手動によるバックアップと復元

手動操作によるバックアップとリカバリの戦略をすでに設計している場合は、引き続きそれを使用できます。ただし、バックアップと復元(ブロック・ストレージ・データベースに対するバックアップと復元の使用方法を参照)と、トランザクション・ロギングと再実行(ブロック・ストレージ・データベースに対するトランザクション・ロギングと再実行の使用方法を参照)を、できるだけ既存のバックアップとリカバリの戦略に組み込むことをお薦めします。

手動によるブロック・ストレージ・データベースのバックアップと復元については、次のトピックを参照してください:

データベース・ファイルのバックアップと復元

表7に示されているサーバー、アプリケーションおよびデータベースの各ファイルは定期的にバックアップします。通常、ファイルのバックアップは、Essbaseアプリケーションとデータベース、およびエージェントがシャット・ダウンされてから実行する必要があります。

表7.  バックアップするEssbaseファイル

ファイル

説明

場所

essxxxxx.ind[1]

Essbaseインデックス・ファイル

ARBORPATH/app/appname/dbname/

essxxxxx.pag[2]

Essbaseデータ・ファイル

ARBORPATH/app/appname/dbname/

dbname.esm

データベース・リカバリに使用する制御情報が含まれるEssbaseカーネル・ファイル

ARBORPATH/app/appname/dbname/

dbname.tct

トランザクション制御表

ARBORPATH/app/appname/dbname/

dbname.ind

データおよびインデックスのフリー・フラグメント用のフリー・フラグメント・ファイル

ARBORPATH/app/appname/dbname/

dbname.otl

アウトライン・ファイル。データベースのすべてのメタデータを保管し、データの保管方法を定義するが、データそのものは保管しない

ARBORPATH/app/appname/dbname/

dbname.app

アプリケーション設定を含むアプリケーション・ファイル

ARBORPATH/app/

dbname.db

データベース設定を含むデータベース・ファイル

ARBORPATH/app/appname/dbname/

x.lro

リンクされたレポート・オブジェクト

ARBORPATH/app/appname/dbname/

essbase.sec[3]

Essbaseセキュリティ・ファイル

ARBORPATH/bin/

essbase_timestamp.bak

Essbaseセキュリティ・ファイルのバックアップ

ARBORPATH/bin/

essbase.cfg

Essbaseサーバー構成ファイル

ARBORPATH/bin/

.otl
.csc
.rul 
.rep
.eqd
.sel

データベース・アーティファクト・ファイル

ARBORPATH/app/appname/dbname/

ESSCMDまたはMaxLスクリプト

 

指定されている格納場所はありません。

1 データベースには複数の.indファイルが含まれている場合があるので、データベースに関連する.indファイルをすべてバックアップします。

2 データベースには複数の.pagファイルが含まれている場合があるので、データベースに関連する.pagファイルをすべてバックアップします。

3 essbase.secをバックアップする前にエージェントをシャット・ダウンしてください。

ファイル・システムのバックアップを実行する場合は、任意のファイル・システムのバックアップ・ソフトウェアを使用します。特定のディレクトリまたはファイル、あるいはEssbaseディレクトリ構造全体をバックアップできます。すべてのディスク・ボリューム上のデータをバックアップします。

データベースを復元するには、アプリケーションが停止していることを確認し、ディスク上のファイルを、対応するバックアップ・ファイルで置き換えます。

実行中のファイルのバックアップ

バックアップ中に、Essbaseデータベースを実行する必要がある場合は、次の手順に従います:

データベースの読取り専用モードへの設定

データベースを読取り専用(アーカイブ)モードに設定すると、バックアップ中はデータベースの更新は行われなくなります。

データベースを読取り専用モードに設定するには、次のツールを使用します:

ツール

トピック

場所

MaxL

alter database begin archive

Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス

ESSCMD

BEGINARCHIVE

Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス

バックアップ実行後、データベースを読取り書込みモードに戻します。

BEGINARCHIVEコマンドにより、次のタスクが実行されます:

  • 変更されたすべてのデータがディスクにコミットされます。

  • データベースが読取り専用モードに切り替えられます。

  • データベース・ファイルが共有の読取り専用モードで再度開きます。

  • ARBORPATH/app/appname/dbnameディレクトリに、バックアップするファイルのリストが含まれるファイル(デフォルト名はarchive.lst)が作成されます。

バックアップ・プロセス中にデータを変更しようとすると、データが読取り専用モードであることを示すエラー・メッセージが表示されます。

begin archiveは、バックアップを実行しません。バックアップ中にデータベースを保護するだけです。BEGINARCHIVE ESSCMDコマンドまたはalter database begin archive MaxL文を取り消したときにcan't cancelメッセージが表示された場合、アイテムをドライブに書き込んでいる最終段階である可能性があります。ここで、操作の取消しはできません。

注意!

BEGINARCHIVEを使用しないでデータをバックアップする場合は、データベースが破損しないように、バックアップ中、すべてのEssbaseアプリケーションが閉じられ、ユーザー全員がログオフしていることを確認してください。

ファイル・バックアップの実行

バックアップを実行する前に、データベースを読取り専用モードに設定します。

データをバックアップするには、サードパーティのバックアップ・ユーティリティを使用して、archive.lst内および表7 バックアップするEssbaseファイル内にあげられているファイルをバックアップするか、Essbaseディレクトリ構造全体をバックアップします。

データベースの読取り書込みモードへの復帰

バックアップ実行後、データベースを読取り書込みモードに戻します。

データベースを読取り書込みモードに戻すには、次のツールを使用します:

ツール

トピック

場所

MaxL

alter database end archive

Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス

ESSCMD

ENDARCHIVE

Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス

アーカイブ終了ユーティリティによって、次のタスクが実行されます:

  • データベースが読取り書込みモードに戻ります。

  • 排他的な読取り書込みモードでデータベース・ファイルが再度開きます。

注意:

データベースをシャット・ダウンして再起動する場合でも、アーカイブ終了ユーティリティを使用して、データベースを読取り書込みモードに戻す必要があります。アーカイブ終了ユーティリティは、データベースを再起動しません。

ファイル・バックアップの復元

データベースを復元するには、ディスク上にあるファイルを、バックアップの対応するファイルで置き換えます。

エクスポート・ファイルから復元している場合を除き、アプリケーションを停止する必要があります。この場合、アプリケーションがクライアントの接続を拒否していることを確認します。

データのバックアップおよび復元

データのエクスポートでは、データが、指定したファイルにコピーされます。

データをテキスト・ファイルにエクスポートした場合、データは圧縮されません。テキスト・エクスポート・ファイルにはデータのみが含まれます。制御情報、アウトライン、セキュリティ情報は含まれません。

次のタスクを実行する場合は、データのエクスポートを検討してください:

  • プラットフォーム間でデータを転送する場合

  • データの一部(たとえば、レベル-0ブロック)のみバックアップする場合

  • エクスポート・ファイルを、バイナリ・フォーマットではなくテキスト・フォーマットで作成する場合

データのエクスポートの長所:

  • テキスト・エクスポート・ファイルを使用して、ソース・データベースから別のプラットフォームのデータベースにデータをロードできます。データベースを列フォーマットでエクスポートすることにより、エクスポート・ファイルを操作し、ルール・ファイルとともに使用して、データをリロードしたり、別のデータベースにロードしたりできます。

    データベース・アウトラインにエクスポート・ファイル内のすべてのメンバーが含まれていない場合、エクスポート・ファイルのデータベースへのロードは失敗します。

    エクスポート・ファイルを作成してからリロードするまでの間にアウトラインが変更されている場合(かつ、エクスポート・ファイル内のすべてのメンバーが新しいアウトラインに含まれている場合)、同じアウトラインの場合よりも、ロード時間が大幅に延びる可能性があります。

  • すべてのブロックについて、対応するページ・ファイルとインデックス・ファイルが一致しているかどうかが確認されます。つまり、データの整合性が確認されます。

  • データをエクスポートし、データベースからすべてのデータをクリアし、テキスト・ファイルをリロードすると、断片化を軽減できます。

データのエクスポートの短所:

  • エクスポート実行時に動的計算が実行されないかぎり、エクスポートに含まれるのは、保管されたデータと、すでに計算済の動的計算および保管メンバーのデータのみです。

  • データベースのエクスポート中、ユーザーはデータベースへの書込みができなくなります。エクスポートの開始後、読取り操作は実行できます。大きなデータベースをエクスポートする場合は非常に時間がかかり、その間、ユーザーはデータの読取りしかできません。

注意:

レポートまたは計算スクリプトを作成することによって、データのサブセットをエクスポートできます。計算スクリプトを使用した場合、データをテキスト・ファイルまたはバイナリ・ファイル、あるいはリレーショナル・データベースに直接エクスポートできます。『Oracle Essbaseデータベース管理者ガイド』を参照してください。

データのエクスポート

どのデータのエクスポート方法の場合でも必要な基本情報は同じです:

  • エクスポート・データ・ファイルの名前

  • エクスポートするデータの量

    • すべてのデータ

    • レベル-0のブロックのみ(レベル-0の疎メンバーの組合せのみが保持されるブロック。これらのブロックには、上位レベルの密ディメンション・メンバーのデータが含まれます)

    • 入力ブロックのデータのみ(以前のデータ・ロードまたはスプレッドシートの「ロックして送信」によって入力されたデータを含むブロック)

  • 列型と非列型のどちらのフォーマットでデータをエクスポートするか

    列型フォーマットでは、各行にすべてのディメンションのメンバー名が表示されます。名前は、行ごとに繰り返されます。

    列型フォーマットでは、エクスポート・データが構造化されるので、エクスポート・データを、Essbaseツール以外のアプリケーション、たとえばリレーショナル・データベースなどで処理しやすくなります。非列型フォーマットの場合、データ・ブロックを識別する疎メンバーは、ブロックにつき1回のみ含まれます。非列型フォーマットのエクスポート・ファイルは列型フォーマットのエクスポート・ファイルより小さいため、ファイルのリロードが高速になります。

データをエクスポートするには、次のツールを使用します:

ツール

トピック

場所

Administration Services

データベースのエクスポート

Oracle Essbase Administration Servicesオンライン・ヘルプ

MaxL

export data

Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス

ESSCMD

EXPORTまたはPAREXPORT

Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス

レポート・ライター

レポート・ライター・スクリプトを使用して、選択したデータをエクスポートします。

Oracle Essbaseデータベース管理者ガイド

計算スクリプト(ブロック・ストレージのみ)

DATAEXPORT計算コマンド

Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス

注意:

エクスポートのパフォーマンスを向上するには、指定した複数のファイルに対して並列にデータをエクスポートします。

2GBを超えるファイルのエクスポート

ファイル・システムによっては、2GBを超えるテキスト・ファイルをサポートしない場合があります。どのOS上においてもEssbaseにより、エクスポート・ファイルが2GBを超えると判断される場合、必要に応じて、2つ以上のエクスポート・ファイルが作成されます。メイン・ファイルには、リクエストしたファイル名が使用されます。追加ファイル名の末尾には、アンダースコアと連続した基数( _1で始まります)が付加されます。たとえば、指定したファイル名がexpJan.txtであり、エクスポート・データが4GBを超える場合は、EssbaseはexpJan.txtexpJan_1.txtおよびexpJan_2.txtという名前の3つのファイルを作成します。エクスポート・データ・ファイルのリロードはどの順序でもかまいません。

データのバックアップの復元

エクスポートしたデータをリロードすると、これらのデータは入力データとしてマークされます。レベル-0ブロックまたは入力ブロックからエクスポートしたデータをリロードする場合は、リロード後にデータベースを再計算する必要があります。Essbaseがデータベースを再計算する場合、すべてのデータ・ブロックが再計算されます。

データベース内のすべてのデータをエクスポートして、リロードする場合、Essbaseは、データベース内のすべてのブロックを入力ブロックとしてマークします。その結果、データベースに非入力ブロックが存在しないため、データはクリアできません。

エクスポートしたデータをリロードすると、Essbaseは、データ・ブロックをダーティとしてもマークします。エクスポート前にデータベースに対して計算を実行していた場合は、次の計算時に時間を短縮するため、ブロックのステータスをクリーンに設定します。エクスポート前にデータベースに対して計算を実行していない場合は、ブロックのステータスをクリーンに設定する必要はありません。

  エクスポート・データをリロードするには、次のツールを使用します:

ツール

トピック

場所

Administration Services

データ・ロードまたはディメンション構築の実行

Oracle Essbase Administration Servicesオンライン・ヘルプ

MaxL

import data

Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス

ESSCMD

IMPORT

Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス

計算スクリプト

DATAIMPORTBIN(エクスポート・バイナリ・ファイルのみ)

Oracle Essbaseテクニカル・リファレンス

すべてのデータをエクスポートしてリロードした後に、データベース内のブロック・ステータスをクリーンにするには、次の計算スクリプトを実行します:

Set ClearUpdateStatus Only;

Calc All;