第3章 Oracle NoSQL Database向けの開発

目次

KVStoreハンドル
KVStoreConfigクラス
認証APIの使用
SSLの構成
ストアへの認証
期限切れのログイン資格証明の更新
無認可アクセス

Oracle NoSQL DatabaseのKVStore内のデータには、製品に含まれているJava APIを使用してアクセスします。Oracle NoSQL Databaseアプリケーションを記述するには、2つの異なるプログラミング方法を使用できます。表APIを使用する方法と、キー/値APIを使用する方法があります。キー/値ペアAPIでは使用できない2次索引などの重要な機能が含まれているため、ほとんどの場合は表APIが推奨されます。ただし、現在のリリースでは、表APIによってラージ・オブジェクトを表に挿入することはできません。LOB APIを表APIと併用して使用することはできます。

どちらのAPIでも、提供されるクラスとメソッドを使用して、ストアにデータを書き込み、ストアからデータを取得および削除することが可能です。これらのAPIを使用して一貫性と永続性の保証を定義できます。すべての操作が成功するか、いずれも成功しないかのどちらかになるよう、ストアに対する一連の操作を自動的に実行することもできます。

この本の後半で、ストアのアクセスに使用するJava APIとその概念について説明します。この本ではキー/値APIについて説明します。表APIを使用する場合は、『Oracle NoSQL Database Table APIスタート・ガイド』を参照してください。

注意

Oracle NoSQL DatabaseはJava 7を使用してテストされているため、これ以外のバージョンのJavaではOracle NoSQL Databaseを使用しないでください。

KVStoreハンドル

ストア・アクセスを行うには、KVStoreハンドルを取得する必要があります。KVStoreハンドルの取得は、KVStoreFactory.getStore()メソッドを使用して行います。

KVStoreハンドルを取得する場合、KVStoreConfigオブジェクトを指定する必要があります。このオブジェクトによって、アクセス先のストアの重要なプロパティを識別します。KVStoreConfigクラスについては、この章の次の項で説明しますが、このクラスを使用して最低次のものを識別する必要があります。

  • ストアの名前。ここで指定する名前は、ストアをインストールしたときに使用した名前と同一である必要があります。

  • 1つ以上のヘルパー・クラスのネットワーク・アクセス情報。これらは、現在ストアに属しているノードのネットワーク名とポート情報です。複数のノードは、文字列の配列を使用して識別できます。1つでも複数でも使用できます。数が多いことによる影響はありません。1つの場合は選択されたホストが一時的にダウンする可能性があるので、複数の使用をお薦めします。

KVStoreConfigクラス・オブジェクトの他に、KVStoreFactory.getStore()にはPasswordCredentialsクラス・オブジェクトを指定することもできます。認証を必要とするように構成されているストアを使用している場合は、これを行います。詳細は、「認証APIの使用」を参照してください。

認証を必要としないストアのストア・ハンドルを取得する手順は、次のとおりです。

package kvstore.basicExample;

import oracle.kv.KVStore;
import oracle.kv.KVStoreConfig;
import oracle.kv.KVStoreFactory;

...

String[] hhosts = {"n1.example.org:5088", "n2.example.org:4129"};
KVStoreConfig kconfig = new KVStoreConfig("exampleStore", hhosts);
KVStore kvstore = KVStoreFactory.getStore(kconfig); 

KVStoreConfigクラス

KVStoreConfigクラスは、KVStoreハンドルのプロパティを記述するのに使用されます。ほとんどのプロパティはオプションであり、必須のものは、クラス・インスタンスの作成時に指定します。

KVStoreConfigを使用して指定できるプロパティは次のとおりです。

  • 一貫性

    一貫性は、レプリカ・ノードから読み取られたレコードがマスター・ノードに格納されている同じレコードと同一であることを表すプロパティです。詳細は、「一貫性保証」を参照してください。

  • 永続性

    永続性は、マスター・ノードで実行される書込み操作が、マスター・ノードに障害が起きたり、異常終了した場合でも失われないことを表すプロパティです。詳細は、「永続性保証」を参照してください。

  • ヘルパー・ホスト

    ヘルパー・ホストは、ストア内のノードにアクセスする場所を識別するホスト名とポートのペアです。複数のホストは、文字列の配列を使用して識別できます。通常、アプリケーション開発者は、これらのホスト名/ポートのペアの情報を、ストアの開発者または管理者から入手します。次に例を示します。

    String[] hhosts = {"n1.example.org:3333", "n2.example.org:3333"};
  • リクエスト・タイムアウト

    KVStoreハンドルが操作の完了を待つ、タイムアウトまでの時間を構成します。

  • ストア名

    ストアの名前を識別します。

  • パスワード資格証明およびオプションで再認証ハンドラ

    認証の詳細は、次の項を参照してください。