Oracle® Hierarchical Storage Manager and StorageTek QFS Software ファイルシステム復旧ガイド リリース 6.0 E56779-02 |
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重大なファイルシステム障害や潜在的なデータ損失からの回復に直面したときには常に、最初のステップは影響を受けたシステムを安定化させ、損失が広がる可能性を最小限に抑え、可能なかぎり診断情報を保存することです。この章では、必要なアクションの概要について説明します。
アーカイブファイルシステムまたは膨大な損失ファイルを復元する必要がある場合、まずはファイルシステムのアーカイブ処理およびリサイクル処理を停止するようにしてください。状況を評価して、できればすべてが正常に復元されるまでは、アーカイブを安定化して分離させておきます。そうしないと、場合によっては、進行中のアーカイブ操作およびリサイクル操作によって悪影響が生じる可能性があります。アーカイブ処理およびステージング処理は、破損したファイルを伝播する場合があります。リサイクルプロセスは、有効なデータの唯一残ったコピーを削除する場合があります。
そのため、可能なかぎり、次に示す点に注意してください。
回復操作が完了すると、次の変更を元に戻して、通常のファイルシステム動作に復元できます。
ファイルシステムのメタデータサーバーに root
としてログインします。
root@solaris:~#
テキストエディタで /etc/opt/SUNWsamfs/archiver.cmd
ファイルを開き、1 つめの fs
(ファイルシステム) ディレクティブまで下にスクロールします。
この例では、vi
エディタを使用します。
root@solaris:~#vi
/etc/opt/SUNWsamfs/archiver.cmd
# Configuration file for Oracle HSM archiving file systems #----------------------------------------------------------------------- # General Directives archivemeta = off examine = noscan #----------------------------------------------------------------------- # Archive Set Assignments fs = samqfs1 logfile = /var/adm/samqfs1.archive.log all . 1 -norelease 15m 2 -norelease 15m fs = samqfs2 logfile = /var/adm/samqfs2.archive.log all . ...
すべてのファイルシステムのアーカイブ処理を停止する必要がある場合は、archiver.cmd
内の最初の fs
ディレクティブの直前に wait
ディレクティブを挿入します。archiver.cmd
ファイルを保存して、エディタを閉じます。
この例では、wait
ディレクティブを samqfs1
ファイルシステムに対する支持の直前に追加しているため、アーカイブ処理用に構成されたすべてのファイルシステムに適用されます。
root@solaris:~# vi /etc/opt/SUNWsamfs/archiver.cmd ... #----------------------------------------------------------------------- # Archive Set Assignmentswait
fs = samqfs1 logfile = /var/adm/samqfs1.archive.log all . 1 -norelease 15m 2 -norelease 15m 3 -norelease 15m fs = samqfs2 ...:wq
root@solaris:~#
1 つのファイルシステムのみのアーカイブ処理を停止する必要がある場合は、そのファイルシステムの fs
ディレクティブの直後に wait
ディレクティブを挿入します。archiver.cmd
ファイルを保存して、エディタを閉じます。
この例では、samqfs1
ファイルシステムでのアーカイブアクティビティーを停止します。
root@solaris:~# vi /etc/opt/SUNWsamfs/archiver.cmd ... #----------------------------------------------------------------------- # Archive Set Assignments fs = samqfs1wait
logfile = /var/adm/samqfs1.archive.log all . 1 -norelease 15m 2 -norelease 15m 3 -norelease 15m fs = samqfs2 ...:wq
root@solaris:~#
次に、リサイクル処理の停止を実行します。
ファイルシステムのメタデータサーバーに root
としてログインします。
root@solaris:~#
テキストエディタで /etc/opt/SUNWsamfs/recycler.cmd
ファイルを開きます。
この例では、vi
エディタを使用します。
root@solaris:~#vi
/etc/opt/SUNWsamfs/recycler.cmd
# Configuration file for Oracle HSM archiving file systems #----------------------------------------------------------------------- logfile = /var/adm/recycler.log no_recycle tp VOL[0-9][2-9][0-9] library1 -hwm 95 -mingain 60
recycler.cmd
ファイルの各リサイクルディレクティブに -ignore
パラメータを追加します。次に、ファイルを保存し、エディタを閉じます。
アーカイブセット単位ではなくライブラリ単位でリサイクル処理を構成していないかぎり、recycler.cmd
ファイルにリサイクルディレクティブは含まれていません。しかし、ここで確認します。
この例では、テープライブラリ library1
に対してリサイクルディレクティブが 1 つあります。
root@solaris:~# vi /etc/opt/SUNWsamfs/recycler.cmd # Configuration file for Oracle HSM archiving file systems #----------------------------------------------------------------------- logfile = /var/adm/recycler.log no_recycle tp VOL[0-9][2-9][0-9] library1 -hwm 95 -mingain 60-ignore
:wq
root@solaris:~#
1 つ以上のアーカイブファイルシステムで発生した消失や破損から回復を試みる場合、次に進む前に、アーカイブされていないファイルのバックアップを実行します。
サーバー問題からの回復や、ファイルシステムで発生した消失や破損から回復を試みる場合、次に進む前に、Oracle HSM 構成を保存するを実行します。
ディレクトリやファイルを復元する必要がある場合は、Oracle HSM 構成を保存するを実行する必要があるのか、または第5章 紛失および破損したファイルの回復に直接進むのかを決定します。
破損したアーカイブファイルシステムのディスクキャッシュ内に、アーカイブされていないファイルが残っている可能性があります。これらのファイルのコピーは、アーカイブ内には存在しません。したがって、可能であれば、回復ポイントファイルにすぐにバックアップします。次のように進めます。
ファイルシステムのメタデータサーバーに root
としてログインします。
root@solaris:~#
回復ポイントの安全なストレージ場所を選択します。
この例では、初期構成時に回復ポイント用に作成したディレクトリの下にサブディレクトリ unarchived/
を作成します。/zfs
ファイルシステムには、回復するファイルシステム /samqfs1
と共通のデバイスはありません。
root@solaris:~#mkdir
/zfs1/samqfs_recovery/
unarchived/
root@solaris:~#
ファイルシステムのルートディレクトリに移動します。
この例では、マウントポイントディレクトリ /samqfs1
に移動します。
root@solaris:~#cd
/samqfs1
root@solaris:~#
ディスクキャッシュ内に残っているアーカイブされていないファイルをバックアップします。コマンド samfsdump
-u
-f
recovery-point
を使用します。ここで recovery-point
は、出力ファイルのパスおよびファイル名です。
-u
オプションを付けて samfsdump
コマンドを使用すると、アーカイブされていないデータファイルがバックアップされます。この例では、リモートディレクトリ /zfs1/samqfs_recovery/
unarchived/
に回復ポイントファイル 20150325
を保存します。
root@solaris:~#samfsdump
-u
-f
/zfs1/samqfs_recovery/
unarchived/
20150325
root@solaris:~#
サーバー問題からの回復や、ファイルシステムで発生した消失や破損から回復を試みる場合、次に進む前に、Oracle HSM 構成を保存するを実行します。
ディレクトリやファイルを復元する必要がある場合は、Oracle HSM 構成を保存するを実行する必要があるのか、または第5章 紛失および破損したファイルの回復に直接進むのかを決定します。
Oracle HSM ソフトウェアおよびファイルシステムの復元に必要なすべての構成ファイルおよびスクリプトのバックアップコピーを安全に格納してある場合でも、可能な場合は、障害の発生したシステムの現在の状態を保存しておくことは有益です。残っている構成ファイルやスクリプトには、完全な構成が最後にバックアップされてから実装された変更が含まれている可能性があります。つまり、システムをほぼ障害発生直前の状態に復元することと、単にその状態に近づけることには差があるということです。ログファイルとトレースファイルには、ファイルの復元や障害原因の特定に役立つ情報が含まれています。このため、何か作業をするまえに、残っているものはすべて保存する必要があります。
可能な場合は、ファイルシステムメタデータサーバーに root
としてログインします。
root@solaris:~#
samexplorer
コマンドを実行して、SAMreport を作成し、バックアップ構成情報が保持されているディレクトリにそのレポートを保存します。コマンド samexplorer
path
/
hostname
.
YYYY
MM
DD
.
hh
mm
z
.
tar.gz
を使用します。ここで path
は選択したディレクトリへのパス、hostname
は Oracle HSM ファイルシステムホストの名前、YYYY
MM
DD
.
hh
mm
z
は日付とタイムスタンプです。
デフォルトのファイル名は /tmp/SAMreport.
hostname
.
YYYY
MM
DD
.
hh
mm
z
.tar.gz
です。この例では、SAMreport を保存するディレクトリ /zfs1/sam_config/
がすでに存在します。そのため、このディレクトリにレポートを作成します (次のコマンドは 1 行で入力し、改行はバックスラッシュ文字でエスケープします)。
root@solaris:~#samexplorer
\/zfs1/sam_config/explorer/
server1
.20150325.1659MST.tar.gz
Report name: /zfs1/sam_config/explorer/samhost1.20150325.1659MST.tar.gz Lines per file: 1000 Output format: tar.gz (default) Use -u for unarchived/uncompressed. Please wait............................................. Please wait............................................. Please wait...................................... The following files should now be ftp'ed to your support provider as ftp type binary. /zfs1/sam_config/explorer/samhost1.20150325.1659MST.tar.gz
独立したファイルシステムに、Oracle HSM 構成ファイルをできるだけ多くコピーします。これらのファイルには、次のものが含まれます。
/etc/opt/SUNWsamfs/ mcf archiver.cmd defaults.conf diskvols.conf hosts.family-set-name
hosts.family-set-name
.local preview.cmd recycler.cmd releaser.cmd rft.cmd samfs.cmd stager.cmd inquiry.conf samremote # SAM-Remote server configuration file family-set-name # SAM-Remote client configuration file network-attached-library # Parameters file scripts/* # Back up all locally modified files /var/opt/SUNWsamfs/
ヒストリアンカタログを含め、残っているすべてのライブラリカタログをバックアップします。カタログごとに、コマンド dump_cat
-V
catalog-file
を使用します。ここで catalog-file
は、カタログファイルのパスと名前です。出力を新しい場所にある dump-file
にリダイレクトします。
build_cat
コマンドを使用して、代替システムでのカタログの再構築に dump_cat
ファイルの出力を使用します。この例では、library1
のカタログデータを、NFS でマウントされた個別のファイルシステム zfs1
上のディレクトリにあるファイル library1cat.dump
にダンプします (次のコマンドは 1 行で入力し、改行はバックスラッシュ文字でエスケープします)。
root@solaris:~#dump_cat
-V
/var/opt/SUNWsamfs/catalog/library1cat
>
\/zfs1/sam_config/20150325/catalogs/
library1cat.dump
Oracle HSM のインストールおよび構成中に変更したシステム構成ファイルを、独立したファイルシステムにコピーします。これには、次が含まれる可能性があります。
/etc/ syslog.conf system vfstab /kernel/drv/ sgen.conf samst.conf samrd.conf sd.conf ssd.conf st.conf /usr/kernel/drv/dst.conf
Oracle HSM 構成の一部として作成したカスタムシェルスクリプトおよび crontab
エントリを、独立したファイルシステムにコピーします。
たとえば、回復ポイントの作成を管理するために crontab
エントリを作成した場合は、ここでコピーを保存します。
現在インストールされているソフトウェアのリビジョンレベルを記録する readme
ファイルを作成します。Oracle Oracle HSM、Solaris、および Solaris Cluster (該当する場合) を含みます。別の回復情報と一緒に、独立したファイルシステムにファイルを保存します。
可能であれば、ダウンロードした Oracle Oracle HSM、Solaris、および Solaris Cluster のパッケージのコピーを独立したファイルシステムに保存します。
パッケージをすぐに使用できるようにしておくと、必要になったときにソフトウェアを迅速に復元できます。
Oracle HSM サーバーホストの損失から回復している場合は、第3章 Oracle HSM 構成の復元に進みます。
1 つ以上の Oracle HSM ファイルシステムを復元する必要がある場合は、第4章 ファイルシステムの回復に進みます。
ディレクトリおよびファイルを復元する必要がある場合は、第5章 紛失および破損したファイルの回復に進みます。