この章では、Oracle の StorageTek Virtual Library Extension (VLE) ソフトウェアについて紹介し、典型的な VLE 構成に含まれるコンポーネントについて説明します。VLE は VTSS 用のバックエンドディスクストレージです。VLE ソリューションは次から構成されます。
仮想テープストレージサブシステム (VTSS) ハードウェアおよびマイクロコード
仮想テープ制御サブシステム (VTCS) ソフトウェアおよびストレージ管理コンポーネント (SMC)
VLE ハードウェアおよびソフトウェア
オンデマンドでの容量拡張、ペタバイトまで対応
データの冗長コピーを複数使用した高可用性の最大化
セキュリティーのために保存データをすべて暗号化可能
データ整合性の自動チェックによる永続性
業界標準の REST API
Oracle Archive Cloud との間での仮想テープボリューム (VTV) の移行およびリコールをサポート
VLE は、VTCS からはテープライブラリと同じように見えますが、ディスク上の仮想マルチボリュームカートリッジ (VMVC) に VTV が格納される点が異なります。VLE を使用すると、VLE とテープ、または VLE のみ (Tapeless VSM 構成を使用するなど) のバックエンド VTV ストレージソリューションのいずれかを構成できます。VTSS は実際のテープライブラリの場合とまったく同様に、VLE との間で VTV の移行やリコールを行えます。
注意:
VLE システムがある場合、HSC/VTCS は VLE との通信に SMC 通信サービスを使用します。これらのサービスを VTCS の起動時に使用できるようにするため、Oracle ではまず HSC の起動コマンドを発行してから、HSC の初期化中にすぐに SMC の起動コマンドを発行することをお勧めします。
SMC を停止すると VTCS が VLE にメッセージを送信しなくなり、結果的にデータ転送が停止します。したがって、SMC を停止する前に、VTCS のアクティビティーが休止状態になっているか VTCS が終了していることを確認すべきです。
VLE を使用する場合、SMC HTTP サーバーで AT-TLS を使用することはできません。
Tapeless VSM 構成では、ある特定の VTSS に単一ノードの VLE しか接続されていない場合に、その VLE がオフラインになると、その VLE がふたたびオンラインになるまで、その VLE に移行された VTV のうちで、VTSS 内に存在していないものには一切アクセスできなくなります。
詳細は、次のセクションを参照してください。
VLE 1.5.3 は次を提供します。
400M バイト、800M バイト、2G バイト、4G バイト、および 32G バイト VTV のサポート
VSM ソリューションの追加ストレージレイヤー。VTSS から VLE への VTV の移行が可能となったため、最新データに高速でアクセスできます。さらに、VTV を長期のアーカイブのため、VLE ストレージからテープメディア (MVC) に移行できます。既存の HSC のマネージメントクラスとストレージクラスによって、VTV の移行およびアーカイブ方法を制御して、以前の構成との完全下位互換性を提供できます
複数の VTSS システム間で共有されるバックエンドディスクストレージ。これにより、データへの高可用性アクセスが保証されます
Oracle Cloud Encryption
注:
VLE 1.1 以降では、「VLE」はプライベートネットワークと相互接続されたノードの集まりです。Cloud アカウントの設定の詳細は、http://docs.oracle.com/cloud/latest/storagecs_common/index.html
または「Cloud Extended Storage のネットワーク要件」を参照してください。
VLE 1.5.3 は非常に限定された構成でテストされています。承認された構成以外を使用することはサポートされていません。
注:
VLE 1.5.3 ソフトウェアは、ハードウェアスタックの古いバージョンと新しいバージョンの両方で動作します。1 つの VLE キャビネット内でコンポーネントを混在させることはできません。J4410 JBOD を備えた VLE に DE2-24C JBOD を備えた VLE を組み合わせるなど、スタックどうしを組み合わせてマルチノード VLE を構成できます。
VLE は Sun Rack II Model 1242 に収められた出荷時組み立てユニットであり、次のハードウェアを含みます。
Sun Server X4-4 プラットフォーム上に構築されたサーバー
4 つのマザーボード 10G ビットポート。そのうち 2 つは、データ転送およびほかの目的に使用できます。2 つは、管理、サービス、およびサポート専用です
サービス (ILOM) ポート
4 枚のデュアルポート 10G ビット光ファイバネットワークカード (6 つのポートが使用可能)、および 2 つの 10G ビット銅線ポート
ZFS RAID アレイ内にディスク (HDD) を格納する 1 台または複数の Oracle Storage Drive Enclosure DE2-24C (DE2-24C) で、単一の JBOD VLE に対し 200T バイトから始まる実効容量で拡張可能です (VLE へのデータ移行を行う際の圧縮率を 4 対 1 と仮定)。
DVD ドライブ
VLE ソフトウェアは次から構成されます。
Oracle Solaris 11 オペレーティングシステム
ZFS ファイルシステムと MySQL データベース
VLE アプリケーションソフトウェア
図1-1 に VLE サブシステムのアーキテクチャーを示します
図1-1 に示すように、VLE アプリケーションソフトウェアは次から構成されます。
HTTP/XML は、ホストと VLE 間の通信のためのデータプロトコルです。
ユニバーサルユーザーインタフェース (UUI) リクエストハンドラ。ストレージ管理コンポーネント (SMC) および仮想テープ制御ソフトウェア (VTCS) からの UUI リクエストの処理、およびそれらへの応答の生成を行います。UUI リクエストハンドラは、どの VLE コンポーネントを使ってリクエストを処理するかを決定します。
UUI リクエストハンドラから次のものが呼び出されます。
VTV の移行やリコールのスケジューリングを行う PathGroup マネージャー。PathGroup マネージャーによってすべてのパスグループが管理され、各パスグループによって、VTSS と VLE との間の単一の VTV データ転送が管理されます。
すべてのレポート生成のスケジューリングを行うストレージマネージャー。
VLE ストレージマネージャーコンポーネントは、VLE 上の VMVC/VTV データおよびメタデータを管理します。VLE ストレージマネージャーは、JBOD アレイ上の ZFS に対して VTV データの格納や取得を行います。
TCP/IP/IFF がホストと VLE との間の通信のためのデータプロトコルであるのに対し、IP/IFF/ECAM コンポーネントは VTSS と VLE との間の通信を処理します。
図1-2 に、単一ノードの VLE 構成を示します。
図1-2 に示すように (1 は MVS ホストで 2 はライブラリです):
複数の TCP/IP 接続 (VTSS の IP ポートと VLE の IP ポートとの間) が次のようにサポートされています。
1 台の VLE を最大 8 台の VTSS に接続できるため、VTSS 間で VLE を共有できます。
1 台の VTSS を最大 4 台の VLE に接続できるため、バッファー領域を増やして高いワークロードに対応できます。
単一の VTSS は次に接続できます。
RTD のみ
(クラスタ化された) ほかの VTSS のみ
VLE のみ
上記の任意の組み合わせ
VLE と VTSS との間の接続、および SMC と VTCS が実行されているホストと VLE との間の接続でサポートされるプロトコルは、TCP/IP のみです。
マルチノードの VLE システムにより、VLE ストレージシステムの大規模なスケーリングが可能になります。1 ノードから 64 ノードで構成され、複数のノードがプライベートネットワークによって相互接続されたマルチノードシステムを構築できます。マルチノード VLE は、SMC/VTCS には単一の VLE のように見えます。VLE には 4T バイトの JBOD が付属しているため、単一の VLE は 200T バイト (1 台の JBOD システムの場合) から 100P バイト (フル装備の 64 ノード VLE の場合) まで拡張できます。
注:
これらは、圧縮率を 4:1 と仮定した場合の実効容量です。VLE は最大 64 ノードとして設計されていますが、最大 16 ノードに対してのみ検証されています。図1-3 に、VLE マルチノードコンプレックスを示します。ここでは、下の図に示すように、ノードが専用の 10GE スイッチに相互接続され、各ノードがコンプレックス内のほかのノードにアクセスできるようになっています。
注:
マルチノード VLE では、アプリケーションコードレベル 1.5.0、1.5.1、1.5.1.A1、1.5.2、1.5.2.A1、または 1.5.3 の任意の組み合わせを使用できますが、すべてのノードをできるだけ早く 1.5.3 にアップグレードするようにしてください。注意:
すべてのノードで VLE 1.5.3 を実行することをお勧めします。アップグレードに必要な期間を除き、1.5.0、1.5.1、1.5.1.A1、1.5.2、または 1.5.2.A1 を 1.5.3 と混在させないようにしてください。VLE ストレージシステムでは、VTSS と無関係にデータ転送を管理できます。これにより、フロントエンド (ホスト) のワークロードに使われる VTSS リソースが解放されるため、VTSS 全体のスループットが向上します。
例:
移行ポリシーで、(同じまたは別々の VLE に) VTV の 2 つの VLE コピーが必要であると指定している場合、VLE への最初の移行によって、データが VTSS から転送されます。VTV に対する後続のすべての VLE の移行は、VLE と VLE 間のコピーによって実現できます。これによって、VTV のすべてのコピーの移行に必要な VTSS サイクル時間が短縮されます。
環境で次を実行している場合:
VLE 1.2 以降
VTCS 7.1 (サポートする PTF を含む) または VTCS 7.2 以降
VTCS を使用して、CONFIG STORMNGR VLEDEV
パラメータによって、VTSS と VLE 間のパスにあるより多くの VLE デバイスを定義できます。このアドレス指定スキームを使用した場合、すべての VTV コピーを VLE に移行するために使用される VTSS リソースがさらに少なくなります。これは、VTSS から VLE 宛てのデータ転送が行われる場合にのみ、VTSS からターゲットの VLE へのパスが予約されるためです。すべての VLE VRTD アクションで、VTSS データ転送が必要な場合にのみ、VTSS からのパスが予約されます。この機能は自律型デバイスサポート (ADS) と呼ばれます。
暗号化機能により、VLE システムに書き込まれた VMVC の暗号化が可能になります。暗号化は、ノードに格納され、USB デバイスにバックアップされている暗号化鍵によって、ノード単位で有効にします。暗号化は、VLE GUI によって完全に管理されます。VLE が VTSS にリコールされた VTV を暗号化解除するため、ホストソフトウェアは暗号化を認識しません。
注:
VMVC が定義されていない空の VLE でのみ暗号化を有効にできます。すでに顧客データが格納されている VLE では、暗号化を有効にすることはできません。したがって、暗号化するかどうかは VLE のインストールの計画段階で決定する必要があります。暗号化された新しい VMVC を最初に定義するときは、USB スティックが必要です。鍵はその USB スティックにバックアップされます。追加の VMVC を定義する前に、古い鍵と新しい鍵の同期とバックアップのために、元の USB スティックが挿入されていることを確認してください。暗号化された VMVC を作成する場合に USB スティックをバックアップとして管理することは、お客様の責任です。暗号化された VMVC を USB スティックなしで作成することはできますが、正しい暗号化鍵がないと VMVC をマウントすることも読み取ることもできません。
注:
USB スティックが VLE で認識されるようにするために、VLE の USB スロットに挿入する前に Windows ワークステーションまたはサーバー上で FAT または FAT32 でフォーマットしてください。NTFS および exFAT でフォーマットされた USB スティックは VLE でサポートされていません。複製解除は、VLE コンプレックスの冗長データを除去します。複製解除は STORCLAS
ステートメント DEDUP
パラメータによって制御され、VLE の実効容量を増やし、VTV が VMVC に書き込まれる前に、VLE によって実行されます。
複製解除結果を評価するには、複製解除を有効にし、SCRPT
レポートによって結果をモニターして、必要に応じて複製解除を微調整します。SCRPT
レポートは、非圧縮 G バイトを使用中の G バイトで割った、複製解除されたデータのおよその「削減率」を示します。そのため、削減率には VTSS の圧縮と VLE の複製解除の両方が含まれます。削減率が大きいことは、圧縮と複製解除の効果が大きいことを示します。
たとえば、VTSS は 16M バイトのデータを受信し、それを 4M バイトに圧縮して、圧縮されたデータを VTV に書き込みます。VLE は続いて VTV を 2M バイトに複製解除し、それを VMVC に書き込みます。したがって、削減率は 16M バイトを 2M バイトで割ると 8.0:1 になります。
フレームサイズコントロールは、各コピーリンクでのジャンボフレームの使用を指定します。
注:
これが機能するには、VSM と VLE 間、または VLE 間のインフラストラクチャーがジャンボフレームをサポートしている必要があります。これらの接続間のインフラストラクチャーにジャンボフレームをサポートしていない部分があると、ジャンボフレームは機能しません。TCP/IP ネットワークでジャンボフレームをサポートしている場合、このオプションによってネットワークパフォーマンスが向上する可能性があります。
ジャンボフレームを有効にするには、「Port Card Configuration
」タブの「Jumbo Frames
」チェックボックスをオンにします。このチェックボックスをオンにすると、ポートの MTU (Maximum Transmission Unit) 値が 9000 に設定されます。
ジャンボフレームは、VLE と VLE 間の転送用に設定されているリンクで有効にすることをお勧めします。
VLE 1.5.2 以降では、VLE から Oracle Cloud への接続が提供されます。必要に応じて Oracle Cloud との間で顧客データを直接移行およびリコールするように VLE を構成できます。VLE の構成オプションでは、ローカルの VLE ディスクプールまたは Oracle Cloud (あるいはその両方) にあるデータストレージの任意の組み合わせをサポートしています。VLE は、Oracle Cloud、Oracle Cloud (Archive) および Encryption within Oracle Cloud という、3 つの Oracle Cloud オプションをサポートしています。サポートされている Oracle Cloud オプションの詳細な説明については、次を参照してください。
オラクルの Cloud Extended Storage は、お客様のストレージ容量を追加できるようにするオプションです。Cloud アカウントの設定の詳細は、http://docs.oracle.com/cloud/latest/storagecs_common/index.html
または「Cloud Extended Storage のネットワーク要件」を参照してください。
従量制および非従量制アカウントについては、次を参照してください。
http://docs.oracle.com/cloud/latest/trial_paid_subscriptions/CSGSG/toc.htm
Cloud の最新情報については、次を参照してください。
追加のサポートについては、次を参照してください。
http://docs.oracle.com/cloud/latest/storagecs_common/index.html
VLE 1.5.2 以降でのサポートにより、VLE のローカルディスクプールにデータを格納する場合と同様の方法で、Oracle Storage Cloud - Object Storage にデータを格納できるようになります。ストレージクラウドに VTV を格納するための、VLE の構成に必要なステップの概要を次に示します。
必要な情報は次のとおりです。
注:
Oracle CSE は、VLE と Oracle Storage Cloud Service - Object Storage の間に初期接続を作成するために、顧客の Oracle Cloud アカウント情報を取得する必要があります。アカウント名
ユーザー名
ユーザーパスワード
承認 URL
注:
MVC の範囲は、お客様によって決定されます。これは VTCS ホストソフトウェアの構成に使用されるもので、VLE を構成するために Oracle サポートチームに提供されます。VLE が Storage Cloud だけでなくローカルディスクプールにも VTV データを格納する場合、VLE では 2 つの VMVC プール範囲が定義され、構成されます。
VLE ローカルディスクプールストレージ用の VMVC 範囲
VLE Oracle Cloud ストレージ用の vMVC 範囲
VLE に VMVC の定義を構成したあとは、VTV 移行、リコール、および VLE コピー操作が、VLE ローカルストレージプールを使用するすべての VLE 操作とほぼ同様に動作すると期待できます。
注:
VLE と Cloud の間のデータ転送のパフォーマンスは、IP 帯域幅と遅延、および Storage Cloud のパフォーマンスの影響を受けます。VLE 1.5.3 以降でのサポートにより、VLE のローカルディスクプールにデータを格納する場合と同様の方法で Cloud Archive にデータを格納できるようになりますが、Oracle Storage Cloud Service – Archive Storage に格納されたデータのリコールに関してはいくつかの例外があります。
Oracle Storage Cloud Service – Archive Storage を使用するために VLE を設定するステップは、Oracle Storage Cloud のオブジェクトストレージを使用する場合のステップと似ています。
必要な情報は次のとおりです。
注:
Oracle CSE は、VLE と Oracle Cloud Archive の間に初期接続を作成するために、顧客の Oracle Cloud アカウント情報を取得する必要があります。Cloud Archive のアカウント情報は、ストレージクラウドと同じです。アカウント名
ユーザー名
ユーザーパスワード
承認 URL
MVC の範囲は、お客様によって決定されます。これは VTCS ホストソフトウェアの構成に使用されるもので、VLE を構成するために Oracle サポートチームに提供されます。Cloud Archive を使用する場合、顧客は最大 3 つの vMVC 範囲を指定する必要があります。
VLE ローカルディスクプールストレージ用の VMVC 範囲
VLE Oracle Cloud ストレージ用の vMVC 範囲
VLE の Oracle Cloud (Archive) ストレージの vMVC 範囲
VLE 上に vMVC を作成するときに、Oracle サポート担当者は Cloud Archive を使用する vMVC に対して「アーカイブ」フラグを選択します。これによって Oracle Cloud 内で「アーカイブ」機能がトリガーされます。VLE に VMVC の定義を構成したあとは、VTV 移行、リコール、および VLE コピー操作が、3 つすべての vMVC 範囲に対して可能になりますが、vMVC の Cloud Archive 範囲についてはいくつかの例外があります。
注:
移行、復元、およびリコールの詳細な説明については、Virtual Library Extension (VLE) 1.5 のホストソフトウェアの構成ガイドを参照してください。VTV の移行操作の動作は、VTV を VLE のローカルディスクプールに移行する場合でも、Oracle Storage Cloud Service – Object Storage に移行する場合でも同じになります。Storage Cloud への VTV の移行が完了したら、VTV はすぐに Cloud Archive に移動します。
注:
VTV はすぐにアーカイブ済みステータスに移るため、ユーザーは VLE と VLE 間のコピー操作のソースとしてその VTV をすぐにリコールしたり使用したりすることはできません。復元する VTV は顧客によって指定され、手動で (またはホストジョブで) SMC UUI インタフェースを介して復元コマンドを使用して復元されます。
注:
VTV を復元するための Oracle サービスレベル契約 (SLA) は 4 時間です。複数の VTV 復元コマンドを同時に開始できます。復元中の VTV に対して Query Restore を発行して、現在の進行状況 (完了、進行中) を取得できます。Cloud Archive 内の復元操作は、VLE ローカルストレージプールを使用するすべての VLE 操作とほぼ同様に動作すると期待できます。
VLE と Cloud の間のデータ転送のパフォーマンスは、IP 帯域幅と遅延、および Oracle Cloud のパフォーマンスの影響を受けます。
Oracle Storage Cloud Service – Object Storage および Oracle Storage Cloud Service – Archive Storage は、暗号化をサポートしています。どちらの Oracle Cloud サービスでも、暗号化は vMVC 境界で制御されます。つまり、「暗号化」フラグを設定して vMVC を作成した場合、その vMVC 内のすべての VTV が暗号化されます。暗号化された VTV の移行操作とリコール操作は、前に説明したとおり、それぞれのクラウド (アーカイブと非アーカイブ) でまったく同じ動作になります。
唯一の違いは、暗号化された VTV ではパフォーマンスが 10% 低下することです。Oracle Cloud Encryption を使用するための VLE の設定ステップは、Oracle Storage Cloud Service – Object StorageおよびOracle Storage Cloud Service – Archive Storageで説明されているステップと同様です。
注:
Oracle CSE は、VLE と Oracle Cloud の間に初期接続を作成するために、顧客の Oracle Cloud アカウント情報を取得する必要があります。Archive Cloud のアカウント情報は、Storage Cloud のアカウント情報と同じです。
必要な情報は次のとおりです。
アカウント名
ユーザー名
ユーザーパスワード
承認 URL
MVC の範囲は、お客様によって決定されます。これは VTCS ホストソフトウェアの構成に使用されるもので、VLE を構成するために Oracle サポートチームに提供されます。暗号化機能付きの Oracle Cloud を使用する場合は、vMVC の範囲を最大 3 つ指定する必要があります。
VLE ローカルディスクプールストレージ用の VMVC 範囲
VLE の Oracle Cloud ストレージの vMVC 範囲 (暗号化あり、またはなし)
VLE の Oracle Cloud (Archive) ストレージの vMVC 範囲 (暗号化あり、またはなし)
注:
VLE に vMVC を作成するとき、Oracle サポート担当者は、暗号化された VTV を格納するすべての vMVC に暗号化フラグを設定します。VMVC 定義を VLE 内に構成すると、暗号化された vMVC に対する VTV の移行とリコール、および VLE のコピー操作は、Oracle Storage Cloud Service – Object StorageおよびOracle Storage Cloud Service – Archive Storageで説明したように行われます。Oracle Cloud 内で扱われる暗号化機能については、Oracle Cloud の Web サイトを参照してください。
Oracle フィールドエンジニアが VLE 1.5 を設定して Oracle Cloud Storage に接続する準備のため、少なくとも 1 週間前に次のパラメータを取得してください。
注:
これらの値をあらかじめ入手できていない場合は、値を入手できるまでクラウド接続の設定が遅れます。値 |
説明 |
コメント |
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Oracle Cloud Storage アカウント |
Oracle によって提供された有効な Cloud Storage アカウント。お客様はアカウント情報を含む電子メールを受け取っています |
サービスエンジニアが VLE を Oracle Cloud 用に設定するときに、URL、アカウント名、ユーザー名、およびパスワードが必要になります。 |
VLE 上の専用 Ethernet ポート |
VLE 上の 1 つまたは複数の Ethernet ポートをクラウドトラフィック専用にすることを強くお勧めします。 |
専用の Ethernet ポートはこのサブネットに接続されている必要があります。 |
専用のクラウドサブネット |
クラウドのデータトラフィックをルーティングできるように、顧客の情報技術 (IT) 部門によってプロビジョニングされた専用のサブネット。 |
専用の Ethernet ポートはこのサブネットに接続されている必要があります。 |
静的 IP アドレス |
情報技術 (IT) 部門によって提供された 1 つ以上の有効な IP アドレス。 |
IP アドレスは Ethernet ポートに割り当てられます。複数の Ethernet ポートと 1 つの IP アドレスを使用する場合、Ethernet ポートは集約されます。 |
ゲートウェイ、ネットワーク番号、およびネットワークマスク |
情報技術 (IT) 部門によって提供された、IP アドレスの設定時に使用する値。 |
これらの値は、あらかじめ情報技術 (IT) 部門から入手しておく必要があります。 |