この章では、データベース・ソフトウェアのインストール後に実行する必要のある作業について説明します。内容は次のとおりです。
「インストール後の必須作業」で説明する作業は、必ず実行してください。すべてのインストールが完了した後は、「インストール後の推奨作業」で説明する作業を実行することをお薦めします。
「インストール後の製品固有の作業」で説明する製品のいずれかをインストールして使用する場合は、製品固有の項で説明する作業を実行する必要があります。
注意: この章では、基本構成についてのみ説明します。構成およびチューニングの詳細は、『Oracle Database管理者リファレンスfor Linux and UNIX-Based Operating Systems』、『Oracle Database管理者ガイド』、製品別の管理ガイドおよびチューニング・ガイドを参照してください。 |
関連項目: 『Oracle Configuration Managerインストレーションおよび管理ガイド』のインストール後のデータベースの構成に関する項 |
インストール中にデータベースを作成しなかった場合、データベースのインストール後にOracle Database Configuration Assistant (Oracle DBCA)を使用してデータベースを作成します。
関連項目: Oracle DBCAを使用してデータベースを作成する方法の詳細は、『Oracle Database 2日でデータベース管理者』 |
Oracle Databaseのインストールが完了したら、次のタスクを実行します。
インストールに必要なパッチの更新は、My Oracle SupportのWebサイトで確認してください。
必要なパッチをダウンロードする手順は、次のとおりです。
Webブラウザを使用して、My Oracle SupportのWebサイトを表示します。
https://support.oracle.com/
My Oracle Supportにログインします。
注意: My Oracle Supportの登録ユーザーでない場合は、ここで登録してくださいをクリックして登録の手順に従います。 |
My Oracle Supportのメイン・ページで「パッチと更新版」タブをクリックします。
「パッチ検索」グループで、「製品またはファミリ(拡張検索)」を選択します。
「製品」フィールドで、Oracle Databaseを選択します。
「リリース」フィールドで、リリース番号を1つ以上選択します。たとえば、Oracle 12.1.0.1.0とします。
「検索」をクリックします。
「パッチ検索」ページに、使用可能なすべてのパッチの更新が表示されます。
パッチ番号を選択して「README」をクリックします。パッチ・セットに関する情報と、インストールへのパッチの適用方法が記載された「README」ページが表示されます。
「パッチ検索」ページに戻って「ダウンロード」をクリックし、ファイルをシステムに保存します。
Oracle Database 12cに付属の解凍ユーティリティを使用して、My Oracle SupportからダウンロードしたOracleのパッチ更新を解凍します。解凍ユーティリティは、$ORACLE_HOME/bin
ディレクトリにあります。
インストールの完了後は、ここで説明する各作業を実行することをお薦めします。
インストールの完了後に、root.sh
スクリプトのバックアップを作成することをお薦めします。他の製品を同じOracleホーム・ディレクトリにインストールすると、Oracle Universal Installerによりインストール中に既存のroot.sh
スクリプトの内容が更新されます。オリジナルのroot.sh
スクリプトに含まれていた情報が必要な場合は、バックアップのroot.sh
ファイルからリカバリできます。
必要に応じて、オペレーティング・システム・アカウントを追加作成します。管理者権限でデータベースに接続するには、ユーザーがOSDBAまたはOSOPERグループのメンバーである必要があります。
データベースへのクライアント接続の言語プリファレンスを設定するには、NLS_LANG
環境変数を設定します。
NLS_LANG
環境変数では、クライアント・アプリケーションがデータベースへの接続に使用する言語と地域のキャラクタ・セットを宣言します。Oracle Databaseは、SQL*PLusOracleなどのクライアント・プログラムによって入力または表示されるデータにそのキャラクタ・セットを使用します。
デフォルトのセマフォ・パラメータ値が小さすぎてすべてのOracleプロセスに対応できない場合にのみ、次のガイドラインを使用してください。
注意: セマフォ・パラメータの設定方法の詳細は、オペレーティング・システムのドキュメントを参照することをお薦めします。 |
次の式を使用して、最小合計セマフォ要件を計算します。
sum (process parameters of all database instances on the system) + overhead for oracle background processes + system and other application requirements
semmns
(システム全体の合計セマフォ数)をこの合計値に設定します。
semmsl
(1セット当たりのセマフォ数)を250に設定します。
semmni
(合計セマフォ・セット数)を、semmns
/ semmsl
を切り上げて1024の倍数にした値に設定します。
インストール時、デフォルトではディスク・グループを1つ作成できます。スタンドアロン・サーバー用のOracle Databaseを追加する場合は、データベース・ファイル用に高速リカバリ領域を作成する必要があります。
高速リカバリ領域は、リカバリに関連するすべてのOracle Databaseファイルの統合的な記憶域の場所です。データベース管理者は、DB_RECOVERY_FILE_DEST
パラメータを高速リカバリ領域のパスに定義して、ディスク上のバックアップおよびデータの高速リカバリを有効にできます。最新データの高速バックアップを有効にすると、リカバリ操作用のバックアップ・テープを取得するというシステム管理者への依頼を減らすことができます。
init.ora
ファイルで高速リカバリを有効にすると、Oracle DatabaseですべてのRMANバックアップ、アーカイブ・ログ、制御ファイル自動バックアップおよびデータベースのコピーが高速リカバリ領域に書き込まれます。RMANは、古くなったバックアップを削除したり、リカバリに必要なくなったファイルをアーカイブして、高速リカバリ領域のファイルを自動的に管理します。
高速リカバリ領域ディスク・グループを作成することをお薦めします。Oracle ClusterwareファイルおよびOracle Databaseファイルは、同じディスク・グループに配置できますが、高速リカバリ・ファイルも同じディスク・グループに配置できます。しかし、ストレージ・デバイスの競合を減らすため、別の高速リカバリ・ディスク・グループを作成することをお薦めします。
高速リカバリ領域は、DB_RECOVERY_FILE_DEST
パラメータを設定すると有効になります。高速リカバリ領域のサイズは、DB
_RECOVERY_FILE_DEST_SIZE
で設定します。原則として、高速リカバリ領域が大きいほど、利便性は高くなります。使用しやすくするため、高速リカバリ領域ディスク・グループを、3日以上のリカバリ情報を格納できるストレージ・デバイス上に作成することをお薦めします。理想的には、高速リカバリ領域のサイズは、保存ポリシーに基づいて保存されたデータ・ファイルのバックアップを使用してデータベースをリカバリする際に必要な、すべてのデータ・ファイルと制御ファイル、オンラインREDOログ、およびアーカイブREDOログ・ファイルのコピーを格納できるサイズです。
複数のデータベースで同じ高速リカバリ領域を使用できます。たとえば、3つの異なるデータベースで共有される、記憶域が150GBのディスク上に高速リカバリ領域ディスク・グループを1つ作成したとします。各データベースの重要性に基づいて、データベースごとに高速リカバリのサイズを設定できます。たとえば、database1
は重要性が最も低いデータベースで、database2
は重要性がより高く、database3
は重要性が最も高い場合、database1
には30GB、database2
には50GB、database3
には70GBとデータベースごとに異なるDB_RECOVERY_FILE_DEST_SIZE
設定を行い、各データベースの保存ターゲットを満たすことができます。
高速リカバリ・ファイル・ディスク・グループを作成するには、次のようにします。
次のように、Gridホームのbinディレクトリに移動し、ASMコンフィギュレーション・アシスタント(ASMCA)を起動します。
$ cd /u01/grid/bin $ ./asmca
ASMCAの「ディスク・グループ」タブが開きます。「作成」をクリックして新しいディスク・グループを作成します。
「ディスク・グループの作成」ウィンドウが開きます。
「ディスク・グループ名」フィールドに、高速リカバリ領域グループの説明的な名前を入力します。たとえば、FRA
です。
「冗長性」セクションで、使用する冗長性のレベルを選択します。
「メンバー・ディスクの選択」フィールドで、高速リカバリ領域に追加する適切なディスクを選択し、「OK」をクリックします。
ディスク・グループの作成ウィンドウが開き、ディスク・グループの作成が完了すると通知されます。「OK」をクリックします。
「終了」をクリックします。
関連項目:
|
Oracle Databaseをインストールすると、一部のオプションが有効化され、その他のオプションは無効になっています。Oracleホームの特定のデータベース機能を有効または無効にするには、データベースを停止してchopt
ツールを使用します。例8-1を参照してください。
chopt
ツールは、ORACLE_HOME/
bin
ディレクトリにあるコマンドライン・ユーティリティです。chopt
の構文を次に示します。
chopt [ enable | disable] db_option
次の表に、db_option
で使用可能な値を示します。
値 | 説明 |
---|---|
dm |
Oracle Data MiningのRDBMSファイル |
olap |
Oracle OLAP |
partitioning |
Oracle Partitioning |
rat |
Oracle Real Application Testing |
ORAchkユーティリティをダウンロードしてインストールし、Oracleソフトウェア・スタックの事前ヘルス・チェックを実行します。
ORAchkは、RACCheckユーティリティに代わるものです。ORAchkは、ヘルス・チェックの範囲をOracleソフトウェア・スタック全体に拡張しており、Oracleユーザーから報告された主な問題を特定し、それに対処します。ORAchkは、Oracleの製品とデプロイメントについて次のような既知の問題をあらかじめスキャンします。
スタンドアロンのOracleデータベース
Oracle Grid Infrastructure
Real Application Clusters
最大可用性アーキテクチャ(MAA)の検証
アップグレード対応の検証
Oracle Golden Gate
オラクル社は、お客様のリクエストに基づいてチェックの拡張を続けています。
My Oracle SupportからORAchkの最新バージョンをダウンロードして実行することをお薦めします。ORAchkユーティリティのダウンロード、構成および実行方法の詳細は、次のMy Oracle Supportのノート1268927.1を参照してください。
https://support.oracle.com/CSP/main/article?cmd=show&type=NOT&id=1268927.1
次の項では、該当する製品をインストールして使用する場合に実行する必要のある、製品固有のインストール後の作業について説明します。
多くのOracle製品およびオプションは、使用を開始する前に構成する必要があります。個々のOracle製品またはオプションを使用する前に、製品のドキュメント・ライブラリ内の適切なガイドを参照してください。
注意: 使用する予定の製品についてのみ、インストール後の作業を実行します。 |
システムに以前のリリースのOracleソフトウェアがインストールされている場合は、Oracle Netのtnsnames.ora
およびlistener.ora
構成ファイルの情報を、以前のリリースから新規リリースの対応するファイルにコピーできます。
次の各項では、Oracle Net Servicesの構成方法について説明します。
以前のリリースのOracle Databaseからアップグレードする場合は、以前のリリースではなく現行リリースのOracle Netリスナーを使用することをお薦めします。
静的リスナー情報の以前のOracleホーム・ディレクトリ名を参照している場合、listener.ora
ファイルをリリース12.1の環境で使用できるようにするには、これらのディレクトリ名を変更する必要があります。
現行リリースのリスナーを使用するには、静的サービス情報を、以前のリリースのlistener.ora
ファイルから新規リリースで使用するファイルのバージョンにコピーします。
リリース8.0.3より前のデータベース・インスタンスについては、listener.ora
ファイルに静的サービス情報を追加します。リリース8.0.3以降のOracle Databaseは、静的サービス情報を必要としません。
関連項目: 静的サービス登録の詳細は、『Oracle Database Net Services管理者ガイド』を参照してください。 |
中央のtnsnames.ora
ファイルを使用していない場合は、Oracle Netのサービス名と接続記述子を、以前のリリースのtnsnames.ora
ファイルから新しいリリースで使用するファイルのバージョンにコピーします。
必要な場合は、追加のデータベース・インスタンスの接続情報を新しいファイルに追加することもできます。
関連項目: 『Oracle Database Net Services管理者ガイド』 |
Oracle Label Securityは、それを使用するデータベースに構成する必要があります。詳細は、『Oracle Label Security管理者ガイド』のOracle Internet Directoryを使用したOracle Label Securityに関する項を参照してください。
Oracle Databaseには、デフォルトでDatabase Vaultが付属していますが、使用するには登録する必要があります。使用する前に、Database Vault所有者および(オプションで)Database Vaultアカウント・マネージャの管理アカウントを作成してください。
Oracle Database Vaultにより、ベースラインのデータベース監査ポリシーがインストールされます。このポリシーは、Oracle Database Vaultのデータベース表に格納されるアクセス制御構成情報、Oracle Catalogに格納される情報(ロールバック・セグメントや表領域など)、システム権限の使用、Oracle Label Security構成を網羅しています。Oracle Database Vaultをインストールすると、セキュリティ固有のデータベース初期化パラメータがデフォルト値で初期化されます。
Oracle Database Vaultのポリシー監査イベントの詳細は、『Oracle Database Vault管理者ガイド』を参照してください。
Oracle Database Vaultを登録するには、『Oracle Database Vault管理者ガイド』を参照してください。
Oracle Database VaultでOracle Data Guardを使用する場合は、『Oracle Database Vault管理者ガイド』を参照してください。
Oracle Databaseアドバンスト・キューイングの機能であるOracle Messaging Gatewayでは、Oracle Databaseアドバンスト・キューイングを使用する場合、Oracle Databaseのインストール後、追加の構成を必要とします。
関連項目: Oracle Messaging Gatewayの構成および、listener.ora、tnsnames.oraおよびmgw.ora ファイルの構成についてのその他の指示は、 『Oracle Databaseアドバンスト・キューイング・ユーザーズ・ガイド』 を参照してください。 |
この項では、Oracleプリコンパイラに関するインストール後の作業について説明します。
注意: プリコンパイラの構成ファイルは、すべて$ORACLE_HOME/precomp/admin ディレクトリにあります。 |
PATH
環境変数の設定に、Cコンパイラの実行可能ファイルを含むディレクトリが指定されていることを確認します。
次の表に、コンパイラのデフォルト・ディレクトリおよび適切なパス設定確認コマンドを示します。
HTTPリクエストでパスワードや他の機密データをクリアテキストで送信しないように、Secure Sockets Layer (SSL)を構成および使用することをお薦めします。
関連項目: Secure Socket Layerの詳細は、『Oracle Databaseセキュリティ・ガイド』を参照してください。 |
Oracle Textのナレッジ・ベースは、テーマの索引付け、ABOUT問合せ、およびドキュメント・サービスでのテーマの抽出に使用される概念の階層ツリーです。Oracle Textのこの機能のいずれかの使用を計画する場合、提供される2つのナレッジ・ベース(英語とフランス語)をインストールできます。
関連項目:
|
Oracle XML DBは、Oracle Databaseインストールのコンポーネントです。ただし、Oracle XML DB用にFTPとHTTPのポートを手動で構成する必要があります。
関連項目: Oracle XML DBのポートを構成するには、『Oracle XML DB開発者ガイド』のOracle XML DBのデフォルト・ポートではなく標準ポートでのFTPの使用に関する項と、Oracle XML DBのデフォルト・ポートではなく標準ポートでのHTTP(S)の使用に関する項を参照してください。 |
次の作業の詳細は、『Oracle XML DB開発者ガイド』も参照してください。
Oracle XML DBの再インストール
Oracle XML DB表領域の構成またはカスタマイズ
FTP、HTTP/WebDAVポート番号の構成
データベースを新規作成またはアップグレードした後は、utlrp.sql
スクリプトを実行する必要があります。このスクリプトは、パッケージ、プロシージャおよび型も含めて、無効な状態となっているすべてのPL/SQLモジュールを再コンパイルします。utlrp.sql
スクリプトは、インストール直後に実行する必要があります(後日実行するのではなく)。
関連項目: 『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』 |
ユーザーをoracle
に切り替えます。
oraenv
またはcoraenv
スクリプトを使用して、utlrp.sql
スクリプトを実行するデータベースの環境を設定します。
Bourne、Bash、またはKornシェルの場合:
$ . /usr/local/bin/oraenv
Cシェルの場合:
% source /usr/local/bin/coraenv
プロンプトが表示されたら、データベースのSID
を指定します。
次のように、SQL*Plusを起動します。
$ sqlplus / AS SYSDBA
データベースを制限モードで起動し、utlrp.sql
スクリプトを実行します。
SQL> STARTUP RESTRICT SQL> @$ORACLE_HOME/rdbms/admin/utlrp.sql
カーネルで管理されるNFSのかわりにDirect NFSクライアントを使用することもできます。Direct NFSクライアントを構成するには、次の項を参照してください。
Oracle Databaseでは、オペレーティング・システム・カーネルのNFSクライアントを使用するかわりに、Oracle内部のDirect NFSクライアントを使用して直接NFSサーバーにアクセスするようOracle Databaseを構成できます。Direct NFSクライアントでは、NFSサーバーへのアクセスにNFSv3、NFSv4およびNFSv4.1プロトコル(Parallel NFS拡張を除く)がサポートされています。
Direct NFSクライアントでは、NFSサーバーに対して最大4つのネットワーク・パスがサポートされます。Direct NFSクライアントによって、指定したすべてのパス間でロード・バランシングが実行されます。指定したパスで障害が発生した場合は、Direct NFSクライアントによって、残りのパスに対してI/Oコマンドが再発行されます。
一部のNFSファイル・サーバーでは、NFSクライアントは予約されたポートを使用して接続する必要があります。予約されたポートのチェックを使用してファイラを実行している場合は、Direct NFSクライアントが動作するように、予約されたポートのチェックを無効にする必要があります。予約されたポート・チェックを無効化するには、NFSファイル・サーバーのドキュメントを参照してください。
ポート範囲を制限するNFSサーバーの場合、root
でNFSサーバーに接続するのではなく、insecure
オプションを使用してクライアントを有効化できます。または、「ダイレクトNFSクライアントの無効化」の手順に従って、Direct NFSクライアントを無効化できます。
関連項目: Oracle Databaseに対してサポートされているNFSサーバーを使用します。サポート情報については、My Oracle SupportのWebサイトを参照してください。 |
Direct NFSクライアントでは、構成ファイル$ORACLE_HOME/dbs/oranfstab
、またはオペレーティング・システムのマウント・タブ・ファイル/etc/mtab
を使用して、どのマウント・ポイントが使用可能であるかを特定します。oranfstab
が存在しない場合は、デフォルトで、/etc/mtab
にあるエントリにDirect NFSクライアント・サーバーがマウントします。これ以上の構成は必要ありません。oranfstab
を使用すると、Direct NFSクライアントに対する追加のOracle Database固有オプションを指定できます。たとえば、oranfstab
を使用して、マウント・ポイントの追加パスを指定できます。
パス/etc
または$ORACLE_HOME/dbs
に、新しいoranfstab
ファイルをOracle Database用に明示的に追加できます。oranfstab
を$ORACLE_HOME/dbs
に配置すると、このエントリは単一データベースに固有のものとなります。ただし、oranfstab
を/etc
に配置すると、すべてのOracleデータベースに対してグローバルとなるため、すべてのOracleデータベースのマウント・ポイントが含まれることになります。
注意: Direct NFSクライアントは、NFSサーバーの書込みサイズ値(wtmax )が32768未満の場合は機能しません。 |
Direct NFSクライアントは、/etc/mtab
の構成に基づいて、NFSストレージ・デバイスに対するマウント・ポイント設定を決定します。Direct NFSクライアントでは、次の順序でマウント・エントリが検索されます。
$ORACLE_HOME/dbs/oranfstab
/etc/oranfstab
/etc/mtab
Direct NFSクライアントでは、最初に検出されたエントリがマウント・ポイントとして使用されます。
Oracle Databaseでは、Direct NFSクライアントを介して提供されている場合でも、マウント・ポイントはカーネルNFSシステムによってマウントされる必要があります。
Oracle DatabaseでDirect NFSクライアントを使用してNFSサーバーを開くことができない場合は、プラットフォームのオペレーティング・システムのカーネルNFSクライアントが使用されます。この場合、カーネルNFSのマウント・オプションは、「NFSバッファ・サイズ・パラメータのチェック」に定義されたとおりに設定される必要があります。また、Direct NFSクライアントを確立することができなかったことを示す情報メッセージが、Oracleアラート・ファイルおよびトレース・ファイルに記録されます。
Direct NFSクライアントをホストするNFSサーバー上のOracleデータベース・ファイルは、オペレーティング・システムのカーネルNFSクライアントからもアクセスできます。この場合、Oracleデータベース・ファイルの整合性を維持するための通常の考慮事項が適用されます。
関連項目: Direct NFSクライアントまたはカーネルNFSで作成されたOracle Databaseデータ・ファイルの管理におけるガイドラインについては、『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』を参照してください。 |
NFSを使用する場合は、NFSバッファ・サイズ・パラメータrsize
およびwsize
の値をそれぞれ16384以上に設定する必要があります。推奨される値は32768です。
Direct NFSクライアントでは、wtmax
の粒度でNFSサーバーへの書込みが発行されます。
たとえば、rsize
およびwsize
の各バッファ設定に値32768を指定する場合は、次のようなエントリを使用してノードごとに/etc/fstab
ファイルを更新します。
nfs_server:/vol/DATA/oradata /home/oracle/netapp nfs\ rw,bg,hard,nointr,rsize=32768,wsize=32768,tcp,actimeo=0,vers=3,timeo=600
デフォルトでネットワークのバッファ・サイズは、TCPでは1 MB、UDPでは2 MBに設定されます。TCPバッファ・サイズはファイル転送に制限を設定することが可能で、これはDirect NFSクライアント・ユーザーのパフォーマンスにマイナスの影響を与える場合があります。
現在のTCPバッファ・サイズをチェックするには、次のコマンドを入力します。
# sysctl -a |grep -e net.ipv4.tcp_[rw]mem
このコマンドの出力は、次のようになります。
net.ipv4.tcp_rmem = 4096 87380 1048576 net.ipv4.tcp_wmem = 4096 16384 1048576
サーバーのリンク速度に基づいて値を設定することをお薦めします。たとえば、次の手順を実行します。
root
として、テキスト・エディタを使用して/etc/sysctl.conf
を開き、次の行を追加または変更します。
# net.ipv4.tcp_rmem = 4096 87380 4194304 # net.ipv4.tcp_wmem = 4096 16384 4194304
ネットワークを再起動します。
# /etc/rc.d/init.d/network restart
Direct NFSクライアントでは、NFSサーバー用のoranfstab
ファイルに定義されている最大4つのネットワーク・パスを使用できます。Direct NFSクライアントによって、指定したすべてのパス間でロード・バランシングが実行されます。指定したパスで障害が発生した場合は、Direct NFSクライアントによって、残りのパスに対してI/Oコマンドが再発行されます。
単一インスタンス環境でDirect NFSクライアントを管理するには、次のSQL*Plusのビューを使用します。
v$dnfs_servers: Direct NFSクライアントを使用してアクセスしたサーバーの表が表示されます。
v$dnfs_files: Direct NFSクライアントを使用して現在開かれているファイルの表が表示されます。
v$dnfs_channels: Direct NFSクライアントによってファイルが提供されるサーバーに対するオープン・ネットワーク・パス(またはチャネル)の表が表示されます。
v$dnfs_stats: Direct NFSクライアントのパフォーマンス統計の表が表示されます。
Direct NFSクライアントを有効にするには、次の手順を実行します。
Direct NFSクライアントを使用してアクセスする各NFSサーバーの次の属性を使用してoranfstab
ファイルを作成します。
サーバー: NFSサーバー名。
Path: ファイラーでifconfig
コマンドにより表示されるIPアドレスまたは名前を使用して、NFSサーバーへのネットワーク・パスを4つまで指定します。
Local: データベース・ホストで実行されるifconfig
コマンドにより表示されるIPアドレスまたは名前を使用して、データベース・ホストでのローカル・パスを4つまで指定します。
エクスポート: NFSサーバーからエクスポートされたパス。
マウント: エクスポートされたボリュームに対応する、ローカル・マウント・ポイント。
Dontroute: 送信メッセージをオペレーティング・システムでルーティングせず、バインドされたIPアドレスを使用して送信するよう指定します。このPOSIXオプションは、同じサブネットに複数のパスがあるLinuxシステムでは機能しない場合があることに注意してください。
mnt_timeout: Direct NFSクライアントがマウント成功を待機し、タイムアウトするまでの時間(秒)を指定します。このパラメータはオプションで、デフォルトのタイムアウトは10分(600)です。
nfs_version: Direct NFSクライアントが使用するNFSプロトコルのバージョンを指定します。使用可能な値はNFSv3
、NFSv4
およびNFSv4.1
です。デフォルトのバージョンはNFSv3
です。NFSv4.x
を指定する場合は、oranfstab
ファイルで相応にnfs_version
パラメータを設定する必要があります。
management: Direct NFSクライアントを有効にして、SNMP問合せの管理インタフェースを使用します。SNMPがNFSサーバー上の別の管理インタフェースで実行されている場合は、このパラメータを使用できます。デフォルト値は、server
パラメータ値です。
community: SNMP問合せで使用するコミュニティ文字列を指定します。デフォルト値はpublic
です。
関連項目: 『Oracle Databaseパフォーマンス・チューニング・ガイド』のNFSサーバー環境における非同期I/Oの制限に関する項を参照してください。 |
例8-2 2つのNFSサーバー・エントリがあるoranfstabファイル
server: MyDataServer1 local: 192.0.2.0 path: 192.0.2.1 local: 192.0.100.0 path: 192.0.100.1 nfs_version: nfsv3 dontroute export: /vol/oradata1 mount: /mnt/oradata1 server: MyDataServer2 local: LocalPath1 path: NfsPath1 local: LocalPath2 path: NfsPath2 local: LocalPath3 path: NfsPath3 local: LocalPath4 path: NfsPath4 nfs_version: nfsv4 dontroute export: /vol/oradata2 mount: /mnt/oradata2 export: /vol/oradata3 mount: /mnt/oradata3 export: /vol/oradata4 mount: /mnt/oradata4 export: /vol/oradata5 mount: /mnt/oradata5 management: MgmtPath1 community: private
デフォルトでは、単一インスタンスOracle DatabaseのインストールでDirect NFSクライアントが無効な状態でインストールされます。Direct NFSクライアントを有効にするには、次の手順を実行します。
ディレクトリを$ORACLE_HOME
/rdbms/lib
に変更します。
次のコマンドを入力します。
make -f ins_rdbms.mk dnfs_on
Direct NFSクライアントを無効にするには、次の手順を実行します。
Oracleソフトウェア・インストール所有者としてログインし、次のコマンドを使用してDirect NFSクライアントを無効にします。
cd $ORACLE_HOME/rdbms/lib make -f ins_rdbms.mk dnfs_off
oranfstab
ファイルを削除します。
注意: Oracle Databaseで使用されているNFSパスを削除した場合、変更内容を有効にするには、データベースを再起動する必要があります。 |
Direct NFSクライアントでハイブリッド列圧縮(HCC)を有効にする手順:
ZFSストレージ・サーバーでSNMPが有効であることを確認します。次に例を示します。
$ snmpget -v1 -c public server_name
.1.3.6.1.4.1.42.2.225.1.4.2.0
SNMPv2-SMI::enterprises.42.2.225.1.4.2.0 = STRING: "Sun Storage 7410"
NFSサーバー以外のインタフェースでSNMPが有効な場合は、management
パラメータを使用してoranfstab
を構成します。
public
以外のコミュニティ文字列を使用してSNMPが構成されている場合は、community
パラメータを使用してoranfstab
ファイルを構成します。
snmpget
が使用可能かどうかを確認して、libnetsnmp.so
がインストールされていることを確認します。
SQL Developerのインストール後の推奨作業については、Oracle SQL Developerインストレーション・ガイドの次に関する項を参照してください。
以前のリリースからのユーザー設定の移行
以前のリリースからの情報の移行
ユーザー関連情報の場所