Oracle Enterprise Managerを使用して、Oracle Clusterware環境を監視できます。クライアント・ブラウザを使用してOracle Enterprise Managerにログインすると、クラスタ・データベースの「ホーム」ページが表示され、両方のOracle Clusterware環境のステータスを監視できます。監視には次のタスクが含まれます。
VIPの再配置が行われた場合の通知
クラスタ検証ユーティリティ(cluvfy
)により取得した情報を使用する、クラスタの各ノードのOracle Clusterwareのステータス
ノード・アプリケーション(nodeapps)が起動または停止した場合の通知
Oracle Cluster Registryに対するOracle Clusterwareのアラート・ログの問題、投票ファイルの問題(発生した場合)およびノードの排除の通知
「クラスタ・データベース: ホーム」ページは、単一インスタンスの「データベース: ホーム」ページに似ています。ただし、クラスタ・データベースの「ホーム」ページには、Oracle Enterprise Managerにより、システムの状態と可用性が表示されます。これには、アラート・メッセージおよびジョブ・アクティビティのサマリーと、すべてのデータベースおよびOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)インスタンスへのリンクも含まれます。たとえば、すべての優先インスタンスでサービスが実行されていない場合、またはサービスの応答時間のしきい値条件が満たされていない場合などに、クラスタでのサービスに関する問題を追跡できます。
Oracle Enterprise Managerの「インターコネクト」ページを使用して、Oracle Clusterware環境を監視できます。「インターコネクト」ページには、次に示すように、クラスタのパブリックおよびプライベートのインタフェース、プライベート・インターコネクトの全体的なスループット、各ネットワーク・インタフェースの個々のスループット、エラー率(発生した場合)およびインターコネクトのデータベース・インスタンスによる負荷が表示されます。
プライベート・インターコネクトでの全体的なスループット
構成ミスのためデータベース・インスタンスがパブリック・インタフェースを使用している場合の通知
インターコネクトのスループットおよびエラー(発生した場合)
インスタンスごとのインターコネクトのスループット
これらの情報はすべて、履歴表示を含む収集としても使用することができます。これは、クラスタの待機イベントに関連する問題を診断する場合など、クラスタ・キャッシュ一貫性と併用すると役立ちます。クラスタ・データベースの「ホーム」ページで、「インターコネクト」タブをクリックすると、「インターコネクト」ページにアクセスできます。
また、Oracle Enterprise Managerのクラスタ・データベースの「パフォーマンス」ページには、データベースのパフォーマンス統計のサマリーが表示されます。統計は、グラフにあるクラスタ・データベース内のすべてのインスタンス間でロールアップされます。グラフの横のリンクを使用すると、より詳細な情報を取得したり、次のタスクを実行することができます。
パフォーマンスの問題の原因の特定。
リソースを追加または再分散する必要があるかどうかの判別。
SQL計画およびスキーマのチューニングによる最適化。
パフォーマンスの問題の解決
クラスタ・データベースの「パフォーマンス」ページには、次のグラフが含まれます。
「クラスタ・ホストのロード平均」グラフ: クラスタ・データベースの「パフォーマンス」ページの「クラスタ・ホストのロード平均」グラフには、データベース外部で発生する可能性がある問題が表示されます。このグラフには、クラスタ内で使用可能なノードについて、過去1時間のロードの最大値、平均値および最小値が表示されます。
「グローバル・キャッシュ・ブロックのアクセス待機時間」グラフ: 各クラスタ・データベース・インスタンスのシステム・グローバル領域(SGA)には、独自のバッファ・キャッシュが存在します。キャッシュ・フュージョンの使用によって、Oracle RAC環境で各インスタンスのバッファ・キャッシュが論理的に結合され、論理的に結合された単一のキャッシュにデータが存在する場合と同様に、データベース・インスタンスでデータを処理できます。
「平均アクティブ・セッション」グラフ: クラスタ・データベースの「パフォーマンス」ページの「平均アクティブ・セッション」グラフには、データベース内で発生する可能性がある問題が表示されます。「カテゴリ」は待機クラスとも呼ばれ、データベース内でCPUやディスクI/Oなどのリソースを使用している部分が表示されます。CPU時間を待機時間と比較すると、レスポンス時間のうちどれくらいの時間が、他のプロセスに保持されている可能性のあるリソースの待機ではなく有効な作業に消費されているかを確認できます。
「データベース・スループット」グラフ: 「データベース・スループット」グラフは、「平均アクティブ・セッション」グラフに表示される任意のリソース競合を要約する他、ユーザーやアプリケーションのためにデータベースが実行中の作業の量を示します。「1秒当たり」ビューは、1秒当たりのログオン数に対するトランザクションの数、REDOサイズに対する物理読取りの量を示します。「1トランザクション当たり」ビューは、トランザクション当たりのREDOサイズに対する物理読取りの量を示します。「ログオン」は、データベースにログオンしているユーザー数を示します。
さらに、クラスタ・データベースの「パフォーマンス」ページにある「トップ・アクティビティ」ドロップダウン・メニューでは、待機イベント、サービスおよびインスタンス単位でアクティビティを表示できます。また、グラフのスライダを使用して以前の時点に移動することによって、SQL/セッションの詳細を表示できます。
関連項目:
『Oracle Database 2日でReal Application Clustersガイド』