4製品概念構造の開発

この章には、次の内容が含まれます。

概念構造の開発: 説明

概念構造とは、特定の要件を満たすために用意された概念、概念コンポーネントおよびPLMアイテムを生産前に組み立てたものです。

次のオブジェクトを含めるよう、概念構造を編集します。

  • 作成する概念コンポーネントと、既存の概念コンポーネントのコピー

  • 埋込み概念

  • 外部アイテムおよび品目組立へのリンク

概念構造の明細品目は順序番号で定義されますが、これは概念構造に出現する順序で品目に自動的に割り当てられます。概念構造をExcelワークシートにエクスポートする際、番号付けされた順序を手動で編集できます。

概念構造は、最終的に設計のアイデアおよび要件を満たし、PLMアイテムおよび品目組立をすべて、もしくは主に含めることを目標にします。

様々な作業の実行には、次のようなWebサービスが役立ちます。

  • 概念の作成、検索および削除

  • 概念コンポーネントの追加、更新および削除

  • 既存の概念からの概念またはバージョンの作成

概念コンポーネント

概念構造における概念コンポーネントは、将来の生産アイテムのためのプレースホルダです。

概念コンポーネントは、名前、数量およびタイプを指定して、概念構造に直接追加します。概念コンポーネントの属性を指定するには、「仕様」ペインを使用します。

また、「アイテムおよびコンポーネント」ペインで既存の概念コンポーネントを検索して、添付や設計参照を含めてコピーとして追加することもできます。

埋込み概念

概念構造の既存の概念を埋込み概念として使用できます。概念構造から直接編集またはPLM組立に変換できませんが、埋込み概念内のデータは、概念のメトリック計算およびスコアに含まれます。

リンクされた品目および組立

外部ソースのPLMアイテムおよび品目組立を検索して概念構造にリンクすると、既存のアイテムを再利用し、生産可能な概念構造を迅速に作成できます。

概念構造のリンクされたオブジェクトを直接変更することはできませんが、PLMシステム自体でアイテムを編集するか、アイテムを変更可能な属性を持つ概念コンポーネントに変換できます。

概念構造の表示

概念構造は、デフォルトの表形式か、グラフ形式で表示できます。

グラフィカル・モードでは概念を編集できません。ただし、概念内で検索し、フォーカス・オプションを使用して概念内でリンク付けされている概念コンポーネント、要件およびアイテムを追跡できます。

概念構造の表形式で、事前定義済演算子や演算子の組合せを使用して、概念やコンポーネントを検索できます。検索結果は、緑色の矢印で強調表示されます。「前」および「次」アイコンを使用して、検索結果を順番に表示できます。

概念構造の進展

一般的に、概念構造は次のパスに沿って進展させられます。

  1. 概念構造を一から作成するか、既存の概念のコピーとして作成します。

  2. 概念コンポーネントのフォームにアイテム・プレースホルダを追加します。

  3. 置換可能なものから、概念コンポーネントを既存または新規リリースされたPLMアイテムと置換します。

  4. 主に具体的なPLMアイテムおよび品目組立で構成された承認済概念構造に到達します。

  5. PLMシステムで、製品プロトタイプを承認し、下流システムでアイテム構造として処理します。

概念構造開発のいずれの段階でも、オフラインの記録用に概念構造をExcelワークシートにエクスポートできます。

Oracle ADF Desktop Integreation Toolを使用した概念構造の編集: 説明

概念構造は、ExcelスプレッドシートでOracle ADF Desktop Integrationツールを使用して編集および変更できます。

注意

Microsoft ExcelとOracle Innovation Management間で直接データを交換するには、ADFDI Excelクライアントをダウンロードしてインストールしてください。

Oracle Innovation Managementで、「概念」作業領域の「処理」メニューにある「スプレッドシートで編集」オプションを使用することにより、概念構造の詳細をExcelスプレッドシートにエクスポートする処理を開始できます。

Excelファイルを開くには、Oracle Innovation Managementの資格証明でサインインします。以前Excelシートにサインインし、その後サインアウトしていない場合、それよりも新しいExcelシートを開く際に認証のプロンプトは表示されません。

Excelでは概念およびコンポーネント・データを直接追加、削除および更新できます。

行を追加するには、最後の行を選択し、Excelで行を追加します。これにより、「キー」フィールドに自動化された値を持つ空白の行が作成されます。必要なデータをこの行に追加し、「アップロード」をクリックします。データがアプリケーションに正しくインポートされなくなるため、間に空白の行を入れないでください。

行を削除するには、削除する行のフラグを選択し、「アップロード」をクリックします。Excelで行を削除してファイルをアップロードしても、アプリケーションから行は削除されません。

正しく追加、削除または更新されたExcelのセルは、「ステータス」列にそのステータスが表示されます。

概念、概念コンポーネントおよびアイテム: 相互関係

概念では、概念コンポーネント、リンクされたアイテム、および割り当てられた要件が、対応する提案とともにその構造内に結合されます。

概念

最上位レベルの概念ルート・ノードには、概念コンポーネント、リンクされたアイテムおよび埋込み概念が含まれ、これらによって他のユーザーに属する概念を取り込むことができます。

製品概念構造を開発する際、アイテム、設計および文書を概念構造明細品目として、また概念および概念コンポーネント・メタデータの参照として、検索およびリンクできます。

概念の設計目標は、PLMのアイテム構造である部品構成表(BOM)に完全に変換することです。

概念コンポーネント

概念構造の概念コンポーネントはプレースホルダであり、既存のアイテムまたは新しく作成されたアイテムへのリンクと置換するためのものです。

コンポーネントが後続の下流システムでアイテムとして処理できるようになったら、概念コンポーネントをアイテムに変換できます。変換処理中には、概念コンポーネントで作成した文書および設計関連が存在する場合はそれらを参照として保持できます。新しく作成されたアイテムには、Oracle Innovation Managementのソース・ビジネス・オブジェクトにアイテムをリンクする参照メタデータが含まれます。

アイテム

現在Oracle Innovation Managementでサポートされている既存のシステムは、Oracle Agile PLM、Agile EDMおよびOracle Product Developmentです。

設計属性に変更を提案したい場合や、概念のPLMデータを再利用したい場合、アイテムを概念コンポーネントに変換できます。元のアイテムは、PLMシステムで変更されずに残ります。変換中は、アイテム構造、文書およびファイル添付を保持できます。

変換済コンポーネント: 処理方法

概念コンポーネントでは、適切な差異のあるPLMアイテムを再利用できます。PLMアイテムは直接編集できませんが、概念コンポーネントに変換して、必要な変更を加えることができます。

元のPLMアイテムは変更されずに残り、新規作成された概念コンポーネントには、変換後のアイテムのすべての仕様属性と、元のアイテムへの参照リンクが含まれます。

アイテムから概念コンポーネントへの変換に影響する設定

アイテム変換のスコープを決定する主要な要因は2つあります。

  • 添付、文書および設計

    変換処理時に添付を含めると、アイテムのすべての添付ファイルが新規作成された概念コンポーネントの添付としてコピーされます。

    文書関連は変換処理時に保持されます。

    設計を含めた場合、PLMシステムに常駐する設計オブジェクトへのリンクが概念コンポーネントにコピーされます。

  • アイテム構造

    1回の変換処理で、リンクされたアイテムとその第1レベル・アイテム・リンクのみを変換できます。アイテム構造内の第2レベル・アイテムは、概念構造でアイテム・リンクのまま残ります。

    注意

    第2レベル・アイテム・リンクも概念コンポーネントに変換できますが、データの再利用が目的であるため、概念コンポーネントを多数作成することは避ける必要があります。

アイテムからコンポーネントへの変換方法

アイテムを概念コンポーネントに変換するには、概念構造でアイテムを選択し、「処理」 - 「概念コンポーネントに変換」をクリックします。

次の表に、1回の変換ステップにおける品目組立および下位レベル・アイテムの変換レベルの詳細を示します。

品目組立構造 コンポーネントへの変換 変換後のコンテンツ・タイプ コメント

品目組立

はい

概念コンポーネント

 

  • 部品1

はい

概念コンポーネント

 

  • 部品2

いいえ

アイテム・リンク

部品2は変換対象として選択されていないため、アイテム構造のアイテム・リンクとして残る

  • 部品3

    • 部品3.1

    • 部品3.2

はい

注意

下位レベル・アイテムには適用されません

概念コンポーネント

部品3.1および3.2はアイテム・リンクとして残る

下位レベル・アイテムを概念コンポーネントに変換するには、アイテム・リンクを選択して「概念コンポーネントに変換」をクリックします。

外部システムとの統合: 考慮点

Oracle Innovation Managementは、ビュー・オブジェクト、アプリケーション・モジュールおよびWebサービスなどのビジネス・オブジェクトを介してAgile PLM、Agile EDM、およびOracle Product Developmentなどのシステムと統合できます。

ターゲット・システムの統合により、次の作業を実行できます。

  • 問題とアイデアの関連付け

    問題と、製品を改善する概念との関係付け

    設計の作成または改善を促すために問題またはアイデアの要件への関係付け

  • 製品開発における概念コンポーネントからのアイテムの作成

    既存のアイテムの検索および使用による概念の作成

    要件のAgileアイテムへの関連付け(後の製品作成に要件を使用)

    Agile PLMアイテムから概念コンポーネントへの属性のマップ

  • Agile PPMのプロジェクトへの提案の関連付けまたは駆動の許可

    提案内でプロジェクトのステータスの表示

    提案内でプロジェクトの主要属性の表示

    Agile PLMプロジェクトから提案への実際の費用および資源の統合

    予測費用および資源に対する提案の進行状況の確認

統合処理の詳細は、『Oracle Product Value Chain Cloud Implementing Innovation Management and Product Development Guide』を参照してください。

複数システム

設定中には複数のターゲット・システムを構成できますが、一度にアクティブ化できるシステムは1つのみです。

Webサービス

Webサービスを使用して、次の操作を実行できます。

  • アイテムおよび設計の検索

  • アイテムおよび設計の属性値の表示

  • アイテムおよび設計の構造および関係の表示

自動認証

シングル・サインオン(SSO)により、Oracle Innovation Managementから外部システムに自動的にサインインできます。

SSOの構成の詳細は、システム管理者に問い合せてください。

概念バージョンの作業: 考慮点

概念設計の進行を保存し追跡するには、概念のバージョンを作成し、使用します。

注意

概念および提案は、それぞれ独立したバージョンを使用できます。

バージョン番号

概念のバージョンを作成すると、ソース概念のすべてのデータが新しいバージョンにコピーされ、一番高いバージョン番号が自動的に割り振られます。それ以前のすべてのバージョンは読取り専用になります。

この図は、概念バージョンの番号付けを説明しています。バージョンは、概念の最新のバージョンまたは以前のバージョンから作成できます。

概念バージョンの番号付け

概念の以前のバージョン

概念の最新バージョンのみ、編集が可能です。

以前の概念バージョンを再利用して編集するには、そこからバージョンを作成するか、「名前を付けて保存」を使用してコピーを作成します。

「バージョン履歴」では、バージョン作成日およびバージョン所有者情報を含めた概念のすべてのバージョンの概要を示しますが、詳細を編集することはできません。バージョン間を切り替えるには、バージョン選択ツールを使用します。

グラフィカル・ナビゲータ: 概要

特定のコンテキストに関連するグラフィカル・ビューでは、次のことができます。

  • 大量のデータまたは関連コンポーネントの表示およびナビゲート。

  • 階層構造で子の数の表示。

  • 関係の展開および縮小。

  • 異なるコンポーネント・タイプやコンポーネント間の異なる関係の視覚による確認。

  • 構造内での特定のコンポーネントに関連する詳細情報の表示。

  • 必要なコンポーネントの検索。

    注意

    フォーカスされたコンポーネントが検索結果に含まれる場合、検索結果領域で強調表示されます。

    コンポーネントが現在のビューまたはページに含まれない場合、最初の検索結果がアプリケーションによるフォーカス対象となります。

構造化データの表示方法には、次のようなものがあります。

  • 依存性マップ: 依存性マップを使用すると、データを視覚化にマッピングし、相互作用や視覚的プロパティを構成できます。

    依存性マップは、グラフィカル・ナビゲータ・ウィンドウの右角に表示されます。コネクタ・ラインは、コンポーネント間の様々なタイプのコネクタを図示しています。太線は2つのコンポーネント間の直接的関係、点線は間接的関係を示しています。

  • 依存性グラフ: 依存性グラフは、データに関連する視覚的カードと、データ間の関係を表示します。

    依存性グラフは、グラフィカル・ナビゲータ・ウィンドウの中央に表示されます。依存性グラフでは、視覚的カードの上にマウスを移動すると、ツールチップでコンポーネント名が表示され、マウスがコンポーネントの属性上にあると、ツールチップで属性が表示されます。

    注意

    依存性マップに変更を加えると依存性グラフに反映され、その逆も同じになります。

    注意

    矢印は、コンポーネント間の親子関係を図示しています。子コンポーネントは親コンポーネントからの矢印によって示されます。コネクタの両端のコンポーネントをフォーカスするには、コネクタ・ラインをクリックします。他のすべてのコンポーネントはグレー表示されます。

構造化データの作業: 説明

構造化データをナビゲートし、コンポーネントに関する追加情報や詳細を異なるグラフィカル・ビューで表示するには、コンポーネントを右クリックします。次のメニュー・アイテムが表示されます。

  • 情報: コンポーネントに関する追加情報が表示されます。

    「情報」ウィンドウを表示するにはコンポーネントをクリックします。コンポーネントがフォーカスされていない場合、「情報」ウィンドウの一番下に「フォーカス」および「詳細」の2つのアイコンが表示されます。コンポーネントがフォーカスされている場合、「情報」ウィンドウの一番下に「詳細」アイコンのみが表示されます。

  • フォーカス: コンポーネントにフォーカスを当てます。

    注意

    フォーカスされているコンポーネントと同じレベルではなく、直接接続されていないコンポーネントは縮小されます。

  • 詳細: コンポーネントに関する詳細情報を表示します。

    「詳細」アイコンは「情報」ウィンドウにも表示されます。

コンポーネントの検索: コンポーネントを検索するには、「検索」ボックスにテキストを入力します。コンポーネントは「検索」結果に表示されます。また、依存性マップおよび依存性グラフでコンポーネントが強調表示されます。「検索」結果ボックスに表示されたコンポーネントの上にマウスを移動し、右クリックすると、「検索」ボックスのコンテキスト・メニューが表示されます。

概念のグラフィカルな表示: 説明

ビジュアル情報ナビゲータを使用して、概念構造とそのすべての関連オブジェクトをグラフィカル・ビューで表示して作業できます。

ビジュアル情報ナビゲータは、概念設計用に次の機能を備えています。

  • 概念内のビジネス情報間の関係の表示

  • 概念構造内における検索および結果の強調表示

オブジェクト関係

ビジュアル情報ナビゲータを使用すると、概念とリンクされたPLMビジネス・オブジェクト間のリンクを階層的に表示できます。

関連オブジェクトには、要件およびサムネール付きのPLM設計図が含まれます。

検索と強調表示

概念構造内で特定のオブジェクトを検索すると、ビジュアル情報ナビゲータによって検索結果がリスト表示され、概念構造のグラフィカル・ビューに強調表示されます。