この章では、既存のOracle Forms and Reports 11gリリース2 (11.1.2)へのパッチの適用に必要なツールと手順について説明します。
表3-1に、各パッチ適用ステップの詳細情報へのリンクを記載します。
表3-1 パッチ適用手順のサマリーとドキュメントへのリンク
ステップ | 説明 |
---|---|
1 |
次の一般的なパッチ適用前のタスクを実行します。 サイレント・モードでパッチを適用する場合は、第3.2.5項「サイレント・モードでのパッチ適用のためのemCCRファイルの名前変更」を参照してください。 |
2 |
製品に適したインストーラをダウンロードして起動します。 詳細は、第3.3項「インストーラのダウンロードと起動」を参照してください。 |
3 |
ダウンロードしたインストーラを使用してOracleホームのソフトウェアを更新します。 |
4 |
パッチ適用後に行う必要のあるタスクがあれば実行します(たとえば、ドメイン内でのサーバーおよびプロセスの起動、Oracleインスタンスの起動、スクリプトの実行、構成ファイルの変更など)。実行する必要があるタスクは、環境に構成されている既存のソフトウェアとコンポーネントのバージョンによって異なります。 |
5 |
サーバーおよびプロセスを起動します。 詳細は、第3.5項「サーバーとプロセスの起動」を参照してください。 |
6 |
パッチのインストールが完了したことを確認します。 詳細は、第3.6項「パッチ・セットのインストールの検証」を参照してください。 |
分散環境で製品を実行しており(たとえば、管理対象サーバーが複数のシステムの複数のドメインで稼働しており)、ドメインの一部である各マシンにマウントされた共有ネットワーク・ドライブに共有Middlewareホームを設定してある場合、このパッチ適用手順は一度実行するだけで済みます(第2.3.3項「分散環境におけるパッチの適用」を参照してください)。
分散環境で、各システム上に個別のMiddlewareホームがある場合、このパッチ適用手順は各システムの各ドメインに対して繰り返す必要があります。
分散トポロジの詳細は、具体的な製品のエンタープライズ・デプロイメント・ガイドに記述されています。
この項では、ソフトウェアにパッチを適用する前に完了する必要のあるタスクについて説明します。
ソフトウェアの更新を開始する前に、更新を実行するためにインストールしたいソフトウェアの最小要件をシステムの環境と構成が満たしていることを確認してください。この項では、確認しておくことが必要なドキュメントの重要な部分へのリンクをいくつか示します。
動作保証の詳細は、次のURLにあるOracle Fusion Middlewareのサポートされるシステム構成のページで、Oracle Fusion Middleware 11gR1のシステム要件およびサポートされるプラットフォームのドキュメントを参照してください:
http://www.oracle.com/technetwork/middleware/ias/downloads/fusion-certification-100350.html
このドキュメントには、ハードウェアとソフトウェアの要件、ディスク領域とメモリーの最小要件、データベース・スキーマの要件、および必要なシステム・ライブラリ、パッケージまたはパッチに関する情報が記載されています。
Oracle Forms and Reports 11gリリース2 (11.1.2.x)のシステム要件とサポートされるプラットフォームの動作保証マトリックス・ドキュメントを参照してください。このマニュアルでは、サポートされる32ビットおよび64ビット・オペレーティング・システム、データベース、Webサーバー、LDAPサーバー、アダプタ、IPv6、JDKおよびサード・パーティ製品の動作保証に関する情報が記載されています。
『Oracle Fusion Middleware Oracle Forms and Reports相互運用および互換性ガイド』を参照してください。Oracle Fusion Middleware製品が旧バージョンの他のOracle Fusion Middleware、Oracleまたはサード・パーティ製品と機能するために重要な情報がこのマニュアルに記載されています。この情報は、既存の環境をアップグレードする既存ユーザーと新しいOracle Fusion Middlewareユーザーの両方に適用されます。
インストーラを実行してソフトウェアを更新する前に、使用しているドメインの一部であるすべてのマシン上のすべてのサーバーとプロセス(OPMNを含む)をMiddlewareホームから停止します。
Oracle Fusion Middleware環境の停止の手順は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』のOracle Fusion Middleware環境の停止に関する項を参照してください。
環境でOracle Process Manager and Notification Server (OPMN)を実行している場合、opmnctl stopall
コマンドを使用してOPMNも停止する必要があります。
ノード・マネージャを実行している場合は、ノード・マネージャも停止する必要があります。これを行うには、ノード・マネージャが実行されているコンソール・ウィンドウを閉じるか、stopNodeManager
WLSTコマンドを使用します。
注意: stopNodeManager コマンドを機能させるには、QuitEnabled=true を指定してノード・マネージャを構成する必要があります。
詳細は、Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンスのstopNodeManagerに関する項を参照してください。 |
サーバーとプロセスを停止したら、Middlewareホーム・ディレクトリ(Middlewareホーム内のOracleホーム・ディレクトリを含む)、ローカル・ドメイン・ホーム・ディレクトリ、ローカルOracleインスタンス、およびそのMiddlewareホームを使用するリモート・システム上のドメイン・ホームとOracleインスタンスをバックアップします。
パッチ・セットのインストールが予期せず中断された場合、またはインストールが完了する前にインストールの取消しを選択した場合、インストーラを再実行する前に環境を以前の構成にリストアしないと、パッチをインストールできないことがあります。
注意: パッチ・セットのアンインストール手順はありません。通常のインストールに使用する-deinstallプロシージャでは、パッチ・セットは削除されません。 |
インストールする製品にデータベース・スキーマが関連付けられている場合、パッチの適用手順を開始する前に、データベースをバックアップする必要があります。このバックアップにスキーマ・バージョン・レジストリ表が含まれていることを確認します。これは、各Fusion Middlewareスキーマが、対応する行をその表内に持つためです。スキーマ・バージョン・レジストリ表の名前は、SYSTEM.SCHEMA_VERSION_REGISTRY$
です。この実行方法は、使用しているデータベースのドキュメントを参照してください。
パッチ・セット・アシスタントを実行して既存のスキーマを更新する際、正常に更新できなかった場合は、元のスキーマをリストアしてからやりなおす必要があります。必ず、既存のデータベース・スキーマをバックアップしてから、パッチ・セット・アシスタントを実行してください。
サイレント・モードでソフトウェアにパッチを適用する場合に、次のようなエラー・メッセージが表示されることがあります。
"SEVERE:Values for the following variables could not be obtained from the command line or response file(s): MYORACLESUPPORT_USERNAME(MyOracleSupportUsername)"
この問題を回避するには、ORACLE_HOME
/ccr/bin/emCCR
ファイル(UNIXオペレーティング・システムの場合)またはORACLE_HOME
\ccr\bin\emCCR
ファイル(Windowsオペレーティング・システムの場合)の名前を変更します。
注意: パッチの適用プロセスが完了したら、名前を元の名前に戻します。これを行わなかった場合、他の操作(My Oracle Supportやその他のインストーラなど)でエラーが発生する可能性があります。 |
たとえば、UNIXオペレーティング・システムの場合は次のようになります。
cd ORACLE_HOME/ccr/bin
mv emCCR emCCR_LAST
Windowsオペレーティング・システムでは次のようになります。
cd ORACLE_HOME\ccr\bin
mv emCCR emCCR_LAST
サイレント・インストールの詳細は、『Oracle Fusion Middlewareインストレーション・プランニング・ガイド』のOracle Fusion Middlewareのサイレント・インストールおよびサイレント・アンインストールに関する項を参照してください。
次の各項では、製品へのパッチ適用に必要なインストーラを入手する手順について説明します。
最新のOracle Fusion Middlewareパッチ・セットを適用するためのインストーラは、使用している製品に応じて、その動作および機能が異なります。Oracle Forms and Reportsのインストーラは、更新インストーラとしても機能する完全なインストーラです。これを使用して、既存のOracle Forms and Reportsホームを更新したり、新しい完全なOracle Forms and Reportsホームをインストールしたりできます。
製品用のインストーラ・ファイルをダウンロードして解凍するには:
Oracle Technology Network、My Oracle SupportまたはOracle Software Delivery Cloud(旧称E-Delivery)からインストーラをダウンロードします。
詳細は、Oracle Fusion Middlewareのダウンロード、インストールおよび構成のReadMeファイルで、Oracle Fusion Middlewareソフトウェアのダウンロード・サイトの選択に関する項、および開始点に必要なソフトウェアのダウンロードに関する項を参照してください。
インストーラおよびターゲット・コンピュータ上のディレクトリにインストールするソフトウェアを含む、ダウンロード済アーカイブを解凍します。
ダウンロードして解凍したインストーラを起動するには:
ディレクトリを、解凍したアーカイブ・フォルダ内のDisk1
フォルダに変更します。
次のようにしてインストーラを起動します。
UNIXオペレーティング・システムの場合:
./runInstaller
Windowsオペレーティング・システムでは次を実行します。
setup.exe
システム環境および更新中の製品によっては、インストーラの起動時に、システム上のJRE/JDKの場所を指定するように求められることがあります。Oracle WebLogic Serverをインストールしたときに、Middlewareホーム内のjdk160_
version
ディレクトリにJREがインストールされています。この場所を使用してインストーラを起動できます。
システムにOracle WebLogic Serverをインストールしていない場合は、Oracleホーム内のjdk
ディレクトリにあるJDKを使用できます。
JRE/JDKの場所への絶対パスを指定してください。相対パスはサポートされていません。
インストーラは、サイレント・モードで実行することもできます。詳細は、『Oracle Fusion Middlewareインストレーション・プランニング・ガイド』のOracle Fusion Middlewareのサイレント・インストールおよびサイレント・アンインストールに関する項を参照してください。
インストーラを起動したら、画面上の説明に従って既存のMiddlewareホームにパッチ・セットを適用します。
注意: ドメインに複数のホスト・コンピュータが含まれている場合は、ホストごとにインストーラを個別に実行し、ホスト上のソフトウェアを更新する必要があります。 |
インストーラの各画面を確認する際、パッチ・セットの適用時とソフトウェアの初回インストール時では、2つの大きな違いがあることに注意してください。
注意: パッチ・セットを適用する場合は、「インストール場所の指定」画面で既存のMiddlewareホームを特定する必要があります。 |
表3-2は、既存のMiddlewareホームにパッチ・セットを適用する場合に表示される、一般的なインストール画面のサマリーを示しています。
インストール画面の詳細なヘルプが必要な場合は、「ヘルプ」をクリックしてオンライン・ヘルプにアクセスします。
表3-2 パッチ・セットをインストールするための一般的な手順
画面 | 画面がいつ表示されるか | 説明 |
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常時。 |
このページがOracle Fusion Middlewareインストーラの最初の画面です。 |
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常時。 |
ソフトウェア更新の入手に使用する方法を選択するか、更新しない場合は「ソフトウェア更新のスキップ」を選択します。 更新が見つかった場合、インストーラは、この時点で更新の適用を自動的に試みるため、インストールの実行に使用しているサーバーがインターネットに接続されていることを確認してください。 |
|
常時。 |
インストール・タイプを選択します。
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常時。 |
必要なすべての前提条件をシステムが満たしていることを確認します。 |
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常時。 |
既存のOracle Middlewareホームおよび製品のOracleホームの場所を指定します。 |
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製品のセキュリティ・アップデートについてまだ登録していない場合のみ。 |
最新の製品情報およびセキュリティ更新を受けとる場合は、電子メール・アドレスを入力します。My Oracle Supportアカウントを持っており、このメカニズムを利用して更新を受け取る場合は、「セキュリティ・アップデートをMy Oracle Support経由で受け取ります。」を選択し、アカウント・パスワードを入力します。 セキュリティ更新に登録しない場合は、この画面のすべてのフィールドを空白のままにします。 |
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常時。 |
この画面上の情報を確認し、「インストール」をクリックしてインストールを開始します。 |
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常時。 |
この画面はインストールの進行状況を示します。 インストールが100%完了になったら、「次へ」をクリックします。 |
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常時。 |
「保存」をクリックして、構成情報をファイルに保存します。この情報には、後でアクセスするときに必要となる可能性があるポート番号、インストール・ディレクトリ、URLおよびコンポーネント名が含まれます。 構成情報を保存した後、「終了」をクリックしてインストーラを終了します。 |
ソフトウェアへのパッチの適用が終了し、必要なパッチ適用後のタスクをすべて実行したら、サーバーとプロセスを起動する準備が整ったことになります。
Oracle Fusion Middleware環境の起動の手順は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』のOracle Fusion Middleware環境の起動に関する項を参照してください。
『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverノード・マネージャ管理者ガイド』のノード・マネージャの起動に関する項に従って、ノード・マネージャを起動できます。
パッチ・セットの適用後にインストールを検証するには、ブラウザを起動して、次のURLを入力します。
管理サーバー・コンソールにアクセスするには:
http://host:admin_server_port/console
FormsおよびReportsの両方をこの画面に表示される様々な方法で確認できます。Oracle Forms and ReportsでFusion Middleware Controlを使用する方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』のOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlの使用のスタート・ガイドを参照してください。
SSL接続を許可するように管理サーバーを構成した場合は、次のURLを使用してセキュア・モードで管理サーバーにアクセスします。
https://host:secure_admin_server_port/console
Enterprise Managerにアクセスするには:
http://host:admin_server_port/em
Enterprise Manager Agentにアクセスするには:
http://host:port/emd/main
Oracle Formsにアクセスするには:
http://host:port/forms/frmservlet
Oracle Reportsにアクセスするには:
http://host:port/reports/rwservlet
ログイン画面が表示されます。管理サーバーのユーザー名とパスワードを入力して、そのサイトにアクセスします。
管理コンソールの詳細は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』のOracle WebLogic Server管理コンソールの使用のスタート・ガイドを参照してください。
Enterprise Managerの詳細は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』のOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlの使用のスタート・ガイドを参照してください。