SDO_GEOR_AGGRパッケージには、GeoRasterオブジェクトに対する高度な大規模モザイク処理、追加処理および仮想モザイク処理を実行するためのサブプログラム(ファンクションおよびプロシージャ)が含まれます。この章では、そのサブプログラムのリファレンス情報を、例を使用して説明します。
構文
SDO_GEOR_AGGR.append( targetGeoRaster IN OUT SDO_GEORASTER, sourceGeoRaster IN SDO_GEORASTER, sourcePyramidLevel IN NUMBER, appendParam IN VARCHAR2, bgValues IN SDO_NUMBER_ARRAY DEFAULT NULL);
説明
ソースGeoRasterオブジェクトをターゲットGeoRasterオブジェクトに追加します。必要に応じて、内部的幾何補正、共通ポイント・ルール、切れ目充填およびカラー・バランスが実行されます。
パラメータ
更新するGeoRasterオブジェクトを指定します。sourceGeoRasterと同じにすることはできません。(このオブジェクトを更新する前に、オブジェクトのコピーを作成しておいてください。)
targetGeoRasterに追加するGeoRasterオブジェクトを指定します。
ターゲットGeoRasterオブジェクトのピラミッド・レベル0で追加するソースGeoRasterオブジェクトのピラミッド・レベルを指定します。NULLの場合、ピラミッド・レベル0が使用されます。
操作のパラメータを指定するため、キーワード=値のペアのカンマで区切られた引用符付き文字列を指定します。これには、「SDO_GEOR_AGGR.mosaicSubset」のリファレンスの項にある表8-1のキーワードを1つ以上含めることができます。
colorBalanceのデフォルト以外の値を指定する場合、これは、ターゲットGeoRasterオブジェクトの統計を参照として使用することでソースGeoRasterオブジェクトに対して実行され、キーワードのmaxVal、minVal、stdおよびminは無視されます(指定されている場合)。
部分的に空のラスター・ブロックに入力する背景値を指定します。この値が有効なのは、ソースGeoRasterオブジェクトに空のラスター・ブロックが含まれており、現行の処理によって部分的に空のラスター・ブロック(「空のラスター・ブロック」を参照)が生成される場合のみです。SDO_NUMBER_ARRAYオブジェクト内の要素の数は、1つ(すべてのバンドに同じ入力値を使用)またはバンド次元のサイズ(各バンドにそれぞれ異なる入力値を使用)のいずれかであることが必要です。たとえば、SDO_NUMBER_ARRAY(1,5,10)では、1番目のバンドに1、2番目のバンドに5、3番目のバンドに10が入力されます。デフォルトのbgValuesは0 (ゼロ)です。
入力値は、スパース・データへの入力用としてターゲットのセル深度の背景値で指定された有効なセル値であることが必要です。
使用上の注意
注意:
targetGeoRasterに指定したGeoRasterオブジェクトへの変更は、このプロシージャが完了した後では元に戻せない場合があるため、このプロシージャをコールする前にtargetGeoRasterオブジェクトのコピーを作成しておいてください。
ソースとターゲットのGeoRasterオブジェクトには、同じ数のバンドまたはレイヤーが含まれる必要があります。ソースとターゲットのGeoRasterオブジェクトのセル深度が同じではない場合、ソースGeoRasterオブジェクトのセル値は、ターゲットGeoRasterオブジェクトのセル深度に拡張されるか、切り捨てられます。
ターゲットGeoRasterオブジェクトのラスター・データは、ブロック化される必要があります。
ターゲットGeoRasterオブジェクトのメタデータに変更はありませんが、ブロックのエクステントおよび数は更新され、統計は削除されます。
ソースGeoRasterオブジェクトは、ターゲットGeoRasterオブジェクトのピラミッド・レベル0に追加されます。ターゲットGeoRasterオブジェクトのピラミッドも更新されます。
ソースおよびターゲットGeoRasterオブジェクトの重複する領域と切れ目は、appendParamパラメータに定義されたルールに従って解決されます。
ソースGeoRasterオブジェクトは、ターゲットGeoRasterオブジェクトのどちらの側にでも配置でき、接することができます(右側または下側に配置する必要はありません)。ターゲットGeoRasterオブジェクトは、それに応じて自動的に拡張されます。
例
次の例では、georid = 2のGeoRasterオブジェクトをgeorid = 1のGeoRasterオブジェクトに追加します。
declare
gr1 sdo_georaster;
gr1 sdo_georaster;
begin
select georaster into gr1 from georaster_table where georid = 1 for update;
select georaster into gr2 from georaster_table where georid = 2;
sdo_geor_aggr.append(gr1, gr2, 0, null);
update georaster_table set georaster = gr1 where georid= 1;
commit;
end;
/
構文
SDO_GEOR_AGGR.getMosaicExtent( inGeoRasters IN SYS_REFCURSOR, outSRID IN NUMBER DEFAULT NULL ) RETURN SDO_GEOMETRY;
または
SDO_GEOR_AGGR.getMosaicExtent( georasterTableNames IN VARCHAR2, georasterColumnNames IN VARCHAR2, outSRID IN NUMBER DEFAULT NULL ) RETURN SDO_GEOMETRY;
説明
仮想モザイクまたはGeoRasterオブジェクトのコレクションの空間エクステントの最小境界矩形(MBR)を計算して戻します。
パラメータ
カーソルのソースGeoRasterオブジェクトを指定します。
ソースGeoRasterオブジェクトを含む表の名前(カンマ区切り)を指定します。
georasterTableNamesの表名に対応する表のSDO_GEORASTER型の列の名前(カンマ区切り)を指定します。
出力GeoRasterオブジェクトの座標系を指定します。NULLか、またはMDSYS.CS_SRS表のSRID列の値を指定する必要があります。このパラメータがNULL (デフォルト)の場合、4326 (WGS 84 (経度/緯度)座標系のEPSG SRID値)が使用されます。
使用上の注意
仮想モザイクまたはGeoRasterオブジェクトのコレクションの空間エクステントを計算する場合、このファンクションは、各GeoRasterオブジェクトのspatialExtent属性の使用を試みます。spatialExtent属性がNULLの場合、オブジェクトのメタデータに基づいてGeoRasterオブジェクトのエクステントが計算されます。
例
次の例は、仮想モザイクまたはGeoRasterオブジェクトのコレクションがカーソルの場合に空間エクステントを取得する方法を示しています。
declare
cur sys_refcursor,
begin
open cur for select georaster from georaster_table_1 union all select georaster from georaster_table_2;
extent := sdo_geor_aggr.getMosaicExtent(cur, 26986);
close cur;
end;
/
次の例は、表の列名を指定することでモザイク・エクステントを取得する方法を示しています。
select sdo_geor_aggr.getMosaicExtent('georaster_table_1, georaster_table_2', 'georaster, georaster', 26986) from dual;
構文
SDO_GEOR_AGGR.getMosaicResolutions( inGeoRasters IN SYS_REFCURSOR, resolutionUnit IN VARCHAR2 DEFAULT NULL ) RETURN SDO_RANGE_ARRAY;;
または
SDO_GEOR_AGGR.getMosaicResolutions( georasterTableNames IN VARCHAR2, georasterColumnNames IN VARCHAR2, resolutionUnit IN VARCHAR2 DEFAULT NULL ) RETURN SDO_RANGE_ARRAY;
説明
仮想モザイクまたはGeoRasterオブジェクトのコレクションの解像度の範囲を指定した単位で戻します。
パラメータ
カーソルのソースGeoRasterオブジェクトを指定します。
ソースGeoRasterオブジェクトを含む表の名前(カンマ区切り)を指定します。
georasterTableNamesの表名に対応する表のSDO_GEORASTER型の列の名前(カンマ区切り)を指定します。
戻される解像度の範囲の測定単位を指定します。指定する場合、'unit=value'という形式で、引用符で囲んだ文字列にする必要があります(valueは単位名)。指定しないか、NULLの場合、戻される解像度の範囲の単位は、meterです。
使用上の注意
戻される解像度の範囲は、SDO_RANGE_ARRAY(SDO_RANGE(min_x, max_x), SDO_RANGE(min_y, max_y))という形式となり、min_xとmax_xはx次元の最小および最大の解像度で、min_yとmax_yはy次元の最小および最大の解像度です。
SDO_RANGE_ARRAY型は、VARRAY(1048576) OF SDO_RANGEとして定義されます。SDO_RANGE型の定義は次のとおりです。
Name Null? Type ----------------------------------------- -------- ------- LB NUMBER UB NUMBER
例
次の例では、m単位で戻される値を使用して、仮想モザイクまたはGeoRasterオブジェクトのコレクションの空間解像度を取得します。
SELECT sdo_geor_aggr.getMosaicResolutions('georatser_table_1, georaster_table_2', 'georaster, georaster', 'unit=meter') FROM DUAL;
構文
SDO_GEOR_AGGR.getMosaicSubset( inGeoRasters IN SYS_REFCURSOR, pyramidLevel IN NUMBER, outSRID IN NUMBER, outModelCoordLoc IN NUMBER, referencePoint IN SDO_GEOMETRY, cropArea IN SDO_GEOMETRY, polygonClip IN VARCHAR2, boundaryClip IN VARCHAR2, layerNumbers IN VARCHAR2, outResolutions IN SDO_NUMBER_ARRAY, resolutionUnit IN VARCHAR2, mosaicParam IN VARCHAR2, rasterBlob IN OUT NOCOPY BLOB, outArea OUT SDO_GEOMETRY, outWindow OUT SDO_NUMBER_ARRAY, storageParam IN VARCHAR2 DEFAULT NULL, bgValues IN SDO_NUMBER_ARRAY DEFAULT NULL);
または
SDO_GEOR_AGGR.getMosaicSubset( georasterTableNames IN VARCHAR2, georasterColumnNames IN VARCHAR2, pyramidLevel IN NUMBER, outSRID IN NUMBER, outModelCoordLoc IN NUMBER, referencePoint IN SDO_GEOMETRY, cropArea IN SDO_GEOMETRY, polygonClip IN VARCHAR2, boundaryClip IN VARCHAR2, layerNumbers IN VARCHAR2, outResolutions IN SDO_NUMBER_ARRAY, resolutionUnit IN VARCHAR2, mosaicParam IN VARCHAR2, rasterBlob IN OUT NOCOPY BLOB, outArea OUT SDO_GEOMETRY, outWindow OUT SDO_NUMBER_ARRAY, storageParam IN VARCHAR2 DEFAULT NULL, bgValues IN SDO_NUMBER_ARRAY DEFAULT NULL);
説明
仮想モザイクまたはGeoRasterオブジェクトのコレクションに対してサブセット化を実行します。これは、問合せ対象領域のモザイク処理を動的に実行し、必要な結果をBLOBにオンザフライで戻します。必要に応じて、内部的幾何補正、共通ポイント・ルール、切れ目充填およびカラー・バランスが実行されます。
パラメータ
カーソルのソースGeoRasterオブジェクトを指定します。
ソースGeoRasterオブジェクトを含む表の名前(カンマ区切り)を指定します。
これらの表のMIN_X_RES$およびMAX_X_RES$列の定義と使用の詳細は、「使用上の注意」および「MIN_X_RES$およびMAX_X_RES$を使用した問合せパフォーマンスの向上」を参照してください。
georasterTableNamesの表名に対応する表のSDO_GEORASTER型の列の名前(カンマ区切り)を指定します。
操作用のソースGeoRasterオブジェクトのピラミッド・レベルを指定します。このパラメータは、outResolutionsパラメータが指定されていない場合に使用され、それ以外の場合、ソースGeoRasterオブジェクトのピラミッド・レベルはoutResolutionsパラメータによって決定されます。
出力GeoRasterオブジェクトの座標系を指定します。NULLか、またはMDSYS.CS_SRS表のSRID列の値を指定する必要があります。
セルによって表現される領域のベースのモデル位置を示す値を指定します。CENTERの場合は0、UPPERLEFTの場合は1を指定します。NULLの場合、CENTERが使用されます。
モザイクの参照点として使用するSDO_GEOMETRY型の点を指定します。点を指定する場合、モザイク処理されたイメージの左上角が参照点に揃えられます(referencePointと出力の左上角の間の距離がピクセルの整数になります)。このパラメータがNULLの場合、参照点は、cropAreaの左上角または(cropAreaがNULLの場合)出力エクステントの左上角を暗黙的に使用します。
クロッピング領域を定義します。SDO_GEOMETRYオブジェクトにNULL以外のSRIDが含まれる場合、ソースGeoRasterオブジェクトは地理参照される必要がありますが、それ以外の場合、ソースGeoRasterオブジェクトは地理参照されても地理参照されなくてもかまいません。polygonClipがFALSEの場合、cropAreaのMBRがモザイク処理されたデータをクロッピングするために使用されます。polygonClipがTRUEの場合、cropAreaのジオメトリがモザイク処理されたデータをクロッピングするために使用されます。
文字列TRUEではモザイク処理されたデータをクロッピングするためにcropArea値が使用され、文字列FALSEまたはNULL値ではモザイク処理されたデータをクロッピングするためにcropAreaのMBRが使用されます。
文字列TRUEまたはNULL値では、cropAreaをクリップするために仮想モザイクの境界が使用され、文字列FALSEでは、仮想モザイクの外部にあるがcropArea内にある領域に背景値が入力されます。
処理を実行する論理レイヤー番号を示す文字列を指定します。カンマで値を区切り、ハイフンで範囲を指定します(たとえば、2-4はレイヤー2、3および4を示します)。指定しない場合、モザイク結果にはソースGeoRasterオブジェクトと同じ数のバンドが含まれます。
出力GeoRasterデータに対してリクエストされた解像度を指定します。NULLの場合、デフォルトは、最初に出現したGeoRasterオブジェクトの解像度です。詳細は、「使用上の注意」を参照してください。
outResolutionsパラメータの単位を指定します。NULLの場合、デフォルトは出力SRIDの単位です。指定する場合、unit=valueという形式で、引用符で囲んだ文字列にする必要があります(valueは単位名)。このパラメータは、outResolutionsがNULLである場合は無視されます。
モザイク・パラメータを指定するため、キーワード=値のペアのカンマで区切られた引用符付き文字列を指定します。これには、「SDO_GEOR_AGGR.mosaicSubset」のリファレンスの項にある表8-1のキーワードを1つ以上含めることができます。
操作の結果を格納するバイナリ・ラージ・オブジェクト(BLOB)を指定します。処理が実行される前に、これが存在しているか、または初期化されている必要があります。これは、通常は一時BLOBです。
出力データのエクステントを記述したジオメトリ・オブジェクトを指定します。
セル空間内で出力ウィンドウの左上角および右下角の座標を指定するSDO_NUMBER_ARRAYオブジェクトを指定します。このファンクションの場合、出力ウィンドウの左上角は常に(0,0)です。
記憶域パラメータを示す文字列を指定します(「記憶域パラメータ」を参照)。このパラメータがNULLの場合、結果のGeoRasterオブジェクトは、モデル空間(存在する場合)またはセル空間で最初に出現したソースGeoRasterオブジェクトと同じ記憶域パラメータ(blockSize、cellDepth、interleavingおよびcompression)を持ちます。ただし、モザイク処理する最初に出現したGeoRasterオブジェクトと同じ記憶域パラメータをモザイクに設定する場合を除き、出力モザイクのサイズに応じて記憶域パラメータ(特にブロック化サイズ)を指定することをお薦めします。
(pyramid=trueが指定されている場合、このプロシージャでは無視されますが、SDO_GEOR_AGGR.mosaicSubsetでは無視されません。)
部分的に空のラスター・ブロックに入力する背景セル値(完全に空のラスター・ブロックは入力なしで空のままになります)。それらは、クリップ・ポリゴンの外にある領域またはソース・イメージに含まれていないギャップ領域など、モザイク処理操作から生じる空の領域を埋めるために使用されます。(「空のラスター・ブロック」も参照してください。)SDO_NUMBER_ARRAYオブジェクト内の要素の数は、1つ(すべてのバンドに同じ入力値を使用)またはバンド次元のサイズ(各バンドにそれぞれ異なる入力値を使用)のいずれかであることが必要です。たとえば、SDO_NUMBER_ARRAY(1,5,10)では、1番目のバンドに1、2番目のバンドに5、3番目のバンドに10が入力されます。デフォルトのbgValuesは0 (ゼロ)です。
入力値は、スパース・データへの入力用としてターゲットのセル深度の背景値で指定された有効なセル値であることが必要です。
使用上の注意
ソースGeoRasterオブジェクトは、モザイク処理を実行できるように、イメージまたはラスター・データとして準備しておく必要があります。つまり、仮想モザイクのGeoRasterオブジェクトには次の要件があります。
地理参照されているオブジェクトと地理参照されていないオブジェクトを混在させないこと。すべてのオブジェクトが地理参照されているか、地理参照されているオブジェクトが1つもないこと。
同じレイヤー数またはバンド数を持つ。ソース・オブジェクトの行および列の次元サイズに対する制限はありません。
モザイク処理されるGeoRasterオブジェクトが地理参照される場合、これらのオブジェクトはその地理参照情報に従ってともに配置されます。GeoRasterオブジェクトが地理参照されない場合、これらのオブジェクトはULTCoordinate値に従ってともに配置されます。(ULTCoordinateの詳細は、「GeoRasterデータ・モデル」を参照してください。)
結果のGeoRasterオブジェクトの空間参照メタデータは、outSRIDおよびoutResolutionsパラメータによって決定されます。outSRIDが指定されていない場合、最初に出現したソースGeoRasterオブジェクトのSRIDが使用されます。outResolutionsが指定されていない場合、指定したピラミッド・レベル(pyramidLevelパラメータ)で最初に出現したソースGeoRasterオブジェクトの空間解像度が使用されます。空間解像度は、すべてのソース・イメージのメタデータに設定する必要があります。
pyramidLevelが指定されているがoutResolutionsが指定されていない場合、pyramidLevelパラメータで指定されたピラミッド・レベルのラスター・データを使用してすべてのソースGeoRasterオブジェクトがモザイク処理されます。このパラメータの組合せは、ソースGeoRasterオブジェクトにピラミッド・レベル0の同じ空間解像度が含まれる場合に使用できます。
outResolutionsが指定されている場合、ソースGeoRasterオブジェクトは、outResolutionsパラメータに最も近い解像度を持つピラミッド・レベルのラスター・データを使用してモザイク処理されます。outResolutionsパラメータの値がソースGeoRasterオブジェクトの空間解像度の範囲内に存在しない場合、このソースGeoRasterオブジェクトはモザイクに含まれません。GeoRasterオブジェクトの空間解像度の範囲は、ピラミッド・レベル0の解像度とGeoRasterオブジェクトの最高のピラミッド・レベルの解像度によって決定されます。
ソースGeoRasterオブジェクトがoutSRIDと異なるSRIDを持っているか、幾何補正されていない場合、モザイク処理されたGeoRasterオブジェクトが同一のSRIDおよび空間解像度の値を持つように、動的に再投影または幾何補正されます。
ソースGeoRasterオブジェクトに空のラスター・ブロックが含まれるか、ソースGeoRasterオブジェクトが領域全体を覆っていない場合、モザイク処理された結果のGeoRasterオブジェクトには、空のラスター・ブロックまたは部分的に空のラスター・ブロック(「空のラスター・ブロック」を参照)が含まれます。いずれのソースGeoRasterオブジェクトにも含まれない結果のラスター・ブロックは、空のままです。部分的に空のラスター・ブロックにはbgValuesパラメータに指定した値が入力されます。bgValuesパラメータを指定しない場合は0 (ゼロ)が入力されます。
ソースGeoRasterオブジェクトが重複している場合、重複する領域のデータは、mosaicParamパラメータで指定されたルールに準拠します。デフォルトでは、最後に出現したソースGeoRasterオブジェクトのセル値が使用されます。指定した解像度で許容可能な重複するGeoRasterオブジェクトの最大数は、8です。
ソースのGeoRasterオブジェクトに関連したビットマップ・マスクは考慮されません。bitmapmaskパラメータは、storageParam文字列で指定されている場合でも無視されます。
mosaicParamでcolorBalanceオプションを使用するには、ソース・イメージのSDO_GEOR.generateStatisticsをコールし、イメージの統計を生成してそれらをソース・イメージのメタデータに格納する必要があります。現在のカラー・バランス・メソッドは、一定のタイプのソース・イメージ(コントラストまたは明るさのみが異なるイメージなど)でのみ適切に動作します。
ソースとなるすべてのGeoRasterオブジェクトが空白で、同じblankCellValue値を持つ場合、結果のGeoRasterオブジェクトも空白になり、そのblankCellValue値を持ちます。そうでない場合、結果のGeoRasterオブジェクトは空白にはなりません。
ソースGeoRasterオブジェクトに異なる空間解像度の範囲が含まれる場合、georasterTableNamesパラメータにリストされている表の列MIN_X_RES$およびMAX_X_RES$ (両方ともNUMBER型)を定義できます(MIN_X_RES$とMAX_X_RES$では、それぞれソースGeoRasterオブジェクトの最小および最大の空間解像度の値を指定します)。プロシージャでは、これらの列に格納されている解像度の範囲を使用して、outResolutionsパラメータに指定されているリクエストされた解像度ではないソースGeoRasterオブジェクトを除外します。これによって、異なる空間解像度の範囲を持つ、多くの重複するソースGeoRasterオブジェクトが存在する場合に、プロシージャのパフォーマンスが向上します。
MIN_X_RES$およびMAX_X_RES$列値を使用するには、次のようにします。
georasterTableNamesパラメータを含むプロシージャ構文を使用する必要があります。
outResolutionsパラメータはNULLにしないでください。
MIN_X_RES$およびMAX_X_RES$列の解像度の値は、outResolutionsパラメータに指定されている解像度の値と同じ単位である必要があります。
詳細は、「仮想モザイク」を参照してください。
例
次の例では、cropAreaウィンドウを指定して、30mの解像度でSRID 32610の仮想モザイク(2つのGeoRaster表として定義される)のサブセットを取得します。NODATAは、リサンプリング・プロセス(存在する場合)およびソース・イメージの重複する領域で考慮されます。
declare
lb blob;
cropArea sdo_geometry;
outArea sdo_geometry := null;
outWin sdo_number_array:=null;
resolutions sdo_number_array;
begin
dbms_lob.createTemporary(lb, TRUE);
cropArea := sdo_geometry(2003, 26986, null,
sdo_elem_info_array(1, 1003, 3),
sdo_ordinate_array(399180, 4247820,
496140,4353900) );
resolutions := sdo_number_array(30, 30);
sdo_geor_aggr.getMosaicSubset('georaster_table_1, georaster_table_2',
'georaster, georaster',
0, 32610, null, null, cropArea,
null, null, null, resolutions, null,
'nodata=true',
lb, outArea, outWin);
dbms_lob.freeTemporary(lb);
if outWin is not null then
dbms_output.put_line('output window: (' || outWin(1) || ',' || outWin(2) ||', ' || outWin(3) || ', ' || outWin(4) || ')');
end if;
end;
構文
SDO_GEOR_AGGR.mosaicSubset( inGeoRasters IN SYS_REFCURSOR, pyramidLevel IN NUMBER, outSRID IN NUMBER, outModelCoordLoc IN NUMBER, referencePoint IN SDO_GEOMETRY, cropArea IN SDO_GEOMETRY, polygonClip IN VARCHAR2, boundaryClip IN VARCHAR2, layerNumbers IN VARCHAR2, outResolutions IN SDO_NUMBER_ARRAY, resolutionUnit IN VARCHAR2, mosaicParam IN VARCHAR2, storageParam IN VARCHAR2, outGeoRaster IN OUT SDO_GEORASTER, bgValues IN SDO_NUMBER_ARRAY DEFAULT NULL, parallelParam IN VARCHAR2 DEFAULT NULL);
または
SDO_GEOR_AGGR.mosaicSubset( georasterTableNames IN VARCHAR2, georasterColumnNames IN VARCHAR2, pyramidLevel IN NUMBER, outSRID IN NUMBER, outModelCoordLoc IN NUMBER, referencePoint IN SDO_GEOMETRY, cropArea IN SDO_GEOMETRY, polygonClip IN VARCHAR2, boundaryClip IN VARCHAR2, layerNumbers IN VARCHAR2, outResolutions IN SDO_NUMBER_ARRAY, resolutionUnit IN VARCHAR2, mosaicParam IN VARCHAR2, storageParam IN VARCHAR2, outGeoRaster IN OUT SDO_GEORASTER, bgValues IN SDO_NUMBER_ARRAY DEFAULT NULL, parallelParam IN VARCHAR2 DEFAULT NULL);
または
SDO_GEOR_AGGR.mosaicSubset( inGeoRasters IN SYS_REFCURSOR, pyramidLevel IN NUMBER, elevationParam IN VARCHAR2, outSRID IN NUMBER, outModelCoordLoc IN NUMBER, referencePoint IN SDO_GEOMETRY, cropArea IN SDO_GEOMETRY, polygonClip IN VARCHAR2, boundaryClip IN VARCHAR2, layerNumbers IN VARCHAR2, outResolutions IN SDO_NUMBER_ARRAY, resolutionUnit IN VARCHAR2, mosaicParam IN VARCHAR2, storageParam IN VARCHAR2, outGeoRaster IN OUT SDO_GEORASTER, bgValues IN SDO_NUMBER_ARRAY DEFAULT NULL, parallelParam IN VARCHAR2 DEFAULT NULL, referenceImage IN SDO_GEORASTER DEFAULT NULL, referenceValue1 IN SDO_NUMBER_ARRAY DEFAULT NULL, referenceValue2 IN SDO_NUMBER_ARRAY DEFAULT NULL, refHistograms IN SDO_GEOR_HISTOGRAM_ARRAY DEFAULT NULL);
または
SDO_GEOR_AGGR.mosaicSubset( georasterTableNames IN VARCHAR2, georasterColumnNames IN VARCHAR2, pyramidLevel IN NUMBER, elevationParam IN VARCHAR2, outSRID IN NUMBER, outModelCoordLoc IN NUMBER, referencePoint IN SDO_GEOMETRY, cropArea IN SDO_GEOMETRY, polygonClip IN VARCHAR2, boundaryClip IN VARCHAR2, layerNumbers IN VARCHAR2, outResolutions IN SDO_NUMBER_ARRAY, resolutionUnit IN VARCHAR2, mosaicParam IN VARCHAR2, storageParam IN VARCHAR2, outGeoRaster IN OUT SDO_GEORASTER, bgValues IN SDO_NUMBER_ARRAY DEFAULT NULL, parallelParam IN VARCHAR2 DEFAULT NULL, referenceImage IN SDO_GEORASTER DEFAULT NULL, referenceValue1 IN SDO_NUMBER_ARRAY DEFAULT NULL, referenceValue2 IN SDO_NUMBER_ARRAY DEFAULT NULL, refHistograms IN SDO_GEOR_HISTOGRAM_ARRAY DEFAULT NULL);
説明
仮想モザイクまたはGeoRasterオブジェクトのコレクションに基づいて高度な大規模モザイク処理またはサブセット化を実行します。出力データは、永続的な格納または他の処理のためにGeoRasterオブジェクトに書き込まれます。必要に応じて、内部的幾何補正、共通ポイント・ルール、切れ目充填およびカラー・バランスが実行されます。
パラメータ
カーソルのソースGeoRasterオブジェクトを指定します。
ソースGeoRasterオブジェクトを含む表の名前(カンマ区切り)を指定します。
これらの表のMIN_X_RES$およびMAX_X_RES$列の定義と使用の詳細は、「使用上の注意」および「MIN_X_RES$およびMAX_X_RES$を使用した問合せパフォーマンスの向上」を参照してください。
georasterTableNamesの表名に対応する表のSDO_GEORASTER型の列の名前(カンマ区切り)を指定します。
操作用のソースGeoRasterオブジェクトのピラミッド・レベルを指定します。このパラメータは、outResolutionsパラメータが指定されていない場合に使用され、それ以外の場合、モザイクに含まれるソースGeoRasterオブジェクトのピラミッド・レベルはoutResolutionsパラメータによって決定されます。
ピラミッド・レベル0上でソースGeoRasterオブジェクトが同じ解像度を持つ場合は、pyramidLevelパラメータおよびstorageParamパラメータ内のオプションのpyramid=trueのみが有効になります。
outResolutionsパラメータがNULLでない場合、pyramidLevelパラメータは無視されます。
標高パラメータaverage (平均表面高度)を含む文字列。このパラメータは、引用符で囲まれた文字列で、キーワード=値のペア('average=800'など)を含める必要があります。このパラメータは、出力GeoRasterオブジェクトの標高を指定します。このパラメータがNULLである場合、0はaverageであるとみなされます。
elevationParamパラメータを使用する場合、入力GeoRasterオブジェクトには3DモデルSRIDおよび0 (ゼロ)以外の平均表面高度が含まれる必要があります。
出力GeoRasterオブジェクトの座標系を指定します。NULLか、またはMDSYS.CS_SRS表のSRID列の値を指定する必要があります。
セルによって表現される領域のベースのモデル位置を示す値を指定します。CENTERの場合は0、UPPERLEFTの場合は1を指定します。NULLの場合、CENTERが使用されます。
モザイクの参照点として使用するSDO_GEOMETRY型の点を指定します。点を指定する場合、モザイク処理されたイメージの左上角が参照点に揃えられます(referencePointと出力の左上角の間の距離がピクセルの整数になります)。このパラメータがNULLの場合、参照点は、cropAreaの左上角または(cropAreaがNULLの場合)出力エクステントの左上角を暗黙的に使用します。
クロッピング領域を定義します。SDO_GEOMETRYオブジェクトにNULL以外のSRIDが含まれる場合、SDO_GEOMETRYオブジェクトで指定される座標はモデル空間内にあり、ソースGeoRasterオブジェクトは地理参照される必要がありますが、それ以外の場合、SDO_GEOMETRYオブジェクトで指定される座標はセル空間内にあり、ソースGeoRasterオブジェクトは地理参照されても地理参照されなくてもかまいません。polygonClipがFALSEの場合、cropAreaのMBRがモザイク処理されたデータをクロッピングするために使用されます。polygonClipがTRUEの場合、cropAreaのジオメトリがモザイク処理されたデータをクロッピングするために使用されます。
文字列TRUEではモザイク処理されたデータをクロッピングするためにcropArea値が使用され、文字列FALSEまたはNULL値ではモザイク処理されたデータをクロッピングするためにcropAreaのMBRが使用されます。
文字列TRUEまたはNULL値では、cropAreaをクリップするために仮想モザイクの境界が使用され、文字列FALSEでは、仮想モザイクの外部にあるがcropArea内にある領域に背景値が入力されます。
処理を実行する論理レイヤー番号を示す文字列を指定します。カンマで値を区切り、ハイフンで範囲を指定します(たとえば、2-4はレイヤー2、3および4を示します)。指定しない場合、モザイク結果にはソースGeoRasterオブジェクトと同じ数のバンドが含まれます。
出力GeoRasterデータの解像度を指定します。NULLの場合、デフォルトは、最初に出現したGeoRasterオブジェクトの解像度です。詳細は、「使用上の注意」を参照してください。
outResolutionsパラメータの単位を指定します。NULLの場合、デフォルトは出力SRIDの単位です。指定する場合、unit=valueという形式で、引用符で囲んだ文字列にする必要があります(valueは単位名で、有効なSDO_UNITS_OF_MEASURE表からの有効なUNIT_OF_MEAS_NAME値)。このパラメータは、outResolutionsがNULLである場合は無視されます。
モザイク・パラメータを指定するため、キーワード=値のペアのカンマで区切られた引用符付き文字列を指定します。これには、表8-1のキーワードを1つ以上含めることができます。
注意:
GeoRasterのサブプログラムに対する文字列(VARCHAR2)パラメータの中に数値がある場合は、ロケールにかかわらず、小数点にはピリオド(.)を使用する必要があります。
表8-1 mosaicParamキーワード
| キーワード | 説明 |
|---|---|
(
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カラー・バランスの方法を指定します。次のいずれかの値を指定できます。
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|
重複する領域のセル値を取得するための方法を指定します。次のいずれかの値を指定できます。
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ソース・イメージ間の狭い切れ目を埋めるかどうかを指定します。 |
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|
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|
|
|
重複する領域の処理時、またはリサンプリングにNODATA (NODATA値またはNODATAビットマップ・マスク)を考慮するかどうかを指定します。デフォルト値は 重複する領域を処理する際、 リサンプリングを実行し、リサンプリング・メソッドが |
|
モザイク操作中に使用するリサンプリング・メソッドを指定します(リサンプリングが含まれるか、幾何補正が必要な場合)。 |
|
ソースGeoRasterオブジェクトを完全に揃えられない場合にリサンプリングを実行しない許容差を指定します。値は、0から0.5の間にする必要があり、単位はピクセルまたはセルです(たとえば、 |
|
出力解像度の範囲にあるGeoRasterオブジェクトのみを選択するようにソースGeoRasterオブジェクトを絞り込むかどうかを指定します( |
|
|
記憶域パラメータを示す文字列を指定します(「記憶域パラメータ」を参照)。このパラメータがNULLの場合、結果のGeoRasterオブジェクトは、モデル空間(存在する場合)またはセル空間で最初に出現したソースGeoRasterオブジェクトと同じ記憶域パラメータ(blockSize、cellDepth、interleavingおよびcompression)を持ちます。ただし、モザイク処理する最初に出現したGeoRasterオブジェクトと同じ記憶域パラメータをモザイクに設定する場合を除き、出力モザイクのサイズに応じて記憶域パラメータ(特にブロック化サイズ)を指定することをお薦めします。
pyramid=trueを指定すると、outResolutionsパラメータがNULLでpyramidLevelパラメータがNULLでない場合にソースGeoRasterオブジェクトのピラミッドがモザイク処理されます。結果のGeoRasterオブジェクトの最大ピラミッド・レベルは、ソースGeoRasterオブジェクトの最大ピラミッド・レベルの最小値です。デフォルトではpyramid=falseであるため、ピラミッドはモザイク化されません。
bitmapmask=trueが指定されている場合、ソースGeoRasterオブジェクトのビットマップ・マスクもモザイク処理されます。
操作の結果を格納するGeoRasterオブジェクトを指定します。ソースGeoRasterオブジェクトと同じにすることはできません。
部分的に空のラスター・ブロックに入力する背景セル値(完全に空のラスター・ブロックは入力なしで空のままになります)。それらは、クリップ・ポリゴンの外にある領域またはソース・イメージに含まれていないギャップ領域など、モザイク処理操作から生じる空の領域を埋めるために使用されます。(「空のラスター・ブロック」も参照してください。)SDO_NUMBER_ARRAYオブジェクト内の要素の数は、1つ(すべてのバンドに同じ入力値を使用)またはバンド次元のサイズ(各バンドにそれぞれ異なる入力値を使用)のいずれかであることが必要です。たとえば、SDO_NUMBER_ARRAY(1,5,10)では、1番目のバンドに1、2番目のバンドに5、3番目のバンドに10が入力されます。デフォルトのbgValuesは0 (ゼロ)です。
入力値は、ターゲット・セル深度で指定されているように有効なセル値である必要があります。
操作の並列度を指定します。指定する場合、parallel=nという形式である必要があります(nは1より大きい)。データベース・オプティマイザでは、このパラメータによって指定された並列度を使用します。指定しない場合、デフォルトでパラレル処理は行われません。(詳細は、「GeoRasterでのパラレル処理」を参照してください。)
並列性が指定されている場合、プロシージャによって内部コミット操作が実行されます。エラーが発生した場合(Oracle Parallel Serverが原因である場合でも)、操作をロールバックするために、モザイク処理された結果のGeoRasterオブジェクトを明示的に削除する必要があります。
カラー・バランス操作中に使用される参照イメージを指定します。NULLの場合、デフォルトは問合せからの最初のイメージです。
カラー・バランス操作中に使用される1つ以上の参照値を指定します。値の意味はカラー・バランス・メソッドで決定されます。
カラー・バランス操作中に使用される1つ以上の参照値を指定します。値の意味はカラー・バランス・メソッドで決定されます。
カラー・バランス操作中に使用される参照ヒストグラムを指定します。
使用上の注意
プロシージャの最初の2つの形式によって基本カラー・バランス・メソッドが指定され、出力GeoRasterオブジェクトの標高が0(ゼロ)であるとみなされます。プロシージャの最後の2つの形式では、参照値または参照イメージを使用してより高度なカラー・バランス・メソッドが指定され、出力GeoRasterオブジェクトの標高値はユーザーが指定します。
ソースGeoRasterオブジェクトは、モザイク処理を実行できるように、イメージまたはラスター・データとして準備しておく必要があります。つまり、モザイク処理されるGeoRasterオブジェクトは、次の条件を満たしている必要があります。
地理参照されているオブジェクトと地理参照されていないオブジェクトを混在させないこと。すべてのオブジェクトが地理参照されているか、地理参照されているオブジェクトが1つもないこと。
同じレイヤー数またはバンド数を持つ。ソース・オブジェクトの行および列の次元サイズに対する制限はありません。
モザイク処理されるGeoRasterオブジェクトが地理参照される場合、これらのオブジェクトはその地理参照情報に従ってともに配置されます。GeoRasterオブジェクトが地理参照されない場合、これらのオブジェクトはULTCoordinate値に従ってともに配置されます。(ULTCoordinateの詳細は、「GeoRasterデータ・モデル」を参照してください。)
結果のGeoRasterオブジェクトの空間参照メタデータは、outSRIDおよびoutResolutionsパラメータによって決定されます。outSRIDが指定されていない場合、最初に出現したソースGeoRasterオブジェクトのSRIDが使用されます。outResolutionsが指定されていない場合、指定したピラミッド・レベル(pyramidLevelパラメータ)で最初に出現したソースGeoRasterオブジェクトの空間解像度が使用されます。空間解像度は、すべてのソース・イメージのメタデータに設定する必要があります。
ソースGeoRasterオブジェクトがoutSRIDと異なるSRIDを持っているか、幾何補正されていない場合、モザイク処理されたGeoRasterオブジェクトが同一のSRIDおよび空間解像度の値を持つように、動的に再投影または幾何補正されます。
ソースGeoRasterオブジェクトが重複している場合、重複する領域のデータは、mosaicParamパラメータで指定されたルールに準拠します。デフォルトでは、最後に出現したソースGeoRasterオブジェクトのセル値が使用されます。
出力モザイクに寄与するソースGeoRasterオブジェクトは、空間に関してはcropAreaパラメータによって、解像度に関しては(解像度の選択)、outResolutionsパラメータによって選択されます。
cropAreaパラメータを使用して、ソースGeoRasterオブジェクトの空間エクステントを問い合せ、cropAreaジオメトリの範囲に含まれるGeoRasterオブジェクトが決定されます。したがって、空間索引はGeoRasterオブジェクトのspatialExtent属性上に構築する必要があります。
outResolutionsパラメータを使用して、ソースGeoRasterオブジェクトが検索されるため、outResolutions値はソースGeoRasterオブジェクトの解像度の範囲内に含まれます。GeoRasterオブジェクトの空間解像度の範囲は、ピラミッド・レベル0の解像度とGeoRasterオブジェクトの最高のピラミッド・レベルの解像度によって決定されます。それは、ピラミッド・レベル0 (ゼロ)よりも低く、ピラミッド・レベルが最上位のピラミッド・レベルよりも高い半ピラミッドです。たとえば、GeoRasterオブジェクトのピラミッド・レベル0 (ゼロ)のときの解像度が30mで、最上位のピラミッド・レベル5のときの解像度が960mである場合、このGeoRasterオブジェクトの空間解像度の範囲は22.5m ((30 + 30/2)/2)から1440m ((960 + 960*2)/2)の間になります。
outResolutionsパラメータを使用する解像度の選択は、georasterTableNamesパラメータにリストされている表の列MIN_X_RES$およびMAX_X_RES$ (両方ともNUMBER型)を定義することでより迅速に行うことができます(MIN_X_RES$とMAX_X_RES$には、それぞれソースGeoRasterオブジェクトの最小および最大の空間解像度の値を指定します)。(ソースGeoRasterオブジェクトが多数存在する場合は、Bツリー索引はMIN_X_RES$およびMAX_X_RES$列上に作成する必要があります。)この機能を活用するには、georasterTableNamesパラメータを含むプロシージャ構文を使用する必要があります。また、MIN_X_RES$およびMAX_X_RES$列に格納されている解像度の値は、ソースGeoRasterオブジェクトのspatialExtent属性内に格納されているSRIDの単位と同じ単位である必要があります。
解像度の選択は、mosaicParamパラメータでresFilter=falseを設定することでオフすることができます。解像度の選択をオフにすると、ソースGeoRasterオブジェクトは空間でのみフィルタ処理されます。
ソースGeoRasterオブジェクトに空のラスター・ブロックが含まれるか、ソースGeoRasterオブジェクトが領域全体を覆っていない場合、モザイク処理された結果のGeoRasterオブジェクトには、空のラスター・ブロックまたは部分的に空のラスター・ブロック(「空のラスター・ブロック」を参照)が含まれます。いずれのソースGeoRasterオブジェクトにも含まれない結果のラスター・ブロックは、空のままです。部分的に空のラスター・ブロックにはbgValuesパラメータに指定した値が入力されます。bgValuesパラメータを指定しない場合は0 (ゼロ)が入力されます。
storageParam文字列でbitmapmaskパラメータがtrueに設定されている場合、ビットマップ・マスクはモザイク処理されます。デフォルトでは、ビットマップ・マスクはモザイク処理されません。ビットマップ・マスクもNODATAとみなされる可能性があることに注意してください(その場合、表8-1のNODATAキーワードを参照してください)。
mosaicParamでcolorBalanceオプションを使用するには、ソース・イメージのSDO_GEOR.generateStatisticsをコールし、イメージの統計を生成してそれらをソース・イメージのメタデータに格納する必要があります。
ソースとなるすべてのGeoRasterオブジェクトが空白で、同じblankCellValue値を持つ場合、結果のGeoRasterオブジェクトも空白になり、そのblankCellValue値を持ちます。そうでない場合、結果のGeoRasterオブジェクトは空白にはなりません。
モザイク処理の結果を含めるGeoRasterオブジェクト(georasterパラメータ)には、ソースGeoRasterオブジェクト(モザイク処理を行う対象となるオブジェクト)を指定することはできません。
モザイク処理では、一定の間隔で内部コミット操作が実行されるため、ロールバックできません。処理が中断された場合、ダングリング・ラスター・ブロックがラスター・データ表に存在する可能性があります。ダングリング・ラスター・ブロックは、GeoRasterオブジェクトおよびシステム・データをデータベースでメンテナンスすることにより処理できます(「データベースのGeoRasterオブジェクトおよびシステム・データのメンテナンス」を参照)。
詳細は、「大規模イメージのモザイク処理」および「仮想モザイク」を参照してください。
例
次の例は、線形ストレッチ・メソッド(colorBalance=linearstretching)を使用してソース・イメージをカラー・バランス処理する方法を示しています。ソース・イメージのセル値(cbreference=value)を最小参照値および最大参照値までストレッチします。参照値は、ref_minおよびref_max変数で指定されます。
DECLARE
gr sdo_georaster;
resolutions sdo_number_array;
ref_min sdo_number_arrray;
ref_max sdo_number_array;
BEGIN
insert into georaster_table (georid, georaster)
values (10, sdo_geor.init('RDT_1',10))
returning georaster into gr;
resolutions := sdo_number_array(30, 30);
ref_min := sdo_number_array(10, 10, 10);
ref_max := sdo_number_array(200, 255, 230);
sdo_geor_aggr.mosaicSubset('georaster_table_1, georaster_table_2',
'georaster, georaster',
0, null, 32610, null, null, null,
null, null, null, resolutions, null,
'commonPointRule=average, colorBalance=linearstretching, cbreference=value',
'blocking=optimalpadding, blocksize=(512,512,3)', gr, null, 'parallel=4', null, ref_min, ref_max);
update georaster_table set georaster = gr where georid=10;
commit;
END;
/
次の例では、ヒストグラム一致メソッド(colorBalance=histogramMatching)を使用してソース・イメージをカラー・バランス処理する方法を示しています。各ソース・イメージのヒストグラム(cbreference=image)を参照イメージのヒストグラムと一致させます。
DECLARE
gr sdo_georaster;
resolutions sdo_number_array;
refgr sdo_georaster;
BEGIN
-- get the reference image
select georaster into refgr from georaster_table where georid = 1;
-- insert new georaster for the mosaic
insert into georaster_table (georid, georaster)
values (10, sdo_geor.init('RDT_1',10))
returning georaster into gr;
resolutions := sdo_number_array(30, 30);
-- mosaic
sdo_geor_aggr.mosaicSubset('georaster_table_1, georaster_table_2',
'georaster, georaster',
0, 32610, null, null, null, null,
null, null, null, resolutions, null,
'commonPointRule=average, colorBalance=histogramMatching, cbreference=image',
'blocking=optimalpadding, blocksize=(512,512,3)', gr, null, 'parallel=4', refgr);
update georaster_table set georaster = gr where georid=10;
commit;
END;
/
次の例は、静的一致メソッド(colorBalance=statisticMatching)を使用してソース・イメージをカラー・バランス処理する方法を示しています。重複する領域(cbreference=overlap)に基づいてソース・イメージの統計を調整します。
DECLARE
gr sdo_georaster;
resolutions sdo_number_array;
BEGIN
-- get the reference image
select georaster into refgr from georaster_table where georid = 1;
-- insert new georaster for the mosaic
insert into georaster_table (georid, georaster)
values (10, sdo_geor.init('RDT_1',10))
returning georaster into gr;
resolutions := sdo_number_array(30, 30);
-- mosaic
sdo_geor_aggr.mosaicSubset('georaster_table_1, georaster_table_2',
'georaster, georaster',
0, null, 32610, null, null, null,
null, null, null, resolutions, null,
'commonPointRule=average, colorBalance=statisticMatching, cbreference=overlap',
'blocking=optimalpadding, blocksize=(512,512,3)', gr, null, 'parallel=4');
update georaster_table set georaster = gr where georid=10;
commit;
END;
/
構文
SDO_GEOR_AGGR.validateForMosaicSubset( inGeoRasters IN SYS_REFCURSOR, outSRID IN NUMBER, outResolutions IN SDO_NUMBER_ARRAY, resolutionUnit IN VARCHAR2, resultTableName IN VARCHAR2);
または
SDO_GEOR_AGGR.validateForMosaicSubset( georasterTableNames IN VARCHAR2, georasterColumnNames IN VARCHAR2, outSRID IN NUMBER, outResolutions IN SDO_NUMBER_ARRAY, resolutionUnit IN VARCHAR2, resultTableName IN VARCHAR2);
説明
仮想モザイクまたはGeoRasterオブジェクトの大規模なコレクションに対してモザイク処理またはサブセット問合せ操作を実行可能であるかどうかをチェックします。検証エラーおよび注意は、すべてユーザーが作成した結果表に格納されます。
パラメータ
カーソルのソースGeoRasterオブジェクトを指定します。
ソースGeoRasterオブジェクトを含む表の名前(カンマ区切り)を指定します。
georasterTableNamesの表名に対応する表のSDO_GEORASTER型の列の名前(カンマ区切り)を指定します。
出力GeoRasterオブジェクトの座標系を指定します。NULLか、またはMDSYS.CS_SRS表のSRID列の値を指定する必要があります。
出力GeoRasterデータの解像度を指定します。NULLの場合、デフォルトは、最初に出現したソースGeoRasterオブジェクトの解像度です。
outResolutionsパラメータの単位を指定します。NULLの場合、デフォルトは出力SRIDの単位です。指定する場合、unit=valueという形式で、引用符で囲んだ文字列にする必要があります(valueは単位名)。このパラメータは、outResolutionsがNULLである場合は無視されます。
検証の結果表の名前を指定します。この表は、事前に存在する必要があり、次の列定義が含まれる必要があります。
time timestamp, type varchar2(16), description varchar2(512), table_name varchar2(32), column_name varchar2(1024), rdt_table_name varchar2(32), raster_id number
使用上の注意
resultTableNameパラメータ値には次の考慮事項が適用されます。
指定した表が存在しない場合、エラーが生成されます。
パラメータが指定されていないか、NULLに指定されている場合、プロシージャでは、最初の検証エラーの検出時にエラーがスローされますが、それ以外の場合、すべての検証エラーが表に配置され、エラーなしで完了します。
指定した表が空ではない場合、プロシージャでは、表の既存のデータに行が追加されますが、いずれかの列に対する一意の制約があり、新しく追加されたデータの値がその制約付きの行に含まれる既存のデータの値と同じである場合、エラーが生成されます。
表のTYPE列には、ERROR (修正する必要のある項目)やNOTE (なんらかのアクションを必要とするか、必要としない情報)などの問題のタイプを示す文字列が含まれます。DESCRIPTION列では、問題の詳細が提供されます。
このプロシージャは、次の検証チェックを実行します。
ソースGeoRasterオブジェクトのバンド次元サイズは、同じである必要があります。
ソースGeoRasterオブジェクトには、一貫した地理参照ステータス(すべてが地理参照されているか、すべてが地理参照されていないか)が必要です。
モザイク処理の実行時に、再投影または幾何補正を実行する場合、その操作は実行可能である必要があります。
出力空間参照システムは、アフィン変換である必要があります。出力SRSは、入力パラメータ(outSRID、outResolutions、resolutionUnit)または最初のソースGeoRasterオブジェクトによって決定されます。
例
次の例では、モザイク操作が可能であるかどうかをチェックします。検証エラーは、すべて事前定義済のMOSAIC_ERROR表に格納されます。
EXECUTE sdo_geor_aggr.validateForMosaicSubset('georaster_table_1, georaster_table_2', 'georaster, georaster', 26986, sdo_number_array(30, 30), 'unit=meter', 'mosaic_error');
-- Check the validation results:
SELECT table_name table, column_name column, rdt_table_name rdt, raster_id rid, type, description FROM mosaic_error ORDER BY time;
TABLE COLUMN RDT RID TYPE DESCRIPTION
---------- -------- ----- --- ----- ----------------------------------------
GEORASTER_1 GEORASTER RDT_1 2 ERROR The source georaster object is not georeferenced.