39 Oracle Sales Cloudのカスタマイズ機能および統合環境の理解

Oracle Java Cloud Service - SaaS ExtensionのようなPaaS環境の使用を活用する以外にも、複数の統合方法およびツールを使用してOracle Sales Cloudを拡張できます。 ただし、JCS - SaaS Extensionと統合する場合でさえ、Oracle Sales Cloudの標準のカスタマイズ・フレームワークおよび統合フレームワークを操作することが依然として必要です。

このドキュメントでは、Oracle Sales Cloudの拡張に関わるメイン・ツールの概要を示します。JCS - SaaS Extensionで主に拡張機能を構築する予定でも、これらについて注意する必要があります。これらの各種ツールについて深く理解できれば、Oracle PaaSアプリケーションとOracle SaaSアプリケーションの統合を確実に成功させる上で最も効果的な方法を特定しやすくなります。

Oracle Sales Cloudサンドボックスでの作業の概要

サンドボックスは、Oracle Sales Cloudのカスタマイズを安全に実装できる独立した環境を実現します。これにより、ユーザーに対するサービスの中断を最小限に抑えたり、新しいカスタム機能のデプロイメントの前にアプリケーションの整合性を維持したりしやすくなります。

また、サンドボックスを使用すると、複数のユーザーが互いの作業に影響を与えずにカスタマイズを並行して実装およびテストすることも可能になります。たとえば、開発者として、Oracle Sales Cloudオブジェクトを変更し、Oracle Java Cloud Service - SaaS Extension上で動作するWebサービスを起動する場合などがあります。ただし、この際、統合作業が完了するまでは変更内容が他の開発者やエンド・ユーザーに対して利用可能にならないようにしたいとします。このような状況は、孤立した作業環境をサンドボックスがどのようにサポートできるかを示す一例となります。

Oracle Sales Cloudの拡張を計画する場合は常に、カスタマイズ作業を安全に管理するためにサンドボックスをどのように使用すべきかを明確に定義することが重要です。次の各項では、特定の主な考慮事項を扱うとともに、サンドボックスを使用して作業の管理に関するワークフローの推奨事項について説明します。このトピックの詳細は、「Sales Cloudのカスタマイズ」ガイドの「Oracle Sales Cloudでのサンドボックスの使用」を参照してください。

サンドボックスの使用時の主な考慮事項

カスタマイズおよび統合作業のためにサンドボックスを使用する前に、次の各点を念頭に置くことが重要です。

  • サンドボックスの使用に関する会社固有のポリシーを完全に理解していることを確認してください。

  • 複数のユーザーが同じアクティブなサンドボックス内で同時に作業できますが、重複が存在するような状況を回避する必要があります。たとえば、複数の個人が同じオブジェクトを操作しようとする場合などです。
  • Oracle Sales Cloud環境のステージング(テスト)インスタンスですべてのカスタマイズを実行してください。

  • サンドボックスで開発されたカスタマイズを公開するための会社のプロセスに準拠してください。

サンドボックスの使用のワークフロー

「サンドボックスの管理」インタフェースが、サンドボックスの使用方法を制御するためのOracle Sales Cloudのメイン・ツールです。このインタフェースにアクセスするには、ホーム・ページの右上隅のユーザー名をクリックし、「管理」 > 「サンドボックスの管理」を選択します。

サンドボックスでの作業のほとんどを行う上で、次の推奨事項とベスト・プラクティスが役に立ちます。
  • (一切公開しない)テスト用のサンドボックスを1つ作成し、(公開前に他のすべてのカスタマイズについてテストおよび検証できる)統合用のサンドボックスを作成してください。

  • 一度にアクティブ化できるサンドボックスは1つのみです。

  • Oracle Sales Cloudは、サンドボックスからメインライン・コードに公開されている変更をロールバックする標準メカニズムをサポートしていません。

  • サンドボックス内に実装された作業を公開した後、カスタマイズ作業の次のラウンドは、新しく作成した一連のテストおよび統合用のサンドボックスで行う必要があります。

サンドボックスでのカスタマイズの実行の観点からは、次のサンドボックス管理操作が使用可能です。
  • 作成 - 「アクション」 > 「新規」メニュー・オプションを経由して「サンドボックスの管理」インタフェースを介して使用可能です。

  • アクティブ化 - 「サンドボックスの管理」インタフェースでこれを選択し、「有効として設定」ボタンをクリックした後、サンドボックスがアクティブになります。

  • 終了 - サンドボックスを非アクティブ化するには、任意のOracle Sales Cloudページの上部でサンドボックス名をクリックしてから、ポップアップ・ダイアログ・ボックス内の「サンドボックスの終了」をクリックします。

  • 公開 - テスト専用サンドボックスで完了したカスタマイズは、統合サンドボックスにレプリケートする必要があり、すべての検証に合格したら、カスタマイズを統合サンドボックスからメインライン・コードに公開できます。

  • 削除 - 「アクション」 > 「削除」メニュー・オプションを経由して「サンドボックスの管理」インタフェースで使用可能です。

    重要:

    削除できるのは、非アクティブである公開されていないサンドボックスのみです。

これらの操作の実行の詳細は、「Sales Cloudのカスタマイズ」ガイドの「サポートされているサンドボックス・マネージャ操作: 説明」 を参照してください。

Oracle Sales Cloudアプリケーション・コンポーザ・ユーティリティの概要

アプリケーション・コンポーザは、特定のタイプのユーザーがOracle Sales Cloudの標準機能を拡張したり、Oracle Java Cloud Service - SaaS ExtensionなどのPaaSベースのソリューションを含む外部アプリケーションとの統合を簡略化したりすることを可能にするWebベースのツールのバンドルです。

アプリケーション・コンポーザを使用すると、Oracle Sales Cloud環境を構成する多くの機能とデータにわたる広範なカスタマイズおよび統合タスクを実装できます。ただし、PaaS-SaaS統合については、主な焦点領域には、次が含まれます。

  • オブジェクト・モデルのカスタマイズ – カスタム・オブジェクトを作成し、ワークフローおよびワークフロー間の関係とともに標準オブジェクトとカスタム・オブジェクトの両方のプロパティおよび機能を変更できます。また、Webサービスの統合を介してオブジェクトの機能を拡張できます。

  • ユーザー・インタフェースのカスタマイズ – プロパティをカスタマイズしたり、標準ページ上のフィールド、ボタンおよびリンクの機能を拡張したりできます。また、ページを複製することにより、元のページの機能を拡張できます。

  • スクリプトのカスタマイズ – Groovyスクリプトを使用して、様々なアプリケーション・コンポーネントに条件付きロジックや他のプログラミング・ロジックを適用できます。これには、サード・パーティのアプリケーションやWebサービスの起動が含まれます。

注意:

これらの焦点領域は相互に排他的ではありません。したがって、3つのカテゴリすべてにわたって一部のカスタマイズが重複する可能性があります。

アプリケーション・コンポーザは、実行時に使用可能なデザインタイム・ツールです。このため、ほとんどのインタフェースの変更は、ログアウトしてから再度サインインしなくても即時有効になります。ただし、カスタム・フィールドの作成などのデータ・モデルの変更の場合は、これらの変更が有効になる前に再認証が必要になります。

重要:

Oracle Sales Cloudアプリケーション・コンポーザを使用したほとんどのカスタマイズおよび統合作業では、サンドボックスをアクティブ化することが必要です。詳細は、「Oracle Sales Cloudサンドボックスでの作業の概要」を参照してください。

アプリケーション・コンポーザへのアクセス

アプリケーション・コンポーザへのアクセスは、次のロールに制限されています。

  • CRMアプリケーション管理者

  • アプリケーション実装コンサルタント

  • 営業管理者

アプリケーション・コンポーザにアクセスする手順:

  1. サンドボックスをアクティブ化します。詳細は、「Oracle Sales Cloudサンドボックスでの作業の概要」を参照してください。

  2. Oracle Sales Cloud「ナビゲータ」メニューから、「ツール」カテゴリの下の「アプリケーション・コンポーザ」をクリックします。

  3. 左側のペインで、「オブジェクト」および「共通設定」ノードがアクティブであることを確認します。

アプリケーション・コンポーザを使用したOracle Sales Cloudのカスタマイズの詳細は、「Sales Cloudのカスタマイズ」ガイドの次の章を参照してください。

Oracle Sales Cloud内のサード・パーティのアプリケーション

Oracle Sales Cloudでは、オブジェクト・アクション、ボタン、リンクとともにGroovyスクリプトおよび式言語(EL)コードを持つアソシエーションを介して起動可能なサード・パーティのアプリケーションを使用できます。これには、Oracle Java Cloud Service - SaaS ExtensionなどのPaaS環境を介して外部的に使用可能なアプリケーションが含まれます。ただし、アプリケーションにリンクする前に、Oracle Sales Cloudトポロジに正しく登録する必要があります。登録したら、サード・パーティのアプリケーションを登録名によって参照できるようになります。これにより、ある時点でURLが変更されたときに、その情報をOracle Sales Cloudトポロジで1回のみ変更すればすみます。

前提条件
このタスクを実行する前に、次の各事項について検討してください。
  • 次のOracle Sales Cloudユーザー・ロールの1つがあることを確認します。
    • CRMアプリケーション管理者

    • アプリケーション実装コンサルタント

    • 営業管理者

    注意:

    これらのロールのいずれもない場合は、管理者に問い合わせてください。
  • Oracle Sales Cloudにサインオンします。

手順

サード・パーティのアプリケーションを登録するには、次のステップに従います。
  1. サンドボックスをアクティブ化します。詳細は、「Oracle Sales Cloudサンドボックスでの作業の概要」を参照してください。
  2. Oracle Sales Cloud「ナビゲータ」メニューから、「設定と保守」をクリックします。
    「設定と保守」インタフェースが開きます。
  3. 右側の「タスク」フライアウト・メニューを展開します。このメニューは、ページ・アイコンによって表されます。
  4. カスタム・セットアップ・コンテンツの管理をクリックします。
  5. トポロジ定義パネルで、サード・パーティ・アプリケーションの管理をクリックします。
  6. 「検索結果」の下で、「アクション」ドロップダウンを展開し、「作成」をクリックします。
  7. 「基本情報」の下のフィールドを入力します。
    1. 「アプリケーション名」を入力します。
    2. 「完全 URL」を入力します。
    3. 「パートナー名」を指定します。

      注意:

      パートナー名を含めることが適切でない場合、このフィールドを使用して他の任意の表記を含めることができます。
  8. インタフェースの右上側で、「適用」ボタンをクリックし、画面下部の「サーバー詳細」リージョンで各種アプリケーションURLコンポーネントの解析済ビューを表示します。
  9. サード・パーティのアプリケーションを作成するには、「保存して閉じる」をクリックします。
    インタフェースがリフレッシュされ、サード・パーティのアプリケーションの管理インタフェースが表示されます。
  10. 作成したアプリケーションが「検索結果」表に表示されていることを確認します。
これで、アプリケーションが登録され、「アプリケーション名」を介してOracle Sales Cloudの様々な領域で使用できるようになります。