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Oracle® Fusion Middleware Oracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメント・ガイド
12c (12.1.3)
E53006-03
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7 エンタープライズ・デプロイメント用のファイル・システムの準備

この章では、Oracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメント用にファイル・システムを準備する方法について説明します。この準備には、ローカルおよび共有記憶域の要件、およびエンタープライズ・トポロジのインストール時および構成時における重要なディレクトリとファイルの場所の参照に使用される用語の理解が含まれます。

この章には次の項が含まれます:

7.1 エンタープライズ・デプロイメント用のファイル・システムの準備の概要

記憶域は、エンタープライズ・デプロイメントがわかりやすくなり、構成および管理が容易になるように設定することが重要です。この章の情報に従って記憶域を設定することをお薦めします。この章で定義されている用語は、このガイド内のダイアグラムおよび手順で使用されます。

この章を参照情報として使用すると、インストールおよび構成手順で使用されているディレクトリ変数について理解できます。

その他のディレクトリ・レイアウトも可能であり、サポートされていますが、このガイドで採用するモデルは、可用性を最大化するために設計されており、コンポーネントの最良の独立性と構成の対称性の両方を実現し、バックアップおよび障害時リカバリを容易にします。ドキュメントの残りの部分では、このディレクトリ構造およびディレクトリ用語を使用します。

7.2 エンタープライズ・デプロイメントをインストールおよび構成する場合の共有記憶域の推奨事項

この章で詳述する推奨事項を実行する前に、『高可用性ガイド』で共有記憶域の使用に関する推奨事項と一般情報を確認してください。

この章の推奨事項は、『高可用性ガイド』に記載されている概念とガイドラインに基づいています。

表7-1に、確認しておく必要がある項の一覧と、それらの概念がエンタープライズ・デプロイメントにどのように適用されるかを示します。

表7-1 『高可用性ガイド』の共有記憶域に関するリソース

『高可用性ガイド』の項 エンタープライズ・デプロイメントにおける意義

共有記憶域に関する前提条件

共有記憶域向けに最適化された、ディスク形式のガイドラインとハードウェア・デバイス要件について説明します。

バイナリ(Oracleホーム)ディレクトリ用の共有記憶域の使用

複数のホストから使用可能な共有記憶域デバイスにOracleホームを格納する際のオプションについて説明しています。

エンタープライズ・デプロイメントの用途では、別々のストレージ・ボリューム上に格納した冗長Oracleホームを使用することをお薦めします。

別のボリュームがない場合は、共有ディスク上の別のパーティションを使用して、アプリケーション層のホストに冗長Oracleホームを用意してください。

ドメイン構成ファイル用の共有記憶域の使用

ドメイン内の管理サーバーと管理対象サーバーに別々のドメイン・ホームを作成する概念について説明しています。

エンタープライズ・デプロイメントでは、管理サーバーのドメイン・ホームの場所をASERVER_ADMIN変数で表します。

JMSストアおよびJTAログ用の共有記憶域の要件

このガイドの後の章で、エンタープライズ・デプロイメント用のトランザクション・ログとJMSストアの場所を設定する手順について説明しています。これらの手順は、『高可用性ガイド』に記載のガイドラインに準拠しています。


7.3 エンタープライズ・デプロイメント用の推奨ディレクトリ構造の理解

次の各ダイアグラムは、標準的なOracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメントで推奨されるディレクトリ構造を示しています。

ダイアグラムに示す各ディレクトリには、Oracle Fusion Middlewareインストーラによってディスク上にインストールされるバイナリ・ファイル、ドメイン構成プロセスを通じて生成されるドメインごとのファイルのほか、Oracle WebLogic Serverのpackコマンドとunpackコマンドによって様々なホスト・コンピュータに伝播されるドメイン構成ファイルが格納されます。

  • 図7-1は、標準的なOracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメントのインストールおよび構成が完了した時点で共有記憶域デバイスに作成されているディレクトリ構造を示しています。共有記憶域のディレクトリは、アプリケーション層のホスト・コンピュータからアクセス可能です。

  • 図7-2は、Oracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメントのインストールおよび構成が完了した時点で、標準的なアプリケーション層のホスト用のローカル記憶域デバイスに作成されているディレクトリ構造を示しています。特に、管理対象サーバーはアプリケーション層のホスト・コンピュータ用のローカル記憶域デバイスに格納されます。

  • 図7-3は、Oracle Fusion Middlewareエンタープライズ・デプロイメントのインストールおよび構成が完了した時点で、標準的なWeb層のホスト用のローカル記憶域デバイスに作成されているディレクトリ構造を示しています。ソフトウェア・バイナリ(Oracleホーム内)は、Web層のホストごとのローカル記憶域デバイスにインストールされます。

該当する場合、ダイアグラムには、このガイドのインストールおよび構成手順でディレクトリ場所を表すために使用する標準変数も記載されています。

図7-1 エンタープライズ・デプロイメントで推奨される共有記憶域ディレクトリ構造

図7-1の説明が続きます
「図7-1 エンタープライズ・デプロイメントで推奨される共有記憶域ディレクトリ構造」の説明

図7-2 エンタープライズ・デプロイメントで推奨されるアプリケーション層のホスト・コンピュータ向けローカル記憶域ディレクトリ構造

図7-2の説明が続きます
「図7-2 エンタープライズ・デプロイメントで推奨されるアプリケーション層のホスト・コンピュータ向けローカル記憶域ディレクトリ構造」の説明

図7-3 エンタープライズ・デプロイメントで推奨されるWeb層のホスト・コンピュータ向けローカル記憶域ディレクトリ構造

図7-3の説明が続きます
「図7-3 エンタープライズ・デプロイメントで推奨されるWeb層のホスト・コンピュータ向けローカル記憶域ディレクトリ構造」の説明

7.4 このガイドで使用するファイル・システムとディレクトリ変数

表7-2は、ファイル・システムのディレクトリとそれらのディレクトリの参照に使用されるディレクトリ変数を示しています。このガイド全体を通して、トポロジのインストールおよび構成に関する手順では、ここに示す変数を使用してディレクトリの場所を参照します。

この項に列挙する各ディレクトリに対してシステム変数を定義することもできます。これらの変数をご使用のUNIXシェルで定義しておけば、このドキュメントの記載どおりに変数を使用できるので、変数を実環境における実際の値と対応付ける必要がなくなります。


ワークブックに関する注意:

ストレージ・デバイスを構成して推奨ディレクトリ構造を作成したら、実際のディレクトリ・パスをエンタープライズ・デプロイメント・ワークブックに記録してください。これらのアドレスは、後で各ホスト・コンピュータでIPアドレスを有効化するときに使用します。

詳細は、第4章「エンタープライズ・デプロイメント・ワークブックの使用」を参照してください。


表7-2 アプリケーション層の主要なディレクトリ変数のサンプル値

ディレクトリ変数 説明 アプリケーション層のサンプル値

ORACLE_HOME

製品バイナリ用の読取り専用場所。アプリケーション層のホスト・コンピュータの場合は、共有ディスクに格納されます。

Oracleホームは、Oracle Fusion Middleware Infrastructureソフトウェアのインストール時に作成されます。

その後、その他のOracle Fusion Middleware製品を同じOracleホームにインストールできます。

/u01/oracle/products/fmwnnnn

たとえば、nnnnをリリース番号に置き換えます。例:

/u01/oracle/products/fmw1213/

ORACLE_COMMON_HOME

共通のユーティリティ、ライブラリおよび他の共有Oracle Fusion Middleware製品を格納する、Oracle Fusion MiddlewareのOracleホーム内のディレクトリ。

/u01/oracle/products/fmwnnnn/oracle_common

WL_HOME

Oracle WebLogic Serverソフトウェア・バイナリを格納するOracleホーム内のディレクトリ。

/u01/oracle/products/fmwnnnn/wlserver

PROD_DIR

インストールするOracle Fusion Middleware製品ごとの製品ディレクトリ。

/u01/oracle/products/fmwnnnn/soa

EM_DIR

Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlソフトウェア・バイナリの格納に使用される製品ディレクトリ。

/u01/oracle/products/fmwnnnn/em

JAVA_HOME

サポートされているJava Development Kit (JDK)のインストール先。

/u01/oracle/products/jdk_version

ASERVER_HOME

管理サーバーのドメイン・ホーム。共有ディスクにインストールされます。

/u01/oracle/config/domains/domain_name

この例では、domain_nameをWebLogic Serverドメイン名(soa_domainなど)に置き換えます。

MSERVER_HOME

管理対象サーバーのドメイン・ホーム。unpackコマンドによってアプリケーション層のホストごとのローカル・ディスクに作成されます。

/u02/oracle/config/domains/domain_name

APPLICATION_HOME

アプリケーションのホーム・ディレクトリ。アプリケーション層のすべてのホスト・コンピュータからアクセスできるように、共有ディスクにインストールされます。

/u01/oracle/config/applications
      /domain_name

DEPLOY_PLAN_HOME

デプロイメント・プランのディレクトリ。アプリケーション・デプロイメント・プラン用のデフォルトの場所として使用されます。

/u01/oracle/config/dp

OHS_ADMIN_CONFIG_DIR

管理サーバーのドメイン・ホーム・ディレクトリ(ASERVER_HOME)内にあるOracle HTTP Server構成ファイル(httpd.confmoduleconf/*.confなど)の場所。

Oracle HTTP Serverインスタンス構成を変更するときは、このディレクトリ内のWebサーバー構成ファイルのみを編集します。管理サーバーの再起動時に変更内容がWeb層の各ホストに自動的に伝播されます。

/u01/oracle/config/domains/domain_name
      /config/fmwconfig/components/OHS
      /instance_name

表7-3 Web層の主要なディレクトリ変数のサンプル値

ディレクトリ変数 説明 Web層のサンプル値

ORACLE_HOME

製品バイナリ用の読取り専用場所。Web層のホスト・コンピュータの場合は、ローカル・ディスクに格納されます。

Oracleホームは、Oracle Fusion Middleware Infrastructureソフトウェアのインストール時に作成されます。

その後、その他のOracle Fusion Middleware製品を同じOracleホームにインストールできます。

/u02/oracle/products/fmwnnnn

たとえば、nnnnをリリース番号に置き換えます。例:

/u02/oracle/products/fmw1213/

ORACLE_COMMON_HOME

共通のユーティリティ、ライブラリおよび他の共有Oracle Fusion Middleware製品を格納する、Oracle Fusion MiddlewareのOracleホーム内のディレクトリ。

/u02/oracle/products/fmwnnnn
    /oracle_common

WL_HOME

Oracle WebLogic Serverソフトウェア・バイナリを格納するOracleホーム内のディレクトリ。

/u02/oracle/products/fmwnnnn/wlserver

PROD_DIR

インストールするOracle Fusion Middleware製品ごとの製品ディレクトリ。

/u02/oracle/products/fmwnnnn/ohs

EM_DIR

Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlソフトウェア・バイナリの格納に使用される製品ディレクトリ。

/u02/oracle/products/fmwnnnn/em

MSERVER_HOME

管理対象サーバーのドメイン・ホーム。unpackコマンドによってWeb層のホストごとのローカル・ディスクに作成されます。

/u02/oracle/config/domains/domain_name

APPLICATION_HOME

アプリケーションのホーム・ディレクトリ。アプリケーション層とは異なり、ローカル・ディスクにWeb層のホストごとにインストールされます。

/u02/oracle/config/applications
    /domain_name

JAVA_HOME

サポートされているJava Development Kit (JDK)のインストール先。

/u02/oracle/products/jdk

OHS_WEBHOST_CONFIG_DIR

各Webホスト上にあるOracle HTTP Server構成ファイル(httpd.confmoduleconf/*.confなど)の場所。

OHS_ADMIN_CONFIG_DIRで加えた変更が管理サーバーの再起動後に伝播されたことを確認するには、Web層のローカル・ディスク上のこの場所を使用します。

/u02/oracle/config/domains
    /domain_name/config/fmwconfig
    /components/OHS/instances
    /instance_name

7.5 エンタープライズ・デプロイメントの最上位ディレクトリの作成とマウントについて

最上位ディレクトリを作成およびマウントするときには、次のベスト・プラクティスに注意してください。

  • アプリケーション層については、SOAHOST2にマウントされる別の共有記憶域ボリュームまたは別のパーティションにOracleホーム(ソフトウェア・バイナリの格納先)をインストールします。SOAHOST2上のバイナリへのディレクトリ・パスが、SOAHOST1上のディレクトリ・パスと同一であることを確認してください。

    例:

    /u01/oracle/products/fmw1213/
    

    詳細は、第7.2項を参照してください。

  • WEBHOST1とWEBHOST2については、ローカル記憶域にOracleホームをインストールします。

    アプリケーション層サーバー(SOAHOST1およびSOAHOST2)の場合と同様に、両方のコンピュータで同じディレクトリ・パスを使用します。

    例:

    /u02/oracle/products/fmw1213/