データ有効期限ポリシー

収集および配信するデータが実際のユーザーによる最近のアクティビティを反映するようにするために、Oracle Data Cloudプラットフォームには、データが期限切れになる時期を管理するルールおよび標準設定が存在します。Oracleでは、多数の要因(IDタイプ、メタデータ属性、オンライン・トラフィック動作など)を使用して、データが期限切れになる時期を定めています。結果として、DMPでは、最新状態を満たすデータのみが保持されて提供されます。

ボットの検出: データ品質を確保するために、Oracle Data Cloudプラットフォームでは、複数の異なる技術を使用してボット・トラフィックを識別し、ボットと推測されるプロファイルを削除します。たとえば、24時間内に4,000を超えるカテゴリに属するプロファイルは削除されます。

Oracle Data Cloudプラットフォームのデータ有効期限ポリシーを理解すると、オーディエンスにこの数のプロファイルが含まれる理由およびその数がユーザー自身の推定と異なる場合がある理由を把握できます。たとえば、スポーツ・ニュースWebサイトのパブリッシャであるとします。サイト・アナリティクス・データに基づいてページの訪問者数を把握しているため、カテゴリのインベントリ量を見積もることができます。Oracle Data Cloudプラットフォームにログインしてオーディエンスを作成する場合、そのオーディエンスの推定リーチは、自分の推定に近いものの、やや少なくなります。

オーディエンス数における変動の多くは、プロファイルおよびその他データの期限切れが原因です。たとえば、10,000人のユーザーがサイトを訪問し、500人が戻らない場合、プロファイル数はほぼ即座に9,500に減少します。同様に、1,000人のユーザーが1日以内にサイトを再訪問し、その後戻らない場合、それらのプロファイルは1週間で失効します。そのため、10,000の当初のサイト訪問から合計8,500のプロファイルが得られます。この数は、定期的にサイトを再訪問するユーザー数に応じて、時間の経過とともに変わります。

また、オーディエンスをメディア実行プラットフォームに配信した場合、配信されるプロファイルの実際の数は、オーディエンス・リーチよりも少なくなります。これは、Oracle Data Cloudプラットフォームとメディア実行プラットフォーム間の重複が100%にならないためです。

プロファイル有効期限

ユーザー・プロファイルは、最新データを表さなくなった時点で期限切れになります。DMPプラットフォームでは、期限が切れたプロファイルはプロファイル・ストアから削除されます。結果として、カテゴリに割り当てたりオーディエンスに含めることはできなくなり、ユーザー・データとして配信できなくなります。たとえば、ワールド・カップの開催中に通常の数を超えるユーザーがスポーツ・サイトを訪問したものの、ワールド・カップ後は定期的に訪問しなくなった場合、そのプロファイルはすべて同時期に期限切れになります。結果として、短期間でオーディエンス・リーチは著しく減少する可能性があります。

Oracleでは、2つの要因を使用して、プロファイルの期限が切れる時期を決定します。

  • リーセンシ。プロファイルがOracle Data Cloudプラットフォーム・ネットワーク上で最後に検出された時間。
  • IDソース。Oracle Data Cloudプラットフォーム・ネットワークでプロファイルを識別するIDの性質。(Oracle Data CloudプラットフォームでのIDの処理方法の詳細は、ID管理を参照してください。)

Oracleでは、プロファイルのIDタイプの存続時間(TTL)と、そのプロファイルがネットワーク上で最後に検出された時間を加算することによって、プロファイル有効期限を計算します。IDソースが異なると、そのTTLポリシーは異なる可能性がありますが、現在、Oracle Data Cloud CookieとMAID (IDFAやGoogle AdIDなど)の両方で、30日間という最大TTLが設定されています。

たとえば、AdIDを持つユーザーが12月14日と15日にWebサイトを訪問したものの、再訪問がなかった場合、これらのプロファイルは30日後の1月15日に期限切れになります。

プロファイルの有効期限は訪問のたびに延長されるため、無期限にアクティブな状態を保持できます。最大存続期間はありません。ほとんどのユーザーは同じサイトを頻繁に訪問するため、これらのプロファイルが最後に検出された日付およびTTLに基づいて期限切れになる可能性は低くなります。ユーザーがこれらのCookieを削除したためにプロファイルが期限切れになる可能性のほうが高くなります。

新規プロファイル有効期限

アクティブで有効なプロファイルのみがOracle Data Cloudプラットフォームに格納されるように、プロファイルの作成後24時間未満は、プロファイルに適用される有効期限が短縮されます。有効期限はプロファイルの経過時間に基づいて変わります。プロファイル経過時間は、最後に検出された時間から最初に検出された時間を引いた時間として定義されます。次の表は、新規プロファイルの有効期限ルールをまとめたものです。

プロファイル経過時間 有効期限
10分未満 1日
10分から1時間まで 2日
1から24時間まで

7日

24時間経過後 30日

この例では、Oracle Data Cloud Cookieにリンクされたユーザーが、0日目と20日目にWebサイトを訪問するとします。同じユーザーがネットワーク内の他のサイトを0日目と40日目に訪問しますが、40日目よりも後はネットワーク上で検出されません。

このユーザーのプロファイルはOracle Data Cloud Cookieに基づいているため、TTLは30日間です。したがって、70日目(40 + 30)に期限切れになります。

カテゴリ有効期限

プロファイルがカテゴリに分類されなくなると、そのカテゴリは期限切れになります。たとえば、アリゾナ在住のユーザーに対してカテゴリを作成したものの、場所データを収集しなくなると、分類されるプロファイルが存在しないため、そのカテゴリは期限切れになります。期限切れになったカテゴリをターゲッティングに使用することはできません。

デフォルトで、カテゴリは、プロファイルが最後にそのカテゴリにタグ付けされてから90日後に期限切れになります。最後にタグ付けされたプロファイルは、ターゲッティングに使用できるよう、カテゴリに対して保持する必要があります。このため、このプロファイルが90日前に期限切れになった場合、カテゴリが期限切れになっていなくても、このカテゴリをターゲッティングに使用することはできません。

デフォルトのカテゴリTTLは最大で180日間まで延長できますが、例外にはOracle Data Cloudタクソノミ・チームからの承認が必要となります。Oracle Data Cloudプラットフォームから配信されたIDをよりTTLが長い独自のプライベートIDと照合するか重複させる場合は、延長が必要になる可能性があります。ただし、これらの延長には多大なコスト、処理および作業が伴うため、やむを得ない場合にのみ依頼する必要があります。

承認をリクエストするには、オンボーディング中に実装コンサルタントに問い合せるか、実装の完了後にカスタマ・サービス・マネージャに問い合せます。

カテゴリ有効期限の例

この例では、ユーザー・プロファイルは0、20および40日目にサイトを訪問します。0と40日目では、Oracle Data Cloudプラットフォームの分類ルールにより、プロファイルはカテゴリAに分類されます。20日目では、プロファイルはカテゴリBに分類されます。ユーザー・プロファイルはアクティブのままとなり、標準カテゴリTTLである90日間が使用されます。

このシナリオでは、0から130日目までのターゲッティングにカテゴリAを使用できます。カテゴリBは、20から110日目まで使用できます。

Cookie有効期限

Oracle Data Cloud Cookieは、期限が切れても、Cookieに関連付けられているプロファイルの存続期間に影響を及ぼす可能性はほとんどありません。クライアント側のブラウザのCookieはTTLが180日間であり、関連付けられたブラウザでOracle Data Cloudタグを含むページが表示されると常にリセットされます。プロファイルTTLもページが表示されるたびにリセットされますが、より短期間(30日間)にリセットされます。このため、Cookie有効期限は、プロファイル有効期限よりもずっと後になります。

Cookie有効期限の例

この例では、プロファイルは0、30および70日目にWebサイトを訪問します。訪問するたびに、Cookie有効期限は、訪問の日付から180日目にリセットされます。したがって、現在の有効期限は250日目(70 + 180)となります。

プロファイル有効期限およびカテゴリ可用性

プロファイル有効期限は、カテゴリの可用性に影響を及ぼす可能性があります。この項では、この相互作用を示す2つのシナリオについて説明します。

プロファイル有効期限シナリオ1

ユーザーは、0と20日目にサイトを訪問しますが、再訪問しません。また、Oracle Data Cloudプラットフォーム・ネットワーク内の他のどのサイトも訪問しません。最初の訪問時に、Oracle Data Cloudプラットフォームでプロファイルが作成され、カテゴリAに分類されます。2回目の訪問時に、プロファイルはカテゴリBに分類されます。このプロファイルは、2つのカテゴリのそれぞれに割り当てられた最後のプロファイルとなります。

Cookieベース・プロファイルのTTLは30日間であるため、プロファイルは50日目に期限切れになります。カテゴリは、そのTTLに基づいて、90と110日目まで期限切れになりません。ただし、プロファイルが50日目に期限切れになるため、50日目までにかぎり、ターゲッティングに使用できます。カテゴリは、最後に割り当てられたプロファイルがまだアクティブである場合にかぎり、ターゲッティングに使用できます。

プロファイル有効期限シナリオ2

前のシナリオのユーザーがサイトを訪問した後、ネットワーク内の他のサイトを定期的に訪問する場合、プロファイルが前のように期限切れになることはありません。したがって、カテゴリAとBは、プロファイルの最終訪問から90日間ずっとターゲッティングに使用できます。カテゴリAは、0から90日目まで使用できます。カテゴリBは、20から110日目まで使用できます。

削除済のCookieおよびMAID

Oracle Data Cloud CookieまたはMAIDを削除すると、プロファイル有効期限および可用性に影響を及ぼします。この項の例ではCookieの削除を取り上げていますが、MAIDを削除しても同じ結果になります。

ユーザーAは0日目にサイトを訪問し、Oracle Data Cloud Cookieを受信して、プロファイル・ストアに追加されます。このユーザーは、20日目にもサイトを訪問し、他のネットワーク・サイトも0、20および40日目に訪問します。50日目に、ユーザーはこれらのOracle Data Cloud Cookieを削除します。同じユーザーが60日目にサイトを再訪問し、これにより、新しいOracle Data Cloud Cookieとプロファイル(プロファイルB)が生成されます。

そのCookieが削除されたため、プロファイルAは、40日目よりも後はネットワーク上で検出されません。Cookieが削除された場合、Oracle Data Cloudプラットフォームでは通知が受信されないため、プロファイルは、Cookieが削除された日ではなく、最後に検出された日付およびそのTTLに基づいて期限切れになります。この場合、プロファイルは70日目(40 + 30)に期限切れになります。

ユーザーが60日目にサイトを再訪問すると、Oracle Data Cloudプラットフォームでは、一連の最後に検出された日付に基づいた有効期限を含む新しいOracle Data Cloud Cookieとプロファイル(プロファイルB)が生成されます。

プラットフォームでブラウザを表示する際には、最初に、再使用可能な以前のCookie IDの検出が試行されます。古いCookie IDを使用できる場合、以前のオフライン・プロファイル情報がCookieにコピーして戻されます。

Cookieを削除すると、プロファイルをターゲッティングに使用できる時期と方法にも影響を及ぼします。たとえば、プロファイルAは、0から70日目(プロファイルが作成された日と期限切れになった日)までターゲッティングに使用できます。ただし、可用性のタイプはこの期間中に変化します。プロファイルAのOracle Data Cloud Cookieが存在している間、サーバー・データ・トランスファー(SDT)とピクセルの配信方法のいずれかを使用するオーディエンス配信にプロファイルを含めることができます。50 (ユーザーがCookieを削除した日)から70日目まで、プロファイルはSDTによってのみ配信できます。ピクセル配信では、ピクセルがコンテナ内で発火できるように、Cookieがクライアント・サイト上で検出されることを必要とします。Cookieが削除されたため、ピクセルは発火できません。

ユーザーが50日目に(Oracle Data Cloud Cookieのみではなく)すべてのCookieを削除した場合、SDT配信も実行できません。実行プラットフォーム上のユーザーを識別するために必要なCookieが削除されると、配信を実行できなくなります。

Cookieベース・プロファイルの作成について

プロファイルがターゲット可能なユーザーを表すようにするために、Webブラウザからのタグ・コールの初回受信時、DMPではユーザー・プロファイルが作成されません。初回タグ・コールの多くはブラウザとの接触にすぎず、この場合にプロファイルを作成しても有効ではないためです。(初回タグ・コールは、DMPでのレポートのために収集され、Site Hitsレポートに含められます。)

かわりに、DMPでは、2回目のタグ・コールを待機してプロファイルを作成します。ただし、プロファイルの最終的な作成を容易にするために、DMPでは、初回タグ・コール後にブラウザ上の2つのCookieを配置します。

  • 通常のOracle Data Cloud Cookie
  • データの分類に必要なすべての詳細(サイトID、phint ID、スワップIDなど)を含む一時的なCookie。

DMPでは、ブラウザからの2回目のタグ・コールを受信すると、プロファイルを作成し、一時的なCookieに基づいてデータを分類します。次に、一時的なCookieを削除して、2回目のコールからのデータを分類し、通常のターゲッティング・ロジックを適用します。

プロファイル作成およびTTLロジックでは、期限が切れてから再検出されたCookie (断続的なCookie)は新規として処理されます。たとえば、DMPによって、過去のある時点で、あるブラウザに対するユーザー・プロファイルが作成されたものの、その後、このプロファイルが非アクティブであるために削除されたとします。DMPで該当デバイスに対するタグ・コールが受信されると、このブラウザが検出されたことがなかったかのように、プロファイル作成ロジックが最初のステップから開始されます。つまり、新規プロファイルが作成される前に、ブラウザを再検出することが必要になりました。2つ目のプロファイルのCookie IDは、同じCookieに基づくため、最初のプロファイルのものと同じになります。