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Oracle® R Enterpriseユーザーズ・ガイド
リリース1.2 for Linux, Solaris, AIX, and Windows
B71357-01
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1 Oracle R Enterpriseの概要

Rは、オープン・ソースの統計プログラミング言語および環境です。Rの詳細は、http://www.r-project.orgの「R Project for Statistical Computing」を参照してください。

Rは、次のような統計コンピューティング用の環境を提供します。

Rは、その採用が急速に拡大し、新しい統計ソフトウェアの標準としての評価を獲得しました。

Oracle R Enterpriseは、Oracle Database 12cリリース1 (12.1) Enterprise EditionのOracle Advanced Analyticsオプションのコンポーネントの1つです。ソフトウェア・ダウンロードのリンクなど、Oracle R Enterpriseの詳細は、http://www.oracle.com/technetwork/database/options/advanced-analytics/r-enterprise/index.html「Oracle R Enterprise」を参照してください。

Oracle R Enterpriseによって、ユーザーは、Oracle Databaseの表に格納されているデータに対して統計分析を実行できます。Oracle R Enterpriseには3つのコンポーネントがあります。

Oracle R Enterpriseのコンポーネントについては、第3章で説明します。

Oracle R Connector for Hadoopは、関連製品です。

Oracle R Enterpriseにも、最もよく使用される基本的な統計プロシージャを実行する関数が組み込まれています。詳細は、第5章を参照してください。

この章の残りの部分では、Oracle R EnterpriseのアーキテクチャOracle R Enterpriseのデータ型およびOracle R Enterpriseでサポートされる構成について説明します。

Oracle R Enterpriseのアーキテクチャ

Oracle R Enterpriseには、Connector for Hadoopなど次の3つのコンポーネントがあります。

oreug_vm_001.pngの説明が続きます。
図oreug_vm_001.pngの説明

  1. クライアントRエンジンは、Oracle Databaseへの接続と、そのデータベース内のデータとの対話を可能にするRパッケージの集まりです。

    どのRコマンドもクライアントから使用できます。さらに、クライアントは、次の関数を提供します。

    • R SQL透過層は、R関数をインターセプトし、データベース内の実行をスケーラブルにします

    • 関数によって、データ変換、統計関数およびOracle R Enterprise固有関数がインターセプトされます

    • オープン・ソースRと同様のインタラクティブなグラフィカル結果表示およびフロー制御

    • Oracle Database内で実行するためのR閉包(関数)の送信。

  2. サーバーは、Oracle Database 12cリリース1(12.1)をOracle R Enterpriseクライアントをサポートするために必要な機能で強化するPL/SQLプロシージャおよびライブラリの集まりです。Rエンジンは、埋込みRの実行をサポートするためにOracle Databaseにもインストールされます。Oracle Databaseは、Rエンジンを生成し、それによってデータの並列性を提供できます。

    Oracle R Enterpriseのデータベース・エンジンは、次の機能を提供します。

    • 大きなデータセットに対するスケーラビリティ

    • データベース内の表、ビュー、外部表、およびデータベース・リンクを介してアクセス可能なものへのアクセス。

    • SQL問合せのパラレル実行の使用

    • データベース内の統計およびデータ・マイニング機能の使用

  3. Oracle Databaseによって生成されるRエンジンは、データベースによって管理される並列性をサポートし、Rスクリプトのスケジュールされた完全自動の実行、つまり、PL/SQLまたはSQL問合せ内にパッケージ化されたRスクリプトのスケジューリングまたは起動を提供します。Oracle R Enterpriseは、生成されたエンジンとの間の効率的な転送を提供します。埋込みRの実行を使用すると、MapReduceスタイルのプログラミングをエミュレートできます。

Oracle R Enterprise固有のデータ型がいくつかあります。詳細は、「Oracle R Enterpriseのデータ型」を参照してください。

Oracle R Connector for Hadoop

Oracle R Connector for Hadoop (ORHC)は、ローカルR環境とHadoop間のインタフェースを提供するRパッケージです。このパッケージは、他のRパッケージの場合と同じようにインストールおよびロードします。R関数を使用して、Rメモリー、ローカル・ファイルシステム、HDFS間でデータをコピーできます。Hadoop MapReduceジョブとして実行し、それらの場所に結果を返すよう、Rプログラムをスケジュールできます。

ORHCは、Oracle Big Data Applianceにプリインストールされていますが、Oracle Big Data Connectorsの1つとして別にライセンスされています。ORHCは、Oracle Big Data Appliance上のもの以外のHadoopクラスタにインストールできます。

ORHCの詳細は、Oracle Big Dataドキュメント・ライブラリ(http://docs.oracle.com/cd/E27101_01/index.htm)の一部であるOracle Big Data Connectorsユーザーズ・ガイド(http://docs.oracle.com/cd/E27101_01/doc.10/e27365/toc.htm)を参照してください。

Oracle R Enterpriseのデータ型

Oracle R Enterpriseでは、多数のRデータ型にバリアントが導入されています。Oracle R Enterpriseデータ型の名前は、対応するRデータ型の名前にore接頭辞を付けたものです。これらのデータ型によって、Rオブジェクトとデータベース表またはビューとの間のマッピングが確立されます。このマッピングによって、Oracleオブジェクトのメタデータが追跡され、それによってSQL問合せの生成が支援されます。これらのデータ型によって、Oracle R Enterprise透過層の基盤が構築されます。

次のRデータ型が、データベース内での透過的な実行のために、オーバーロードされています。

  • 文字、整数、数値および論理ベクトル、

  • ファクタ

  • データ・フレーム

  • マトリクスは、次の2つの状況でオーバーロードされます。

    • 線形代数クロス積

    • 高度な分析のための入力マトリクスの作成

詳細と例は、「Oracle R Enterprise透過層」を参照してください。

Oracle R Enterpriseのサポートされる構成

Oracle R Enterpriseは、クライアントとサーバーで構成されています。クライアントとサーバーは、どちらもMicrosoft Windows (32-bitおよび64-bit)、Oracle Linux、Red Hat Linux、SolarisおよびIBM AIX上で稼働します。サーバーは、Oracle Database 12cリリース1 (12.1)にインストールされ、それにクライアントが接続します。Oracle R Enterpriseは、LinuxまたはSolarisオペレーティング・システムを実行しているOracle Exadataマシン、およびSPARC SuperCluster上でも稼働します。詳細は、「前提条件」を参照してください。

Oracle R Enterpriseのインストールについては、第2章で説明します。