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Oracle® Fusion Middleware Oracle SOA Suiteの理解
12c (12.1.3)
E57553-03
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2 会社Xのビジネス課題

この章では、会社Xが直面するビジネス課題、およびOracle SOA Suiteでこれらの課題に対するビジネス・ソリューションを提供する方法について説明します。

この章の内容は次のとおりです。

2.1 会社Xのビジネス課題

会社Xは、オンライン・ビジネス・パートナとのマルチチャネルでの成長に対応するために、自社の注文処理システムを改善する必要があります。また、積極的な店舗拡大も計画されています。そのため、重複するシステムを統合して、注文から履行までのエンドツーエンドの可視性を向上させる必要があります。

注文処理システムを改善するための要件は次のとおりです。

  • 注文処理システムは、モバイル機器を含む、複数のプロトコル、データ・フォーマットおよびクライアント・タイプからアクセスできる必要があります:

    • ビジネス・トレンドは、会社Xがモバイル・アプリケーションをなるべく早く提供する必要があること、また新しい注文処理サービスがRESTful APIを介したアクセスをサポートする必要があることを示しています。

    • 会社Xでは、既存のオンラインの直営店のほか、(FTPを介したカンマ区切り値(CSV)のバッチ・ファイルとして)異なるチャネルから受注するサービスの開始を計画しています。これらの注文は、最終的には、同じ新規の注文プロビジョニング・インフラストラクチャを使用して処理および履行する必要があります。

    • 会社Xは、取引パートナとやりとりしたり、電子データ・インタフェース(EDI)サポートを提供する必要があります。

  • 大口注文では、履行するために注文を送信する前に、顧客のクレジット履歴を確認する必要があります。そうしない場合、注文は拒否されます。最初に、クレジットは内部部署で確認しますが、後でPayPalと統合する必要があります。クレジット・プロバイダの変更が、注文処理操作に支障を与えないようにする必要があります。

  • 注文処理システムは、出荷サービスのタイプ(2日、5-7日の出荷など)に基づいた優先出荷プロバイダで注文を出荷するために、包装部署と直接統合する必要があります。

  • 事前定義済収集スケジュールに従って、一括履行プロセスを実行する必要があります。

  • 包装部署に送信される履行処理および注文に基づいて、(一括またはオンデマンドのいずれかで)顧客にメッセージを送信する必要があります。

2.2 ソリューション

このガイドのこの章では、会社XがOracle SOA Suiteの機能を使用して、自社のビジネス課題に対処する方法について説明します。表2-1に概要を示します。

表2-1 ビジネス課題への対処

対処する課題 参照先

会社Xは、支払を検証して支払ステータスを返す、クレジット・カード検証コンポジットを設計します。支払が拒否されると、注文は処理されません。Oracle Service Busはコンポジットと統合され、登録およびセキュリティ上の利点を提供します。

クレジット検証システムの作成

会社Xは、新規の注文書を受け入れた後、それを認可するか拒否して、認可された注文を「注文の履行」で設計される注文履行コンポジットに送信する、SOAコンポジット・アプリケーションを設計します。Oracle Service Busにより、注文処理コンポジットが多くのプロトコルおよびデータ・フォーマットで利用可能になり、注文が検証されます。

注文処理システムの作成

会社Xは、プロキシ・サービスをファイル注文チャネルに接続する、Oracle Service Busパイプラインを設計します。プロキシは、受信された顧客注文をファイルごとに処理します。

新規注文チャネルの追加

会社Xは、注文のステータスを出荷済に設定し、顧客に注文が出荷されたことを通知して、データベースの注文ステータスを更新するBPELプロセスを設計します。このプロセスは、出荷リソースを定義するインバウンドRESTインタフェース・サービスに接続されます。

注文の梱包と出荷

会社Xは、注文が処理されるのをリスンするための注文履行コンポジットを設計し、出荷プロバイダを選択して、「注文の梱包と出荷」で設計される梱包および出荷サービスを起動します。

注文の履行

会社Xは、毎日注文される指定カテゴリの製品別合計アイテム数を識別する、問合せインベントリ・コンポジットを設計します。Oracle Enterprise Schedulerを使用して、問合せインベントリ・コンポジットのWebサービス・ジョブを定義し、指定された時刻での実行をスケジューリングしてそのジョブを送信します。

コンポジットの実行のスケジューリング

会社Xは、Managed File Transfer埋込みFTPサーバーを使用してファイルを受信したり、そのファイルをファイル・システムに書き込む、Oracle Managed File Transferフローを設計します。Oracle Managed File Transferは、コンポジットのManaged File Transferサービスを起動し、コンテンツをインラインで渡すか、参照によって渡すかをファイル・サイズに基づいて動的に決定します。

ファイル転送の管理

会社Xは、Oracle B2Bコンソールを使用して、リモート取引パートナからのEDI XML注文を受け入れるドキュメント・フローを構築します。

B2Bの注文の受入れ

会社Xは、関連付けられた電子メール・アドレスで個別認識されている顧客による発注(イベント)のリアルタイムな、時間ベースの分析を提供する、Oracle Event Processingアプリケーションを設計します。注文(イベント)がOracle Event Processingサーバーに渡されると、そのイベントが動的にアクセスされて、潜在的な不正行動を調べるために24時間で$1000を超える注文合計額に達するイベント・パターンが観察されます。

不正検出の追加

会社Xは、BPELプロセスの分析測定と、BPELプロセスのアクティビティにおけるビジネス・インジケータを設計します。Oracle BAM Composerを使用して、これらの分析のダッシュボードを作成し、顧客注文リクエストへのビジネス・インサイトを得ます。

Oracle Business Activity Monitoringを使用したビジネス・インサイトの取得