プライマリ・コンテンツに移動
Oracle® Spatial and Graph GeoRaster開発者ガイド
12cリリース1 (12.1)
B72468-06
目次へ移動
目次
索引へ移動
索引

前
次

9 SDO_GEOR_RAパッケージのリファレンス

SDO_GEOR_RAパッケージには、GeoRasterに関連するラスター代数および分析操作のためのサブプログラム(ファンクションおよびプロシージャ)が含まれます。この章では、そのサブプログラムのリファレンス情報を、例を使用して説明します。

9.1 SDO_GEOR_RA.classify

構文

SDO_GEOR_RA.classify(
     inGeoRaster   IN SDO_GEORASTER, 
     expresssion   IN VARCHAR2, 
     rangeArray    IN SDO_NUMBER_ARRAY, 
     valueArray    IN SDO_NUMBER_ARRAY, 
     storageParam  IN VARCHAR2, 
     outGeoRaster  IN OUT SDO_GEORASTER, 
     nodata        IN VARCHAR2 DEFAULT 'FALSE', 
     nodataValue   IN NUMBER DEFAULT 0, 
     parallelParam IN VARCHAR2 DEFAULT NULL);

または

SDO_GEOR_RA.classify(
     georArray     IN SDO_GEORASTER_ARRAY, 
     expresssion   IN VARCHAR2, 
     rangeArray    IN SDO_NUMBER_ARRAY, 
     valueArray    IN SDO_NUMBER_ARRAY, 
     storageParam  IN VARCHAR2, 
     outGeoRaster  IN OUT SDO_GEORASTER, 
     nodata        IN VARCHAR2 DEFAULT 'FALSE', 
     nodataValue   IN NUMBER DEFAULT 0, 
     parallelParam IN VARCHAR2 DEFAULT NULL);

または

SDO_GEOR_RA.classify(
     inGeoRasters  IN SYS_REFCURSOR, 
     expresssion   IN VARCHAR2, 
     rangeArray    IN SDO_NUMBER_ARRAY, 
     valueArray    IN SDO_NUMBER_ARRAY, 
     storageParam  IN VARCHAR2, 
     outGeoRaster  IN OUT SDO_GEORASTER, 
     nodata        IN VARCHAR2 DEFAULT 'FALSE', 
     nodataValue   IN NUMBER DEFAULT 0, 
     parallelParam IN VARCHAR2 DEFAULT NULL);

説明

指定した分類操作を1つ以上の入力GeoRasterオブジェクトに対して適用した後に、新しいGeoRasterオブジェクトを生成します。

パラメータ

inGeoRaster

入力GeoRasterオブジェクトを指定します。

georArray

GeoRasterオブジェクトの配列を指定します。データ型はSDO_GEOR_ARRAYで、VARRAY(10485760) OF SDO_GEORASTERとして定義されます。配列のGeoRasterオブジェクトの最大数は8ですが、すべてのGeoRasterオブジェクトのレイヤーの合計数に対する制限はありません。

inGeoRasters

入力GeoRasterオブジェクトのカーソル(SYS_REFCURSOR型)を指定します。カーソルのGeoRasterオブジェクトの最大数は8ですが、すべてのGeoRasterオブジェクトのレイヤーの合計数に対する制限はありません。

expression

セル値を分類するために使用する算術式を指定します。このパラメータの指定方法の詳細は、「使用上の注意」を参照してください。

rangeArray

セル値を分類するための範囲を定義する数値配列を指定します。配列には、1つ以上の要素が含まれている必要があります。

valueArray

各範囲のターゲット・セル値を定義する数値配列を指定します。要素の数は、rangeArrayの要素より1つ多くする必要があります(その長さがrangeArray+1である必要があります)。

storageParam

記憶域パラメータを示す文字列を指定します(「記憶域パラメータ」を参照)。

outGeoRaster

出力GeoRasterオブジェクトを指定します。

nodata

文字列TRUEでは、入力GeoRasterオブジェクトの任意のNODATAセルで、出力GeoRasterオブジェクトの対応するセルがnodataValueパラメータで指定された値に設定されます。文字列FALSE (デフォルト)では、NODATA値を含むセルが通常のデータとみなされます。NODATA値およびその値の範囲については、「NODATA値および値の範囲」を参照してください。

nodataValue

nodataパラメータ値が文字列TRUEである場合にNODATAセルを設定するために使用する値を指定します。

parallelParam

操作の並列度を指定します。指定する場合、parallel=nという形式である必要があります(nは1より大きい)。データベース・オプティマイザでは、このパラメータによって指定された並列度を使用します。指定しない場合、デフォルトでパラレル処理は行われません。(詳細は、「GeoRasterでのパラレル処理」を参照してください。)

parallelParamを指定すると、このプロシージャの結果をロールバックできません(「使用上の注意」を参照)。

使用上の注意

このプロシージャでは、1つ以上の入力GeoRasterオブジェクトおよびexpressionパラメータ(算術式の文字列)に基づいて、1レイヤーのGeoRasterオブジェクトが生成されます。出力GeoRasterオブジェクトのセルごとに、入力GeoRasterオブジェクトの対応するセル値に対してexpressionが評価され、次のアルゴリズムを使用して出力GeoRasterオブジェクトのセル値が計算されます。

if  (value of expression < rangeArray[0])
    cellValue=valueArray[0]
else if (value of expression >= rangeArray[n-1])
    cellValue=valueArray[n]
else if rangeArray[m-1] <= value of expression < rangeArray[m]
     cellValue=valueArray[m]

expressionの計算:

  • rangeArrayの長さはn

  • valueArrayの長さはn+1

  • 0 < m < n-1

詳細は、「ラスター代数言語」を参照してください。

parallelParamを指定すると、プロシージャのいくつかの実行単位は、自律型トランザクションとして実行され、プロシージャの実行中に一部の変更はコミットされるため、それらの変更はロールバックできません。このパラメータを指定しない場合、すべての変更をロールバックできます。

次の例では、1番目のレイヤーのセル値に基づいてセル値を分類します。

DECLARE 
  geor       SDO_GEORASTER;
  geor1      SDO_GEORASTER;
  rangeArray SDO_NUMBER_ARRAY;
  valueArray SDO_NUMBER_ARRAY;
BEGIN
  rangeArray:=sdo_number_array(70,80,90,100,110,120,130,140,150,160,170,180);
  valueArray:=sdo_number_array(70,80,90,100,110,120,130,140,150,160,170,180,190);
  select georaster into geor from georaster_table where georid = 1;
  insert into georaster_table values (5, sdo_geor.init('rdt_1', 5)) returning georaster into geor1;
  sdo_geor_ra.classify(geor,'{0}',rangeArray,valueArray,null,geor1);
  update georaster_table set georaster = geor1 where georid = 5;
  commit;
END;
/

9.2 SDO_GEOR_RA.findCells

構文

SDO_GEOR_AGGR.findCells(
     inGeoRaster   IN SDO_GEORASTER, 
     condition     IN VARCHAR2, 
     storageParam  IN VARCHAR2 
     outGeoRaster  OUT SDO_GEORASTER, 
     bgValues      IN SDO_NUMBER_ARRAY DEFAULT NULL, 
     nodata        IN VARCHAR2 DEFAULT 'FALSE', 
     parallelParam IN VARCHAR2 DEFAULT NULL);

説明

入力GeoRasterオブジェクトに基づいて新しいGeoRasterオブジェクトを生成しますが、conditionパラメータの指定を満たしていないすべてのセルをマスクします。

パラメータ

inGeoRaster

入力GeoRasterオブジェクトを指定します。

condition

セルを除外するために使用する式文字列を指定します。(詳細は、「使用上の注意」を参照してください。)

storageParam

記憶域パラメータを示す文字列を指定します(「記憶域パラメータ」を参照)。

outGeoRaster

出力GeoRasterオブジェクトを指定します。

bgValues

入力GeoRasterオブジェクトの空のラスター・ブロックでセルの値を表す背景値を指定します。SDO_NUMBER_ARRAYオブジェクト内の要素の数は、1つ(すべてのバンドに同じ入力値を使用)またはバンド次元のサイズ(各バンドにそれぞれ異なる入力値を使用)のいずれかであることが必要です。たとえば、SDO_NUMBER_ARRAY(1,5,10)では、1番目のバンドに1、2番目のバンドに5、3番目のバンドに10が入力されます。デフォルトのbgValuesは0 (ゼロ)です。

入力値は、スパース・データへの入力用としてターゲットのセル深度の背景値で指定された有効なセル値であることが必要です。

nodata

文字列TRUEでは、GeoRasterオブジェクトのNODATAセルに元の値を維持するように指定します。文字列FALSE (デフォルト)では、NODATA値を含むセルが通常のデータとみなされます。NODATA値およびその値の範囲については、「NODATA値および値の範囲」を参照してください。

parallelParam

操作の並列度を指定します。指定する場合、parallel=nという形式である必要があります(nは1より大きい)。データベース・オプティマイザでは、このパラメータによって指定された並列度を使用します。指定しない場合、デフォルトでパラレル処理は行われません。(詳細は、「GeoRasterでのパラレル処理」を参照してください。)

parallelParamを指定すると、このプロシージャの結果をロールバックできません(「使用上の注意」を参照)。

使用上の注意

このプロシージャでは、入力GeoRasterオブジェクトおよびexpressionパラメータ(ブール式文字列のbooleanExpr)に基づいて、新しいGeoRasterオブジェクトが生成されます。出力GeoRasterオブジェクトのセルごとに、入力GeoRasterオブジェクトの対応するセル値に対して条件が評価されます。セルのconditionがTRUEの場合、出力GeoRasterオブジェクトでは元のセル値が維持されますが、それ以外の場合、出力GeoRasterオブジェクトのセルに対してbgValuesが入力されます。

詳細は、「ラスター代数言語」を参照してください。

parallelParamを指定すると、プロシージャのいくつかの実行単位は、自律型トランザクションとして実行され、プロシージャの実行中に一部の変更はコミットされるため、それらの変更はロールバックできません。このパラメータを指定しない場合、すべての変更をロールバックできます。

次の例では、2番目のレイヤーのセル値が200以下の場合に、セル値をデフォルトの背景値0に変更します。

DECLARE
  geor  SDO_GEORASTER;
  geor1 SDO_GEORASTER;
BEGIN
  select georaster into geor from georaster_table where georid = 1;
  insert into georaster_table values (5, sdo_geor.init('rdt_1', 5)) returning georaster into geor1;
  sdo_geor_ra.findcells(geor, '{1}>200',null,geor1);
  update georaster_table set georaster = geor1 where georid = 5;
  commit;
END;
/

9.3 SDO_GEOR_RA.isOverlap

構文

SDO_GEOR.isOverlap(
     georaster1 IN SDO_GEORASTER, 
     georaster2 IN SDO_GEORASTER, 
     tolerance     IN NUMBER DEFAULT 0.5 
     ) RETURN VARCHAR2;

または

SDO_GEOR_RA.isOverlap(
     georArray IN SDO_GEORASTER_ARRAY, 
     tolerance IN NUMBER DEFAULT 0.5 
     ) RETURN VARCHAR2;

または

SDO_GEOR_RA.isOverlap(
     geor_cur  IN SYS_REFCURSOR, 
     tolerance IN NUMBER DEFAULT 0.5 
     ) RETURN VARCHAR2;

説明

文字列TRUE (2つ以上のGeoRasterオブジェクトが重複している場合)またはFALSE (2つ以上のGeoRasterオブジェクトが重複していない場合)を戻します。(地理参照の有無にかかわらず、2つのGeoRasterオブジェクトの重複を決定するために使用されるロジックについては、「使用上の注意」を参照してください。)

パラメータ

georaster1

GeoRasterオブジェクトを指定します。

georaster2

GeoRasterオブジェクトを指定します。

georArray

GeoRasterオブジェクトの配列を指定します。データ型はSDO_GEOR_ARRAYで、VARRAY(10485760) OF SDO_GEORASTERとして定義されます。

geor_cur

入力GeoRasterオブジェクトのカーソル(SYS_REFCURSOR型)を指定します。

tolerance

セル空間の2つのセルがモデル空間で重複しているかどうかを決定するために使用される許容差の値を指定します。値は、0から1の間である必要があり、単位はセルです。たとえば、0.5 (デフォルト)では、セルの半分、つまり、2つのセル間の距離が0.5セル以下の場合にそれらのセルが重複していることになります。

使用上の注意

重複で比較されるGeoRasterオブジェクトは、すべて地理参照されているか、すべて地理参照されていない必要があります。

2つのGeoRasterオブジェクトが重複しているかどうかを決定するため、次のロジックが適用されます。

  1. 2つのGeoRasterオブジェクトの行または列の次元サイズが異なる場合、'FALSE'を戻します。それ以外の場合、次の手順に進みます。

  2. 両方のGeoRasterオブジェクトが地理参照されているかどうかをチェックします。

    1. 一方が地理参照され、他方が地理参照されていない場合、'FALSE'を戻します。

    2. 両方とも地理参照されておらず、両方のGeoRasterオブジェクトのultCoordinateが同じである場合、'TRUE'を戻しますが、それ以外の場合、'FALSE'を戻します。

    3. 両方とも地理参照されている場合、次の手順に進みます。

  3. pqrおよびs多項式のpTypenVarsorderおよびnCoefficientsの値(「関数フィッティング地理参照モデル」を参照)をチェックします。いずれかが異なる場合、'FALSE'を戻しますが、それ以外の場合、次の手順に進みます。

  4. セル空間からモデル空間に対して左上、右上、左下および右下の4つの点を計算します。2つのGeoRasterオブジェクトの対応する点の距離が許容差内である場合(セル空間からモデル空間への変換)、'TRUE'を戻しますが、それ以外の場合、'FALSE'を戻します。

GeoRasterのラスター代数ファンクションでは、異なるGeoRasterオブジェクトのラスター・レイヤーが同じサイズで、相互に完全に重複している必要があります。2つ以上のGeoRasterオブジェクトにラスター代数操作を適用するか、他の操作を実行する前に、SDO_GEOR_RA.isOverlapファンクションを使用して、GeoRasterオブジェクトが同じサイズであり、同じ土地を対象範囲としているかどうかを判別できます。

次の例では、2つのGeoRasterオブジェクトが重複しているかどうかをチェックします。(ここでは、2つの異なる構文のファンクションを使用しています。)

DECLARE 
  geor       MDSYS.SDO_GEORASTER;
  geor1      MDSYS.SDO_GEORASTER;
BEGIN
 
  SELECT georaster INTO geor FROM georaster_table WHERE georid = 1;
  SELECT georaster INTO geor1 FROM georaster_table WHERE georid = 30;
  dbms_output.put_line(sdo_geor_ra.isOverlap(geor,geor1,0.5));
END;
/
 
DECLARE 
  mycursor  sys_refcursor;
BEGIN
  OPEN mycursor FOR
    SELECT georaster FROM georaster_table WHERE georid = 1 or georid=30;
  dbms_output.put_line(sdo_geor_ra.isOverlap(mycursor,0.5));
END;
/

9.4 SDO_GEOR_RA.rasterMathOp

構文

SDO_GEOR_RA.rasterMathOp(
     inGeoRaster   IN SDO_GEORASTER, 
     operation     IN SDO_STRING2_ARRAY, 
     storageParam  IN VARCHAR2, 
     outGeoRaster  IN OUT SDO_GEORASTER, 
     nodata        IN VARCHAR2 DEFAULT 'FALSE', 
     nodataValue   IN NUMBER DEFAULT 0, 
     parallelParam IN VARCHAR2 DEFAULT NULL);

または

SDO_GEOR_RA.rasterMathOp(
     georArray     IN SDO_GEORASTER_ARRAY, 
     operation     IN SDO_STRING2_ARRAY, 
     storageParam  IN VARCHAR2, 
     outGeoRaster  IN OUT SDO_GEORASTER, 
     nodata        IN VARCHAR2 DEFAULT 'FALSE', 
     nodataValue   IN NUMBER DEFAULT 0, 
     parallelParam IN VARCHAR2 DEFAULT NULL);

または

SDO_GEOR_RA.rasterMathOp(
     inGeoRasters  IN SYS_REFCURSOR, 
     operation     IN SDO_STRING2_ARRAY, 
     storageParam  IN VARCHAR2, 
     outGeoRaster  IN OUT SDO_GEORASTER, 
     nodata        IN VARCHAR2 DEFAULT 'FALSE', 
     nodataValue   IN NUMBER DEFAULT 0, 
     parallelParam IN VARCHAR2 DEFAULT NULL);

または

SDO_GEOR_RA.rasterMathOp(
     georaster0    IN SDO_GEORASTER, 
     georaster1    IN SDO_GEORASTER, 
     constant      IN NUMBER, 
     operator      IN PLS_INTEGER, 
     storageParam  IN VARCHAR2, 
     outGeoRaster  IN OUT SDO_GEORASTER, 
     bgValues      IN SDO_NUMBER_ARRAY DEFAULT NULL, 
     nodata        IN VARCHAR2 DEFAULT 'FALSE', 
     nodataValue   IN NUMBER DEFAULT 0, 
     parallelParam IN VARCHAR2 DEFAULT NULL);

説明

最初の3つの構文では、operationパラメータの指定に基づいて、1つ以上の入力GeoRasterオブジェクトのレイヤーから新しいGeoRasterオブジェクトを生成します。最後の構文では、1つまたは2つの入力GeoRasterオブジェクトの各レイヤーの対応するすべてのセルに対して数学的操作を適用します。

パラメータ

inGeoRaster

入力GeoRasterオブジェクトを指定します。

georArray

GeoRasterオブジェクトの配列を指定します。データ型はSDO_GEOR_ARRAYで、VARRAY(10485760) OF SDO_GEORASTERとして定義されます。配列のGeoRasterオブジェクトの最大数は8ですが、すべてのGeoRasterオブジェクトのレイヤーの合計数に対する制限はありません。

inGeoRasters

入力GeoRasterオブジェクトのカーソル(SYS_REFCURSOR型)を指定します。カーソルのGeoRasterオブジェクトの最大数は8ですが、すべてのGeoRasterオブジェクトのレイヤーの合計数に対する制限はありません。

georaster0

左側のオペランドを指定します。

georaster1

右側のオペランドを指定します。

operation

出力GeoRasterオブジェクトのラスター・セル値を計算するために使用されるarithmeticExpr式文字列の配列を指定します。配列の各要素は、出力GeoRasterオブジェクトのレイヤーに対応します。データ型はSDO_STRING2_ARRAYで、VARRAY(2147483647) OF VARCHAR2(4096)として定義されます。

arithmeticExpr式の構文については、「ラスター代数言語」を参照してください。

constant

addConstdivConstantなどの一部の演算子(operatorパラメータを参照)の定数値を指定します。

operator

SDO_GEOR_RAパッケージに定義されている次の数学演算子のいずれかを指定します。

OPERATOR_ABSOLUTE      
OPERATOR_ADD               
OPERATOR_ADDCONST  
OPERATOR_DIVIDE           
OPERATOR_DIVIDECONST
OPERATOR_EXP
OPERATOR_INVERT            
OPERATOR_LOG             
OPERATOR_MULTIPLY         
OPERATOR_MULTIPLYCONST 
OPERATOR_SUBTRACT   
OPERATOR_SUBTRACTCONST  

これらの演算子の定義については、「使用上の注意」を参照してください。

storageParam

記憶域パラメータを示す文字列を指定します(「記憶域パラメータ」を参照)。

outGeoRaster

出力GeoRasterオブジェクトを指定します。

bgValues

入力GeoRasterオブジェクトの空のラスター・ブロックでセルの値を表す背景値を指定します。SDO_NUMBER_ARRAYオブジェクト内の要素の数は、1つ(すべてのバンドに同じ入力値を使用)またはバンド次元のサイズ(各バンドにそれぞれ異なる入力値を使用)のいずれかであることが必要です。たとえば、SDO_NUMBER_ARRAY(1,5,10)では、1番目のバンドに1、2番目のバンドに5、3番目のバンドに10が入力されます。デフォルトのbgValuesは0 (ゼロ)です。

入力値は、スパース・データへの入力用としてターゲットのセル深度の背景値で指定された有効なセル値であることが必要です。

nodata

文字列TRUEでは、入力GeoRasterオブジェクトの任意のNODATAセルで、出力GeoRasterオブジェクトの対応するセルがnodataValueパラメータで指定された値に設定されます。文字列FALSE (デフォルト)では、NODATA値を含むセルが通常のデータとみなされます。NODATA値およびその値の範囲については、「NODATA値および値の範囲」を参照してください。

nodataValue

nodataパラメータ値が文字列TRUEである場合にNODATAセルを設定するために使用する値を指定します。

parallelParam

操作の並列度を指定します。指定する場合、parallel=nという形式である必要があります(nは1より大きい)。データベース・オプティマイザでは、このパラメータによって指定された並列度を使用します。指定しない場合、デフォルトでパラレル処理は行われません。(詳細は、「GeoRasterでのパラレル処理」を参照してください。)

parallelParamを指定すると、このプロシージャの結果をロールバックできません(「使用上の注意」を参照)。

使用上の注意

最初の3つの構文を使用して、operationパラメータに基づいて、1つ以上の入力GeoRasterオブジェクトのレイヤーから新しいGeoRasterオブジェクトを生成します。たとえば、次の例では、3つのレイヤーを持つ新しいGeoRasterオブジェクトを生成します(各レイヤーの値は、入力GeoRasterオブジェクトのセル値から10を引いた値になります)。

sdo_geor_ra.rasterMathOp(geor,SDO_STRING2_ARRAY('{0,0}-10','{0,1}-10','{0,2}-10'),null,geor1);

4番目の構文では、入力GeoRasterオブジェクトの各レイヤーの対応するすべてのセルに対して数学的操作を適用し、最初の入力GeoRasterオブジェクト(geoRaster0)と同じ次元サイズで新しいGeoRasterオブジェクトを生成します。2つの入力GeoRasterオブジェクトの行、列およびバンドの次元サイズは、同じである必要があります。

4番目の構文では、すべてのピラミッドが結果のGeoRasterオブジェクトで削除されますが、最初の入力GeoRasterオブジェクトのマスクは結果のGeoRasterオブジェクトで維持されます。

operatorパラメータでは、演算子は次の定義を持ちます。

OPERATOR_ABSOLUTE  : 
 if (src[x][y][b] < 0) {
     dst[x][y][b] = -src[x][y][b];
 } else {
     dst[x][y][b] =  src[x][y][b];
 }

OPERATOR_ADD               
   dst[x][y][b]=src1[x][y][b]+src2[x][y][b]
OPERATOR_ADDCONST  
   dst[x][y][b]=src[x][y][b] +constant   --constant is the third parameter 
 
OPERATOR_DIVIDE           
   dst[x][y][b]=src1[x][y][b]/src2[x][y][b]
 
OPERATOR_DIVIDECONST
   dst[x][y][b]=src[x][y][b]/constant   --constant is the third parameter 
 
OPERATOR_EXP
   dst[x][y][b]=exp(src[x][y][b])
 
OPERATOR_INVERT        :
   Inverts the cell values: dst[x][y][b]=-src[x][y][b] 

OPERATOR_LOG           :  
   dst[x][y][b]=log(src[x][y][b])
 
OPERATOR_MULTIPLY         
   dst[x][y][b]=src1[x][y][b]*src2[x][y][b]
 
OPERATOR_MULTIPLYCONST 
   dst[x][y][b]=src[x][y][b]*constant   --constant is the third parameter 
 
OPERATOR_SUBTRACT   
   dst[x][y][b]=src1[x][y][b]-src2[x][y][b]
 
OPERATOR_SUBTRACTCONST
   dst[x][y][b]=src[x][y][b]-constant   --constant is the third parameter

ラスター代数言語の詳細は、「ラスター代数言語」を参照してください。

parallelParamを指定すると、プロシージャのいくつかの実行単位は、自律型トランザクションとして実行され、プロシージャの実行中に一部の変更はコミットされるため、それらの変更はロールバックできません。このパラメータを指定しない場合、すべての変更をロールバックできます。

次の例では、入力GeoRasterオブジェクトのすべてのセル値に定数10を追加します。

DECLARE 
  geor       SDO_GEORASTER;
  geor1      SDO_GEORASTER;
BEGIN
 
  select georaster into geor from georaster_table where georid = 1;
  insert into georaster_table values (5, sdo_geor.init('rdt_1', 5)) returning georaster into geor1;
  sdo_geor_ra.rasterMathOp(geor,null,10,sdo_geor_ra.OPERATOR_ADDCONST,null,geor1);
  update georaster_table set georaster = geor1 where georid = 5;
  commit;
END;
/

次の例では、入力GeoRasterオブジェクトの3つのレイヤーから新しい3レイヤーのGeoRasterオブジェクトを生成します(新しいGeoRasterオブジェクトの各セル値は、対応する古いセル値を2で割った値になります)。

DECLARE 
  geor       SDO_GEORASTER;
  geor1      SDO_GEORASTER;
  geo_array  SDO_GEORASTER_ARRAY;
BEGIN
  select georaster into geor from georaster_table where georid = 2;
  insert into georaster_table values (20, sdo_geor.init('rdt_1', 20)) returning georaster into geor1;
  geo_array:=SDO_GEORASTER_ARRAY(geor);
  sdo_geor_ra.rasterMathOp(geo_array,SDO_STRING2_ARRAY('{0,0}/2','{0,1}/2','{0,2}/2'),null,geor1);
  update georaster_table set georaster = geor1 where georid = 20;
  commit;
END;
/

9.5 SDO_GEOR_RA.rasterUpdate

構文

SDO_GEOR_RA.rasterUpdate(
     geoRaster     IN OUT SDO_GEORASTER, 
     pyramidLevel  IN NUMBER, 
     conditions    IN SDO_STRING2_ARRAY, 
     vals          IN SDO_STRING2_ARRAYSET, 
     bgValues      IN SDO_NUMBER_ARRAY DEFAULT NULL, 
     nodata        IN VARCHAR2 DEFAULT 'FALSE', 
     parallelParam IN VARCHAR2 DEFAULT NULL);

説明

valsの指定から計算された値を使用して、conditionsの指定がTRUEのすべてのセルを更新します。

パラメータ

geoRaster

入力および出力で使用されるGeoRasterオブジェクトを指定します(更新は指定した条件に基づきます)。

pyramidLevel

更新するピラミッド・レベルを指定します。このパラメータがNULLの場合、すべてのピラミッド・レベルが更新されます。

conditions

セルを選択するために使用するbooleanExpr式文字列の配列を指定します。(詳細は、「使用上の注意」を参照してください。)データ型はSDO_STRING2_ARRAYで、VARRAY(2147483647) OF VARCHAR2(4096)として定義されます。

vals

各条件に対応する外部配列と各レイヤーに対応する内部配列を持つarithmeticExpr式の1つ以上の配列を指定します。データ型はSDO_STRING2_ARRAYSETで、VARRAY(2147483647) OF SDO_STRING2_ARRAYとして定義されます。

bgValues

入力GeoRasterオブジェクトの空のラスター・ブロックでセルの値を表す背景値を指定します。SDO_NUMBER_ARRAYオブジェクト内の要素の数は、1つ(すべてのバンドに同じ入力値を使用)またはバンド次元のサイズ(各バンドにそれぞれ異なる入力値を使用)のいずれかであることが必要です。たとえば、SDO_NUMBER_ARRAY(1,5,10)では、1番目のバンドに1、2番目のバンドに5、3番目のバンドに10が入力されます。デフォルトのbgValuesは0 (ゼロ)です。

入力値は、スパース・データへの入力用としてターゲットのセル深度の背景値で指定された有効なセル値であることが必要です。

nodata

文字列TRUEでは、GeoRasterオブジェクトのNODATAセルを更新しないように指定します。文字列FALSE (デフォルト)では、NODATA値を含むセルが通常のセルとみなされるため、更新対象になります。NODATA値およびその値の範囲については、「NODATA値および値の範囲」を参照してください。

parallelParam

操作の並列度を指定します。指定する場合、parallel=nという形式である必要があります(nは1より大きい)。データベース・オプティマイザでは、このパラメータによって指定された並列度を使用します。指定しない場合、デフォルトでパラレル処理は行われません。(詳細は、「GeoRasterでのパラレル処理」を参照してください。)

parallelParamを指定すると、このプロシージャの結果をロールバックできません(「使用上の注意」を参照)。

使用上の注意

このプロシージャは、入力されたGeoRasterオブジェクトのデータを上書きするため、元のGeoRasterオブジェクトをコピーし、そのコピーしたオブジェクトに対してこのプロシージャを使用してください。このプロシージャの結果を確認してから、必要に応じて元のGeoRasterオブジェクトを廃棄します。

このプロシージャでは、conditionsパラメータに指定されたbooleanExpr文字列に基づいて、指定されたGeoRasterオブジェクトからセルを選択し、valsパラメータに指定されたarithmeticExpr式文字列を計算して対応するセル値を更新します。たとえば、次の場合を検討します。

conditions = SDO_STRING2_ARRAY('{0}=48','{0}=108')
vals = SDO_STRING2_ARRAYSET(SDO_STRING2_ARRAY('123','54','89'),SDO_STRING2_ARRAY('98','56','123'))

この場合、次のようになります。

  • 1番目のレイヤーの値が48に等しいすべてのセルで、その1番目、2番目、3番目のレイヤーの値がそれぞれ123、54、89に設定されます。

  • 1番目のレイヤーの値が108に等しいすべてのセルで、その1番目、2番目、3番目のレイヤーの値がそれぞれ98、56、123に設定されます。

詳細は、「ラスター代数言語」を参照してください。

parallelParamを指定すると、プロシージャのいくつかの実行単位は、自律型トランザクションとして実行され、プロシージャの実行中に一部の変更はコミットされるため、それらの変更はロールバックできません。このパラメータを指定しない場合、すべての変更をロールバックできます。

次の例では、valsの指定から計算された値を使用して、conditionsの指定がTRUEのすべてのセルを更新します。

DECLARE 
  geor SDO_GEORASTER;
BEGIN
  select georaster into geor from georaster_table where georid = 1;
  sdo_geor_ra.rasterUpdate(geor,0,SDO_STRING2_ARRAY('(abs({0}-{1})=48)&({2}-{1}=-101)','2*{0}-{1}/3=108'),SDO_STRING2_ARRAYSET(SDO_STRING2_ARRAY('123','54','89'),SDO_STRING2_ARRAY('98','56','123')));
END;
/