15他のクラウド・サービスでの顧客データ管理の使用

この章の内容は次のとおりです。

顧客データ管理クラウド統合アプローチ: 説明

REST APIまたはSOAP APIを使用して顧客データ管理クラウドを他のクラウド・サービスと統合することで、住所クレンジング、重複識別および重複解決機能を提供できます。または、Integration Cloud Serviceを使用して、顧客データ管理をその他のクラウド・ベースまたはオンプレミスのアプリケーションと統合するワークフローを開発できます。

REST APIを使用した顧客データ管理クラウド統合

Oracle Customer Data Management Cloudには、顧客データ管理クラウドに格納されているデータにアクセスし、他のシステムとの統合を構築するために使用できる、複数のパブリックREST APIが用意されています。これらのAPIには、組織(アカウント)および個人(担当者)を取得(Get)、作成(Post)、更新(Patch)および削除(Delete)するためのリソースが含まれます。また、重複するパーティを識別し、解決要求を作成するためのリソースもあります。

パブリックREST APIの詳細は、「関連トピック」の項の「Oracle Engagement Cloud用REST API」を参照してください。

SOAP APIを使用した顧客データ管理クラウド統合

Oracle Customer Data Management Cloudには、組織(アカウント)および個人(担当者)を作成および更新するためのSOAPサービスが用意されています。これらのサービスを使用して、重複するパーティを識別し、解決することもできます。

SOAP APIの詳細は、「関連トピック」の項の「エンゲージメント・クラウドのSOAP Webサービス」を参照してください。

インポートおよびエクスポートによる顧客データ管理クラウド統合

Oracle Customer Data Management Cloudでは、ファイルベース・データ・インポートおよびエクスポート、一括エクスポートおよびデータ・インポートを使用し、テキスト・ファイルまたはXMLファイルを使用してアプリケーション・データをインポートおよびエクスポートできます。インポートを使用して、Oracle Customer Data Management Cloudでレコードを作成または更新することもできます。

インポート・プロセスを構成すると、次のことが可能です。

  • ロードされるデータ内の重複除去を定義します。

  • データベースに存在するレコードに照らして、ロードされるデータの重複除去を定義します。

重複を識別するための照合構成を選択し、インポート・プロセス中に重複レコードに対して実行する処理を指定することもできます。

ファイルベース・データ・インポートおよびエクスポートの詳細は、「関連トピック」の項に掲載されている「ファイルベース・データ・インポートおよびエクスポートの理解」のリンクを参照してください。

Integration Cloud Serviceを使用した顧客データ管理クラウド統合

Integration Cloud Serviceを使用すると、顧客データ管理クラウド、その他のクラウド・サービスおよびオンプレミス・アプリケーションの間の事前定義済統合を利用できます。たとえば、Oracle Service Cloudを顧客データ管理クラウドと統合して、重複解決機能を提供できます。この機能を使用すると、Oracle Engagement Cloudのアカウント(組織)または担当者(個人)を、Oracle Service Cloudのアカウント(組織)または担当者(個人)とマージできます。

Integration Cloud Serviceの詳細は、「関連トピック」の項に掲載されている「Oracle Integration Cloud Service」のリンクを参照してください。

アカウント(組織)および担当者(個人)の顧客データ管理統合

次の表に、Oracle Customer Data Management Cloudで使用可能な統合オプションを示します。

顧客データ管理プロセス(バッチ・ジョブ) SOAPサービス RESTサービス データ・インポート(売掛/未収金のみ) ファイルベース・データ・インポート ファイルベース・データ・インポート(簡易ビュー) ファイルベース・データ・エクスポート ICSイベント コメント

住所クレンジング

いいえ

住所クレンジングは、住所検証クラウド・サービスからのみRESTサービスによって使用できます。

はい

いいえ

いいえ

はい(バッチ要約のみ)。重複する住所や関係などの子オブジェクトは除外されます。

いいえ

ファイル・エクスポートは、「顧客データ管理」作業領域からのみ使用できます。

重複識別

いいえ

いいえ

はい

はい

いいえ

はい(バッチ要約のみ)。重複する住所や関係などの子オブジェクトは除外されます。

いいえ

ファイル・エクスポートは、「顧客データ管理」作業領域からのみ使用できます。

重複解決およびマージ

はい。SOAPサービスでは、新しい解決要求を作成し、既存の解決要求を問い合せることができますが、既存の要求を更新することはできません。

はい。RESTサービスでは、新しい解決要求を作成し、既存の解決要求を問い合せることができますが、既存の要求を更新することはできません。

はい

いいえ

いいえ

はい。重複する住所や関係などの子オブジェクトは除外されます。

はい。パブリック解決要求が更新されます。

重複解決では、重複するパーティの詳細に一括エクスポートを使用できます。「関連トピック」の項の「顧客データ管理の実装」を参照してください。

データ・エンリッチメント

いいえ

データ・エンリッチメントは、Oracle Social Data and Insight Cloud ServiceからのみRESTサービスによって使用できます。

いいえ

いいえ

いいえ

はい

いいえ

Integration Cloud Serviceによる統合時のマージ操作プロセス: 説明

Oracle Customer Data Management (CDM) Cloudは、Integration Cloud Serviceによる様々なクラウド・サービス(スポーク・システムとも呼ばれる)間の統合時に顧客マスターの役割を果たします。CDM Cloudを使用して、統合されたクラウド・サービス全体で顧客データをクレンジング、連結および共有できます。このトピックでは、顧客データ管理クラウドの重複解決機能によって統合済クラウド・サービス間でどのようにレコードがマージされるかについて説明し、その例として、Oracle Engagement Cloudのアカウントまたは連絡先がOracle Service Cloudのアカウントまたは連絡先とどのようにマージされるかについて説明します。

ポイント・ツー・ポイント統合のマージ操作プロセス

この統合シナリオでは、顧客データ管理クラウドは1つのスポーク・システムに重複解決機能を提供します。

次の図は、Spoke 1のアカウントの2つの担当者(Contact AおよびContact B)のマージ前のステータスを示しています。

Spoke 1のアカウントの2つの担当者(Contact AおよびContact B)のマージ・ステータス

次の図は、Spoke 1のアカウントの2つの担当者(AおよびB)がCDM Cloudでどのようにマージされるのか、およびどのようにしてContact Aが保持され、Contact Bが破棄されるのかを示しています。

Spoke 1のアカウントの2つの担当者(AおよびB)が顧客データ管理クラウドでマージされて、Contact Aが保持され、Contact Bが破棄されています

次の図は、アカウントの2つの担当者(AおよびB)のマージ後のステータスを示しています。Spoke 1では、マージ後にContact Aのみが保持され、アクティブなままとなっています。

アカウントの2つの担当者(AおよびB)のマージ後のステータス。Spoke 1では、マージ後にContact Aのみが保持され、アクティブなままとなっています

パブリッシュ/サブスクライブ統合のマージ操作プロセス

この統合シナリオでは、顧客データ管理クラウドは、統合された2つ以上のクラウド・サービスまたはスポーク・システムに重複解決機能を提供します。スポーク・システムの重複データがCDM Cloudで連結され、マスター化されたデータがサブスクライブ側のスポーク・システムにパブリッシュされます。

次の図は、Spoke 1とSpoke 2の両方に存在するアカウントの2つの担当者(AおよびB)のマージ前のステータスを示しています。

Spoke 1とSpoke 2の両方に存在するアカウントの2つの担当者(AおよびB)のマージ前のステータス

次の図は、アカウントの2つの担当者(AおよびB)のマージ後のステータスを示しています。

 アカウントの2つの担当者(AおよびB)のマージ後のステータス

次の点に注意してください。

  • Contact AおよびBに関するデータが両方のスポーク・システムから顧客データ管理クラウドに送られます。

  • 顧客データ管理クラウドでマージが行われ、破棄されるレコードが所有しているオブジェクトは、CDMの保持されるレコードに移動(親が変更)されます。

  • マスター化されたデータが両方のスポーク・システムにパブリッシュされ、その結果、Contact Bが両方のスポーク・システムから削除されます。