保証補償範囲の管理方法

サプライヤ保証は、保証カバレッジの定義から始まります。保証カバレッジは、保証プロバイダが延長保証期間中にアセットの購入または既存のアセットの継続的なサポートから延長した保証条件を変換およびモデル化するために使用する、再利用可能なテンプレートです。

プロバイダは、カバレッジおよびその関連保証契約のメイン・サプライヤ参照です。プロバイダは、通常、社内修理またはコンポーネント交換費の払戻に対する保証請求を発行するサプライヤでもあります。カバレッジには、保証条件の下で延長されたもの、アセットまたはその関連コンポーネントの修理または交換を担当するユーザー、および保証期間が存続する期間が含まれます。契約を定義して準備完了ステータスに設定した後、カバレッジを使用してアセットの一意の保証契約をインスタンス化します。その後、メンテナンス作業オーダーの実行中に契約を表示および検討できます。スケジュール済プロセスを使用してアセットに対して契約が失効し、そのステータスが更新されます。

保証カバレッジは、Original Equipment Manufacturer (OEM)に対しても作成できます。これにより、アセットの品目の購入元のサプライヤに関係なく、アセットの保証契約をトラッキングする単一のソースが提供されます。この場合、補償範囲保証プロバイダはOEMになるため、このサプライヤに対して請求が作成されます。ただし、レビューおよび払戻のためにOEMと連携する適切なサプライヤまたは保証プロセッサに発行することを選択できます。

品目の仕入先の数が限られている場合は、保証プロバイダごとに個別のカバレッジを作成し、各購買仕入先に対してアセット契約と請求を直接追跡できます。カタログやモデル年など、プロバイダが保証条件を経時的に変更する場合、開始日と終了日の範囲を持つ複数の補償範囲を作成して、品目の購入または延長保証を提供する適用可能な期間をカバーする必要がある場合があります。これらのタイプのシナリオについては、「アセットの補償内容の例」の項で説明します。

カバレッジの保証期間は、期間、使用率メーター間隔(走行距離計や時間メーターなど)または両方のメソッドを使用して定義できます。カバレッジで期間とメーター間隔の両方が使用されている場合、保証期間はいずれかのメソッドで最初に失効します。対象範囲を使用してアセットの契約をインスタンス化すると、契約に開始日が割り当てられます。アセットおよび契約が購買オーダーを使用して品目の受入によって作成された場合、開始日はアセットの作成日となります。ユーザー・インタフェースまたはREST APIを使用して契約を手動で作成した場合、ユーザー定義または現在日が開始日として設定されます。

開始日が契約に割り当てられると、終了日、計算された有効期限、またはその両方が契約に割り当てられるかどうかが判断されます。カバレッジに期間が定義されている場合、結果の契約には、開始日+期間の値として計算された終了日が設定されます。カバレッジに1つ以上のメーター間隔が定義されている場合、結果の契約では最初に失効するメーター間隔が計算され、計算された失効日として設定されます。両方のメソッドが補償範囲で定義されている場合、両方の日付が契約に表示され、最初の日付のルールを使用して契約の失効時期が決定されます。これにより、静的終了日と動的に計算された失効日の両方がサポートされ、メーター・リーディングがアセットに対して記録されると、一定期間にわたって更新されます。

ノート: 契約メーターの計算済失効日に関する追加詳細は、保証契約の編集方法セクションを参照してください。カバレッジおよび契約でメーターを使用するには、アセット、メーターおよび稼働率の一般的な理解をお薦めします。

保証範囲の開始

保証カバレッジは、単一のスタンドアロン・アセット、アセット階層の最上位ノード・アセット、またはアセット階層内の任意の場所にインストールされている子コンポーネントをカバーするようにモデル化できます。また、カバレッジは、アセット階層の最上位ノード・アセットのみでなく、最初に提供されたすべての子コンポーネントにも適用されます。補償範囲のモデル化は、保証プロバイダの条件、アセット管理とトラッキングのビジネス・プロセス、メンテナンス作業オーダーの実行および保証請求管理によって決定する必要があります。アセットまたはその関連アセットのすべてのレベルの保証契約は、メンテナンス作業指示の実行時に表示できます。

購買オーダーを使用して、サプライヤからの品目の購買および受入によって、将来作成される既存のアセットおよびアセットのカバレッジを作成できます。既存のアセットの場合、選択したカバレッジに基づいて保証契約を手動で作成します。一方、購買済アセットは、受入後にスケジュール済プロセスを使用して契約を自動的に作成できます。

ノート: 購買オーダー受入時に保証契約が重複して作成されないようにするには、同じ品目と仕入先の組合せを複数の有効な保証カバレッジにまたがって定義しないでください。

最初のカバレッジを作成する前に、完了する必要がある前提条件設定のリストを次に示します:

エンタープライズ・アセットの作成に使用される品目は、製品情報管理(PIM)オファリングで設定する必要があります。品目は、完全なライフサイクル、保守可能、シリアル管理、サプライヤからの購買可能として設定する必要があります。オプションでカバレッジで参照でき、サプライヤからの品目の購入時に保証を自動インスタンス化できます。
カバレッジを定義する場合は、カバレッジのステップ3で品目およびサプライヤを定義するために、在庫組織および品目区分のアクセス権が付与されている必要があります。詳細は、『製造およびサプライ・チェーン資材管理の実装』ガイドのメンテナンスに関する章を参照してください。
これらのタイプの品目に基づくアセットは、サプライヤ保証の対象となります。アセットは、購買オーダー受入から作成することも、手動で作成することもできます。
サプライヤは、Oracle Supplier Managementで設定する必要があります。これらの設定には、品目が購買されるサプライヤと、保証プロバイダとして保証条件を延長するサプライヤが含まれます。
製造業者はカバレッジ・ヘッダーのオプション属性で、通常は保証プロバイダがOEMでない場合に、サプライヤ保証の当初設備製造業者(OEM)参照を追跡するために使用できます。使用する場合は、製造業者として使用目的を持つパーティとして設定する必要があります。
カバレッジ・タイプは、カバレッジ・ヘッダーのオプション属性で、類似するカバレッジをさらに説明またはグループ化するために使用できます。このタイプは、ユーザー間の補償内容を管理し、検索結果をさらに絞り込むのに役立ちます。たとえば、新規購入、延長保証、OEM保証などのタイプがあります。管理者は、ユーザー定義参照ORA_CSE_WTY_COVERAGES_TYPEを使用してタイプ・コードを定義できます。
稼働率メーターは、保証契約を使用してカバレッジ条件を定義および追跡するために、必要に応じて使用できます。たとえば、走行距離計や時間メーターなどです。保証契約をカバレッジを使用して作成する前に、まずメーター・テンプレートを定義してから、メーターを使用する適用可能な各アセットに対してそれらをインスタンス化する必要があります。アセットごとに、保証契約の将来の失効日を計算するために日次稼働率を定義する必要があります。
修理取引コードは、オプションで、保証の対象となるシステム、組立品およびコンポーネント(品目)別に、アセット上の事業所の一意の参照を定義するために使用できます。これらのコードは、保証カバレッジ、設計設定、品目定義で参照され、リソースおよび資材トランザクションの作業オーダー実行中に使用できます。これらのコードは、「条件イベント・コードの管理」タスク・フローを使用して設定します。新しいコードを定義する場合、トランザクション・コード・タイプのみを選択する必要があります。
契約の作成時に、サプライヤ保証契約の処理を実行できます - 定期的に追加および変更スケジュール済プロセスを実行します。このプロセスでは、すべての契約のレビュー、計算された失効日の更新(メーター間隔が定義されている場合)、契約ステータスの更新(失効している場合)、購買品目およびアセットの新規保証契約の作成、およびサプライヤ保証詳細によるアセットのエンリッチを行って、実行プロセスでの保証の表示を許可します。
ユーザー・インタフェースで新しい契約を作成する場合は、アセットのスマート検索を使用するLOVを使用してアセットを選択する必要があります。したがって、アセット・スマート検索を有効にし、最新のアセット・データを取り込む必要があります。アセット・スマート検索の詳細は、次を参照してください:
- 新規アセットUIにおけるスマート検索を使用したアセットの検索および表示方法
- ユーザー・インタフェースでの資産の管理方法

ノート: 保証要求を作成および管理するための追加必須およびオプションの設定があります。詳細は、「保証請求の管理方法」の項を参照してください。

補償内容の管理ユーザー・インタフェースの使用方法

「カバレッジの管理」ページを使用して、既存のカバレッジの検索、カバレッジ詳細の表示または新規カバレッジの作成を行います。このページには、Maintenance Managementランディング・ページのタスク・メニューの「メンテナンス設定」セクションからアクセスします。このページは、検索バー、結果リージョンおよびカバレッジの作成ボタンで構成されます。レンダリング時に、ページには検索結果のリストが自動的に表示され、カバレージ名のアルファベット順にソートされます。検索バーを使用すると、名前、コード、説明、タイプまたは保証プロバイダによって、既存の補償内容の検索結果をさらに絞り込むことができます。検索基準を入力してEnterキーをクリックし、補償範囲全体を検索します。

「作成」をクリックして、保証カバレッジ・ガイド・プロセスにナビゲートします。このプロセスでは、新規カバレッジとその詳細を定義して保存できます。作成後、管理ページで結果のリストにカバレッジを表示できます。既存のカバレッジのハイパーリンクされた名前をクリックして、保証カバレッジ・ガイド・プロセスにナビゲートします。このプロセスでは、カバレッジに対する変更をさらに編集して保存できます。

ノート: 保証補償内容を作成および編集できるのは、補償内容を管理するために必要なアクセス権限がある場合のみです。表示専用アクセス権を持つユーザーは、既存の保証カバレッジ詳細のみを検索して表示できます。

保証での修理取引コードの使用方法

修理トランザクション・コードは、システム、アセンブリおよびコンポーネント(品目)別に、アセットのロケーションの一意の参照として使用できます。これらのコードは、オプションで保証カバレッジにガイドとして定義して、保証契約の対象となる修理を決定できます。コーディングがカバレッジおよび作業オーダー工程で定義されている場合、要求プロセスは、資材、リソースおよび設備の作業オーダー原価が要求の対象かどうかを検証します。コーディングを使用しない場合、コードは検証されませんが、請求を作成するためにアセットが保証の対象かどうかのみ検証されます。

車両メンテナンス・レポート標準(VMRS)コーディング規則に従ったコーディングの例は、3セグメント・コード013-001-005です。各セグメントは、次のようなシステム、アセンブリおよびコンポーネント(品目)を表します:

013 - ブレーキ
013-001- 前部ブレーキ &のドラム
013-001-005- ガイド - フロント・ブレーキ・シューズ

前述のコーディング例は、1つの品目に対して非常に固有であり、作業オーダー資材のレポートに役立ちますが、カバレッジの対象となるすべての品目に対してコードを設定する必要があるため、このレベルのコーディングは保証範囲で使用するにはきめ細かい場合があります。したがって、フロント・ブレーキ・コンポーネントとアセンブリをカバーするために、013-001や013-001-000などのコードを設定できます。または、より高いレベルのコンポーネントを維持し、ブレーキのコード013または013-000-000のみを設定することもできます。これらのディシジョンは、品目、標準工程および保証範囲全体で必要および保守される設定を考慮に入れる必要があります。

次に、ブレーキ・システムのコーディングを定義して使用し、アセット修理時の保証範囲を決定する方法の例を示します:

ブレーキ・システムを説明する「トランザクション・コード」タイプの条件イベント・コード013または013-000-000を定義
このコードは、ブレーキ・システムの保守に使用されるすべての項目で参照します。たとえば、ブレーキ・パッド、ロータ、ドラム、ホイール・シリンダ、キャリパなどがあります。
このコードは、ブレーキ・パッドの交換などの標準修復用に定義された標準操作で参照します。
保証の対象として車両OEMの保証範囲でこのコードを参照
カバレッジを使用して車両の保証契約を作成
車両のメンテナンス作業オーダーを作成します。アセットの保証契約がリストされていることに注意してください。ブレーキ・パッドを交換するための作業定義または標準操作を参照します。
作業オーダーが保証修理およびトランザクション・コードの照合のために示されていることを確認します。
修復コーディングが操作ヘッダー、項目およびリソースで保持されていることを確認します。
各工程連番をリリースして実行し、作業オーダーを完了します。
要求および資格のスケジュール済プロセスを実行します。このプロセスでは、保証契約ベースのカバレッジで使用される修理コーディングが、工程トランザクションと照合されます。コーディングが一致しているトランザクションでは、要求に含まれる資格が作成されます。一致しない場合でも資格は作成されますが、請求から除外されます。

コード照合の詳細は、このガイドの「保証請求および資格」の項を参照してください。

補償内容の編集方法

保証契約は、保証プロバイダによって延長された保証に関する重要な詳細について、そのソース・カバレッジを参照します。したがって、カバレッジの改訂によって既存の契約がどのように変わるかを理解することが重要です。たとえば、ステップ1の期間に対する変更、ステップ3の品目およびサプライヤ、ステップ4のメーター間隔は、カバレッジから既存の契約に流れません。カバレッジを使用して作成された新規契約にのみ適用されます。ただし、ステップ2の条件の変更およびステップ5の修理コードは、既存の契約に適用されます。計画された改訂によってカバレッジ条件が根本的に変更された場合、既存のカバレッジに終了日が設定され、新しいカバレッジが作成されることが予想されます。

既存のカバレッジを編集するには、「補償内容の管理」ページの結果行でカバレッジ名ハイパーリンクをクリックします。この処理によって、保証カバレッジ・ガイド・プロセスにナビゲートし、既存のカバレッジを編集または表示できます。任意のステップにナビゲートし、保存ボタンまたはインライン保存処理を使用して更新を提供できます。

ステップ3、4および5のデータの編集は、カバレッジを使用して作成された契約があるかどうかに基づいて行われます。契約が作成されていない場合は、既存の行の鉛筆編集処理アイコンをクリックして、行の詳細を編集できます。データ修正中に編集した行に対する変更を保持したくない場合は、Xの取消処理アイコンをクリックして行の変更を破棄できます。詳細をコミットする準備が整ったら、同じ行のチェックボックス処理アイコンをクリックして保存できます。または、行の外側をいつでもクリックすると、その行が保存されます。行が検証され、エラー・メッセージが表示されない場合、保存は成功しました。

カバレッジを使用して作成された契約がない場合のみ、行を削除することもできます。既存の行を削除するには、ごみ箱の削除アクション・アイコンをクリックして行を破棄します。契約の作成後は、既存の行のみを使用不可にできます。行を無効にするには、任意の行の鉛筆編集アクション・アイコンをクリックして、その詳細を編集できます。次に、保証有効列を更新するには、そのスライダ・アイコンを左に移動し、アイコンを緑から灰色に変えて、メーターが無効になったことを示します。同じ行のチェックボックス・アクション・アイコンをクリックして保存できます。または、行の外側をいつでもクリックすると、その行が保存されます。無効にした行は、再度有効にすることはできません。ただし、新しい重複行を作成できます。