Oracle Data CloudプラットフォームへのoHashの送信

ユーザーの電子メール・アドレスと電話番号をoHashと呼ばれるSHA-256でハッシュ化されたIDに変換し、これらをプラットフォームに送信できます。これらは、Oracle ID Graph内で互いにリンクされたユーザー・プロファイルのネットワークと同期されます。これは、すべてのOracle Data Cloudプラットフォーム・カスタマのIDおよびユーザー属性を管理するために使用されます。

この同期化により、デスクトップ・デバイス、モバイル・デバイスおよびメディア実行プラットフォーム全体で、ユーザーのターゲッティングと通信が最適化されます。oHashによって、オフラインとオンラインのマッチ率を高め、ResponsysプラットフォームをOracle Data Cloudプラットフォームに接続して、クロスデバイス・ターゲッティングを実行できます。oHashを提供および使用する場合、プライベート・ユーザー・データはプライベートのままとなります。

プラットフォームにoHashを提供するには、Oracle Data CloudコードをWebページに追加します。コードにより、ログイン画面またはフォームに入力された未加工の電子メール・アドレスまたは電話番号が正規化されて、SHA-256アルゴリズムを使用してハッシュ化され、oHashがプラットフォームに送信されます。ターゲットを設定した電子メール・マーケティングを実行する場合、電子メール・メッセージにコードを追加するようベンダーに依頼することで、oHashを提供することもできます。

重要: 個人識別情報(PII)を、プラットフォームに送信したり、Oracle Data Cloudプラットフォームに保存したりしないでください。PIIから導出されたすべてのIDは、プラットフォームに送信する前に、ブラウザまたはサーバーでハッシュ化する必要があります。

oHashの生成および送信

Oracle Data CloudコードをWebページに追加して、既知のユーザーの匿名化とそのoHashのプラットフォームへの送信を開始するには、次のいずれかの方法を使用できます。

  • Oracle Data Cloudコア・タグ(フォーム送信): Oracle Data Cloudコア・タグは、オンライン・フォームに入力された電子メール・アドレスと電話番号を正規化してoHashに変換し、oHashをプラットフォームに送信するためのJavaScript関数を含むiframeです。ユーザーのかわりに正規化とハッシュが自動で行われることから、コア・タグを使用することをお薦めします。
  • Oracle Data Cloudモバイル・コア・タグ: Oracle Data Cloudモバイル・コア・タグを使用すると、モバイル・デバイスからプラットフォームにoHashを渡すことができます。モバイル・コア・タグは、デスクトップ・コア・タグと同じですが、モバイル・サイト上のパフォーマンスを最適化するためのいくつかの追加の関数が含まれます。
  • IDスワップ・タグ: IDスワップ・タグは、渡されたoHashを取得してプラットフォームに送信するイメージ・ピクセルです。イメージ・ピクセルには正規化関数やハッシュ関数が一切含まれないため、IDスワップ・タグで電子メール・アドレスまたは電話番号を正規化してハッシュ化するには、クライアント側コードまたはサーバーサイド・コードが必要です。通常、IDスワップ・タグは、タグ・コールを実行するためにピクセルを必要とする環境(表示メディアなど)で使用されます。
  • Oracle Data Cloudクライアント側コード(JavaScript): Oracle Data Cloudクライアント側コードでは、コア・タグと同じ関数を使用し、oHashを生成してプラットフォームに送信します。クライアント側コードは、コア・タグを使用せずにoHashを自分で生成する必要があるDMPユーザー、またはoHashを生成してIDスワップ・タグに渡す必要がある顧客によって使用されます。
  • Oracle Data Cloudサーバーサイド・コード: Oracle Data Cloud Python、RubyおよびJavaのサーバーサイド・コードには、未加工の電子メール・アドレスと電話番号を取得して正規化し、ハッシュ化する一連の関数が含まれます。サーバーサイド・コードは、サーバーサイド通信を介してoHashを送信する必要があるDMPユーザー、またはoHashを生成してIDスワップ・タグに渡す必要があるパートナによって使用されます。また、DMPユーザーがこれらのオフライン・ファイルのoHashを生成するためにもこれを使用します。

電子メール・マーケティング・ベンダーに電子メールにコードを追加するよう依頼し、次の方法のいずれかを使用して、Oracle Data CloudプラットフォームにoHashを送信できます。

  • 電子メール開封IDスワップ: Oracle Data Cloudクライアント側コードまたはサーバーサイド・コードを使用して、連絡先の電子メール・アドレスをoHashに変換し、電子メール・メッセージに埋め込まれたIDスワップ・タグに渡します。この方法では、プラットフォームに送信する前に、サーバーサイド・コードを電子メール・メッセージ内に実装し、連絡先の電子メール・アドレスをハッシュ化する必要があります。
  • クリック・スルーIDスワップ: IDスワップ・タグを使用して、プラットフォームに連絡先のoHashを送信します。

Oracle Data Cloudコア・タグを使用したoHashの送信

Responsysクライアントが、フォーム送信によってプラットフォームにoHashを送信する必要がある場合は、My Oracle Support (MOS)に連絡して、サイトIDおよびサイトにデプロイするOracle Data Cloudコア・タグ・コードを取得してください。ユーザーのオンライン属性を抽出するためにOracle Data Cloudコア・タグをサイトにデプロイ済である場合、ユーザーの電子メール・アドレスと電話番号を収集してoHashに変換し、oHashをプラットフォームに送信するために、個別のOracle Data Cloudコア・タグがフォームに必要です。その後、ResponsysプラットフォームでoHashを使用できます。

Oracle Data Cloudプラットフォーム・クライアントであり、コア・タグまたはモバイル・コア・タグをサイトにデプロイ済である場合は、oHashをプラットフォームに送信するには、bk_addEMailHashまたはbk_addPhoneHash関数を既存のタグ・コードに追加することだけが必要です。詳細は、コア・タグの構文を参照してください。

コア・タグを使用してoHashを提供するには:

  1. コンテナを作成して、サイトのOracle Data Cloudコア・タグのKai CoreTagコードを生成します。
  2. My Oracle Support (MOS)に連絡して、コンテナのサイトIDを通知してください。
  3. 次の例に示すように、Oracle Data Cloudコア・タグを使用して、プラットフォームに配信するためのoHashを生成します。

 


Oracle Data Cloudコア・タグの作成およびデプロイの詳細は、Oracle Data Cloudコア・タグの実装を参照してください。

重要: Oracle Data Cloudコア・タグのbk_addEmailHashおよびbk_addPhoneHash関数にのみPIIを渡すことができます。これらの関数によりPII (電子メール・アドレスと電話番号)がハッシュ化されて、ハッシュがプラットフォームに送信されます。その他のフィールドや関数にはPIIを渡さないでください。PIIを渡すことは、BlueKai契約およびBlueKaiプライバシ・ポリシーに違反します。

oHashを送信するためのIDスワップ・タグの使用方法

Responsysクライアントが、IDスワップ・タグを介してプラットフォームにoHashを送信する必要がある場合は、My Oracle Support (MOS)に連絡して、IDスワップ・タグで使用するサイトIDを取得してください。

IDスワップ・タグを使用してoHashを提供するには:

  1. コンテナを作成して、サイトIDおよびIDスワップ・タグを生成します。次の例は、プラットフォームにSHA-256 oHashを渡すために構成されたIDスワップ・タグを示しています。

    <!-- Begin ID Swap Tag for passing oHashes-->
    <img height="1" width="1"
    src="https://stags.bluekai.com/site/YOUR_SITE_ID?limit=0&e_id_s={oHash}"/>
    <!-- End ID Swap Tag-->

    ノート: 以前のバージョンでは、MD5ハッシュがサポートされていました。e_id_mまたはp_id_mキーは、MD5 oHashを示します。セキュリティ上の理由により、ハッシュにはMD5を使用しないでください。

  2. いずれかのサーバーサイド・コードの例を使用して、未加工の電子メール・アドレスと電話番号からoHashを生成します。
  3. IDスワップ・タグにoHashを渡します。

    重要: ユーザーに複数の電子メール・アドレスまたは電話番号が存在する場合は、IDスワップ・タグにすべてのIDを渡すと、プラットフォームでこれらのIDがOracle ID Graphと同期されます。たとえば、ユーザーにSHA-256でハッシュ化された電子メール・アドレスが2つ存在する場合、IDスワップ・タグには、https://stags.bluekai.com/site/YOUR_SITE_ID?limit=0&e_id_s={oHash1}&e_id_s={oHash2}という構文を含めることができます。

  4. 本番環境にIDスワップ・タグをデプロイする前に、My Oracle Support (MOS)に連絡して、未加工の電子メール・アドレスと電話番号のセットを取得し、サーバーサイド・コードにより、プラットフォームの標準に準拠した有効なoHashが渡されていることを確認してください。
  5. プラットフォームでIDスワップ・タグにより有効なoHashが渡されていることを確認した後、本番環境にIDスワップ・タグをデプロイできます。

IDスワップ・タグの作成およびデプロイの詳細は、IDスワップを参照してください。

oHashを送信するためのクライアント側コードの使用方法

システムから電子メール・アドレスと電話番号を取得する方法を示すサンプルのクライアント側コード(クライアント側のoHashの例)をダウンロートして、oHashに変換し、プラットフォームに送信できます

クライアント側のoHashコード例では、次の操作を行います。

  1. ユーザーが自分の連絡先情報を送信すると、その情報はbk_addEMailHashおよびbk_addPhoneHash関数に渡され、これにより、電子メール・アドレスまたは電話番号が正規化されて暗号化されます。たとえば、この関数により、UTF-8文字エンコーディングが適用されて電子メール・アドレス内のすべての文字が小文字に変換され、@記号が含まれていることが確認されて、すべての特殊文字、句読点およびスペースが削除されます。

    重要: bk_addEmailHashおよびbk_addPhoneHash関数により、PII (電子メール・アドレスと電話番号)が暗号化され、ハッシュがOracle Data Cloudプラットフォームに送信されます。その他のフィールドや関数にはPIIを渡さないでください。PIIを渡すことは、契約およびオラクル社のプライバシ・ポリシーに違反します。

  2. bk_doJSTag関数により、サイトIDおよびピクセル上限が取得され、HTTP GETリクエストが開始されて、SHA-256のoHashがphint (キーと値のペア)としてプラットフォームに送信されます。
    • サイトID: Oracle Data CloudプラットフォームでサイトおよびoHashを管理するために使用される一意の識別子。サイトIDを取得するには、コンテナを作成するか、コンテナAPIを使用します。
    • ピクセル上限: 1つのページ・ビューで発火可能なサードパーティ・タグの最大数を設定します。oHashを送信する際には、ピクセル上限を0に設定します。

    各oHashは、そのデータ・タイプ(電子メールまたは電話)およびハッシュ(SHA-256)を識別するキーに関連付けられます。

    キーデータ型ハッシュ
    e_id_sEmailSHA-256
    p_id_sPhoneSHA-256

    たとえば、bk_addEMailHash関数で電子メール・アドレスを渡す場合、HTTP GETリクエストには次のphintが含まれます。
    phint=e_id_s%3DSHA-256oHash

  3. 本番環境にクライアント側コードをデプロイしてプラットフォームにoHashを渡す前に、My Oracle Support (MOS)に連絡して、未加工の電子メール・アドレスと電話番号のセットをリクエストし、有効なoHashを渡していることを確認してください。

oHashを送信するためのサーバーサイド・コードの使用方法

BlueKaiのPython、RubyおよびJavaのサーバーサイド・コードの例は、サーバー上の未加工の電子メール・アドレスと電話番号をoHashに変換する方法を示しています。

次の例では、次の関数を含むハッシュ・オブジェクトを定義します。

  • normalizeEmailおよびnormalizePhone: すべての特殊文字、句読点およびスペースを削除し、すべての文字を小文字に変換して、電子メール・アドレスに@記号が含まれることを確認します。
  • createEmailHashおよびcreatePhoneHash: 電子メール・アドレスまたは電話番号およびハッシュ・アルゴリズム(sha256)を取得し、正規化バージョンの入力とハッシュ・アルゴリズムをcreateHash関数に渡して、結果を返します。
  • createHash: 正規化された電子メール・アドレスまたは電話番号を取得して、指定されたハッシュ・アルゴリズムを使用して暗号化します。

電子メール開封時に行われるIDスワップ

Responsysを使用するOracle Marketing Cloudクライアントは、電子メール・マーケティング・メッセージを介してプラットフォームにoHashを送信できます。BlueKaiでは、oHashの作成および転送を自動化するResponsysがインテグレーションされています。Responsysにより、データベース内の連絡先の電子メール・アドレスがoHashに変換されます。メール受信者がRepsonsysベースの電子メール・メッセージを開くと、これらの電子メール・アドレスが検索され、関連付けられたoHashがメッセージに埋め込まれたIDスワップ・タグに渡されます。次に、IDスワップ・タグが発火され、oHashがプラットフォームに送信されます。

または、異なる電子メール・マーケティング・ベンダーを使用して、プラットフォームにoHashを渡すこともできます。

電子メール・マーケティング・ベンダーを介してoHashを渡すには:

  1. oHashを渡すためのIDスワップ・タグを作成して、電子メール・マーケティング・ベンダーに指定します。次のサンプルのIDスワップ・タグでは、プラットフォームにSHA_256 oHashを送信できます。

    <!-- Begin ID Swap Tag-->

    <img height="1" width="1" src= "https://stags.bluekai.com/site/<YOUR_SITE_ID>?limit=0&e_id_s={value}"/>

    <!-- End ID Swap Tag-->

  2. ベンダーに、Oracle Data Cloudアカウント・マネージャに連絡してインテグレーションを設定するよう依頼します。
  3. 次に、電子メール・マーケティング・ベンダーは、次の操作を行います。
    1. 連絡先の電子メール・アドレスをプログラマティックに検索して、BlueKaiのクライアント側コードまたはサーバーサイドコードを使用して、これらの電子メール・アドレスを正規化してoHashを作成します。
    2. oHashをIDスワップ・タグのvalueフィールドに渡します。
    3. IDスワップ・タグを発火して、プラットフォームにoHashを送信します。

クリック・スルーIDスワップ

電子メール・マーケティング・メッセージには、プラットフォームにoHashを渡すためのランディング・ページへのクリック・スルーを含めることができます。これは、電子メール・メッセージでユーザーに対して直接Cookieを設定できない場合に役立ちます。次のシナリオでは、クリック・スルーを使用してIDスワップを実行できます。

  • タグURL解析: ユーザーがランディング・ページへのリンクをクリックすると、そのハッシュ化された電子メール・アドレスが検索されて問合せ文字列に追加され、ページにデプロイされたOracle Data Cloudコア・タグまたはIDスワップ・ピクセルに渡されて、プラットフォームに送信されます。
  • サードパーティ・サイト: 連絡先がタグを含まないサードパーティ・サイトへのリンクをクリックすると、連絡先のoHashおよびGUIDをOracle Data Cloudに送信するIDスワップがリダイレクトを使用してトリガーされ、連絡先が宛先URLにリダイレクトされます。

タグURL解析

メール受信者がランディング・ページへのリンクをクリックすると、oHashが検索され、ランディング・ページURLの問合せ文字列に追加されます。ランディング・ページが開くと、oHashが問合せ文字列から抽出された後、サイトにデプロイしたOracle Data Cloudコア・タグまたはIDスワップ・タグに渡されます。次に、タグが発火され、oHashがプラットフォームに送信されます。

クリック・スルーURLを使用してプラットフォームにoHashを渡すには:

  1. 電子メール・マーケティング・ベンダーに、ランディング・ページへのリンクを提供します。次の例に示すように、リンクには、問合せ文字列にSHA-256のoHashキーとoHash値のプレースホルダが含まれる必要があります。

    http://your_site.com/landing_page.html?e_id_s=value

  2. oHashを渡すためのOracle Data Cloudコア・タグまたはIDスワップ・タグを作成し、クリック・スルーURLに指定されたランディング・ページにデプロイします。次の例は、電子メールのクリック・スルー用のランディング・ページにデプロイする、Oracle Data Cloudコア・タグおよびIDスワップ・タグの構文を示しています。

    電子メールのクリック・スルー用のoHashを送信するためのIDスワップ・タグは、次のようになります

    <!-- Begin ID Swap Tag-->
    <img height="1" width="1" src= "https://stags.bluekai.com/site/<YOUR_SITE_ID>?limit=0&e_id_s={value}"/>
    <!-- End ID Swap Tag-->

  3. ランディング・ページで、問合せ文字列にコートを追加してoHashを解析し、Oracle Data Cloudコア・タグまたはIDスワップ・タグに渡します。

FAQ

Q.PIIをハッシュ化したり、ハッシュを取り消すにはどうすればよいですか。

SHA-256の暗号ハッシュ関数を使用して、連絡先の電子メール・アドレスと電話番号をハッシュ化します。これらは、多くのプラットフォームでユーザーの連絡先情報のハッシュ化に使用される業界標準のハッシュ・アルゴリズムです。

SHA-256のハッシュ・アルゴリズムは一方向関数です。これらのアルゴリズムで使用する入力の長さは異なる場合がありますが、出力は常に固定長です。これは、ハッシュの生成には無限の数の入力文字列を使用できることを意味しており、これにより、ハッシュを取り消したり、生成元のPIIを取得することはできなくなります。

例として、モジュロ演算を検討してみましょう。5%4を実行した場合、結果は1になりますが、相手側は1という結果を得るのに使用する元の数字を特定できません。

プラットフォームでは、ハッシュの作成元である元の電子メール・アドレスを取得できません。

Q.oHashをプラットフォームに送信するとどうなりますか。

プラットフォームにoHashを送信すると、oHashは、Oracle ID Graphのユーザー・プロファイルのネットワークにマッピングされます。

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