性の値が1MBを超える場合、XMLBUFSIZE
オプションを指定してDBOPTIONS
パラメータを使用し、SDO_GEORASTER
データ型の埋込みSYS.XMLTYPE
属性を格納するメモリー・バッファのサイズを大きくします。バッファが小さすぎる場合、Extractは異常終了します。XMLBUFSIZE
の詳細は、Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXを参照してください。
ターゲットのGeoRaster表とSpatialデータの整合性を確実にするには、トリガーをソースとターゲットの両方で有効にしておきます。MAP
パラメータのREPERROR
オプションを使用して、トリガーをターゲットで有効にしているために発生する「ORA-01403 No data found」エラーを処理します。ソースのGeoRaster表の行を削除すると、トリガーによって削除がラスター・データ表にカスケードされます。両方の削除がレプリケートされます。レプリケートされた親削除によって、ターゲット上でカスケードされた(子)削除がトリガーされます。レプリケートされた子削除が行われると、冗長になりエラーが発生します。REPERROR
を使用するには、次のようにします。
ラスター・データ表が含まれている各MAP
文でREPERROR
文を使用します。
Oracleエラー1403をSQLエラーとして使用します。
いずれかの応答オプションをエラー処理に使用します。
ターゲットのGeoRaster表のアクティブなトリガーによって生じるラスター表のエラーを処理する適切な方法は、DISCARD
を指定してREPERROR
を使用し、エラーをトリガーした、カスケードされた削除を破棄します。ターゲットのGeoRaster表のトリガーによって、ラスター・データ表に対して削除が実行されるため、レプリケートされた削除は不要です。
MAP geo.st_rdt, TARGET geo.st_rdt, REPERROR (-1403, DISCARD) ;
エラー処理の監査証跡を保持する必要がある場合は、REPERROR
とEXCEPTION
を使用して例外処理を呼び出します。この場合、例外表を作成して、次のようにソースのラスター・ターゲット表に2回マップします。
1回目は実際のターゲットのラスター・データ表(1403エラーを処理するREPERROR
を使用)。
2回目は例外表で、COLMAP
句を使用して1043エラーとその他の関連する情報をキャプチャします。
例外表の使用の詳細は、Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIXを参照してください。
REPERROR
オプションの詳細は、Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXを参照してください。
タイムスタンプ・データをレプリケートするには、次のガイドラインに従います。
TZR
で表されたTIMESTAMP WITH TIME ZONE
でOracle GoldenGateが異常終了しないようにするには、次のいずれかを指定してExtractパラメータTRANLOGOPTIONS
を使用します。
INCLUDEREGIONID
: TZR
で表されたTIMESTAMP WITH TIME ZONE
を、Oracleソースから同じバージョン以降のOracleターゲットにレプリケートします。
INCLUDEREGIONIDWITHOFFSET
: TZR
で表されたTIMESTAMP WITH TIMEZONE
を、v10g以降のOracleソースから、それより前のOracleターゲットに、またはOracleソースからOracle以外のターゲットにレプリケートします。
これらのオプションにより、TZR
で表されたTIMESTAMP WITH TIME ZONE
をサポートしないOracleバージョン、およびUTCオフセットで表されたタイムゾーンのみをサポートするデータベース・システムにレプリケートすることができます。詳細は、『Oracle GoldenGate for Windows and UNIXリファレンス』を参照してください。
Oracleデータベースは、TIMESTAMP WITH LOCAL TIME ZONE
データを受信先のデータベース(Oracle GoldenGateの場合はターゲット・データベース)のローカルのタイムゾーンに正規化します。適用するデータの元のタイム・スタンプを保持するために、Replicatはセッションをソース・データベースのタイムゾーンに設定します。Replicatパラメータ・ファイルのSOURCETIMEZONE
を使用することで、このデフォルトをオーバーライドして、異なるタイムゾーンを指定できます。Replicatでセッションをターゲット・タイムゾーンに強制的に設定させるには、PRESERVETARGETTIMEZONE
パラメータを使用します。
SOURCETIMEZONE
パラメータを使用して、バージョン12.1.2より前のExtractでキャプチャされるデータのソース・タイムゾーンを指定することもできます。これらのバージョンは、ソース・タイムゾーンを証跡に書き込みません。
クラシックと統合の両方のキャプチャ・モードでのLOBに対する構成ガイドラインは、次のとおりです。
可能な場合、行外にラージ・オブジェクトを保存します。
(統合キャプチャのみ該当)統合キャプチャでは、REDOログからLOBがキャプチャされます。LOBドキュメントに対するUPDATE
操作では、LOBの変更された部分のみが記録されます。変更された部分のみが記録される場合にLOBドキュメント全体の証跡への書込みを強制するには、Extractパラメータ・ファイルでFETCHPARTIALLOB
オプションを指定してTRANLOGOPTIONS
パラメータを使用します。Extractは、ログマイニング・サーバーから部分的なLOBコンテンツを受信すると、部分的なLOBを処理するのではなく、LOBイメージ全体をフェッチします。Oracle以外のターゲットにレプリケートする場合、またはLOBイメージ全体が必要なその他の場合にこのオプションを使用します。TRANLOGOPTIONS
の詳細は、Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXを参照してください。
Oracle GoldenGate制約内でXMLを使用するためのツールは、次のとおりです。
クラシックと統合の両キャプチャ・モードで、XMLスキーマへの変更のキャプチャはサポートされませんが、スキーマを展開して、再同期をしなくてもそのレプリケーションを再開できます。付録E「XMLスキーマの変更のサポート」を参照してください。
(統合キャプチャのみ該当)統合キャプチャでは、REDOログからXMLがキャプチャされます。XMLドキュメントのUPDATE
操作では、OBJECT RELATIONAL
またはBINARY
として格納されている場合、XMLの変更された部分のみが記録されます。変更された部分のみが記録される場合にXMLドキュメント全体の証跡への書込みを強制するには、Extractパラメータ・ファイルでFETCHPARTIALXML
オプションを指定してTRANLOGOPTIONS
パラメータを使用します。Extractは、ログマイニング・サーバーから部分的なXMLコンテンツを受信すると、部分的なXMLを処理するのではなく、XMLドキュメント全体をフェッチします。Oracle以外のターゲットにレプリケートする場合、またはXMLイメージ全体が必要なその他の場合にこのオプションを使用します。TRANLOGOPTIONS
の詳細は、Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXを参照してください。
Extractは、UDT(オブジェクト表以外)をデータベースからフェッチします。詳細は、3.4項「フラッシュバック問合せの設定」を参照してください。
NCHAR
、NVARCHAR2
またはNCLOB
属性のユーザー定義型を含むソース・データをOracleターゲットにレプリケートする場合は、Replicatパラメータ・ファイルのHAVEUDTWITHNCHAR
パラメータを使用します。この型のデータが証跡で検出される場合は、HAVEUDTWITHNCHAR
によって、ReplicatがAL32UTF8
でOracleターゲットに接続されます(これは、これらの属性のいずれかがユーザー定義のデータ型に含まれる場合に必要です)。HAVEUDTWITHNCHAR
は、NLS_LANG
がターゲットでAL32UTF8
に設定される場合でも必要です。デフォルトのReplicatは、NLS_LANG
を無視し、データベースのネイティブ・キャラクタ・セットでOracleデータベースに接続します。ReplicatはOracle Call InterfaceのOCIString
オブジェクトを使用していますが、これはNCHAR
、NVARCHAR2
またはNCLOB
属性をサポートしないため、ReplicatがそれらをCHAR
としてバインドする必要があります。このような状況では、AL32UTF8
のターゲットに接続することでデータの損失を防ぎます。HAVEUDTWITHNCHAR
は、パラメータ・ファイルのUSERID
またはUSERIDALIAS
パラメータの前に存在する必要があります。
次の表に、Oracle GoldenGateに影響する可能性のあるデータベース・プロパティと、その状態の解決または回避に使用できるパラメータを示します。
表10-1 他のデータベース・プロパティの処理
データベース・プロパティ | 問題点/解決策 |
---|---|
時間隔パーティション化がある表 |
時間隔パーティション化がある表をサポートするには、 |
仮想列のある表 |
仮想列は記録されません。また、Oracleで仮想列に対するDMLは許可されません。ただし、次のようにして、このデータをキャプチャし、仮想列ではないターゲット列にマップできます。 Extractの Replicatの |
本質的に更新可能なビューを持つ表 |
本質的に更新可能なビューにレプリケートするには、関連付けの対象のソース表とターゲット表をマップする |
異なる場所にあるREDOログまたはアーカイブ |
|
|
|
順序 |
順序のDDL( 順序値のみをレプリケートするには、Extractパラメータ・ファイルで |
TRANLOGOPTIONS
パラメータのCHECKPOINTRETENTIONTIME
オプションでは、統合モードのExtractがチェックポイントを自動的にパージするまで保持する日数を制御します。部分的な日数は、10進値を使用して指定されます。たとえば、8.25は8日と6時間を指定します。デフォルトは7日です。このパラメータの詳細は、Oracle GoldenGateリファレンスfor Windows and UNIXを参照してください。
双方向構成では、トランザクションをマークするようにReplicatを構成する必要があり、また、Replicatトランザクションを除外するようにExtractを構成して、ソースに伝播されないようにする必要があります。
Extractが統合モード(Replicatは統合また非統合モードのいずれかが可能)の場合は、次のパラメータを使用します。
Replicatパラメータ・ファイルで、SETTAG
オプションを指定してDBOPTIONS
を使用します。インバウンド・サーバーは、指定した値のタグ(これらのトランザクションをREDOストリーム内で識別)をそのReplicatのトランザクションに付けます。SETTAG
のデフォルト値は00です。
Extractパラメータ・ファイルでEXCLUDETAG
オプションを指定してTRANLOGOPTIONS
パラメータを使用します。Extractに関連付けられたログマイニング・サーバーは、SETTAG
値のタグが付いたREDOを除外します。複数のEXCLUDETAG
文を使用して、必要に応じて異なるタグ値を除外できます。
Extractがクラシック・キャプチャ・モードまたは統合キャプチャ・モードの場合は、EXCLUDEUSER
またはEXCLUDEUSERID
オプションを指定してTRANLOGOPTIONS
パラメータを使用し、ユーザー名またはIDに基づいて、Replicatトランザクションを無視します。複数のEXCLUDEUSER
文を使用できます。指定されたユーザーはGETREPLICATES
またはIGNOREREPLICATES
パラメータのルールに従います。
詳細は、『Oracle GoldenGate for Windows and UNIXリファレンス』を参照してください。
ビジネス・ニーズに合せて、拡張オプションでOracle GoldenGateを構成する必要が生じる場合があります。次を参照してください。
特定のレプリケーション・トポロジを実現するためのその他の構成のガイドラインは、Oracle GoldenGateの管理for Windows and UNIXを参照してください。このガイドには、次の構成に関する手順が含まれています。
ライブ・レポートでのOracle GoldenGateの使用
リアルタイム・データ分散でのOracle GoldenGateの使用
リアルタイム・データ・ウェアハウスのためのOracle GoldenGateの構成
ライブ・スタンバイ・データベース管理のためのOracle GoldenGateの使用
アクティブ/ アクティブ型高可用性のためのOracle GoldenGateの使用
ガイドには、次の点に関する情報も含まれています。
Oracle GoldenGateアーキテクチャ
Oracle GoldenGateのコマンド
Oracle GoldenGateの初期ロード方式
セキュリティの構成
カスタマイズ機能の使用
データ・フィルタリングと操作の構成
ソースまたはターゲットのいずれかのデータベースがOracle以外の場合、そのデータベース用のOracle GoldenGateインストレーションおよびセットアップ・ガイドのインストールと構成の手順に従い、その他の情報については、Oracle GoldenGateの管理とリファレンスのドキュメントを参照してください。