複数期間会計の例

補助元帳複数期間会計機能およびユーザー定義算式機能により、FASB 91会計要件を満たすことができます。手数料および直接ローン費用の繰延認識のこの要件は、ユーザー定義算式で手数料金額の認識をカスタマイズすることによって満たされます。

次の情報に基づいて個人ローンが発生したとします。

  • 当初日付: 2016年7月1日

  • 開始手数料: 300.00米ドル

  • ローン期間: 6か月

  • 満期日: 2016年12月31日

2016年7月1日のローン発生時、開始手数料は前受収益として記帳する必要があります。

ローン手数料の開始仕訳

この表は、ローンが発生したときに作成された仕訳を示しています。

入力済借方(USD)

入力済貸方(USD)

売掛/未収金

300.00

前受手数料収益

300.00

前受手数料収益は、ローン期間内で分割する必要があります。各部分は、対応する会計期間(2016月7月から2016年12月)に発生した収益として認識する必要があります。各期間の金額は、使用される按分算式に応じて変わります。たとえば:

ローン手数料の月次仕訳

この表は、ユーザー定義算式を使用して得た仕訳を示しています。

入力済借方(USD)

入力済貸方(USD)

前受手数料収益

50.00

ローン手数料収益

50.00

複数期間の補助元帳会計基準

Accounting Hubユーザーは、補助元帳会計基準を定義して、複数期間会計仕訳を作成できます。たとえば:

この表は、仕訳明細ルールと勘定科目ルールの用途、および複数期間会計に関連する用途を示しています。

仕訳明細ルール

勘定科目ルール

用途

前受手数料収益

  • 貸方/借方 = 貸方

  • 複数期間オプション = なし

  • 複数期間区分 = ローン手数料

「入力金額」会計属性は、手数料金額を提供するソースにマップされます。

前受手数料収益勘定

繰延仕訳の仕訳明細ルール。

前受手数料収益勘定に貸方明細を生成するために使用されます。

ローン手数料収益

  • 貸方/借方 = 貸方

  • 複数期間オプション = あり

  • 複数期間区分 = ローン手数料

  • 会計属性:

    • 複数期間開始日 = 当初日付

    • 複数期間終了日 = 満期日

「入力金額」会計属性は、手数料金額の按分算式にマップされます。

ローン手数料収益勘定

認識仕訳の仕訳明細ルール。

按分金額を伴う将来の仕訳(例に示す貸方の50.00 (米ドル)など)を生成するため、「複数期間会計の作成」プロセスによって使用されます。

  • ユーザー定義算式を定義して、複数期間開始日から現行会計期間の終了まで認識される入力金額合計を計算します。

  • 「入力金額」会計属性にユーザー定義算式を割り当てます。

  • 「複数期間会計の作成」プロセスは、次のように複数期間仕訳の入力金額を計算します。

    入力金額=ユーザー定義算式によって戻された金額-複数期間認識済入力金額

    • 項目の内容は次のとおりです。

      • 複数期間認識済入力金額が計算されると、前の期間のトランザクションに対して認識された合計金額として、Accounting Hubデータ・モデルに保存されます。

    • この手法は、按分された入力通貨金額の端数処理差異を処理します。

サンプル・ユーザー定義算式

これらのサンプル・ユーザー定義算式を使用して、ローン手数料金額を按分できます。

期間数による按分

  • 入力金額を各期間に均等に按分するには:

    "複数期間当初入力金額" * GL期間の数 ("当初日付", "現会計期間の最終日") / GL期間の数 ("当初日付", "満期日")

    • 項目の内容は次のとおりです。

      • 複数期間当初入力金額、当初日付および満期日は、標準のアプリケーション・ソース(アプリケーション: ローン)です。

      • 現会計期間の最終日は、システム・ソース(アプリケーション: 補助元帳会計)です。

      • NumberofGLPeriodは、事前定義済の数値関数です。

  • 複数期間仕訳の入力金額は、次のように計算されます。

この表には、認識が期間数による按分に設定されている場合の複数期間会計の金額を示しています。

会計日

複数期間開始日以降の期間数

複数期間認識済入力金額(A)

ユーザー定義算式から戻された金額(B)

複数期間仕訳の入力金額(B-A)

31-Jul-16

1

0.00

300.00*1/6=50.00

50.00

31-Aug-16

2

0.00+50.00=50.00

300.00*2/6=100.00

100.00-50.00=50.00

30-Sep-16

3

50.00+50.00=100.00

300.00*3/6=150.00

150.00-100.00=50.00

31-Oct-16

4

100.00+50.00=150.00

300.00*4/6=200.00

200.00-150.00=50.00

30-Nov-16

5

150.00+50.00=200.00

300.00*5/6=250.00

250.00-200.00=50.00

31-Dec-16

6

200.00+50.00=250.00

300.00*6/6=300.00

300.00-250.00=50.00

ノート: これらの列は、「複数期間会計の作成」プロセスによって計算されます。

日数による按分

  • 入力金額を各期間の実際の日数で按分するには:

    "複数期間当初入力金額" * ("現会計期間の最終日" - "当初日付" + 1) / ("満期日" - "当初日付" +1)

  • 複数期間仕訳の入力金額は、次のように計算されます。

この表には、認識が日数による按分に設定されている場合の複数期間会計の金額を示しています。

会計日

複数期間開始日以降の日数

複数期間認識済入力金額(A)

ユーザー定義算式から戻された金額(B)

複数期間仕訳の入力金額(B-A)

31-Jul-16

31

0.00

300.00*31/184.00=50.54

50.54

31-Aug-16

62

0.00+50.54=50.54

300.00*62/184.00=100.09

100.09-50.54=50.55

30-Sep-16

92

50.54+50.55=100.09

300.00*92/184.00=150

150.00-100.09=48.91

31-Oct-16

123

100.09+48.91=150.00

300.00*123/184.00=200.54

200.54-150.00=50.54

30-Nov-16

153

150.00+50.54=200.54

300.00*153/184.00=249.46

249.46-200.54=48.92

31-Dec-16

184

200.54+48.92=249.46

300.00*184/184.00=300.00

300.00-249.46=50.54

  • 複数期間仕訳の最終的な入力金額には、端数処理差異(ある場合)も含まれます。

外貨の複数期間会計の使用

外貨の複数期間会計仕訳では、経過勘定明細の見越金額/入力金額から計上金額が導出されます。

複数期間仕訳明細の計上金額を計算するには、次のロジックに従います:

  1. 端数未処理入力金額が、複数期間開始日から現行期間の最終日まで認識されるように計算します。
  2. 現行期間に対して認識される端数未処理の入力金額を計算します。つまりステップ1から、前期間のすべての複数期間認識明細の端数処理済入力金額合計を減算します。
  3. 現行期間の端数未処理計上金額を計算します。つまり、ステップ2*見越計上金額/見越入力金額を計算します。
  4. 最後の複数期間認識入力には端数処理の差異が含まれるため、入力金額と計上金額の両方について、「見越計上金額」から「前期間のすべての複数期間認識明細の合計金額」を減算して計算します。

顧客請求書の正確な金額を示す例を次に示します。

請求書:

見越計上金額(USD) 見越計上金額(JPY) MPA開始日 MPA開始日
4016.25 457612 2021年1月1日 2021年12月31日

算式(GL期間数で按分)

(("複数期間当初入力金額" * NumberOfGLPeriod("請求書配分複数期間会計開始日","現会計期間の最終日")) / NumberOfGLPeriod("請求書配分複数期間会計開始日","請求書配分複数期間会計終了日"))

期間 1日目から現行期間の最終日までに認識される入力金額(USD) MPA仕訳端数未処理入力金額(USD) MPA仕訳端数未処理計上金額(JPY) MPA仕訳端数処理入力金額(USD) MPA仕訳端数処理計上金額(JPY) 認識済金額合計累計(USD) 認識済金額合計累計(JPY)
1 334.6875 334.6875 38134.33333 334.69 38134 334.69 38134
2 669.375 334.685 38134.04848 334.69 38134 669.38 76268
3 1004.0625 334.6825 38133.76363 334.68 38134 1004.06 114402
4 1338.75 334.69 38134.61818 334.69 38135 1338.75 152537
5 1673.4375 334.6875 38134.33333 334.69 38134 1673.44 190671
6 2008.125 334.685 38134.04848 334.69 38134 2008.13 228805
7 2342.8125 334.6825 38133.76363 334.68 38134 2342.81 266939
8 2677.5 334.69 38134.61818 334.69 38135 2677.5 305074
9 3012.1875 334.6875 38134.33333 334.69 38134 3012.19 343208
10 3346.875 334.685 38134.04848 334.69 38134 3346.88 381342
11 3681.5625 334.6825 38133.76363 334.68 38134 3681.56 419476
12 4016.25 334.69 38134.61818 334.69 38136 4016.25 457612

前提条件

  • トランザクション・オブジェクトに複数期間の開始日と終了日を保存するため、日付形式のソースを指定します。

  • 複数期間会計をサポートするイベント区分の場合、これらのソースを会計属性に割り当てます。

    • 複数期間開始日

    • 複数期間終了日

  • 補助元帳会計参照で複数期間区分を定義します。複数期間区分は、金額を複数の会計期間に按分する仕訳明細を識別するために使用されます。

ヒント: 複数期間仕訳の計上済金額は、入力金額に対して比例的に按分する「複数期間会計の作成」プロセスによって計算されます。端数処理エラー差異は、按分済金額に含まれます。複数期間トランザクション・データは、最後の複数期間仕訳が確定ステータスで計上されるまで、トランザクション・オブジェクトで使用できる必要があります。