この章では、SL8500 ライブラリの導入前に考慮する計画情報および要件について説明します。計画時の主な考慮事項は次のとおりです。
ライブラリ、将来の拡張、および保守エリアのためのスペースが十分に存在していることを確認します。
コンポーネント |
長さ |
幅 |
高さ |
空の重量脚注 1 | フル重量脚注 2 |
---|---|---|---|---|---|
DEM |
30.0 インチ (76.2 cm) |
67.25 インチ (170.8 cm) |
93.15 インチ (236.6 cm) |
1,300 ポンド (590 kg) |
2,725 ポンド (1236 kg) |
RIM |
30.0 インチ (76.2 cm) |
67.25 インチ (170.8 cm) |
93.15 インチ (236.6 cm) |
775 ポンド (352 kg) |
1,825 ポンド (828 kg) |
SEM |
37.5 インチ (95.25 cm) |
67.25 インチ (170.8 cm) |
93.15 インチ (236.6 cm) |
850 ポンド (386 kg) |
1,775 ポンド (805 kg) |
CIM脚注 3 |
37.5 インチ (95.25 cm) |
67.25 インチ (170.8 cm) |
93.15 インチ (236.6 cm) |
1,483 ポンド (673 kg) |
2,020 ポンド (916 kg) |
PTP フレーム |
59.4 インチ (150.8 cm) |
6.76 インチ (17.17 cm) |
91 インチ (231.1 cm) |
N/A |
266 ポンド (121 kg) |
前面の保守領域 |
26.0 インチ (66 cm) |
71.25 インチ (181 cm) |
N/A |
N/A |
N/A |
背面の保守領域 |
35.0 インチ (89 cm) |
74.30 インチ (188.7 cm) |
N/A |
N/A |
N/A |
脚注 1 N+1 電源と 4 つのロボットを含む基本ライブラリ構成。テープドライブやテープカートリッジは含みません。
脚注 2 すべてのテープドライブ、DC 電源装置、カートリッジ、2N 電源、4 つのロボット、ドアとファサードを含みますが、フルラックは含みません。
脚注 3 重量の値は、一括 CAP を備えた CIM の値です
図の凡例:
背面ドア (開いた状態)
ケーブル用の切り抜き
背面の保守領域
PTP フレーム
前面の保守エリア
テープドライブをドライブトレーに取り付け、そのトレーを、ライブラリ背面のドライブベイスロットに挿入します。次の重量はあくまでも参考値です。正確な重量や寸法はドライブ固有のドキュメントで確認してください。
ドライブトレー |
高さ |
幅 | 長さ | 重量 |
---|---|---|---|---|
ドライブトレーのみ |
10.8 cm (4.25 インチ) |
16.5 cm (6.5 インチ) |
85 cm (33.5 インチ) |
4.3 kg (9.5 ポンド) |
ライブラリコンプレックスの拡張はどちらの方向にも行えますが、新しいライブラリを左側に追加すれば中断が発生しません。ライブラリコンプレックスを反対方向に拡張するには、システムの構成とライブラリの IPL をやり直すためにライブラリをオフラインにする必要があります。図4-2 に、3 つのライブラリから成るコンプレックスの 2 つの例を示します。
左側の例 1 は、中断のない推奨の方法 (ライブラリコンプレックスの左側に別のライブラリ (C) を追加する方法) を示したものです。
右側の例 2 は中断を伴う方法を示しています。ライブラリコンプレックスの右側に別のライブラリ (C) を追加すると、LSM 番号の再構成が必要になります。
図の凡例:
推奨される中断のない取り付け方法
中断を伴う取り付け方法
新しいライブラリと PTP
既存のライブラリを接続する PTP
環境要件をすべて満たし、十分な通気が確保されたサイトでは、上げ床は不要です (環境要件を参照)。
サイトの床がライブラリの重量に耐えられることを確認します (表4-1 ライブラリの重量と寸法を参照)。床は、4 x 8 インチの寸法の 1 重量分散パッド当たり、454 kg (1,000 ポンド) の重さに耐えられる必要があります。分散パッドはモジュールごとに 4 個ずつあります (ただし DEM は 6 個)。
ライブラリの輸送に使用されるすべてのエレベータで耐重量の問題がないことを確認します (出荷重量および寸法を参照)。
ライブラリ内でロボットが常に水平面に沿って移動する状態が要求されます。平面からの逸脱が大きすぎる場合、フレームの損傷や拘束、早期摩耗、あるいはロボットの損傷が発生する可能性があります。
サイトに装置を運び込む前に、サイトの床をレーザーで水平にしておくべきです。ライブラリモジュールは、幅方向 (左から右) に水平になっており、±25 mm (1 インチ) の許容範囲内で同じ水平面上に設置される必要があります。ライブラリの長さ方向にわたって床の変動量が 28 mm ± 0.8 mm (1.1 in. ± 0.0325 in.) を超えることはできません。
将来ライブラリを拡張する際には、ライブラリコンプレックスの場合はライブラリに隣接する床全体を、SEM の場合はライブラリの前の床全体をチェックします。各ライブラリモジュールを調整し、レールが同じ平面上に乗るようにします。
DEM と RIM には上部モジュールと下部モジュールが含まれています。上部モジュールを設置するには、十分な天井クリアランスが必要になります。
推奨の方法: クランプでモジュールを宙づりにしたあと、上部モジュールを回転させて所定の位置に移動させます。この方法の場合、床から天井までのクリアランスとして少なくとも 239 cm (94 インチ) 必要であり、かつモジュールを持ち上げるための人員が最低 3 人は必要になります。
オプションの方法: クランプを (クリアランスのために) 撤去し、上部モジュールを上に持ち上げ、横にスライドさせて下部モジュールの上に乗せます。この方法を実施するには、4 人の人員 (各隅に一人ずつ) と、床から天井までのクリアランスとして 236.6 cm (93.15 インチ) が必要になります。
注意:
上部モジュールを設置する前に、天井からぶら下がっている器具がないか確認してください。ライブラリの高さの仕様は次のとおりです。
最低の高さ = 231.4 cm (91 インチ)
最高の高さ = 236.6 cm (93.15 インチ)
同一平面の要件を満たすように、床からモジュールまでの距離を調整します。床からモジュールまでの距離を 25.4 mm ± 0.8 mm (1 インチ ± 0.0325 インチ) に調整する必要があります。床からモジュールまでの高さで許容される絶対最小値は 19 mm (0.75 インチ)、最大値は 47mm (1.85 インチ) です。
ライブラリの背面ドアの上部と下部に、インタフェースケーブルや電源ケーブルをテープドライブや PDU まで配線するためのノッチがあります。下表の左や右は、ライブラリの背面を見た場合のものです。
場所 |
長さ |
幅 |
---|---|---|
左上 |
25 cm (10 インチ) |
3.8 cm (1.5 インチ) |
左下 |
40.6 cm (16 インチ) |
7 cm (2.75 インチ) |
右上 |
25 cm (10 インチ) |
3.8 cm (1.5 インチ) |
右下 |
33 cm (13 インチ) |
7 cm (2.75 インチ) |
Ethernet、電源、およびインタフェースケーブルの配線は、サイトの床または天井の切り抜きを通じて行うべきです。DEM 背面の端の近くに切り抜きが来るようにしてください。上げ床上面から配電盤入力までを測った「大まかな」AC フィード長 (電源ケーブル長) の推奨値は、46 cm (18 インチ) です。
DC 電源装置や電子制御モジュール、テープドライブ、付属品ラックの装置など、任意のコンポーネントの取り外しや交換の際に、ライブラリ内部の配線やコンジットが邪魔にならないようにしてください。
既存の火気抑制用の切り抜きが未使用の場合は、ライブラリの上部から、軟質のコンジットまたはケーブルを使って電源コネクタから AC 電源までの配線を行います。火気抑制用の切り抜きが使用されている場合は、コンジットまたはケーブルを AC 電源まで配線するための新しい切り抜きを、フレーム内に作成すべきです。クリアランスの関係で、テープドライブベイの左側へのオプション配線を使用してもかまいません。ただし、テープドライブ用の DC 電源装置グリッドには軟質のコンジットを使用してください。
ライブラリの外部 AC 配線は、資格のある電気技術者が行うべきです。SL8500 の電源要件の詳細については、第3章 電源を参照してください。
ライブラリの煙探知器は、煙を検出するとライブラリのすべての電源を切断します。PDU の AC 回路ブレーカをリセットすることによって、ライブラリに電源を復元できます。
出荷時のライブラリに火気抑制システムの装備はありませんが、各モジュールには直径 5cm (2 インチ) のノズル孔が 2 つあります (図4-3 を参照)。7 cm (2.75 インチ) 四方で 1.2 mm (0.048 インチ) 厚のプレートが孔を覆っているので、ノズルに合うように開孔できます。ノズルがロボットの動作を妨げないようにし、ライブラリ内への突出は 2.54 cm (1 インチ) 以内にとどめてください。火気抑制計画については、プロフェッショナルサービスの支援を受けてください (Oracle の販売担当者に連絡してください)。
図の凡例:
データ (カバーやドアがない状態で測定)
ノズルの切り抜き
SL8500 ライブラリの最適な信頼性を維持するため、すべての環境要件 (温度、湿度、通気、汚染物質など) を満たしてください。
最良の信頼性を確保するため、推奨範囲内の環境を維持してください。この機器は湿度 20% - 80% の環境で動作する設計になっていますが、業界のベストプラクティスとしては、相対湿度 40% - 50% を維持することが推奨されています。
耐震性の要件は国によって大きく異なります。地域の規約や要件を熟知した地域の専門家に相談することをお勧めします。この作業の調整は、プロフェッショナルサービスでも行なっています。
SL8500 ライブラリでは、空気は前面から背面 (CIM から DEM) に流れます。必要な通気は、ライブラリに設置されているコンポーネントの数によって異なります。データセンターのすべての機器の冷却要件を計画します。
コンポーネント |
必要な通気 |
数量 |
---|---|---|
テープドライブ |
それぞれ 0.57m3/分 (20 フィート3/分) |
最大 64 個 |
DC 電源装置 |
それぞれ 0.71m3/分 (25 フィート3/分) |
最大 24 個 |
ラックモジュール |
それぞれ 13.59m3/分 (480 フィート3/分.) |
最大 4 個 |
電子モジュール |
それぞれ 4.42m3/分 (156 フィート3/分) |
1 |
64 台のテープドライブ、24 台の DC 電源装置、4 つのラックモジュール、および電子制御モジュールを含む最大構成のライブラリでは、再循環を避けるために、112.3m3/分 (3956 フィート3/分) のエア供給が必要です。
ほとんどの構成はこれより小さいので、必要な通気量も少なくなります。たとえば、12 台のテープドライブ、12 台の DC 電源装置、4 つのロボット、1 つのラックモジュール、および電子制御モジュールでは、33.3m3/分 (1176 フィート3/分) が必要になります。
環境評価では、コンピュータ室の汚染レベルを管理することが非常に重要になります。自動テープライブラリコンポーネントと電子回路、テープドライブ、およびメディアは、浮遊粒子が原因で損傷を受けることがあります。動作環境は ISO 14644-1 Class 8 環境の要件を満たしている必要があります。詳細については、付録A 汚染物質の管理を参照してください。
電子コンポーネントに特に有害なガスとして、塩素化合物、アンモニアおよび誘導体、硫黄酸化物、石油炭化水素が挙げられます。適切なハードウェアのエクスポージャーの限度を設けていない場合は、健全性のエクスポージャーの限度を使用する必要があります。
損傷の原因になる空気中塩素は主に、塩素処理水による加湿によって発生します。塩素処理水を使用して加湿を行う場合は、適切に設計されたカーボンフィルタを使用し、空気中の塩素を安全なレベルに維持してください。次の表では、ガス制限 (PEL: Permissible Exposure Limit、c: ceiling) に関するいくつかの推奨値の一覧を示します。
化学名 | 式 | ASHRAE | OSHA (PEL) | ACGIH | NIOSH |
---|---|---|---|---|---|
酢酸 |
CH3COOH |
未定義 |
10 ppm |
未定義 |
未定義 |
アンモニア |
NH |
3500 µg/m3 |
350 ppm |
25 ppm |
未定義 |
塩素 |
Cl |
2100 µg/m3 |
31 ppm (c) |
未定義 |
0.5 ppm (c) |
塩化水素 |
HCl |
未定義 |
5 ppm (c) |
未定義 |
未定義 |
硫化水素 |
H2S |
50 µg/m3 |
320 ppm (c) |
10 ppm |
10 ppm |
オゾン |
O3 |
235 µg/m3 |
30.1 ppm |
未定義 |
未定義 |
石油炭化水素 |
CnHn |
未定義 |
500 ppm |
75 ppm |
300 ppm |
二酸化硫黄 |
SO2 |
80 µg/m3 |
35 ppm |
2 ppm |
0.5 ppm (c) |
硫酸 |
H2SO4 |
未定義 |
1 ppm |
未定義 |
1 ppm (c) |