OLTPシステムは、現在の企業でよく使用されているデータ処理システムです。典型的なOLTPシステムの例としては、受注、小売および金融取引のシステムがあります。
OLTPシステムの最大の特徴は、データ・ウェアハウス環境とは異なる独特のデータ使用方法にあります。ただし、大容量データの保持やライフサイクルに応じたデータの使用状況と重要性といった特徴は同じです。
OLTP環境の主な特性は次のとおりです。
短いレスポンス時間
OLTP環境では、電話勧誘販売での調査結果の入力など、様々な種類の対話的で臨機応変の使用方法が大半を占めます。OLTPシステムでは、ユーザーの生産性を保つためにレスポンス時間を短くする必要があります。
小さなトランザクション
通常、OLTPシステムは、限定された少量のデータを読み取って処理します。データ処理の大部分は単純で、複雑な結合は比較的まれです。問合せとDMLのワークロードが常に混在しています。たとえば、コール・センターでは多数の従業員のうちの一人が、通話ごとに顧客詳細を取得し、顧客の苦情を入力しながら、その顧客の過去の通信記録を確認します。
データ・メンテナンス操作
定期的または臨時に実行する必要があるレポート・プログラムやデータ更新プログラムがあることは珍しくありません。このようなプログラムは、ユーザーが他のタスクを行っているときにバックグラウンドで実行されますが、多数のデータ集約型処理を伴うことがあります。たとえば、大学では学生を講義に振り分けるバッチ・ジョブを起動する一方で、学生が自らオンラインで講義の申込みを行うことができます。
多数のユーザー
OLTPシステムのユーザーは非常に多数に及び、そのうち多くのユーザーが同じデータに同時にアクセスしようとします。たとえば、オンライン・オークションのWebサイトでは、数十万人(数百万人ではないにしても)ものユーザーが同時にWebサイトのデータにアクセスする可能性があります。
高い同時実行性
ユーザー数が多く、レスポンス時間が短く、トランザクションが小さいため、OLTP環境の同時実行性は非常に高くなります。数千単位の同時ユーザー数の要件も珍しくありません。
大容量データ
アプリケーションのタイプ、ユーザー数およびデータ保存期間によって変わりますが、OLTPシステムは非常に大規模になることがあります。たとえば、ある銀行ではすべての顧客が、過去12か月のすべての取引を示すオンライン・バンキング・システムにアクセスできます。
高い可用性
OLTPシステムの可用性要件は、しばしば非常に高くなります。OLTPシステムが使用できない場合、非常に多くのユーザーが影響を受け、組織は大きな損失を被ることがあるためです。たとえば、株式取引システムは取引時間においてきわめて高い可用性の要件があります。
ライフサイクルに関連するデータ使用状況
データ・ウェアハウス環境と同じく、OLTPシステムでも、時間の経過に伴ってデータ・アクセス・パターンが変化します。たとえば、月末にはすべての活動口座の月利が計算されます。
OLTP環境をパーティション化する利点を次に示します。
大きなデータベースのサポート
高可用性戦略の一環として、大きなサイズのデータベースを効率よく管理するために、バックアップおよびリカバリを小さな単位で実行できます。通常、OLTPシステムはバックアップ中もオンラインのままであり、バックアップの実行中もユーザーは引き続きシステムにアクセスできます。バックアップ・プロセスによって、オンライン・ユーザーがパフォーマンスの大幅な劣化を被ることはありません。
パーティション化では、データベース・オブジェクトを部分的に圧縮して格納できるため、OLTPシステムの領域要件を抑えることにつながります。圧縮していない行の更新トランザクションは、圧縮データの更新よりも効率よく処理されます。
パーティション化により、データを様々なストレージ層で透過的に保持することができ、大容量データを格納するコストを節減できます。
データ・メンテナンスのためのパーティション・メンテナンス操作(DMLのかわりに使用)
データ・メンテナンス操作(多くの場合はパージ)の場合、Oracle Databaseのオンライン索引メンテナンス機能と組み合せてパーティション・メンテナンス操作を活用できます。パーティション管理操作では、同内容のDML操作に比べて生成されるREDOが少なくなります。
ホット・スポットの消去によって高い同時実行性を得る可能性
OLTP環境の一般的なシナリオでは、主キー制約を施行するために使用される索引値は単調に増加します。このため、同時実行性や潜在的な競合率が高い領域が生成されます。新たに挿入を実行するたびに、同じセットの索引ブロックの更新が試行されるためです。パーティション索引、特にハッシュ・パーティション索引を使用すると、このような状況が緩和されます。