この章では、TimesTenデータベース上で最適に実行されるようにODBCアプリケーションをチューニングする方法について説明します。チューニングの一般的な詳細は、『Oracle TimesTen In-Memory Databaseオペレーション・ガイド』のTimesTen Databaseのパフォーマンス・チューニングに関する項を参照してください。
この章の内容は次のとおりです。
ドライバ・マネージャで提供される一部の機能を必要としないODBCアプリケーションは、ドライバ・マネージャを使用しないでTimesTenにリンクできます。特に、TimesTen以外のデータ・ベース・システムへのODBCアクセスを必要としないアプリケーションでは、ドライバ・マネージャを省略する必要があります。これは、アプリケーションをTimesTenの直接ドライバまたはクライアント・ドライバに直接リンクすることによって行います(「リンク・オプション」を参照)。パフォーマンスが大幅に向上します。
注意: データベースに接続している一部のアプリケーションは、ドライバ・マネージャを使用してリンクできますが、同じデータベースに接続している他のアプリケーションは、直接リンクされます。 |
アプリケーションで、バッチと呼ばれる文の実行のグループを使用して、パフォーマンスを向上できます。
SQLParamOptions
ODBC関数では、アプリケーションによってSQLBindParameter
で割り当てられるパラメータのセットに複数の値を指定できます。これは、同じSQL文を様々なパラメータ値を使用して複数回処理する場合に有効です。たとえば、アプリケーションで、INSERT
文に関連付けられているパラメータのセットに複数の値のセットを指定すると、INSERT
文を1回実行してその挿入処理をすべて実行できます。
TimesTenでは、SQLParamOptions
をINSERT
、UPDATE
、DELETE
およびMERGE
文とともに使用できますが、SELECT
文とともに使用することはできません。TimesTen 11gリリース2(11.2.2)では、次のバッチ・サイズをお薦めします。
INSERT
文に256
UPDATE
文に31
DELETE
文に31
MERGE
文に31
表7-1に、SQLParamOptions
引数の概要を示します。詳細は、ODBC APIのリファレンス・マニュアルを参照してください。
crow
値が1より大きく、SQLBindParameterの
rgbValue引数がパラメータ値の配列を指し、
pcbValue
引数が長さの配列を指すことを想定しています。(「SQLBindParameter関数」も参照してください。)
バッチ処理の完全な動作例は、TimesTenクイック・スタート・デモのソース・ファイルbulkinsert.c
を参照してください。(TTClassesを使用したC++でのプログラミングについては、bulktest.cpp
も参照してください。)
注意: SQLParamOptions をTimesTen Client/Serverドライバとともに使用する場合、実行時データ・パラメータはサポートされません。(アプリケーションは、SQLBindParameter rgbValue バッファで、またはSQLPutData に対する1つ以上のコールとともにパラメータの値を渡すことができます。SQLPutData とともにデータが渡されるパラメータは、実行時データ・パラメータといいます。これらは一般に、SQL_LONGVARBINARY およびSQL_LONGVARCHAR パラメータのデータを送信するために使用され、その他のパラメータと混在することができます。) |
SQLBindCol
またはSQLBindParameter
は、型変換およびプログラム・バッファをデータ列またはパラメータと関連付けるためにコールします。特定のSQL文で、文を繰り返し実行する間に特定のデータ列またはパラメータに対する型変換またはメモリー・バッファが変更されない場合は、SQLBindCol
またはSQLBindParameter
を繰り返しコールしないことをお薦めします。1回準備し、1回バインドして、何回も実行します。
注意: SQL_UNBIND オプションを指定してSQLFreeStmt をコールすると、すべての列がアンバインドされます。 |
SQLGetData
を使用すると、列をバインドせずにデータをフェッチできます。この場合、アプリケーションでフェッチ対象のすべての行のすべての列に対してSQLGetData
ODBCコールを発行する必要があるため、パフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。一方、バインドされた列を使用する場合は、フェッチされる列ごとに1回のみのODBCコールが必要となります。また、TimesTen ODBCドライバには、バインドされた列でデータをフェッチする方法が適しています。
ただし、SQLGetData
は、長い文字列またはバイナリ列からデータをピース単位でフェッチする場合に非常に有効です。(「ODBCでのLOBのピース単位のデータ・インタフェースの使用」のLOBに関する説明を参照してください。)
TimesTenの命令パスは非常に短いため、データ変換による短時間の遅れでさえ、トランザクション時間の大幅な増加の原因となる可能性があります。データ型の変換を回避するには、次の手順を実行します。
入力引数の型と式の型を一致させます。
出力バッファの型とフェッチされた値の型を一致させます。
接続キャラクタ・セットとデータベース・キャラクタ・セットを一致させます。
TimesTenは、TT_PREFETCH_COUNT
オプションを備えています。これは、SQLSetStmtOption
を使用して設定でき、これによってアプリケーションは複数のデータ行をフェッチできます。この機能は、コミット読取り分離レベルを使用しているアプリケーションで使用できます。大量のTimesTenデータを取得するアプリケーションの場合、複数行のフェッチによってパフォーマンスを大幅に向上させることができます。ただし、アプリケーションですべてのデータが取得されるまで、取得されるすべての行にロックが設定されるため、同時実行性は低下します。TT_PREFETCH_COUNT
の使用方法の詳細は、「複数のデータ行のプリフェッチ」を参照してください。