Oracle Clusterwareでは、ADRデータの他にも問題の診断に関連する他のデータを収集または使用します。Oracle Clusterware 12cリリース1 (12.1.0.2)以降、このデータはADRによって使用される同じベース・パス内の別のディレクトリ構造(ORACLE_BASE
/crsdata/
host_name
という形式)に存在します。この例で、ORACLE_BASE
はGrid Infrastructureのインストール時に指定したOracleベース・パス、host_name
はホストの名前です。
任意のホストで、このディレクトリにはいくつかのサブディレクトリが含まれます。問題の発生時に重要になる2つのサブディレクトリの名前は、core
とoutput
です。core
ディレクトリは、コア・ファイルのために使用する通常のADRの場所が使用できない場合(ADRサービスがプログラムで初期化される前など)に、Oracle Clusterwareデーモン・コア・ファイルが書き込まれるところです。output
ディレクトリは、Oracle ClusterwareデーモンがC標準出力と標準エラー・ファイルをリダイレクトする場所です。通常、これらのファイルの名前は、実行可能ファイル名にOUTという語と.trc
ファイル拡張子(トレース・ファイルと同様)が付いて構成されます。たとえば、Cluster Time Synchronization Serviceデーモンからリダイレクトされる標準出力の名前はoctssdOUT.trc
です。一般的に、デーモンによってこれらのファイルに書き込まれる内容はごくわずかですが、特定の障害シナリオでは重要なデータが書き込まれる場合があります。