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Oracle® Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス
12cリリース1 (12.1)
B71298-08
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TRANSPORT TABLESPACE

用途

TRANSPORT TABLESPACEコマンドを使用すると、ソース・データベースのライブ・データファイルではなく、RMANのバックアップからトランスポータブル表領域セットを作成できます。

関連項目:

RMANでの表領域のトランスポート方法は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

前提条件

『Oracle Database管理者ガイド』で説明されているトランスポータブル表領域セットの作成に関する制限事項は、表領域を読取り専用にする要件を除いて、バックアップから表領域をトランスポートする場合に適用されます。

SYSAUX表領域は、リカバリ・セット(トランスポートする表領域のセット)に含めないようにします。RMANは、SYSAUX表領域を補助セット(データファイルと、表領域のトランスポートに必要な他のファイルを含む)に組み込みます。

TRANSPORT TABLESPACEでは、エンディアン形式は変換しません。ターゲット・プラットフォームに別のエンディアン形式が含まれている場合は、TRANSPORT TABLESPACEの実行後に、CONVERTコマンドを使用して、トランスポータブル・セットのデータファイルのエンディアン形式を変換します。

表領域を削除すると、TRANSPORT TABLESPACEのSCNが表を削除したときのSCNより古い場合でも、後でTRANSPORT TABLESPACEを使用してこの表領域をトランスポータブル表領域セットに含めることはできません。表領域名を変更すると、TRANSPORT TABLESPACEを使用して、表領域名を変更した時点よりも前の時点でのトランスポータブル表領域セットは作成できません。

バックアップおよびバックアップ・メタデータ

必要なすべての表領域(補助セットの表領域を含む)のバックアップ、およびターゲット時刻までリカバリするために必要なアーカイブREDOログ・ファイルが必要です。

リカバリ・カタログを使用せずに、必要なバックアップに関するメタデータを含む制御ファイル・レコードがデータベースで再使用された場合、バックアップをRMANで検索できないため、そのコマンドは失敗します。CATALOGを使用してバックアップをRMANリポジトリに追加できる場合がありますが、制御ファイル・レコードがデータベースで上書きされている場合は、他のバックアップのレコードが失われる場合があります。

データ・ポンプ・エクスポート/インポート

RMANではデータ・ポンプ・エクスポート/インポート・ユーティリティが使用されるため、トランスポートする表領域でXMLTypeが使用されている場合、TRANSPORT TABLESPACEは使用できません。この場合は、『Oracle Database管理者ガイド』の手順を使用する必要があります。

エクスポート・ダンプ・ファイルの名前の付いたファイルが表領域のトランスポート先に存在すると、TRANSPORT TABLESPACEはデータ・ポンプ・エクスポートの呼出し時に失敗します。以前のTRANSPORT TABLESPACEジョブを繰り返す場合は、エクスポート・ダンプ・ファイルを含む以前の出力ファイルを削除してください。

表領域と列の暗号化

列レベルで機能する透過的データ暗号化(TDE)列暗号化とTDE表領域暗号化のデータベース暗号化機能のいずれにも、Oracleソフトウェア・キーストアが使用されています。暗号化される表領域または暗号化された列を含む表領域には、次の制限が適用されることに注意してください。

  • トランスポートする表領域が暗号化されている場合は、トランスポート先データベースにキーストアを手動でコピーする必要があります。

  • 複製先データベースにキーストアがすでに存在する場合は、ソース・データベースのキーストアを複製先データベースにコピーすることはできません。したがって、キーストアがすでに存在するデータベースには、暗号化データをトランスポートできません。TDE列暗号化で列を暗号化する場合は、パスワードで保護されたエクスポート・ファイルにそれらをエクスポートし、そのデータを複製先データベースにインポートできます。

関連項目:

TDEの詳細は、『Oracle Database Advanced Securityガイド』を参照してください

使用上の注意

RMANでは同じノードでのリストアおよびリカバリに使用される自動補助インスタンスがソース・インスタンスとして作成されるため、TRANSPORT TABLESPACEコマンドの操作中にパフォーマンス・オーバーヘッドが発生します。

RMANがデータベースのバックアップ計画の一部分でない場合は、必要なデータファイル・コピーおよびアーカイブREDOログ・ファイルがディスクで使用可能なかぎり、TRANSPORT TABLESPACEを使用できます。CATALOGコマンドを使用してデータファイル・コピーおよびアーカイブREDOログ・ファイルをRMANリポジトリに記録します。その後、TRANSPORT TABLESPACEを使用できます。また、TRANSPORT TABLESPACEを使用できるように、RMANを使用してデータベースをバックアップするオプションもあります。

セマンティクス

transpt_tbs

構文要素 説明

tablespace_name

トランスポートする各表領域の名前を指定します。

必要なすべての表領域(補助セットの表領域を含む)のバックアップ、およびTRANSPORT TABLESPACE操作のターゲット時刻までリカバリできる、RMANで使用可能なアーカイブREDOログ・ファイルが必要です。

transpt_tbs_optlist

この副次句では、表領域のトランスポートに影響を与えるオプションのパラメータを指定します。

構文要素 説明
AUXILIARY DESTINATION 'location'

補助インスタンス用のファイルの格納場所を指定します。

SET NEWNAMECONFIGURE AUXNAMEを使用すると、個々のファイルに対してこの引数をオーバーライドできます。独自の初期化パラメータ・ファイルを使用して補助インスタンスをカスタマイズする場合は、AUXILIARY DESTINATIONのかわりに、DB_FILE_NAME_CONVERTおよびLOG_FILE_NAME_CONVERT初期化パラメータを使用できます。

関連項目: 補助インスタンス・ファイルの様々なネーミング手法での相互作用の詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

DATAPUMP DIRECTORY datapump_directory

データ・ポンプ・エクスポートの出力が作成されるデータベース・ディレクトリ・オブジェクトを指定します(例3-73を参照)。指定しない場合、RMANはTABLESPACE DESTINATIONで指定された場所にファイルを作成します。

関連項目: データ・ポンプ・エクスポートおよびデータベース・ディレクトリ・オブジェクトの詳細は、『Oracle Databaseユーティリティ』を参照してください。

DUMP FILE 'filename'

データ・ポンプ・エクスポートのダンプ・ファイルを作成する場所を指定します。指定しない場合、エクスポート・ダンプ・ファイルは、dmpfile.dmpという名前で、DATAPUMP DIRECTORY句で指定された場所または表領域のトランスポート先に格納されます。

注意: エクスポート・ダンプ・ファイルの名前の付いたファイルが表領域のトランスポート先に存在すると、TRANSPORT TABLESPACEはデータ・ポンプ・エクスポートの呼出し時に失敗します。以前のTRANSPORT TABLESPACEジョブを繰り返す場合は、エクスポート・ダンプ・ファイルを含む以前の出力ファイルを削除してください。

EXPORT LOG 'filename'

データ・ポンプ・エクスポートで生成されたログの場所を指定します。省略した場合、エクスポート・ログは、explog.logという名前で、DATAPUMP DIRECTORY句で指定された場所または表領域のトランスポート先に格納されます。

IMPORT SCRIPT 'filename'

トランスポート先データベースのトランスポートされた表領域に接続する際に使用する、RMANで生成されるサンプル入力スクリプトのファイル名を指定します。省略した場合、インポート・スクリプトはimpscript.sqlという名前になります。このスクリプトは、表領域のトランスポート先に格納されます。

TABLESPACE DESTINATION tablespace_destination

表領域のトランスポート操作が完了した後の、トランスポートされた表領域のデータファイルの場所を指定します。

TO RESTORE POINT restore_point_name

リストア・ポイントを作成した時点のSCNを上限として、表領域のリストアおよびリカバリのリストア・ポイントを指定します。指定した値は含まれます。上限値が含まれるため、RMANは、リストア・ポイントに対応するSCNまで表領域をリストアまたはリカバリできるファイルのみを選択します。

untilClause

過去の時刻、SCNまたはログ順序番号を指定します(例3-72を参照)。指定した場合、RMANは、エクスポート前に補助インスタンスで表領域をその過去の時点における表領域の内容にリストアおよびリカバリします。

表領域名を変更すると、このコマンドを使用して、表領域名を変更した時点よりも前の時点でのトランスポータブル表領域セットを作成することはできません。RMANには、前の表領域名に関する情報がありません。

TRANSPORT TABLESPACEUNTIL時刻またはSCNの時点のUNDOセグメントを含む表領域は、補助セットの一部である必要があります。制御ファイルには、現時点でのUNDOセグメントを含む表領域のレコードのみが含まれています。UNDOセグメントを含む表領域セットがUNTIL時刻やSCNでのものと異なる場合、TRANSPORT TABLESPACEは失敗します。したがって、NOCATALOGモードでRMANを使用し、UNTILを指定する場合、TRANSPORT TABLESPACEを実行する時点のUNDOセグメントを含む表領域セットは、UNTIL時刻またはSCNでのUNDOセグメントを含む表領域セットと同じである必要があります。

例3-72 過去の時刻を指定したTRANSPORT TABLESPACEの使用

この例では、トランスポータブル・セットの表領域はexampleおよびtoolsで、トランスポータブル・セットのファイルは/disk1/transport_destに格納されます。また、トランスポータブル表領域は、15分前の時刻までリカバリされます。

TRANSPORT TABLESPACE example, tools
  TABLESPACE DESTINATION '/disk1/transportdest'
  AUXILIARY DESTINATION '/disk1/auxdest'
  UNTIL TIME 'SYSDATE-15/1440';

次に出力例の一部を示します。

Creating automatic instance, with SID='egnr'
 
initialization parameters used for automatic instance:
db_name=PROD
compatible=11.0.0
db_block_size=8192
.
.
.
starting up automatic instance PROD
.
.
. 
executing Memory Script
 
executing command: SET until clause
 
Starting restore at 07-JUN-13
allocated channel: ORA_AUX_DISK_1
channel ORA_AUX_DISK_1: SID=44 device type=DISK
 
channel ORA_AUX_DISK_1: starting datafile backup set restore
channel ORA_AUX_DISK_1: restoring control file
.
.
.
output file name=/disk1/auxdest/cntrl_tspitr_PROD_egnr.f
Finished restore at 07-JUN-13
 
sql statement: alter database mount clone database
 
sql statement: alter system archive log current
 
sql statement: begin dbms_backup_restore.AutoBackupFlag(FALSE); end;
 
starting full resync of recovery catalog
full resync complete
.
.
.
executing Memory Script
.
.
.
 
Starting restore at 07-JUN-13
using channel ORA_AUX_DISK_1
 
channel ORA_AUX_DISK_1: starting datafile backup set restore
channel ORA_AUX_DISK_1: specifying datafile(s) to restore from backup set
channel ORA_AUX_DISK_1: restoring datafile 00001 to /disk1/auxdest/TSPITR_PROD_EGNR/datafile/o1_mf_system_%u_.dbf
datafile 1 switched to datafile copy
.
.
.
starting media recovery
.
.
. 
Finished recover at 07-JUN-13
 
database opened
.
.
.
executing Memory Script
.
.
.
sql statement: alter tablespace EXAMPLE read only
Removing automatic instance
shutting down automatic instance
Oracle instance shut down
Automatic instance removed
auxiliary instance file /disk1/auxdest/cntrl_tspitr_PROD_egnr.f deleted
.
.
.

例3-73 カスタマイズされたファイルの場所を指定したTRANSPORT TABLESPACEの使用

この例では、データ・ポンプ関連ファイル(ダンプ・ファイルなど)の場所を制御するオプションの引数の使用方法を示します。DATAPUMP DIRECTORYは、ターゲット・データベースに存在するオブジェクトを参照する必要があります。SQL文のCREATE DIRECTORYを使用すると、ディレクトリ・オブジェクトを作成できます。

TRANSPORT TABLESPACE example
  TABLESPACE DESTINATION '/disk1/transportdest'
  AUXILIARY DESTINATION '/disk1/auxdest'
  DATAPUMP DIRECTORY mypumpdir
  DUMP FILE 'mydumpfile.dmp'
  IMPORT SCRIPT 'myimportscript.sql'
  EXPORT LOG 'myexportlog.log';