12階層情報の管理

この章の内容は次のとおりです。

階層情報の管理

階層では、特定のパーティ(顧客など)と他のパーティとの階層関係を取得します。この機能は、顧客の法人階層を取得し、本店、支店、子会社などの関連を示すために頻繁に使用されます。顧客だけでなく、見込み客、サプライヤ、パートナなどの任意のパーティの階層を取得するために使用できます。

顧客データを階層として編成することには、次の利点があります。

  • 顧客の組織に対する理解と洞察を深めることができます。

  • 顧客関連データをより高度に分析できます。

  • 階層を使用するアプリケーション・モジュールは、階層を使用して、トランザクションをロール・アップし、ビジネス・ルールを適用できます。

顧客の階層を多数のビジネス・プロセスで活用できます。たとえば、テリトリ管理機能では、アカウントのディメンションを定義するために顧客の階層情報を使用します。財務アプリケーションでは、ある顧客の支払処理に顧客階層情報を使用し、それを同じ階層内の別の顧客に適用します。売上ロール・アップ・レポートでは、顧客階層情報を使用して、1つの階層の全顧客にわたって商談から売上の数値をロール・アップします。

Oracle Cloudアプリケーションには、ツリー・フレームワークと呼ばれる、様々な階層を管理するための共通フレームワークがあります。パーティ階層では、この共通フレームワークを使用します。

階層の管理UIを使用して、階層を作成または変更できます。階層の管理のUIには次のいずれかの方法でアクセスできます。

  • 「ナビゲータ」「顧客データ管理」「階層」

  • 「設定および保守」作業領域で、次の項目に移動します。

    • オファリング: 顧客データ管理

    • 機能領域: 取引先コミュニティ基盤

    • タスク: 階層の管理

階層の作成

階層を作成するには、次の手順に従います。

  1. 「階層の管理」UIに移動します。

  2. 「処理」メニューの「作成」オプションまたはボタンをクリックします。「階層の作成: 基本情報の入力」ページが表示されます。

  3. 必須フィールドに入力します。次のサンプル・データを使用できます。

    • 階層名: Green Corp.

    • 階層タイプ: 顧客階層

    • 階層ステータス: アクティブ

    • 有効開始日: 適切な日付と時刻を入力します。

  4. 「次」をクリックします。「階層の作成: パーティの追加」ページが表示されます。

  5. 「処理」メニューの「追加」オプションまたはボタンをクリックします。「ツリー・ノードの追加」ポップアップが表示されます。

  6. ツリー・ノード・タイプで次のいずれかを選択します。

    • 特定の値

    • 参照している階層からの値

  7. 「次」をクリックします。「階層の作成: レビュー」ページが表示されます。階層情報を確認し、変更する場合は「戻る」をクリックします。

  8. 「終了」をクリックして、新しい階層の作成を完了します。

階層の編集

階層を編集するには、次の手順に従います。

  1. 「階層の管理」UIに移動します。

  2. 編集する階層を検索して選択します。

  3. 「処理」メニューで、次のいずれかのオプションを選択します。

    • 階層バージョンの編集: 階層への変更を即座に利用可能にします。

    • 新規バージョンの作成: 階層への変更を後で利用可能にします。

  4. ツリー・ノードの更新が必要になったときに、「処理」メニューの「追加」または「削除」オプションまたはボタンをクリックします。

  5. 「保存してクローズ」をクリックして階層の編集を終了します。

階層検証ルール: 説明

階層検証ルールによって、新しく作成または更新された階層が適切に構造化されていることが確認されます。これらのルールは、階層を作成または変更するたびに実行されます。

パーティ階層、ダンアンドブラッドストリート階層、顧客階層などの事前定義の階層を含むすべての階層タイプは、アクティブ・バージョンの顧客階層で、次の検証ルールを強制します。

  • 階層にマージ済パーティを含めることはできません。

  • 階層には、販売アカウント、販売見込み客、(内部)法的エンティティ、外部法的エンティティ、購買顧客などの特定のパーティ使用目的のみを持つパーティを含めることができます。購買顧客は外部法的エンティティともみなされます。

  • パーティが外部法的エンティティの場合、その親にできるのは外部法的エンティティのみになります。

  • パーティが(内部)法的エンティティの場合、その親にできるのは(内部)法的エンティティのみです。

  • パーティが外部法的エンティティまたは(内部)法的エンティティでない場合、その親にできるのは適格な顧客のみになります。たとえば、販売見込み客、販売アカウント、外部法的エンティティ、(内部)法的エンティティまたは購買顧客などです。

  • パーティは、顧客階層内のすべてのツリー内で1つのアクティブなツリーにのみ存在できます。

  • 顧客階層に編成された販売アカウントがある場合、その階層内のすべてのノードは販売アカウントである必要があります。大きな販売アカウント内に表示される販売アカウントは、販売アカウント・ノード間のノードと呼ばれます。

  • 指定販売アカウントには、指定販売アカウントを祖先としてのみ指定できます。

注意:「指定」は、販売アカウント・プロファイル・エンティティに格納されている販売アカウント属性です。

これらの検証ルールは、ユーザーが階層に追加するためにノードを選択する間に、可能なかぎり多く階層UIで強制されます。また、バックグラウンド監査ジョブはこれらのルールを実装して、検証に合格しないすべての階層が非アクティブとマークされるようにします。

階層を作成するとき、新しい階層を作成するか、または既存の階層の新しいバージョンを使用するかを決定する必要があります。

新しい階層を作成する場合

次のいずれかに該当する場合は、新しい階層を作成できます。

  • 新規顧客を獲得し、この新規顧客の企業構造を表現するために新しい階層が必要です。

  • 既存の顧客が組織の構造を大幅に変更しました。既存の階層を編集するより、新しいバージョンを作成する方が迅速かつ効率的です。

新しい階層バージョンを作成する場合

次のいずれかに該当する場合は、階層の新規バージョンを作成できます。

  • 階層の既存のバージョンに小規模な変更(新規顧客の追加、階層内の既存の顧客の削除や再配置など)があります。

  • アクティブな階層に大幅な変更を加える必要があるが、すべての変更が階層に組み込まれた後にのみ、変更をアクティブに設定する必要があります。その後、階層の新規バージョンを作成し、適切な期間が経過した後にアクティブになるように設定できます。必要なすべての変更を加え、予定日までに新しいバージョンをアクティブ化する準備を整えることができます。

階層を編集するとき、階層の既存のバージョンを編集するか、または新しいバージョンを作成するかを決定する必要があります。既存のバージョンに対して加えた変更は即時にアクティブになりますが、階層の新規バージョンはその階層がアクティブになった日付にアクティブになります。

階層の編集のベスト・プラクティス

階層の既存のバージョンを編集する場合、変更内容は即座に保存され、編集中でもユーザーはそれらの変更内容を使用できます。ただし、既存の階層バージョンの編集中に変更を取り消すことはできません。

アクティブな階層を編集するとき、変更は次の2通りの方法で処理します。

  • 階層を編集する前に、階層を非アクティブに設定できます。変更が完了した後、それらのステータスを再びアクティブに変更できます。

    注意: 階層が非アクティブである間、ユーザーはその階層を使用できません。
  • 新しい階層バージョンを作成し、翌日アクティブになるよう設定できます。これにより、既存のバージョンがアクティブである間に新規バージョンに変更を加え、それを翌日にアクティブ化できます。

マージに対応した階層の編集

マージ・プロセスでは、重複パーティが統合され、それらのパーティが属する階層が更新されます。マージ・プロセスによって実行された階層への更新が期待したとおりでない場合は、「階層タイプの管理」タスクで更新済の階層を編集します。

階層情報の管理に関するFAQ

「ツリー構造の管理」タスクを使用して、新しい階層タイプを作成できます。アプリケーションとして「Trading Community Model」を選択し、既存のデータ・ソースや新しいカスタム・データ・ソース、および必要なラベリング・スキームを選択します。次に、新しい階層タイプの適切な使用目的など、必要なその他の詳細を入力します。新しく作成した階層タイプを「パーティ階層タイプ」参照の下に追加して、新しい階層タイプを階層タイプの参照に含めます。

はい。新しいバージョンがアクティブである日付が、同じ階層の既存のアクティブなバージョンの日付と重複しないようにする必要があります。

階層を編集する権限がない場合、どのようにマージ完了通知に応答できますか。

階層を編集する権限がない場合は、適切な権限を持つユーザーにマージ完了通知を再割当てします。たとえば、営業担当は、マージ完了通知を営業管理者に再割当てできます。

階層タイプを作成する場合は、階層参照のリストも更新する必要があります。階層参照リストの更新が完了するまでは、新しい階層タイプを使用できません。

「階層参照の管理」タスクを使用して、階層タイプのリストを更新できます。「パーティ階層タイプ」(PARTY_HIERARCHY_TYPE)参照タイプを編集対象として選択します。新しい階層タイプを「パーティ階層タイプ」参照タイプに追加します。階層タイプ参照のリストを更新し、変更を保存すると、新しい階層タイプが階層タイプのリストに表示されます。

最近保存されたアクティブな階層バージョンがときどき非アクティブに自動的に設定されるのはなぜですか。

新しく編集された階層は、保存およびクローズする前でも、デフォルトで自動コミット・プロセスとして保存されます。変更を保存してクローズすると、アプリケーションによってツリーのフラット化サービスおよび監査ジョブがトリガーされます。これはジョブの完了を待機せず、監査ジョブの完了後にバージョンに再度アクセスして階層のバージョン・ステータスを確認するように通知します。

階層の検証時点で監査ジョブでエラーが識別された場合は、階層のステータスが非アクティブに設定されます。ただし、このことはアプリケーションによって通知されません。ステータスが非アクティブである場合は、階層管理インタフェースに再度アクセスし、以前に保存したバージョンで問題を修正する必要があります。