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Oracle® Fusion Middlewareテクノロジ・アダプタの理解
12 c (12.1.3)
E57554-05
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1 Oracle JCAアダプタの概要

この章では、ビジネス・アプリケーションの統合を可能にし、異種アプリケーション間の相互通信に必要な堅牢、軽量で高度にスケーラブルな標準ベースの統合フレームワークを提供する、Oracle JCA準拠アダプタの概要を示します。この章では、今日のビジネス・アプリケーション処理の中におけるJCAアダプタのコンテキストについて説明します。

ビジネス・プロセスの最適化に対するニーズの高まりに伴い、既存のバックエンド・アプリケーションとの効果的な統合が成功への鍵となっています。ビジネス・プロセスを最適化するために、JCA 1.5コンポーネント・リソース・アダプタを使用してアプリケーションを統合できます。各アダプタでは堅牢、軽量で高度にスケーラブルな標準ベースの統合フレームワークがサポートされており、異種アプリケーション相互の通信を可能にします。たとえば、アダプタにより、パッケージ・アプリケーション、レガシー・アプリケーション、データベースおよびWebサービスを統合できます。Oracle JCAアダプタを使用すると、様々なベンダーから異なるテクノロジに基づいて提供されて異なるプラットフォームで動作する異種アプリケーションを統合することで、相互運用性を保証できます。

追加の構成、その他のアダプタの詳細は、関連ドキュメントのガイドを参照してください。

注意:

アダプタのシステム要件に関連する証明書マトリックスは、Oracle Technology Networkのアダプタのホームページ(http://www.oracle.com/technetwork/middleware/ias/downloads/fusion-certification-100350.html)にあります

現在のアダプタのリストについては、http://www.oracle.com/technetwork/middleware/adapters/overview/index-083423.htmlを参照してください

この章の内容は次のとおりです。

1.1 Oracle JCAアダプタの機能

このトピックでは、Oracle JCAアダプタの機能について説明します。

Oracle JCAアダプタのメリットは、次のとおりです。

  • 複雑なビジネス・プロセスを統合するための接続性プラットフォームの提供: アダプタにより、メインフレームおよびレガシー・アプリケーションがEnterprise Resource Planning (ERP)システム、カスタマ・リレーションシップ・マネジメント(CRM)システム、データベース・システムおよびメッセージ・システムと統合されます。オラクル社は、SAPやSiebelなどの各種パッケージ・アプリケーションおよびデータベースを接続できるようにアダプタを提供しています。また、ミドルウェア・メッセージ・システム(MQSeriesやOracle Advanced Queuingなど)とレガシー・アプリケーション(CICSおよびTuxedoなど)も、アダプタにより統合されて完全なソリューションを提供します。

  • オープン・スタンダードのサポート: アダプタは、J2EE Connector Architecture (JCA)バージョン1.5、eXtensible Markup Language (XML)およびWeb Service Definition Language (WSDL)など、一連の標準に基づいています。標準のサポートによりユーザーの学習曲線が短縮され、単一ベンダーに依存する必要がなくなります。

  • サービス・コンポーネント・アーキテクチャ(SCA)アセンブリ・モデル: コンポジット・アプリケーションを形成するためのサービス詳細とその相互依存関係を提供します。SCAにより、ビジネス・ロジックを、すべてのSCA準拠アプリケーションに容易に統合できる再利用可能なサービス・コンポーネントとして表現できます。このようなアプリケーションはSOAコンポジット・アプリケーションと呼ばれます。SCA標準の仕様は、Organization for the Advancement of Structured Information Standards (OASIS)により保守管理されています。

  • サービス指向アーキテクチャ(SOA)の実装: オープン・スタンダードのサポートにより、アダプタでは疎結合、柔軟性および拡張性を容易にするSOAを実装できます。

  • ネイティブAPIの使用: アダプタではバックエンド・システムとの複数のインタフェース方法がサポートされ、各種のデプロイメント・オプションが用意されています。アダプタではバックエンド・アプリケーションとの通信にネイティブAPIが使用され、ネイティブ・データからクライアントに提供する標準XMLへの変換にも使用されます。

  • データのモデル化: アダプタでは、設計時に構成したアダプタ・メタデータに基づいてネイティブAPIと標準XMLの間の変換が実行されます。アダプタ構成は設計時に定義され、ランタイム・コンポーネントにより使用されます。

  • リアルタイムの双方向接続の促進: アダプタにより、各種バックエンド・システムとの双方向通信が提供されます。これには、バックエンド・システムへのリクエストの送信とレスポンスの受信が含まれます。リアルタイム・イベント通知サービスも、アダプタによりサポートされています。このサービスにより、バックエンド・データの作成、削除および更新について、成功したバックエンド・トランザクションに関連付けられたバックエンド・イベントに関する通知が送信されます。この2方向接続性により、迅速、柔軟かつ効果的な統合と、それに伴うコストの削減が保証されます。

  • 可用性の最大化: Oracle JCAアダプタはJ2CA 1.5仕様に基づいています。したがって、アダプタは基礎となるOracle Application Serverプラットフォームのスケーラビリティと高度な可用性を完全に利用できます。

    詳細は、『Oracle WebLogic Serverリソース・アダプタの開発』を参照してください。

  • 使用しやすい設計時ツールの提供: アダプタで使用される設計時ツールにはGraphical User Interface (GUI)が用意されており、迅速な実装およびデプロイメントのためにアダプタを構成して管理できます。さらに、ツールを使用してバックエンド・スキーマを参照、ダウンロードおよび構成できます。

  • Oracle Application Serverコンポーネントとのシームレスな統合のサポート: アダプタによりOracle Fusion Middlewareが統合されます。アダプタによりOracle Fusion MiddlewareプラットフォームのJCAバインディング・コンポーネントが統合されます。これにより、他のサービス・エンジンおよびバインディング・コンポーネントがシームレスに統合されます。

1.2 Oracle JCAアダプタのタイプ

このトピックでは、Oracle JCAアダプタのタイプに関する情報を提供します。

Oracle JCAアダプタには、次のものがあります。

図1-1に、様々なタイプのアダプタを示します。

図1-1 Oracle JCAアダプタのタイプ

図1-1の説明が続きます
「図1-1 Oracle JCAアダプタのタイプ」の説明

1.2.1 Oracleテクノロジ・アダプタ

Oracleテクノロジ・アダプタによって、Oracle Application ServerおよびOracle Fusion Middlewareコンポーネント(Oracle BPEL Process Manager (Oracle BPEL PM)やOracle Mediatorコンポーネントなど)が、ファイルシステム、FTPサーバー、データベース・キュー(アドバンスト・キュー、すなわちAQ)、Java Message Services (JMS)、データベース表およびメッセージ・キュー(MQ Series)と統合されます。

このタイプのアダプタには、次のものがあります。

Oracleテクノロジ・アダプタは、Oracle Fusion Middlewareの一部としてインストールされます。

この項には次のトピックが含まれます:

1.2.1.1 アーキテクチャ

Oracleテクノロジ・アダプタはJ2EE Connector Architecture (JCA) 1.5標準に基づいており、Oracle Fusion Middlewareと同じOracle WebLogic Serverにリソース・アダプタとしてデプロイされます。Oracle Adapter for Oracle Applicationsは、Oracleテクノロジ・アダプタと同じアーキテクチャで構成されています。図1-2に、Oracleテクノロジ・アダプタのアーキテクチャを示します。

図1-2 Oracleテクノロジ・アダプタのアーキテクチャ

図1-2の説明が続きます。
「図1-2 Oracleテクノロジ・アダプタのアーキテクチャ」の説明

1.2.1.2 設計時コンポーネント

設計時に、Oracleテクノロジ・アダプタはOracle JDeveloper (JDeveloper)を使用してアダプタ・メタデータを生成します。バインディング構成ファイルはJ2CA中心のXMLマークアップから構成されます。J2CAバインディング構成ファイルは、J2CA 1.5リソース・アダプタをOracle Fusion Middlewareとシームレスに統合するためにJCAバインディング・コンポーネントで使用されます。

Oracleテクノロジ・アダプタとOracle Fusion Middlewareの統合の詳細は、「アダプタとOracle Fusion Middlewareの統合」を参照してください。

JDeveloperでは、スクリーン・リーダーのサポート、スクリーン拡大鏡、キーボード操作用の標準ショートカット・キーなどのアクセシビリティ・オプションが提供されています。フォントのサイズや色、オブジェクトの色や形などを変えて、判読性を高めるためにJDeveloperをカスタマイズすることもできます。JDeveloperのアクセシビリティを構成する方法の詳細および手順は、『Oracle JDeveloperによるアプリケーションの開発』のOracle JDeveloperのアクセシビリティについての情報に関する項を参照してください。

Oracle JCA Adapter for Database用のWSDLおよびバインディング構成ファイルの生成の例:

JDeveloperを使用してOracle JCA Adapter for Databaseを構成できます。このアダプタを使用すると、データ操作の実行、ストアド・プロシージャやファンクションのコールおよびデータベース・イベントのリアルタイムでのパブリッシュが容易になります。アダプタ定義を構成するには、「コンポーネント」ウィンドウから、「データベース・アダプタ」を「外部参照」スイムレーンにドラッグ・アンド・ドロップします。

図1-3に、「表のインポート」ウィンドウで参照してアダプタに必要な表を選択する方法を示します。

図1-3 必要な表の参照

表のインポート

図1-4に、Oracle JCA Adapter for Database用のWSDL設定を指定する方法を示します。

次に、データベース接続を確立し、操作タイプを選択し、必要な表を選択する必要があります。ランタイム接続パラメータはweblogic-ra.xmlファイル内で指定され、設計時に指定するJava Naming and Directory Interface (JNDI)名にリンクされます。図1-5に、新規データベース接続の作成方法を示します。

図1-5 新規データベース接続の作成

図1-5の説明が続きます
「図1-5 新規データベース接続の作成」の説明

最後に、図1-6に示すように、JDeveloperによりOracle JCA Adapter for Database用のJ2CAバインディングを使用してWSDLファイルおよびバインディング構成ファイルが生成されます。

図1-6 JCAファイルの構造

図1-6の説明が続きます
「図1-6 JCAファイルの構造」の説明

1.2.1.3 ランタイム・コンポーネント

Oracleテクノロジ・アダプタのランタイム・コンポーネントは、特定のバックエンド・アプリケーション用のJ2CA 1.5リソース・アダプタです。Oracleテクノロジ・アダプタは、Oracle WebLogic ServerのJ2CAコンテナにデプロイされます。Oracle Fusion Middlewareは、JCAバインディング・コンポーネントを介してJ2CA 1.5アダプタと統合され、Webサービス・メッセージがJ2CA相互作用との間で変換されます。

Oracle Fusion Middlewareでは、JCAバインディング・コンポーネントを使用してリクエスト-レスポンス・サービス(J2CAアウトバウンド相互作用)がSCAコンポジット参照と統合され、アダプタ・イベントがSCAコンポジット・サービスにパブリッシュされます。

Oracleテクノロジ・アダプタとOracle Fusion Middlewareの統合の詳細は、アダプタとOracle Application Serverコンポーネントの統合を参照してください。

1.2.1.3.1 Fusion Middleware Controlのアクセシビリティおよびテクノロジ・アダプタ

Fusion Middleware Controlによって、アプリケーションを監視および管理するページにアクセシビリティ・オプションが提供されます。Fusion Middleware Controlは、スクリーン・リーダーをサポートしており、キーボード・ナビゲーションをサポートするための標準のショートカット・キーを提供しています。読みやすくするために、コンソール・ページを高コントラストで表示したり、大きなフォントで表示したりすることもできます。Fusion Middleware Controlにおけるアクセシビリティの構成の詳細と手順は、『Oracle Fusion Middlewareの管理』Oracle Fusion Middlewareのアクセシビリティ・オプションの使用に関する項を参照してください。

1.2.1.4 デプロイメント

Oracleテクノロジ・アダプタは、インストール時にOracle Fusion Middlewareと同じOracle WebServerコンテナにJ2CA 1.5リソース・アダプタとしてデプロイされます。Oracleテクノロジ・アダプタはJ2CA 1.5リソース・アダプタとして物理的にデプロイされますが、論理的にデプロイするには、設計時にJDeveloperを使用してweblogic-ra.xmlファイルを編集し、J2CA 1.5リソース・アダプタ用のコネクション・ファクトリ・エントリを作成する必要があります。JDeveloperを使用してJNDI名を指定します。JNDI名は、コンポジットがOracle WebLogic Serverにデプロイされる際に使用される接続のプレースホルダとして機能します。このプレースホルダにより、開発とその後の本番に異なるデータベースを使用できます。ただし、論理的なデプロイ変更を有効にする場合(つまり、新規のアウトバウンド接続を作成する場合にのみ)、WebLogic Serverコンテナ・プロセスの更新が必要になります。既存のJNDIのアウトバウンド接続プロパティを更新する場合は、Oracle WebLogic Serverの再起動が必要です。既存のJNDIのアウトバウンド接続プロパティを更新するときにサーバーの再起動を回避するには、「アダプタ・コネクション・ファクトリの追加または更新」を参照してください。

1.2.2 レガシー・アダプタ

レガシー・アダプタにより、レガシー通信プロトコルを使用して、Oracle Application Serverがレガシーおよびメインフレーム・アプリケーションと統合されます。

このタイプのアダプタには、次のものがあります。

  • OracleAS Adapter for Tuxedo

  • OracleAS Adapter for CICS

  • OracleAS Adapter for VSAM

  • OracleAS Adapter for IMS/TM

  • OracleAS Adapter for IMS/DB

レガシー・アダプタは、OracleAS Adapters CDに収録されています。

この項には次のトピックが含まれます:

1.2.2.1 アーキテクチャ

レガシー・アダプタのアーキテクチャには、次のコンポーネントが含まれています。

図1-7に、レガシー・アダプタのアーキテクチャを示します。

図1-7 レガシー・アダプタのアーキテクチャ

図1-7の説明が続きます。
「図1-7 レガシー・アダプタのアーキテクチャ」の説明

チェンジ・データ・キャプチャ(CDC)アダプタのアーキテクチャも同じです。

1.2.2.1.1 Oracle Connect

Oracle Connectは、レガシーおよびメインフレーム・プラットフォームに常駐するコンポーネントです。メインフレーム・アプリケーションおよびデータ・ストアとの通信に使用するネイティブ・アダプタで構成されています。Oracle Connectを構成するコンポーネントは、次のとおりです。

  • サーバー・プロセス

  • ネイティブ・アダプタ

  • デーモン

  • リポジトリ

サーバー・プロセス: Oracle Connectは、クライアント・リクエストを処理する複数のサーバーで構成されています。

ネイティブ・アダプタ: Oracle Connectは、TuxedoおよびIMS-TMトランザクション・システムと通信するための各種埋込みネイティブ・アダプタと、VSAMやIMS-DBなどのメインフレーム・システム上にある各種データベースおよびファイルシステムと通信するためのデータベース・ドライバで構成されています。ネイティブ・アダプタにより、レガシーCOBOLアプリケーション・データなどのアプリケーション構造がXMLとの間で変換されます。メインフレーム・データと標準XMLデータの間の正確なマッピングには、XSDスキーマが使用されます。

デーモン: デーモンは、複数のサーバー構成を管理して保守するRPCベースのリスナーです。これはOracle Connectを実行中のすべてのコンピュータ上で動作し、ユーザー認証と認可、接続の割当ておよびサーバー・プロセスの管理を処理します。

クライアントが接続をリクエストすると、デーモンがこの接続を処理するためのサーバー・プロセスを割り当てます。割り当てられるサーバー・プロセスは、新規プロセスの場合と実行中のプロセスの場合があります。クライアント・セッションとサーバー・プロセス間の以降の通信は直接行われ、デーモンは関与しません。ただし、接続の終了時にサーバー・プロセスが停止されるか、別のクライアントにより使用中の場合は、デーモンに通知されます。

デーモンでは、ワークスペースと呼ばれる複数のサーバー構成がサポートされています。各ワークスペースにより、アクセス可能なデータソース、アプリケーション、環境設定、セキュリティ要件およびサーバー割当てルールが定義されます。デーモンによりクライアントが認証され、特定のサーバー・ワークスペース内のサーバー・プロセスに対するリクエストが認可され、必要なサーバーがクライアントに提供されます。デーモンによるサーバーの割当ては、クライアントが使用しているワークスペースに基づきます。そのため、クライアントは1つのワークスペースを使用してデータソースにアクセスできます。その場合は、既存のサーバー・プールからサーバー・プロセスが割り当てられます。クライアントが別のワークスペースを使用してデータソースにアクセスすることもできます。その場合は、クライアント・リクエストごとに新規サーバー・プロセスが割り当てられます。フェイルセーフ・メカニズムにより、可用性を高めるためのスタンバイとして機能する代替デーモンを指定できます。

リポジトリ: Oracle Connectでは、XMLベースのスキーマおよび構成情報を格納するためのリポジトリがサポートされています。リポジトリはOracle Connectインスタンスごとに1つ存在します。リポジトリには、次の情報が格納されます。

  • Oracle Connect構成設定(クライアント/サーバーの通信を制御するデーモン設定など)

  • ユーザー・プロファイル(複数のバックエンド・アプリケーションおよびデータソースへのシングル・サインオンを有効化)

  • 各アダプタのアダプタ・メタデータ(アダプタのリクエスト-レスポンスおよびイベント・サービスなど)

1.2.2.1.2 Oracle Studio

Oracle Studioは、メインフレーム用OracleAS Adapterを構成するための設計時ツールです。これにより、ネイティブ・アダプタのサービス、イベントおよび接続情報を構成できます。構成情報は、レガシーまたはメインフレーム・アプリケーションのOracle Connectリポジトリに格納されます。さらに、Oracle Connectの管理と監視にも使用できます。Oracle Studioを使用できるのは、Windowsプラットフォームの場合のみです。Oracle Studioは、Eclipse GUIフレームワークに基づいています。

1.2.2.1.3 J2CAアダプタ

J2EE Connector Architecture (J2CA)アダプタにより、WebLogic Serverアプリケーション・クライアント・リクエストがOracle Connectアプリケーションに転送されます。Oracle Connectはメインフレーム・アプリケーションと通信し、レスポンスをJ2CAアダプタに転送します。レスポンスにはトランザクション・データが含まれていたり、リクエストでエラーが発生した場合は例外データが含まれている場合もあります。Oracle Fusion Middlewareは、J2CAレガシー・アダプタを介してOracle Connectと統合されます。

1.2.2.2 設計時コンポーネント

設計時にレガシー・アダプタを構成するには、図1-8に示すようにOracle Studioを使用します。

OraleAS Adapter for Tuxedoの構成の例:

図1-9および図1-10に示すように、Oracle Studioを使用してOracleAS Adapter for Tuxedoを構成できます。

図1-9 OracleAS Adapter for Tuxedoの構成

図1-9の説明が続きます。
「図1-9 OracleAS Adapter for Tuxedoの構成」の説明

図1-10 OracleAS Adapter for Tuxedoの相互作用タイプの選択

図1-10の説明が続きます。
「図1-10 OracleAS Adapter for Tuxedoの相互作用タイプの選択」の説明

1.2.2.3 ランタイム・コンポーネント

実行時には、設計時に生成されたWSDLファイルが統合コンポーネントにより使用されます。たとえば、Oracle Fusion Middlewareでは、JCAバインディング・コンポーネントを使用してリクエスト-レスポンス・サービス(J2CAアウトバウンド相互作用)がBPELのinvokeアクティビティと統合され、イベントがBPELプロセスのreceiveアクティビティにパブリッシュされます。

詳細は、「アダプタとOracle Fusion Middlewareの統合」を参照してください。

1.2.2.4 デプロイメント

レガシー・アダプタは、インストール時にOracle WebLogic Server J2CAコンテナにJ2CAリソース・アダプタとしてデプロイされます。アダプタは、統合するOracle Fusion Middlewareと同じOracle WebLogic Serverコンテナ内に存在する必要があります。

1.2.3 パッケージ・アプリケーション・アダプタ

パッケージ・アプリケーション・アダプタにより、Oracle Application Serverが各種のパッケージ・アプリケーション(SAPやSiebelなど)と統合されます。

SOA Suite 11gでは、次のエンタープライズ・アプリケーション・アダプタを提供します。

  • OracleAS Adapter for PeopleSoft

  • OracleAS Adapter for SAP R/3

  • OracleAS Adapter for Siebel

  • Oracle AS Adapter for J.D.Edwards EnterpriseOne and OneWorld

これらのアダプタは、標準のSOA Suiteのインストールから個別にダウンロードおよびインストールされます。また、これらのアダプタの設計時タスクはすべてOracle Application Explorerによって実行され、必要なWSDLとスキーマ・アーティファクトを生成してJDeveloperにインポートされます。

以前のOracle iWayアダプタはJDE EnterpriseOneおよびJDE OneWorld製品向けでしたが、新しいJDEアダプタはJDE World製品専用です。

SOA Suite 12.1.3には、SOA Suiteですぐに使用できる2つのアダプタが含まれています。

  • Oracle Adapter for SAP、および

  • Oracle Adapter for J.D.Edwards World

他のテクノロジ・アダプタと同様に、これらのアダプタの設計時にはOracle JDeveloperを使用します。

アダプタ・コンポーネントは、各アプリケーションとの統合をモデル化できるコンポーネントで、すぐに使用できます。これらのアダプタのライセンスの詳細は、ライセンス・ドキュメントを参照してください。

この項には次のトピックが含まれます:

1.2.3.1 アーキテクチャ

パッケージ・アプリケーション・アダプタは、J2EE Connector Architecture (J2CA) 1.5リソース・アダプタまたはWebサービス・サーブレットとしてOracle WebLogic Serverコンテナにデプロイできます。パッケージ・アプリケーション・アダプタでは、J2CAインタフェースに加えて、Web Service Definition Language (WSDL)およびSimple Object Access Protocol (SOAP)インタフェースがサポートされています。パッケージ・アプリケーション・アダプタをJ2CAおよびWebサービスとしてデプロイするには、リポジトリ・プロジェクトが必要です。J2CAデプロイメントの場合、リソース・アダプタは複数のバックエンド接続オブジェクトを格納できるリポジトリ・プロジェクトを指します。デプロイメント・ディスクリプタweblogic-ra.xmlは、J2CAリポジトリ・プロジェクトとそのプロジェクト内でアクセスするための接続名を指します。WSDLデプロイメントの場合、WSDLリポジトリ・プロジェクトはアダプタ・メタデータを記述する一連のWSDLファイルで構成されます。

注意:

このリリースでは、WSDLおよびSOAP拡張をサポートしているのは次のパッケージ・アプリケーション・アダプタのみです。

  • OracleAS Adapter for SAP

  • OracleAS Adapter for Siebel

  • OracleAS Adapter for PeopleSoft

  • OracleAS Adapter for J.D. Edwards

パッケージ・アプリケーション・アダプタのアーキテクチャは、OracleAS Adapter Application Explorer(アプリケーション・エクスプローラ)、J2CA 1.5リソース・アダプタおよびBusiness Services Engine (BSE)で構成されています。

図1-11に、パッケージ・アプリケーション・アダプタのアーキテクチャを示します。

図1-11 パッケージ・アプリケーション・アダプタのアーキテクチャ

図1-11の説明が続きます
「図1-11 パッケージ・アプリケーション・アダプタのアーキテクチャ」の説明

この項では、パッケージ・アプリケーション・アダプタ・アーキテクチャのコンポーネントについて説明します。

この項には次のトピックが含まれます:

1.2.3.1.1 アプリケーション・エクスプローラ

アプリケーション・エクスプローラは、パッケージ・アプリケーション・アダプタを構成するための、Java Swingベースの設計時ツールです。アプリケーション・エクスプローラを使用すると、バックエンド・アプリケーション接続を構成し、バックエンド・アプリケーション・スキーマを参照し、これらのスキーマをアダプタ・サービスとして公開できます。アプリケーション・エクスプローラは、バックエンド・アプリケーション固有のメタデータを参照するための、パッケージ・アプリケーション固有のプラグインに付属しています。

アプリケーション・エクスプローラを使用すると、Oracleアダプタのリポジトリ・プロジェクトを作成できます。各リポジトリ・プロジェクトは、複数のバックエンド・アプリケーション接続で構成できます。スキーマは、Oracle Adapter J2CAインタフェースまたはBSE用のXMLスキーマ定義(XSD)、またはSOAPバインディングを使用するWSDLとして表されます。

1.2.3.1.2 BSE

アプリケーション・エクスプローラは、Oracle Application ServerのOracle WebLogic ServerコンテナにデプロイされるBSEと連動します。BSEでは、クライアントからリクエストを受け入れ、バックエンド・アプリケーションと対話し、バックエンド・アプリケーションからクライアントにレスポンスを送信するためのプロトコルとしてSOAPが使用されます。

1.2.3.1.3 J2CA 1.5リソース・アダプタ

J2CA 1.5リソース・アダプタは、バックエンド・イベントを受信するためのチャネル・コンポーネントで構成されています。

1.2.3.2 設計時コンポーネント

アプリケーション・エクスプローラを使用して、設計時にパッケージ・アプリケーション・アダプタを構成します。このツールを使用して、バックエンド接続のリストを含んだ、J2CA 1.5リソース・アダプタ用のリポジトリ・プロジェクトを作成します。アプリケーション・エクスプローラでは、バックエンド・メタデータがJ2CA拡張を使用するXSDおよびWSDLとして公開されます。XSDメタデータは、Oracle WebLogic Serverアプリケーション・クライアントでJ2CA Common Client Interface (CCI)のアプリケーション・プログラム・インタフェース(API)を介した統合に使用されます。J2CA拡張を使用するWSDLは、Business Process Execution Language for Web Services (BPEL) Process Managerとの統合に使用されます。BSEのメタデータは、WSDLまたはSOAPとして定義できます。

図1-12に、アプリケーション・エクスプローラを示します。

図1-12 アプリケーション・エクスプローラ

図1-12の説明が続きます
「図1-12 アプリケーション・エクスプローラ」の説明

OracleAS Adapter for SAP用のXMLリクエスト・スキーマの生成の例

アプリケーション・エクスプローラを使用して、OracleAS Adapter for SAP用の接続を確立できます。このような接続を確立するには、まず図1-13および図1-14に示すようにOracleAS Adapter for SAPに対してターゲットを定義する必要があります。

図1-13 OracleAS Adapter for SAPの選択

図1-13の説明が続きます
「図1-13 OracleAS Adapter for SAPの選択」の説明

図1-14 OracleAS Adapter for SAPに対するターゲットの定義

図1-14の説明が続きます
「図1-14 OracleAS Adapter for SAPに対するターゲットの定義」の説明

SAPビジネス関数ライブラリを開いてオブジェクトを選択した後、アプリケーション・エクスプローラを使用して、その関数に使用するXMLリクエスト・スキーマとXMLレスポンス・スキーマを作成できます。各スキーマ・タイプのXMLを表示するには、図1-15に示すように必要なタブを選択します。

図1-15 XMLスキーマの表示

図1-15の説明が続きます
「図1-15 XMLスキーマの表示」の説明

1.2.3.3 ランタイム・コンポーネント

パッケージ・アプリケーション・アダプタのランタイム・コンポーネントには、J2CA 1.5リソース・アダプタ、BSEおよびサーブレットなどがあります。WebLogic Serverアプリケーション・クライアントでは、CCI APIを使用してJ2CA 1.5リソース・アダプタに直接インタフェースします。J2CA 1.5リソース・アダプタは、JCAバインディング・コンポーネントを介してOracle Fusion Middlewareと統合されます。実行時には、JCAバインディング・コンポーネントにより、設計時に構成されたアダプタ・メタデータ(WSDLおよびバインディング構成)に基づいて、Oracle Fusion Middlewareサービス・リクエストとJ2CAコールの間の変換が実行されます。

実行時には、設計時に生成されたWSDLファイルが統合コンポーネントにより使用されます。たとえば、Oracle Fusion Middlewareでは、JCAバインディング・コンポーネントを使用してリクエスト-レスポンス・サービス(J2CAアウトバウンド相互作用)がBPELプロセスのinvokeアクティビティと統合され、アダプタ・イベントがBPELプロセスのreceiveアクティビティにパブリッシュされます。

Oracle Fusion Middlewareとの統合の詳細は、「アダプタとOracle Fusion Middlewareの統合」を参照してください。

1.2.3.4 デプロイメント

パッケージ・アプリケーション・アダプタは、インストール時にWebLogic Server J2CAコンテナにJ2CA 1.5リソース・アダプタとしてデプロイされます。アダプタは、統合するOracle BPEL PMと同じWebLogic Serverコンテナ内に存在する必要があります。

すべてのWebサービス・クライアントをBSEサーブレットと統合できます。

BSEは、インストール時にWebLogic Serverコンテナにサーブレットとしてデプロイされます。BSEはリモート配置が可能で、Oracle BPEL PMと同じコンテナになくてもかまいません。

1.2.4 Oracle E-Business Suiteアダプタ

Oracle Applicationsは、Oracleアプリケーションと非Oracleアプリケーションのデータを統合し、企業全体で顧客、サプライヤ、パートナおよび従業員を一元的に定義できるようにする、統合情報アーキテクチャ上に構築されます。これにより、現在のパフォーマンス・メトリック、財務比率、損益要約などの情報を取得できるアプリケーションのスイートが提供されます。Oracle Applicationsを非Oracleアプリケーションに接続するには、Oracle E-Business Suiteアダプタを使用します。

Oracle Adapter for Oracle Applications (E-Business Suite)によって、Oracle Applicationsへの包括的、双方向、マルチモード、同期および非同期の接続が可能になります。アダプタでは、Oracle E-Business Suiteのバージョンに基づいたカスタム統合インタフェース・タイプの選択を含む、リリース12およびリリース11iのOracle Applicationsのすべてのモジュールがサポートされます。

Oracle Adapter for Oracle Applications (E-Business Suite)のアーキテクチャは、Oracleテクノロジ・アダプタに類似しています。

1.3 Oracle JCAアダプタ・サービスのタイプ

このトピックでは、Oracle JCAアダプタ・サービスのタイプに関する情報を提供します。

アダプタには、アプリケーション間の通信を容易にするために次のタイプのサービスが用意されています。

1.3.1 リクエスト-レスポンス(アウトバウンド相互作用)サービス

アダプタでは、同期リクエスト-レスポンス・サービスがサポートされています。アダプタはアダプタ・クライアントからリクエストを受信すると、リクエストをネイティブなバックエンド・データ形式に変換し、バックエンド・アプリケーション内で該当するメソッドをコールします。さらに、リクエスト-レスポンス・サービスは逆変換の実行後に、JCAバインディング・コンポーネントへのバックエンド・レスポンスを取得します。J2CA用語では、このタイプのサービスはアウトバウンド相互作用とも呼ばれます。

リクエスト-レスポンス・サービスは、バックエンド・データの作成、削除、更新および問合せと、バックエンド・ワークフローおよびトランザクションのコールに使用できます。たとえば、WebLogic Serverアプリケーション・クライアントでは、OracleAS Adapter for SAPを使用してSAPアプリケーション内で顧客を作成できます。

図1-16に、リクエスト-レスポンス・サービスを示します。

図1-16 リクエスト-レスポンス・サービス

図1-16の説明が続きます
「図1-16 リクエスト-レスポンス・サービス」の説明

1.3.2 イベント通知(インバウンド相互作用)サービス

アダプタでは、非同期通信パラダイムであるイベント通知サービスがサポートされています。J2CA用語では、このタイプのサービスはインバウンド相互作用とも呼ばれます。

アダプタは、バックエンド・イベントの変化をリスニングまたはポーリングします。イベントをリスニングするアダプタは、イベントをアダプタにプッシュするように構成されているバックエンド・アプリケーション用のリスナーとして登録されます。アダプタは、クライアント・アプリケーションに必要なイベントを、バックエンド・アプリケーション(通常はデータベースまたはファイル)でポーリングすることもできます。

イベント通知サービスを使用すると、バックエンド・データの作成、削除および更新について、成功したバックエンド・トランザクションに関連付けられたバックエンド・イベントを追跡できます。

図1-17に、イベント通知サービスを示します。

図1-17 イベント通知サービス

図1-17の説明が続きます
「図1-17 イベント通知サービス」の説明

1.3.3 メタデータ・サービス

アダプタ・メタデータ定義には、ビジネス・オブジェクトおよびサービス用のバックエンド接続およびスキーマに関する情報が格納されます。アダプタは、メタデータを参照および格納するための設計時コンポーネントと、サービスを実行するためのランタイム・コンポーネントで構成されています。アダプタ・メタデータ定義は、XMLスキーマ定義(XSD)、WSDLおよびバインディング構成ファイルとして生成されます。図1-18に、メタデータの相互作用を示します。

図1-18 メタデータ・サービス

図1-18の説明が続きます
「図1-18 メタデータ・サービス」の説明