この章には、次の内容が含まれます。
概念を、ターゲット・コスト、適合性、履行済要件などその他の同様のパラメータの面から分析すると、概念の将来について情報に基づく決定を下すことができます。
概念構造の単位のターゲットと実際のメトリックを比較するには、属性をロールアップするか再計算する必要があります。ロールアップを実行すると、必要に応じて概念構造全体の単位に渡り、実際とターゲット・メトリック属性の差異が計算されます。「メトリック」ビューで概念構造単位の隣に警告アイコンが表示されている場合は、不適切な差異値であることを示しています。
次のメトリックがロールアップ時に計算されます。
コスト、重量および消費電力
適合性
ステータス
コンポーネントと概念スコア
グラフ形式または表形式で、集計されたメトリックを複数のソリューション代替に渡って表示するにはレーダー・チャートを使用します。
概念成熟度を概念のアイテム構成の面から円グラフで表示するには、アイテム・ステータス・チャートを使用します。
コスト、重量および消費電力メトリックは、リンクされたアイテム、概念コンポーネントおよび埋込み概念の合計を、最上位レベルの概念まで集計して計算レます。
合計コスト計算は次のように集計されます。
個別アイテムまたは概念コンポーネントの合計コスト = マテリアル・コスト + その他のコスト
概念コンポーネント組立の総コスト = その他のコスト + (各アイテムまたはコンポーネントの総コスト * 組立当たりの数量)の集計値
概念コンポーネント組立の合計重量 = (各リンクされたアイテム、概念コンポーネントおよび埋込み概念の実績重量 * 対応する数量)の集計値
概念コンポーネント組立の合計消費電力 = (各リンクされたアイテム、概念コンポーネントおよび埋込み概念の実績消費電力 * 対応する数量)の集計値
概念コンポーネントまたはリンクされたアイテムの適合性ステータスは、次の上位レベルのコンポーネントの適合性を定義します。
アイテムの適合性ステータスは、PLMから直接読み取られます。取得できる情報の完成度により、Oracle Innovation Managementで適合アイテムまたは不適合アイテムとしてマップされます。
非適合アイテムまたはコンポーネントである場合、その上位レベルのコンポーネントも不適合となります。
必要に応じて、概念構造内の各個別コンポーネントについて、割当て済要件および履行済要件の件数を分析できます。この分析により、ユーザーのニーズを満たす概念設計の提案の正確性を上げられます。
概念組立内の個別コンポーネントとリンクされたアイテムのステータスにより、上位レベルのコンポーネントの集計ステータスが、最上位レベルの概念にまで渡って決定されます。
PLM内のアイテムは、概念ステージ、暫定ステージまたは生産ステージにあるときに、概念構造にリンクできます。
アイテム・ステータス円グラフには、ライフサイクル・フェーズごとのアイテムの面から見た概念構造の構成が表示されます。アイテム・ステータス・チャートを使用して、概念の成熟度を確かめ、円グラフの別の部分を構成する概念構造のアイテムを確認します。
概念スコアにより、設計目標に対して概念構造を評価できます。
概念レベルのスコアは、次の方法で得られた得点を合計することによって計算されます。
概念コンポーネントと比較した構造内のアイテム数: アイテムの再利用によりさらに得点を加算
ターゲット値85を超えるスコアを持つアイテム数: 構造内に高得点アイテムの割合が高いと概念スコアが上昇
適合性ステータス、リード・タイム、製造業者数または優先ステータスなどのデータが欠如しているアイテム数: 完全なアイテムは高得点
品質問題および製造元部品などの詳細も、概念構造に含まれている場合はPLMアイテム・スコア・ロールアップに含まれます。また、概念スコアは概念のソリューション代替を評価するためにも使用できます。
アイテムは、全体適合性、リード・タイムおよび製造元部品数のデータが揃っている場合、スコア計算用のデータが完全であると見なされます。
レーダー・チャートを使用すると、ソリューション代替に渡ってメトリックを比較できます。メトリックは標準化され、ターゲット値と実際値の差異が計算され、ターゲット値からの正または負の差異として表示されます。
注意
レーダー・チャートが正しく表示されるかは、概念レベルのターゲット・メトリック(コスト、電力および重量)が適切な値を持つかどうかによって決まります。ターゲット値が設定されていない場合、チャートは表示されません。
表ビューでは、ソリューション代替当たりの計算された差異およびメトリックがすばやく参照できるよう、レーダー・チャートのデータの概要が示されます。
コスト、重量および消費電力に渡ってターゲットおよび実際属性のロールアップを行った後、概念、概念コンポーネントおよびアイテム・スコアを分析します。
「コンセプトの編集」画面の「計算」アイコンを使用して、コスト、重量、電力およびスコア属性の値をロールアップできます。ロールアップ値は、概念構造のメトリック・ビューで表示すると最適です。
概念の総コストは、個別の概念コンポーネント、アイテム、組立および埋込み概念の総コストの集計値として計算されます。
要素 | 総コスト計算 | 注意 |
---|---|---|
コンポーネント |
(マテリアル・コスト + その他のコスト) * 数量 |
|
アイテム |
(マテリアル・コスト + その他のコスト) * 数量 |
アイテムに部品構成表がある場合、親アイテムのコストのみがロールアップで考慮されます。 |
組立コンポーネント |
(各子要素の総コスト) + 組立レベルでのその他のコスト |
組立レベルで手動入力されたコスト値は、ロールアップの計算されたコスト値で置換されます。 |
埋込み概念 |
概念のロールアップ・コスト * 数量 |
他のロールアップを実行する前に、概念を別途開いてそこでロールアップを実行して、埋込み概念のロールアップを実行する必要があります。そうでないとコスト計算がゼロになります。 |
概念 |
ルート・ノード下の各組立または要素の総コストの集計値 |
要素とは、コンポーネント、アイテムまたは埋込み概念を指します。 |
概念の総重量および総電力は、個別の概念コンポーネント、アイテム、組立および埋込み概念のそれぞれのロールアップ値の集計値として計算されます。重量および電力属性には、同様のロールアップ・ロジックが働きます。
要素 | 総重量または総電力計算 | 注意 |
---|---|---|
コンポーネント |
コンポーネントの重量または電力 * 数量 |
|
アイテム |
アイテムの重量または電力 * 数量 |
アイテムに組立構造がある場合、親アイテムの重量または電力のみがロールアップで考慮されます。重量および電力値は、それぞれAgile PLMの「質量」および「消費電力」属性から取得されます。 Oracle Innovation ManagementのAgile PLM属性値には単位は割り当てられません。 |
組立 |
各子要素の総重量または総電力の集計値 |
組立レベルで手動入力された重量または電力値は、ロールアップ後の計算された重量または電力値で置換されます。 |
埋込み概念 |
ロールアップされた概念の重量または電力 * 数量 |
他のロールアップを実行する前に埋込み概念をロールアップする必要があります。そうでないと重量または電力計算がゼロになります。 |
概念 |
ルート・ノード下の各組立または要素の総重量またはそう電力の集計値 |
要素とは、コンポーネント、アイテムまたは埋込み概念を指します。 |
アイテムは、全体適合性、リード・タイムおよび製造元部品数の属性の値が揃っている場合、データが完全であると見なされます。
アイテム・スコア = 全体適合性の得点 + リード・タイムの得点 + 製造元部品数の得点
属性 | 属性値 | スコア(%) | 同様の得点 |
---|---|---|---|
適合性 |
適合 |
30% |
30 |
|
不適合または空白 |
|
0 |
リード・タイム |
6未満 |
40% |
40 |
|
11未満 |
|
30 |
|
21未満 |
|
20 |
|
31未満 |
|
10 |
|
30超 |
|
0 |
製造元部品数 |
2以上 |
30% |
30 |
|
2未満 |
|
0 |
概念または組立のスコアは、3つのアイテム・ベースのスコア計算の集計値です。
概念または組立コンポーネントのスコア = A1+A2+A3
A1は、概念または組立コンポーネント下の概念構造のアイテムのパーセンテージです。
Number of items/Number of elements in the concept or assembly
A2は、スコア = 85のアイテム数です。
Items with score >=85/Total number of items in the concept or assembly
A3は完全なデータを持つアイテム数です。
Items with complete data/Total number of items in the concept or assembly
注意
概念スコアのロールアップ時には、埋込み概念はコンポーネントとして扱われます。
スコア名 | 値 | スコア | 同様の得点 |
---|---|---|---|
A1 |
アイテムの% >= 90% |
100% |
20 |
|
アイテムの% = 80-89% |
80% |
16 |
|
アイテムの% = 70-79% |
70% |
14 |
|
アイテムの% <= 70% |
10% |
10 |
|
アイテムの% = 0 |
|
0 |
A2 |
スコア =>85のアイテムの% >=90% |
100% |
60 |
|
スコア =>85のアイテムの% = 80-89% |
80% |
48 |
|
スコア =>85のアイテムの% = 70-79% |
70% |
42 |
|
スコア =>85のアイテムの% <70% |
50% |
30 |
|
スコア =>85のアイテムの% = 0 |
|
0 |
A3 |
完全なデータを持つアイテムの% = 100% |
100% |
20 |
|
完全なデータを持つアイテムの% = 95-99% |
80% |
16 |
|
完全なデータを持つアイテムの% = 90-94% |
70% |
14 |
|
完全なデータを持つアイテムの% >90% |
0 |
0 |
チームが、ユーザーからのフィードバックに基づき、特定の要件を満たすようマウンテン・バイクの既存モデルを変更するよう依頼されました。マウンテン・バイクとそのコンポーネントは、それぞれアイテム構造およびアイテムとしてPLMシステムに存在します。
主要な要件は次のとおりです。
コストを680から470に削減する
燃料消費を40hzから35hzに削減する
詳細な要件仕様には次のものがあります。
エアーボックスの大きさを削減することにより、効率性を改善し消費燃料を削減する
消費燃料を最適化するために排気システムを改善する
消費電力を効率化するために高流量と優れたオイルろ過を実装する
次の表に、このシナリオの主要な決定事項をまとめます。
考慮すべき決定事項 | この例の場合 |
---|---|
概念設計にどのようにしてPLMアイテムを使用できるか |
既存のアイテムを概念コンポーネントに変換する |
要件とメトリックはどのように相関関係があるか |
概念構造で要件をコンポーネントにマップする |
同じ概念構造に基づいてどのように異なる設計アプローチを考慮するか |
コンポーネントをソリューション代替に割り当てる |
どのようにして最適な概念設計を確定するか |
コンポーネント仕様を変更する メトリックを計算してソリューション代替を比較する 要件を満たす概念設計を決定する |
次のタスクに進む前に、次の作業を完了してください。
既存のアイテムを概念のコンポーネントに変換する
コンポーネントをソリューション代替に割り当てる
この例の新規作成された概念「マウンテン・バイク」の構造およびコンポーネント仕様が、次の表にまとめられています。単位のエアーボックス、排気システムおよびオイル・フィルタは、コンポーネントに変換されたPLMアイテムです。
概念コンポーネント | デフォルト | ソリューション代替2 | ソリューション代替3 | コスト | 燃料 |
---|---|---|---|---|---|
ATVエアーボックス |
はい |
|
|
330 |
17 |
エアーボックス |
|
はい |
はい |
200 |
10 |
排気システム |
はい |
はい |
はい |
190 |
15 |
オイル・フィルタ |
|
|
はい |
80 |
10 |
カートリッジ・オイル・フィルタ |
|
はい |
|
140 |
14 |
レンチ使用可のオイル・フィルタ |
はい |
|
|
145 |
13 |
変換済コンポーネントであるエアーボックス、排気システムおよびオイル・フィルタの仕様を強化します。
既存のPLMアイテムを構造内の概念コンポーネントに変換することによって再利用し、要件に基づいて仕様を変更します。コンポーネント仕様の変更は、PLMシステムのアイテム強化リクエストに変換できます。
概念構造で要件をコンポーネントにマップします。
「コンセプトの編集」ページで、概念のルート・ノード「マウンテン・バイク」をクリックし、仕様として「ターゲット・コスト」470および「ターゲット燃料」40を割り当てます。
概念構造リージョンの上の「メトリック」リンクをクリックして割当て済メトリックを表示します。
「再計算」アイコンをクリックしてロールアップし、計算したメトリックを表示します。
「メトリック」ビューの「コンセプトの編集」ページで、「ソリューション代替」メニューを使用してそれぞれのソリューション代替のメトリック計算を表示し、分析します。
「ソリューション代替」メニュー・オプションで、「デフォルト」を選択します。「警告」アイコンで示されているように、計算済燃料がターゲット燃料を超過しています。
「ソリューション代替2」および「ソリューション代替3」についても計算済メトリックを表示します。
各ソリューション代替のコストと燃料メトリックを次の表に示します。
ソリューション代替 | デフォルト | ソリューション代替2 | ソリューション代替3 |
---|---|---|---|
コスト |
665 |
530 |
470 |
燃料 |
45 |
39 |
35 |
ソリューション代替3が主要要件について最適なソリューションを提供しているため、このソリューション代替の概念構造をPLMアイテム構造に変換するか、または概念「マウンテン・バイク」そのものの承認を要求します。
アイテム・ステータス円グラフを使用して、概念構造内の新規作成されたアイテムおよび既存アイテムの割合と数量に基づき、概念とそのコンポーネントの成熟度を表示および分析します。
アイテム・ステータス円グラフにアクセスするには、概念構造のメトリック・ビューを使用可能にします。
アイテム・ステータス円グラフを使用して、次のライフサイクル・フェーズ成熟度を判断します。
集計レベル
個別アイテム・レベル
Oracle Innovation Managementのアイテム・ライフサイクル・フェーズは、アイテムが所属するPLMシステムから反映されます。
アイテム・ステータス円グラフの上にマウスを移動すると、それぞれのライフサイクル・フェーズにあるアイテム数が表示されます。アイテム・ステータス円グラフの様々なセグメントをクリックすると、概念構造内で強調表示された対応するアイテムが表示されます。
概念構造内のアイテムがライフサイクルのリリース済または製造フェーズにある場合、概念は低リスクと見なされます。また、概念構造のアイテムの割合は概念全体のスコアにも影響を及ぼします。