ヘッダーをスキップ
Oracle® Fusion Middleware Oracle ADFスキン・エディタによるADFスキンの開発
12c (12.1.3)
E56242-01
  目次へ移動
目次

前
 
次
 

10 @ルールの使用

この章では、@ルールの処理方法について説明します。@ルールの作成、変更および適用方法に関する情報を提供し、さらにADFスキニング・フレームワークがサポートする様々なタイプの@ルールを説明します。

この章には次の項が含まれます:

10.1 ADFスキニング・フレームワークにおける@ルールについて

CSS @ルール(@ルール)は、アプリケーションのページが、ブラウザ、プラットフォーム、ロケール、デバイスなどの特定の環境でレンダリングされる場合のスタイル・プロパティを定義する方法です。ADFスキニング・フレームワークは、特定の環境に適用するセレクタのプロパティを定義できるいくつかの@ルールをサポートします。たとえば、他のブラウザでは必要ないなんらかのパディングをInternet Explorerで追加する必要がある場合や、ページをタッチ・デバイス上でレンダリングするときにアイコンのサイズを大きくする場合があります。これらのシナリオに使用するセレクタのスタイルを設定するには、@ルール内でスタイル・プロパティを指定します。

ADFスキニング・フレームワークがサポートする@ルールは、2つのカテゴリに分類されます。解釈のためにユーザー・エージェントに直接渡される@ルールはクライアント側@ルールとして分類され、ADFスキニング・フレームワーク自体が解釈する@ルールはサーバー側@ルールとして分類されます。これらのカテゴリの詳細は、第10.2項「サーバー側@ルールの使用」および第10.3項「クライアント側@ルールの使用」を参照してください。

ADFスキン・エディタのセレクタ・エディタおよびJDeveloperのセレクタ・エディタを使用すると、第10.4項「ADFスキン内での@ルールの作成」で説明するように、ADFスキン内で@ルールを作成できます。ADFスキンが継承した@ルールまたはADFスキン内で定義した@ルールは、図10-5に示すように、「@ルール」ノードの下のセレクタ・ツリーに表示されます。

図10-1 セレクタ・ツリーでの@ルール

この図は周囲のテキストで説明しています

この章で説明する@ルール以外にも、@import @ルールを使用して別のADFスキンを元のADFスキンにインポートすることもできます。詳細は、第4.4項「1つ以上のADFスキンを現在のADFスキンにインポートする」を参照してください。

10.2 サーバー側@ルールの使用

表10-1に、ADFスキニング・フレームワークがサポートするいくつかのサーバー側@ルールを示します。ADFスキニング・フレームワークは、第10.4.3項「実行時の動作: ADFスキニング・フレームワークによる@ルールの適用方法」で説明するように、これらのルールを解釈し、レンダリングするスタイル・プロパティを決定します。

表10-1 ADFスキニング・フレームワークによってサポートされるサーバー側@ルール

名前 説明

@accessibility-profile

trinidad-config.xmlファイルで有効な場合に、high-contrastおよびlarge-fontsの各アクセシビリティ・プロファイル設定にスタイルを定義します。

@accessibility-profileルールの詳細は、第5.7項「アクセシビリティのためのADFスキンの構成」を参照してください。

@locale

特定の言語および国のみのスタイルを定義するロケールを指定します。言語のみまたは言語と国の両方を指定できます。

ADFスキニング・フレームワークでは、:lang擬似クラスはサポートされていないことに注意してください。

@mode

特定のモードでページがレンダリングされる場合のスタイルを定義します。この@ルールでは次の値がサポートされます。

  • quirks

  • standards

@platform

プラットフォーム・スタイルを定義します。サポートされる値は次のとおりです。

  • android

  • blackberry

  • genericpda

  • iphone

  • linux

  • macos

  • nokia_s60

  • ppc (Pocket PC)

  • solaris

  • unix

  • windows


表10-1に示すルール以外に、最も多く使用されるサーバー側@ルールとして、@agentがあります。@agent @ルールを使用すると、1つ以上のユーザー・エージェントに適用するスタイルを定義できます。表10-2に、@agent @ルールを使用してエージェント固有のスタイルを設定するときに使用できる値を示します。

表10-2 @agent @ルールでサポートされる値

blackberry

googlebot

nokia_s60

email

ie

opera

gecko

konqueror

oracle_ses

genericDesktop

mozilla

unknown

genericpda

msnbot

webkit (SafariおよびGoogle Chromeにマップします)


@agent @ルールを使用して次のことができます。

@agentルールを使用して、タッチ・デバイスのエージェントに適用するスタイルを指定することもできます。次の例に、この機能を構成するADFスキン・ファイルに記述する構文を示します。

@agent (touchScreen) {
   /* Touchscreen specific styles for all touch devices: both single and multiple touch. */
}

@agent (touchScreen:single) {
   /* Styles specific for a touch device with single touch. */
}
 
@agent (touchScreen:multiple) {
   /* Styles specific for a touch device with multiple touch. */
}
 

@agent (touchScreen:none) @ルールを使用して、タッチ・デバイスにレンダリングさせないスタイルを指定します。たとえば、ADFスキンのFusion Simpleファミリ(fusionFx-simple-v1.2以降)はこの@ルールを、:hover擬似クラスを使用するように構成されたセレクタに適用します。この理由は、:hover擬似クラスがタッチ・デバイスで使用するには適していないためです。@agent (touchScreen:none) @ルールは、:hover擬似クラスを使用するセレクタを、次の例のように折り返します。

@agent (touchScreen:none){

af|breadCrumbs:step:hover{

text-decoration:underline;

}

}

図10-2に、@agent (touchScreen:none) @ルールを適用したセレクタがセレクタ・ツリーに表示される様子を示します。

図10-2 セレクタ・ツリーでの@agent (touchScreen:none) @ルール

この図は周囲のテキストで説明しています

タッチ・デバイスにレンダリングするアプリケーションの作成の詳細は、Oracle ADF FacesによるWebユーザー・インタフェースの開発(スキニングするアプリケーションに関連するリリース)の付録「ADF Facesを使用したタッチ装置のWebアプリケーションの作成」を参照してください。

ADFスキン内での@ルールの作成方法については、第10.4項「ADFスキン内での@ルールの作成」を参照してください。

10.3 クライアント側@ルールの使用

ADFスキニング・フレームワークは、次の@ルールを評価しません。

かわりに、@ルールとその@ルール内のスタイル・プロパティを直接ユーザー・エージェントに渡します。ユーザー・エージェントは、@ルールを評価し、@ルールで指定した条件が満たされている場合、その@ルール内のスタイル・プロパティを適用します。

クライアント側@ルール内のスタイル・プロパティは直接ユーザー・エージェントに渡されるため、クライアント側@ルール内ではADFスキン・プロパティまたはグローバル・セレクタ別名を使用できません。ADFスキニング・フレームワークは、これらのアイテムを評価して、それらの実行時の値を決定する必要があります。例10-1に、ADFスキン内でのクライアント側@ルールの有効な使用方法をいくつか示します。例10-1@media @ルールは、画面の最大幅が1680pxの場合に、af:buttonコンポーネントに対してレンダリングされるスタイル・プロパティを指定しています。また、この例では、この条件が満たされなかった場合に、af:buttonコンポーネントに対して適用されるスタイル・プロパティも指定しています。


注意:

ADFスキン・プロパティやグローバル・セレクタ別名は、クライアント側@ルール内に挿入しないでください。ADFスキンを使用してページをレンダリングすると、予期しない動作が発生する場合があります。ADFスキン・プロパティの名前は-tr-という文字で始まり、グローバル・セレクタ別名には:aliasが付加されます。詳細は、第2.3項「ADFスキニング・フレームワークでのプロパティ」および第8.1項「グローバル・セレクタ別名について」を参照してください。


例10-1 ADFスキン内のクライアント側@ルール

...
.myStyleClass {
    background-color: Yellow;
}
 
af|button {
    -tr-inhibit: background-image;
    color: Red;
}
 
af|button::access-key {
    background-color: Blue;
    color: Yellow;
}
 
@media screen and (max-width:1680px) {
    .myStyleClass {
        background-color: Red;
    }
    af|button {
        color: Lime;
    }
    af|button::access-key {
        background-color: White;
        color: Purple;
    }
}
...

図10-3に、表示される画面の最大幅に基づき、例10-1で定義した適切なスタイル・プロパティを使用してレンダリングされたaf:buttonコンポーネントのインスタンスを示します。

図10-3 ボタン・コンポーネントに適用されるクライアント側@ルール

この図は周囲のテキストで説明しています

クライアント側@ルールは、サーバー側@ルール内にネストできます。サーバー側@ルールは、クライアント側@ルール内にネストできます。例10-2に、クライアント側およびサーバー側@ルールが互いの中にネストされたインスタンスを示します。

@pageおよび@font-faceクライアント側@ルールは例外です。他のクライアント側@ルールには完全なスタイルが含まれますが、これらのクライアント側@ルールにはCSSプロパティが含まれるため、これらのクライアント側@ルールにサーバー側@ルールを含めることはできません。

例10-2 ネストされたクライアント側およびサーバー側@ルール

@agent  gecko {
    @page :first {
        margin: 2in ;
  
    }
}
 
@keyframes mymove {
  @agent gecko {
    0% { top: 0; left: 0; }
    30% { top: 50px; }
    68%, 72% { left: 50px; }
    100% { top: 100px; left: 100%; }
  }
 
  @agent ie {
    0% { top: 1; left: 1; }
    30% { top: 100px; }
    100% { top: 200px; left: 100%; }
  }
}

10.4 ADFスキン内での@ルールの作成

ADFスキンに新しい@ルールを作成することも、ADFスキンが拡張元ADFスキンから継承した@ルールをオーバーライドすることもできます。@ルールを作成した後、含めるスタイル・プロパティを定義するように変更します。

10.4.1 @ルールの作成方法

@ルールで指定した条件に適合した場合に1つ以上のセレクタのスタイル・プロパティが特定の方法でレンダリングされるように指定する@ルールを作成できます。

@ルールを作成する手順は次のとおりです。

  1. 図10-4に示すように、セレクタ・ツリーのセレクタ・エディタで、ドロップダウン・リストから「新規セレクタと@ルール」を選択します。


    ヒント:

    @ルールを構成するセレクタの名前がわかっている場合は、セレクタ・ツリーでそのセレクタを右クリックし、コンテキスト・メニューの「新規セレクタと@ルール」を選択します。これで「@ルール宣言の作成」ダイアログの「セレクタ」フィールドに、右クリックしたセレクタ名が移入されます。


    図10-4 セレクタ・ツリーの「新規セレクタと@ルール」メニュー

    この図は周囲のテキストで説明しています
  2. 「@ルール宣言の作成」ダイアログで、「ルール」ドロップダウン・リストから構成する@ルールを選択します。

    ADFスキニング・フレームワークがサポートする@ルールの詳細は、第10.2項「サーバー側@ルールの使用」および第10.3項「クライアント側@ルールの使用」を参照してください。

  3. 「OK」をクリックします。

  4. セレクタ・ツリーで新しく作成した@ルールを選択し、「プロパティ」ウィンドウで、この@ルールを適用するプロパティを構成します。

10.4.2 @ルールの作成時に発生する処理

図10-5に示すように、@ルールはセレクタ・ツリーの「@ルール」ノードの下に表示され、コンポーネントにそれが適用されるときのビジュアル表示はプレビュー・ペインに表示されます。図10-5に示すように、作成した@ルールおよび変更したすべてのプロパティのCSS構文もADFスキンのソース・ファイルに表示されます。

図10-5 セレクタ・ツリーおよびソース・エディタでの@ルール

この図は周囲のテキストで説明しています

図10-6で示すように、@ルールを設定したセレクタ・プロパティの「プロパティ」ウィンドウに、@ルールが設定されたことを示すアイコンが表示されます。

図10-6 プロパティで設定された@ルールが表示された「プロパティ」ウィンドウ

この図は周囲のテキストで説明しています

10.4.3 実行時の動作: ADFスキニング・フレームワークによる@ルールの適用方法

実行時に、ADFスキニング・フレームワークは、エージェントやプラットフォームなどのHTTPリクエスト情報に基づいて@ルール付きのスタイルを選択し、ルールのないスタイルとマージします。ルールと一致するスタイル・プロパティは、すべてのルールに該当しないプロパティとマージされます。ユーザーの環境と最も一致する特定のルールが優先されます。

例10-3に、最終的なスタイルを提供するために一緒にマージされる、ADFスキンのソース・ファイル内のセレクタをいくつか示します。

例10-3 ADFスキン内のスタイル・セレクタのマージ

/** For IE and Gecko on Windows, Linux and Solaris, make the color pink. **/
@platform windows,linux,solaris{
  @agent ie, gecko
  {
    af|inputText::content {background-color:pink}
  }
}
 
/** Define default properties for the af|panelFormLayout selector. **/
af|panelFormLayout {
    color: red;
    width: 10px;
    padding: 4px
}
/** Define at-rule for af|panelFormLayout on Internet Explorer (IE). We need 
to increase the width, so we override the width.  We still want the color 
and padding; this gets merged in. We want to add height in IE.  */
@agent ie{
  af|panelFormLayout {width: 25px; height: 10px}
}
 
/** For IE 8 and 9, we also need some margins.*/
@agent ie( version:8)and( version:9){
  af|panelFormLayout {margin: 5px;}
}
 
/** For Firefox 3 (Gecko 1.9) use a smaller margin.*/
@agent gecko( version:1.9){
  af|panelFormLayout {margin: 4px;}
}