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Oracle® Spatial and Graph開発者ガイド
12cリリース1 (12.1)
B72470-07
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1.3 空間データの概要

Oracle Spatial and Graphは、位置情報アプリケーションおよび地理情報システム(GIS)・アプリケーションのユーザーが、簡単に無理のない形で空間データを管理できるように設計されています。Oracle Databaseに格納された空間データは、簡単に操作および取出しができ、データベースに格納された他のすべてのデータとの関連付けも可能です。

空間データの一般的な例としては、道路地図があります。道路地図は点、線およびポリゴンを含む2次元オブジェクトであり、都道府県などの行政的境界、都市および道路を表現できます。道路地図は地理情報を視覚化したものです。地表面に存在する行政的境界、都市および道路の位置は、レンダリング対象となるオブジェクトの相対位置と相対距離を維持したまま、2次元の画面または紙上に投影されます。

レンダリングされるこれらのオブジェクトの地表面位置(緯度と経度など)を示すデータが、空間データです。地図のレンダリングでは、この空間データを使用することによって、オブジェクトの位置を2次元の紙上に投影します。GISは、このような地表面と相関する空間データを格納、取出しおよびレンダリングする一般的な方法です。

Spatial and Graphを使用して格納できる空間データの種類には、GISデータ以外にコンピュータ支援設計(CAD)システムとコンピュータ支援製造(CAM)システムのデータがあります。CADおよびCAMシステムでは、地理的なスケールでオブジェクトを処理するのではなく、自動車のエンジンまたはプリント回路基板などの比較的小さいスケールを扱います。

これらのシステムの違いはデータのサイズと精度のみで、データの複雑さではありません。これらのすべてのシステムで同数の点データを処理することも考えられます。地理的なスケールでは、ある橋の位置に1/10インチ単位の誤差があっても、実際の道路工事の際には、問題が発生することはありせん。それに対して、エンジンのピストンの直径が1/10インチ単位でもずれてしまうと、エンジンは作動しません。

また、データの複雑さは、表現されている領域の絶対スケールとは無関係です。たとえば、多くのプリント回路基板の場合、その基板上に数千個のオブジェクトがエッチングされ、その小さい面積に道路の工事現場の青写真の詳細図より複雑な情報が含まれます。

これらのアプリケーションは、空間および非空間の両方の属性を持つフィーチャの集合について、格納、検索、更新または問合せのすべてを行います。非空間属性の名前の例には、soil_type、landuse_classificationおよびpart_numberがあります。空間属性は、そのフィーチャの形を、座標またはベクトル・ベースで表現するものです。