最も高速なデータ移動の方法は、データベースのデータ・ファイルを、データの解析や変更を行わずに、ターゲット・データベースにコピーすることです。この方法では、データ・ポンプ・エクスポートを使用して、構造的な情報(メタデータ)のみをダンプ・ファイルにアンロードします。この方法は、次のような場合に使用します。
トランスポータブル表領域のエクスポートの指定に、TRANSPORT_TABLESPACES
パラメータが使用されている場合。指定した表領域のメタデータのみがエクスポートされます。
表モード・エクスポート(TABLES
パラメータで指定)、全体モード・エクスポート(FULL
パラメータで指定)、または全体モード・ネットワーク・インポート(FULL
およびNETWORK_LINK
パラメータで指定)でTRANSPORTABLE=ALWAYS
パラメータが指定されている場合。
エクスポート操作でデータ・ファイル・コピーが使用されている場合、対応するインポート・ジョブでも常にデータ・ファイル・コピーが使用されます。その後のインポート操作時に、データ・ファイルとエクスポート・ダンプ・ファイルの両方をロードする必要があります。
注意:
トランスポータブル・インポート中、表領域を一時的に読取り/書込み可能にしてから、読取り専用に戻します。これは、パフォーマンスを向上させるためにOracle Database 12cリリース1 (12.1.0.2)で導入された新しい動作です。ただし、この動作によって、インポート・ジョブのデータ・ファイルのSCNが変更されることを認識しておく必要があります。これによって、今後、これらのファイルのトランスポータブル・インポート中に問題が発生する可能性があります。
たとえば、表領域を読取りまたは書き込み可能にした後に、トランスポータブル表領域インポートが失敗した場合(読取り専用に戻した場合でも)、データ・ファイルは破損します。これらはリカバリできません。
トランスポータブル・ジョブは再起動できないので、失敗したジョブは最初から再起動する必要があります。破損したデータ・ファイルを削除し、破損していないバージョンをターゲットにコピーする必要があります。
トランスポータブル・ジョブを実行する場合、ベスト・プラクティスは、インポート・ジョブがターゲット・システムで正常に完了するまで、ソース・システムにデータ・ファイルのコピーを保持することです。インポート・ジョブがなんらかの理由で失敗しても、破損していないデータ・ファイルのコピーが残ります。
データ・ファイル・コピーを使用してデータを移動する場合、ソース・データベースとターゲット・データベース間のキャラクタ・セットの互換性に関する制限があります。詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。
ソース・プラットフォームとターゲット・プラットフォームのエンディアンが異なる場合、転送するデータを変換してターゲット・プラットフォームの形式にする必要があります。DBMS_FILE_TRANSFER
PL/SQLパッケージまたはRMAN
CONVERT
コマンドを使用してデータを変換できます。
関連項目:
RMAN CONVERT
コマンドの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・リファレンス』を参照してください。
データベース間で行う表領域の転送の詳細および例(データの変換方法を含む)は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。