ご使用のデータベース環境に応じたアップグレード・オプションと計画、およびOracle Databaseのアップグレード処理を自動化するツールの配列が提供されています。
この章の内容は次のとおりです。
Optimal Flexible Architecture (OFA)およびOracle Databaseのインストール
Oracle Database Express Edition (Oracle Database XE)からOracle Databaseへの移行
アップグレードによって、既存のOracle Database環境(インストール済コンポーネントおよび関連するアプリケーション)がOracle Database 12c環境に変換されます。データベースのデータ・ディクショナリは、新しいリリースにアップグレードされます。アップグレードによってユーザー・データが直接影響を受けることはありません。アップグレード中に、データへのアクセス、データの変更または移動が行われることはありません。
データを移行することは、1つのOracle Databaseから、データの移行または移動用に事前に作成された別のデータベースにデータを移動することです。データを移行するのは、新しいハードウェアやオペレーティング・システム・プラットフォーム、または新しいキャラクタ・セットにデータベース環境を移動する必要がある場合です。最新リリースにアップグレードすることは、移行には含まれません。アップグレード処理は、データの移行後に個別に行われます。
『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』に記載されているアップグレード手順はすべてのオペレーティング・システムに適用されますが、例外として、オペレーティング・システム固有の詳細項目が必要になる可能性があります。この場合、オペレーティング・システムの『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』を参照するように指示されます。
この項の内容は次のとおりです。
アップグレード処理を自動化し、時間を最も効率的に使用するための機能および製品が提供されています。Oracle Databaseでは、データベースを新しいリリースにアップグレードするための次の方法がサポートされています。
Database Upgrade Assistant(DBUA)
Graphical User Interfaceによる指示に従ってデータベースをアップグレードできます。DBUAはインストール中にOracle Universal Installerから起動することもできますが、後からいつでもスタンドアロン・ツールとしてDBUAを起動することができます。
注意: メジャー・リリースのアップグレードまたはパッチ・リリースのアップグレードには、DBUAを使用する方法が推奨されています。 |
SQLスクリプトおよびユーティリティを使用した手動アップグレード
SQLスクリプトとユーティリティを使用して、アップグレードをコマンドラインで実行できます。
エクスポートおよびインポート・ユーティリティが提供されます。Oracle Data Pumpでは、データベースの全体または一部をエクスポートし、それを新しいリリースのOracle Databaseにインポートできます。Oracle Data Pumpのエクスポート/インポートは、データベースを変更することなく、データベース内のデータのサブセットをコピーできます。
データベースから新しいOracle Database 12cデータベースにデータをコピーします。データのコピーによって、データベースを変更することなく、データのサブセットをコピーできます。
アップグレード処理では、アップグレードの前後およびアップグレード中に実行するツールおよびスクリプトのセットが提供されます。表1-1、「アップグレード、アップグレード後およびダウングレード・スクリプト」に、各種のスクリプトおよびツールとその説明をリストします。これらのツールの一部は、UPGRADEモードで実行することはできません。
表1-1 アップグレード、アップグレード後およびダウングレード・スクリプト
スクリプト | 説明 |
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UPGRADEモードで実行する必要があります。このスクリプトは、CDBをアップグレードする際に使用されます。 |
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UPGRADEモードで実行する必要があります。Oracle Database 12cでは、 |
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これは、ダウングレード・スクリプトで、アップグレードする前の以前のリリースへダウングレードする手順で使用します。「CDBまたは非CDBのOracle Databaseのダウングレード」を参照してください。 |
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UPGRADEモードでは実行しないでください。アップグレード後にのみ、このスクリプトを実行します。 |
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アップグレード・プロセスによって、このスクリプトが実行されますが、アップグレード前に |
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UPGRADEモードでは実行しないでください。 重要: このスクリプトの実行は必須です。 注意: 手動でアップグレードする場合、 |
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このスクリプトをUPGRADEモードで実行しないでください。 関連項目: Oracleサポート・ドキュメントID 1484775.1 ( 関連項目: 「Oracle Enterprise Manager Database Controlの構成およびデータの保存」 |
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重要: ダウングレードしてDB Controlをリストアするオプションを使用するためにDB Controlの構成およびデータの保持が必要な場合は、「Oracle Enterprise Manager Database Controlの構成およびデータの保存」に記載されている |
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このスクリプトをUPGRADEモードで実行しないでください。 |
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アップグレード・スクリプトによって作成された診断ログ・ファイルの場所は、環境変数およびパラメータの設定に応じて異なります。DIAGNOSTIC_DEST
初期化パラメータは自動診断リポジトリ(ADR)の場所を設定し、このリポジトリは、データベースの外部に格納されているディレクトリ構造です。
DIAGNOSTIC_DEST
初期化パラメータが省略されるかNULLの場合は、データベースによって次のデフォルトの設定が使用されます。
環境変数ORACLE_BASE
が設定されている場合、DIAGNOSTIC_DEST
はORACLE_BASE
で指定されたディレクトリにデフォルト設定されます。そのため、生成されたスクリプトおよびログ・ファイルはOracle_Base
/cfgtoollogs/
tool_name
/SID
/upgrade
n
に作成されます(n
は、このシステムで実行したアップグレードの続き番号を表します)。
たとえば、アップグレード中にORACLE_BASE
が定義されているシステムでDBUAによって作成されたログは、次の場所にあります。
ORACLE_BASE/cfgtoollogs/dbua/SID/upgraden
実際のアップグレードを実行する前には、Oracle_Base
/cfgtoollogs/dbua/logs
にDBUAログが保存されます。
ORACLE_BASE
が定義されていない場合、生成されたスクリプトおよびログ・ファイルはORACLE_HOME
/cfgtoollogs/
tool_name
/SID
/upgrade
n
に作成されます(n
は、このシステムで実行したアップグレードの続き番号を表します)。
Oracle Database 11g以上では、アラート・ログを含むすべての診断データがADRに格納されるため、初期化パラメータのBACKGROUND_DUMP_DEST
およびUSER_DUMP_DEST
が非推奨になりました。これらのパラメータは、ADRの場所を指定する初期化パラメータDIAGNOSTIC_DEST
に置き換えられています。
関連項目: DIAGNOSTIC_DEST初期化パラメータの使用およびADRの詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』 を参照してください。 |
サポートWebサイトでは、アップグレード前の要件、アップグレード処理、アップグレード後、互換性および相互運用性に関する最新情報、ディスカッションおよびベスト・プラクティスが提供されています。
Oracle Databaseリリースの最新情報は、My Oracle Support (http://support.oracle.com
)を参照してください。Note IDまたは「データベース・アップグレード」などのキーワードで検索できます。My Oracle Supportの使用方法のヘルプは、http://docs.oracle.com/cd/E25290_01/index.htm
にあります。
表1-2 My Oracle SupportでのOracle Databaseのアップグレードに関する情報
参照内容 | 参照先 |
---|---|
My Oracle Support (MOS)およびサポート・ノートの使用方法の詳細は、 |
|
Oracle Database 11gリリース2 (11.2)への個別アップグレードの実行 |
My Oracle Support ( |
アップグレード前情報ツールのダウンロードおよび実行 |
My Oracle Support ( |
現行のOracle Databaseがリリース10.2.0.5、11.1.0.7またはリリース11.2.0.2以上の場合、Oracle Database 12cへの直接のアップグレードを実行できます。現行のOracle Databaseがリリース10.2.0.5より前またはリリース11.2.0.1の場合は、Oracle Database 12cへの直接のアップグレードはサポートされていません。この場合は、新しいOracle Database 12cリリースにアップグレードする前に、中間リリースにアップグレードするか、エクスポート/インポートなどの代替のアップグレード方法を使用する必要があります。
既存のOracle Databaseを新しいOracle Database 12cリリースにアップグレードする手順の詳細は、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』の該当する章を参照してください。
次の手順に、アップグレード処理で実行する主な手順の概要を示します。
図1-1に、アップグレード処理の主な手順を示します。
手順1: Oracle Databaseをアップグレードするための準備
新しいOracle Databaseのリリースの機能を理解します。
新しいリリースへのアップグレード・パスを決定します。
アップグレード方法を選択します。
新しいリリースのOracleホーム・ディレクトリを選択します。
テスト計画を作成します。
バックアップ計画を準備します。
注意: アップグレード中、新しいリリースをテストしている間、既存のリリースを本番環境として使用するために複数のリリースのデータベース・ソフトウェアを実行することを検討してください。「複数のOracleリリースの実行の概要」を参照してください。 |
手順2: Oracle Databaseのアップグレード処理のテスト
テスト・データベースを使用して、アップグレードのテストを実行します。アップグレードのテストは、テスト用に作成した環境で行う必要があり、実際の本番データベースに影響しないようにします。
手順3: アップグレードしたテスト用Oracle Databaseのテスト
Oracle Databaseの新しいリリースにアップグレードしたテスト・データベースに対して、手順1で計画したテストを実行します。
結果を確認し、テストでの相違点を記録します。
発見した相違点を解決する方法を調べて、その解決方法を実装します。
アップグレードのテストが問題なく完了し、必要なアプリケーションで正常に動作するまで、必要に応じて手順1、手順2および手順3の最初の部分を繰り返します。
第2章「Oracle Databaseのアップグレードの準備」では、手順1から3までを詳しく説明します。
手順4: 本番Oracle Databaseの準備および保存
Oracle Databaseの新しいリリースへのアップグレードが正しく行われるように、現行の本番データベースを準備します。
本番データベースのバックアップ処理とアップグレード処理に必要な停止時間をスケジューリングします。
現行の本番データベースのバックアップを作成します。データベースのデータが失われないように、必要に応じて、全体または増分バックアップを作成します。
第2章「Oracle Databaseのアップグレードの準備」では、手順4を詳しく説明します。
手順5: 本番Oracle Databaseのアップグレード
Oracle Databaseの新しいリリースに本番データベースをアップグレードします。
第3章「Oracle Databaseのアップグレード」では、DBUAを使用または手動アップグレードを実行する場合の手順5について説明します。
アップグレードの後、本番データベースの全体バックアップおよびその他のアップグレード後の処理を行います。
第4章「Oracle Databaseのアップグレード後の作業」では、アップグレード後の手順5のバックアップ手順および手順6のその他のアップグレード後の処理について説明します。
手順6: 新しい本番Oracle Databaseのチューニングおよび調整
Oracle Database 12cの新しい本番データベースをチューニングします。新しい本番データベースのパフォーマンスは、アップグレード前のデータベースと同等以上にする必要があります。
第4章「Oracle Databaseのアップグレード後の作業」では、これらの調整について説明します。
Oracle Database 12cのどの機能を使用するかを決定し、それに応じてアプリケーションを更新します。
必要に応じて、新しいデータベース管理の手順を作成します。
すべてのアプリケーションがテストされ、適切に動作するまでは、本番ユーザーを新しいリリースにアップグレードしないでください。
第5章「Oracle Databaseのアップグレード後のアプリケーションのアップグレード」では、アプリケーションの更新について説明します。
『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』では、Oracle Databaseの異なるリリース間での移動について説明します。リリース番号の最初の部分はメジャー・リリース番号を示します。Oracle Databaseのメンテナンス・リリースはリリース番号の2つ目の部分の変更で示されます。パッチ・リリースは4つ目の部分の変更で示されます。
図1-2に、リリース番号の各部分とその意味を示します。
関連項目:
|
『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』にデータベースのメジャー・リリース番号に関する説明が記載されている場合、その説明は、そのデータベースのメジャー・リリースに含まれるすべてのリリースに適用されます。
同様に、『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』にメンテナンス・リリースに関する説明が記載されている場合、その説明は、そのメンテナンス・リリースに含まれるすべてのコンポーネント固有のリリースおよびプラットフォーム固有のリリースに適用されます。Oracle Database 12cに関する説明は、このリリースに含まれるすべてのコンポーネント固有のリリースおよびプラットフォーム固有のリリースに適用されます。Oracle Database 11gリリース2 (11.2)に関する説明は、リリース11.2.0.2、リリース11.2.0.3およびOracle Database 11gリリース2 (11.2)に含まれるその他すべてのプラットフォーム固有のリリースに適用されます。
同一のコンピュータ上で異なるリリースのOracle Databaseを同時に実行できます。ただし、複数のリリースを同時に使用する場合は次の条件を考慮する必要があります。
Oracle Databaseは、以前のリリースとは別の新しいOracleホームにインストールする必要があります。
1つのOracleホームに複数のリリースをインストールすることはできません。複数のOracleホームを作成する場合、OFAを採用することをお薦めします。「Optimal Flexible Architecture (OFA)およびOracle Databaseのインストール」を参照してください。
本番で実行するには、データベース・サーバーが、メジャー、メンテナンスおよびパッチ・リリース番号と一致している必要があります。メジャー・リリース番号と一致しているだけでは十分ではありません。
Oracle Databaseサーバーの以降のリリースは以前のデータベースとアクセスできますが、アップグレードの目的に限定されます。たとえば、Oracle Database 12cデータベース・サーバーは、アップグレード・モードで起動された場合にOracle Database 10gリリース2 (10.2.0.5)データベースにアクセスできます。
関連項目: ご使用のオペレーティング・システムでの複数のOracle Databaseリリースの実行および適用される可能性のある制限の詳細は、ご使用のオペレーティング・システムの『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』を参照してください。 |
次の項では、複数のリリースのOracle Databaseを実行する際の概要を説明します。
Oracle Database 12cを実行中で、以前のリリースのデータベースにクライアントが接続する同じコンピュータに、以前のリリースのOracle Databaseをインストールできない場合があります。たとえば、同じコンピュータ上の複数の(異なる)OracleホームにOracle Database 10g、Oracle Database 11gおよびOracle Database 12cデータベースをインストールし、Oracle Database 10g、Oracle Database 11gおよびOracle Database 12cクライアントから、このコンピュータ上のいずれかまたはすべてのデータベースに接続することはできません。1つのシステム上にいくつかのリリースの組合せを配置できる場合があります。ただし、My Oracle Support (http://support.oracle.com
)で、互換性およびサポートされる構成に関する最新情報を参照するようにしてください。
関連項目: My Oracle Support(http://support.oracle.com )のNote 207303.1「Client / Server / Interoperability Support Between Different Oracle Versions」 |
異なるコンピュータ上のOracleホームにOracle Database 12cおよびOracle Database 11gデータベースをインストールし、いずれかまたはすべてのデータベースに接続するOracle Database 11gクライアントがあるOracle Database 12cをインストールできます。ただし、最新リリースを最初にインストールし、その後に以前のリリースを古い順にインストールする必要があります。これにより、各インストールがOracleインベントリを認識します。
Oracle Databaseリリース間の相違点が原因で、互換性の問題や相互運用性の問題が発生する可能性があります。これらの違いは、一般的なデータベース管理および既存のアプリケーションに影響する可能性があります。
次の項で、互換性および相互運用性について説明します。
異なるリリースのOracle Databaseソフトウェアで同じ機能がサポートされており、その機能が同様に動作する場合は、リリースが異なってもデータベースには互換性があります。新しいリリースのOracle Databaseへアップグレードする場合、一部の新機能が原因で以前のリリースとの互換性が失われることがあります。
アップグレードしたデータベースで以前のリリースとの互換性が失われるのは、次の場合です。
新機能によってディスクに格納されるデータ(データ・ディクショナリの変更を含む)が、以前のリリースでは処理できない場合。
既存の機能の動作が、以前の環境と新しい環境とで異なる場合。
次の項目には、互換性の詳細が記載されています。
Oracle Databaseでは、COMPATIBLE
初期化パラメータを使用して、データベースの互換性を制御できます。デフォルトでは、COMPATIBLE
初期化パラメータがパラメータ・ファイルに設定されていない場合、Oracle Database 12c
では、12.0.0がデフォルトで設定されます。アップグレードしたデータベースの互換性を失わせる可能性のあるOracle Database 12cの新機能は、COMPATIBLE
初期化パラメータをこの値に設定しないかぎり使用できません。
注意:
|
注意: Oracle Databaseリリース10.2からアップグレードする場合、COMPATIBLEの値を11.0.0以上に設定する必要があります。これは、アップグレード時に行う必要があります。COMPATIBLE初期化パラメータ値を増加した後に10.2にダウングレードすることはできないため、アップグレードの準備が完了するまで、この変更は行わないでください。 |
関連項目: 初期化パラメータの管理の詳細は、『Oracle Database管理者ガイド』を参照してください。 |
表1-3に、Oracle Database 12cおよびOracle Database 12cへのアップグレードがサポートされている各リリースでのCOMPATIBLE
初期化パラメータのデフォルト値、最小値および最大値をリストします。
Oracle Database 12c以上では、Oracle Database File System (DBFS)のファイルおよびフォルダに、Oracle XML DB Repositoryからリポジトリ・パス/dbfs
でアクセスできます。この機能によって、DBFSファイルおよびフォルダに対するFTPおよびHTTP(S)/WebDAVアクセスが提供されます。DBFSファイル・システムは、Webを介して共同で編集および管理でき、WindowsプラットフォームでのDBFSファイル・システムに対するファイル・システムのようなアクセスが拡張されます。COMPATIBLE
初期化パラメータを12.0.0
に設定することで、DBFSに対する最新の拡張機能へのアクセスが可能になります。
関連項目: DBFSの使用方法の詳細は、『Oracle Database SecureFilesおよびラージ・オブジェクト開発者ガイド』を参照してください。 |
Oracle Database 12cにアップグレードする前に、COMPATIBLE
初期化パラメータを11.0.0
以上に設定する必要があります。COMPATIBLE
初期化パラメータがこの値に設定されている場合にかぎり、Oracle Database 12cのサブセットの機能のみが使用できます。
Oracle Database 12cにアップグレード後、COMPATIBLE
初期化パラメータを新しいリリースのリリース番号と一致するように設定できます。このように設定すると、新しいリリースのすべての機能を使用できますが、以前のリリースにダウングレードすることはできません。
重要: COMPATIBLE パラメータを増やすと、データベースをダウングレードできません。 |
COMPATIBLE
初期化パラメータは、Oracle Databaseの動作を制御します。COMPATIBLE
初期化パラメータは、次のように動作します。
COMPATIBLE
初期化パラメータを11.0.0
に設定してOracle Database 12cデータベースを実行すると、Oracle Database 11gと互換性のあるデータベース構造がディスクに生成されます。つまり、COMPATIBLE
初期化パラメータの設定によって、新機能を有効または無効にできます。データベースの互換性を損なう新機能をCOMPATIBLE
初期化パラメータによって使用しようとすると、エラーが発生します。ただし、互換性を損なう変更をディスクに行わない新機能はすべて使用できます。
データベースがCOMPATIBLE
初期化パラメータの設定と互換性がなくなった場合、データベースは起動せず、エラーで終了します。この場合、COMPATIBLE
初期化パラメータを、データベースに対する適切な値に設定する必要があります。
関連項目: データベース構造の詳細は、『Oracle Database概要』を参照してください。 |
データベースの互換性レベルは、COMPATIBLE
初期化パラメータの値に対応します。
COMPATIBLE初期化パラメータの現在の値を確認するには、次の手順を実行します。
次のSQL文を入力します。
SQL> SELECT name, value FROM v$parameter WHERE name = 'compatible';
Oracle Databaseにおける相互運用性とは、異なるリリースのOracle Database間での通信および連動が分散環境において可能である状態を指します。分散データベース・システムには異なるリリースのOracle Databaseを配置することができ、サポート対象すべてのリリースのOracle Databaseを分散データベース・システムに参加させることができます。ただし、分散データベースと連動するアプリケーションでは、システム内の各ノードで使用できる機能やファンクションとも相互運用できる必要があります。
新しいOracle Database 12cの最小要件によって一部またはすべてのホストのオペレーティング・システムをアップグレードする必要がある場合があるため、特にローリング・アップグレード時には、異なるオペレーティング・システムおよびオペレーティング・システム・バージョン間での相互運用性が問題となる可能性があります。そのため、ローリング・アップグレード中のシステムのすべての中間的な状態において、ドライバ、ネットワークおよびストレージ間の互換性を確認する必要があります。
注意: 『Oracle Databaseアップグレード・ガイド』では、異なるリリースのOracle Database間で実行されるアップグレードおよびダウングレードについて説明しているため、相互運用性の定義はOracle Databaseリリース用です。他のOracleのマニュアルでは、さらに幅広い定義で相互運用性という言葉を使用している場合があります。たとえば、異なるハードウェア・プラットフォームおよびオペレーティング・システム間の通信を相互運用性という場合があります。 |
関連項目: My Oracle Support(http://support.oracle.com )のNote ID 207303.1「Client / Server / Interoperability Support Between Different Oracle Versions」 |
Oracle Databaseのインストールには、Optimal Flexible Architecture(OFA)規格をお薦めします。OFA規格とは、効率的で信頼性のあるOracle Database用の構成ガイドラインであり、メンテナンスが簡素化されます。
OFAには、次のメリットがあります。
ディスク上の大量の複雑なソフトウェアおよびデータを、デバイスのボトルネックまたはパフォーマンスの低下を避けながら構成する。
ソフトウェアやデータのバックアップ機能など、データ破損の危険性のある日常業務を簡単にする。
複数のOracle Database間での切替えを軽減する。
データベースの成長を処理および管理できる。
データ・ディクショナリの空き領域の断片化を排除し、その他の断片化を分離し、リソース競合を最小化します。
現在、OFA規格を使用していない場合、OFA規格への切替えには、ディレクトリ構造の修正とデータベース・ファイルの再配置が伴います。
関連項目:
|
以前は32ビットOracle Databaseインストールを使用していて64ビットOracle Databaseソフトウェアをインストールすると、Oracle Database 12cへのアップグレード中にデータベースは自動的に64ビットに変換されます。
ローリング・アップグレードは、Oracle ClusterwareおよびOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM) (まとめて Oracle Grid Infrastructureと称される)では動作しますが、Oracle Databaseソフトウェアでは動作しません。Oracle Real Application Clusters (Oracle RAC)環境では、ローリング・アップグレードを使用してOracle Databaseのメジャー・リリース、メンテナンス・リリースまたはパッチ・リリースへのアップグレードはできません。ただし、Oracle RAC環境では、ほとんどのデータベース・パッチ(個別パッチと呼ばれることもある)およびすべてのデータベース・パッチ・セット更新および重要なパッチ更新(PSUおよびCPU)は、ローリング・パッチ・インストールを使用して適用できます。
表1-4は、ローリング・アップグレードの様々な実行方法の概要と適切なドキュメントへの参照情報を示しています。
表1-4 ローリング・アップグレードの実行方法
方法 | 説明 | 参照 |
---|---|---|
Oracle Enterprise Manager Cloud Control |
Oracle Database 12c以上では、データベースのローリング・アップグレードを実行するためのCloud Controlサポートが提供されています。 |
Oracle Enterprise Manager Cloud Controlのオンライン・ヘルプ |
SQL Applyおよびロジカル・スタンバイ・データベースを使用して、Oracle Databaseソフトウェアおよびパッチ・セットをアップグレードします。 |
「Oracle Database Vaultを使用しているOracle Databaseのアップグレードの要件」 |
|
既存のフィジカル・スタンバイ・データベースを一時的にロジカル・スタンバイ・データベースに変換して、データベースのローリング・アップグレードを実行します。 |
|
|
Oracle ClusterwareおよびOracle Universal Installer(OUI) |
OUIおよびOracle Clusterwareを使用してローリング・アップグレードを実行し、Oracle Clusterwareのパッチ・セット・リリースを適用します。この方法では、パッチ・セットのアップグレード中もOracle RACの一部のインスタンスを使用できます。パッチが適用されているノードのみを停止する必要があり、他のインスタンスは使用可能です。OUIでは、クラスタの異なるインスタンスに対し、連続してパッチ・セットを適用できます。 |
ご使用のオペレーティング・システムの『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』およびご使用のオペレーティング・システム固有のOracle Clusterwareインストール・ガイド |
Oracle ASMを使用して、クラスタOracle ASMインスタンスに対して個別にアップグレードやパッチの適用を行います。この方法を使用すると、1つ以上のOracle ASMインスタンスが異なるバージョンのソフトウェアを実行していても、クラスタOracle ASM環境のすべての機能の使用を続けることができます。 |
ご使用のオペレーティング・システムの『Oracle Grid Infrastructureインストレーション・ガイド』 『Oracle Automatic Storage Management管理者ガイド』のOracle ASMのローリング・アップグレードの使用方法に関する説明 |
Oracle Databaseの新しいリリースより前のリリースのStandard Editionデータベースを使用している場合、まず、第3章「Oracle Databaseのアップグレード」に従ってアップグレードする必要があります。次に、Oracle Enterprise EditionソフトウェアをインストールすることによってOracle Enterprise Editionデータベースに移行できます。1つのエディションから別のエディションに移行するには、Enterprise EditionとStandard Editionの両方でOracle Databaseの同じリリースを使用する必要があります。たとえば、両方のリリースがリリース12.1 (または別のリリース・レベル)である必要がありますが、変更を実行するには、両方のエディションで同じである必要があります。
注意: この手順を実行すると、Oracle Standard Editionソフトウェアが削除され、その結果としてOracleホーム下に存在するデータベース・ファイルが削除されます。そのため、現行のOracleホーム下のデータベース・ファイルをバックアップしてください。 |
既存のStandard EditionデータベースをEnterprise Editionデータベースに変更するには、次の手順を実行します。
Oracle Standard Editionサーバー・ソフトウェアとOracle Enterprise Editionサーバー・ソフトウェアのリリース番号が同じかどうかを確認します。
データベースを停止します。
オペレーティング・システムがWindowsの場合、OracleService
SID
(SID
はインスタンス名)を含むすべてのOracleサービスを停止します。Oracle Databaseサービスの停止の詳細は、Oracle Databaseプラットフォーム・ガイドfor Microsoft Windowsを参照してください。
保持する必要のある現行のOracleホーム下のデータベース・ファイルをすべてバックアップします。データベースのバックアップの詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。
Standard Editionサーバー・ソフトウェアを削除します。(この手順を実行すると、Oracleホーム下に存在するすべての既存のデータベース・ファイルが削除されます。)
Oracleホームから削除ツールを実行します。この削除ツールは、インストール後に別のコマンド(deinstall
)としてOracleホーム・ディレクトリから使用できます。これはORACLE_HOME
\deinstall
にあります。
WindowsでOracleホームを削除するには、次の構文を使用します。
setup.exe –deinstall –home path_of_Oracle_home_to_be_deinstalled
LinuxおよびUNIXでOracleホームを削除するには、次の構文を使用します。
$ ./runInstaller –deinstall –home path_of_Oracle_home_to_be_deinstalled
注意: Oracle Database 12c以上では、削除ツールはデータベース・インストール・メディアに統合されています。削除ツールは、-deinstall および-home オプションを指定して、LinuxおよびUNIXではrunInstaller 、Windowsではsetup.exe を使用して、Oracle Database、Oracle Database ClientまたはOracle Grid Infrastructureインストール・メディアのベース・ディレクトリから実行できます。オペレーティング・システムの『Oracle Databaseインストレーション・ガイド』を参照してください。 |
Oracle Universal Installer (OUI)を使用して、Oracle Enterprise Editionサーバー・ソフトウェアをインストールします。
削除したStandard Editionで使用されていたのと同じOracleホーム、または新しいOracleホームを選択します。インストール中は、必ずEnterprise Editionを選択します。プロンプトが表示されたら、「データベース構成」画面から「ソフトウェアのみ」を選択します。
既存のデータベースが存在する場合、ORACLE_SID
でこの既存のデータベースを指定します。
既存のデータベースがWindows上にある場合、ORADIM
を使用してDBを再作成する必要があります。
関連項目: Windows上のOracleサービスの詳細は、Oracle Databaseプラットフォーム・ガイドfor Microsoft Windowsを参照してください。 |
データベースを起動します。
catalog.sql
およびcatproc.sql
スクリプトを実行して、すべてのEnterprise Editionオブジェクトが作成されていることを確認します。
データベースがOracle Database Enterprise Editionに変換されました。データベースをOracle Database 12cにアップグレードする準備ができました。第2章「Oracle Databaseのアップグレードの準備」に進み、アップグレード処理を継続します。
関連項目: My Oracle Support (http://support.oracle.com )のNote ID 117048.1「How to Convert Oracle Database from Standard to Enterprise Edition」 |
Enterprise EditionデータベースからStandard Editionデータベースへの変換を適切に行うには、エクスポート/インポート操作を実行する必要があります。このデータのエクスポートには、Standard Editionの エクスポート・ユーティリティ を使用することをお薦めします。Standard Editionソフトウェアのインストールのみを実行した場合、一部のデータ・ディクショナリ・オブジェクトが無効になり、データベースのメンテナンス時に問題が発生します。
Enterprise Editionには、Standard Editionで使用できないデータ・ディクショナリ・オブジェクトが含まれています。エクスポート/インポート操作では、SYS
スキーマ・オブジェクトはエクスポートされないため、Enterprise Edition固有のデータ・ディクショナリ・オブジェクトは対象となりません。Standard Editionデータベースへのインポート後に必要な作業は、Enterprise Edition機能に関連するユーザー・スキーマの削除のみです。
Oracle Database Express Edition (Oracle Database XE)はOracle Databaseのエントリレベルのエディションで、ダウンロードがすばやく、インストールおよび管理が簡単です。Oracle Database XEは、開発、デプロイおよび配布用に一定のライセンス制限付きで無料で提供されています。Oracle Database XEでは、コストのかかる複雑な移行をすることなく、Oracleの他のエディションへのアップグレードを容易にします。Oracle Database XEは、任意の数のCPUを持つ任意のサイズのコンピュータに対して、コンピュータに1つのデータベースをインストールできます。サポートは、Oracle従業員およびコミュニティの専門家によって監視される無料のOracleオンライン・フォーラムで提供されます。
Oracle Database 11g Express Edition (Oracle Database XE)をOracle Database 12cにアップグレードするには、Oracle Database XEと同じシステムに新しいOracle Databaseソフトウェアをインストールし、DBUAを使用してアップグレードを実行する必要があります。
リリース11202のOracle Database XEをrootユーザーでインストールします。
/u01/app/oracle/product/11.2.0/xe
SQL Plusを起動し、次の手順を実行して、前提条件チェックの警告を回避し、DBUAの対話形式のフェーズ中にデータベースのアップグレードを確実に成功するようにします。
Set ORACLE_HOME Set ORACLE_SID SQL> alter system set job_queue_processes=64; SQL> alter database datafile '/u01/app/oracle/oradata/XE/system.dbf' autoextend on next 640k maxsize unlimited;
リリース11.2.0.2のOracle Database XEホームで、アップグレード前に、rootユーザーとして次のディレクトリ、サブディレクトリおよびファイルに777個の権限を付与します。
cd /u01/app/oracle $ls admin diag fast_recovery_area oradata product
admin
ディレクトリの場合、次のディレクトリおよびファイルに777個の権限を付与します。
chmod 777 admin cd admin chmod 777 XE chmod 777 * $ls adump dbs dpdump pfile cd dpdump chmod 777 dp.log cd .. cd adump chmod 777 * ( Change permissions of *.aud)
diag
ディレクトリの場合、次のように777個の権限を付与します。これはOracleホームから実行し、diag
に移動します。
cd diag chmod -R 777 *
fast_recovery_area
ディレクトリの場合、次のディレクトリおよびファイルに777個の権限を付与します。fast_recovery_area
フォルダはOracleホームの下にあります。最初にOracleホームに戻ってから、次のコマンドを実行します。
chmod 777 fast_recovery_area cd fast_recovery_area chmod 777 XE cd XE chmod 777 onlinelog
oradata
の場合、次のディレクトリに777個の権限を付与します。oradata
フォルダはOracleホームの下にあります。最初にOracleホームに戻ってから、次のコマンドを実行します。
chmod -R 777 oradata
Oracle product
ディレクトリの場合、次のディレクトリおよびファイルに777個の権限を付与します。
chmod 777 11.2.0 cd 11.2.0 chmod 777 xe cd xe chmod 777 dbs cd dbs chmod 777 * ( changes permissions of these files hc_XE.dat init.ora lkXE @ orapwXE spfileXE.ora)
Oracle Database 12cをインストールしたディレクトリの下に、データベースのアップグレード時にログ・ファイルが書き込まれるログ・ディレクトリ(例: /scratch/logdir
。logdir
に777個の権限を付与)を作成します。
また、バックアップ・ファイルが格納されるバックアップ・フォルダ(例: /scratch/backup
。backup
フォルダに777個の権限を付与)も作成します。
次のパラメータを使用してDBUAを起動します。DBUAの実行の詳細は、「Oracle Database Upgrade Assistant (DBUA)を使用したアップグレード」を参照してください。
./dbua -logDir /scratch/logdir -backupLocation /scratch/backup
既存のリスナーはrootユーザーによって作成されていてアップグレードで使用できないため、プロンプトが表示されたら、新しい名前およびポートの新しいリスナーを作成します。
DBUAの対話形式のフェーズ中に必要な入力値を指定し、完了したら、「終了」をクリックします。
関連項目:
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