シンボリュームのプロビジョニング

シンプロビジョニング用に予約された容量はシステムオーバーヘッドの一部であり、Oracle FS System Manager (GUI) はこれを考慮して使用可能容量をレポートします。この予約容量がすでにシステムで考慮されているため、GUI からレポートされる使用可能容量はすべて論理ボリュームのプロビジョニングに使用できます。

SAN LUN の場合、LUN がどの程度シンプロビジョニングされるかは、その LUN にアクセスするホストアプリケーションの特性によって異なります。アプリケーションが LUN の特定の部分にしかアクセスしない場合、ボリュームの薄さは変わりません。アプリケーションが LUN のさまざまな領域にアクセスするようになると、Oracle FS System がその LUN に追加の物理領域を割り当てるため、ボリュームの薄さは低減します (厚くなります)。

アプリケーションの中には、ボリュームのアドレス可能領域のほとんどまたはすべてにアクセスするものがあります。このような場合、アプリケーションの実行中に、ボリュームがシンプロビジョニングの状態からフルプロビジョニングの状態に変わります。 このようなアプリケーションの例としては mkfs ユーティリティーがあり、これはパーティションにファイルシステムを作成します。mkfs ユーティリティーはファイルシステムを構成するときに、ほとんどまたはすべてのパーティションへ書き込みを行うため、Oracle FS System 上のベースとなるボリュームがフルプロビジョニングの状態になります。このような場合、シンプロビジョニングを使用してベースとなるボリュームを作成してもほとんど意味がありません。

Microsoft Windows オペレーティングシステムは New Technology File System (NTFS) ボリュームとしてフォーマットされたファイルシステムについて、大量のメタデータを予約します。このメタデータのレイアウトが原因で、シンプロビジョニングされた領域に早い段階で割り当てが発生します。主な NTFS メタデータには次のオブジェクトが含まれています。

MFT の断片化を防ぐため、Windows は MFT の周囲にバッファーを予約します。このバッファーのサイズは、ドライブ領域の 12.5%、25%、37.5%、または 50% に構成できます。未使用領域が消費されてなくなるまでは、Windows はこのバッファー領域に新しいファイルを作成しません。ドライブ領域の残容量がなくなるたび、バッファーサイズが半分になります。これにより追加の書き込み操作に対して新しい領域が提供されます。

NTFS を使用する場合は特に、最初のインフィルの最大容量の 90% を超えて消費してしまうシンプロビジョニング LUN を作成することを Oracle では推奨しません。NTFS は LUN 全体にわたって書き込みを行うため、書き込まれるデータ量と一致しない割り当てが発生します。

空き容量が少ない状態で使用率の高い NTFS ファイルシステムを実行する場合、定期的にファイルシステムのデフラグを行わないと容量を使い切ってしまいます。NTFS は一度書き込みが行われた領域を再利用するよりも、新しく割り当てられた領域への書き込みを優先します。NTFS は最初のうちはシンプロビジョニングとうまく動作しますが、ファイルシステムが使用中として表示するデータ量よりも多くの割り当てを短い時間で使い切ってしまうことがあります。

コントローラリソースを使用するシンプロビジョニングはパフォーマンスに影響するため、シンプロビジョニングは次の特性の LUN に使用することをお勧めします。 たとえば、420G バイトのファイルデータがある場合、管理者は LUN に割り当てられる論理容量を約 470G バイト、アドレス可能論理容量を約 1T バイトに構成する必要があります。
注: NTFS が容量をどれくらい使用するかは、書き込み操作に含まれるデータ量や書き込み操作が行われる場所、またストレージプールで使用されるストレージタイプなどその他の要因を含むさまざまな要因によって異なります。

Linux プラットフォームでは、EXT2 および EXT3 ファイルシステムLUN の論理ブロックアドレス (LBA) 全域にわたってメタデータを書き込みます。ドライブはブロックグループに編成され、メタデータが各ブロックグループの先頭に配置されます。通常この構成では、管理者がファイルシステムを作成するときに LUN 全体がプロビジョニングされます。このフルプロビジョニングが発生するのは、メタデータ書き込みが Oracle FS System が使用する最小割り当て単位を下回るためです。この状態では、各割り当てエクステントが最大サイズまで拡張されます。

以上のことから、シンプロビジョニングの使用が成功するかどうかは、ファイルシステムまたは LUN を使用するアプリケーションによって決まるということになります。