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Oracle® Fusion Middleware Oracle Identity and Access Managementアップグレード・ガイド
11gリリース2 (11.1.2.3.0)
E69899-05
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6 各種自動アップグレード・シナリオに共通のタスク

この章では、自動アップグレード・プロセスの一環として実行する必要があるアップグレード・タスクを示します。


注意:

この章では、様々な自動アップグレード・シナリオに共通するアップグレード・タスクを取り上げます。この章に記載のタスクのすべては実行しないでください。

サポートされる自動アップグレード・シナリオのリストとドキュメント・ロードマップは、第2章「Oracle Identity and Access Managementの自動アップグレードの理解」を参照してください。


この章の内容は次のとおりです。

6.1 この章で使用される変数

表6-1に、この章で使用される変数を示します。

表6-1 この章で使用される変数とその説明

変数 説明

SCRIPT_FILE_LOCATION

アップグレード・ツールidmUpgrade.zipをコピーし、ファイルを抽出した場所。

OAMHOST

OAMHOST1

OAMHOST2

Oracle Access Managerがインストールされているホスト。

OIMHOST

OIMHOST1

OIMHOST2

Oracle Identity Managerがインストールされているホスト。

WEBHOST

WEBHOST1

WEBHOST2

Oracle HTTP Serverがインストールされているホスト。

LDAPHOST

LDAPHOST1

LDAPHOST2

Oracle Unified Directoryがインストールされているホスト。


6.2 システム要件および動作保証の確認

インストール、アップグレードまたは移行を実行する前に、システム要件および動作保証のドキュメントを読み、インストールまたはアップグレードする製品の最小要件を環境が満たしていることを確認します。

  • Oracle Fusion Middlewareのシステム要件と仕様

    このドキュメントには、ハードウェアとソフトウェアの要件、最小ディスク領域とメモリーの要件、および必要なシステム・ライブラリ、パッケージまたはパッチに関する情報が含まれます。

  • Oracle Fusion Middlewareのサポートされるシステム構成

    このドキュメントには、サポートされるインストール・タイプ、プラットフォーム、オペレーティング・システム、データベース、JDKおよびサード・パーティ製品に関する情報が含まれます。

  • インストール時に発生する可能性がある相互運用性および互換性の問題については、『Oracle Fusion Middleware相互運用および互換性ガイド』を参照してください。

    Oracle Fusion Middleware製品が旧バージョンの他のOracle Fusion Middleware、Oracleまたはサード・パーティ製品と機能するために重要な情報がこのマニュアルに記載されています。この情報は、既存の環境をアップグレードする既存ユーザーと新しいOracle Fusion Middlewareユーザーの両方に適用されます。

6.3 既存の環境のバックアップ

アップグレード・プロセスを開始する前に、データベースとファイル・システムをバックアップします。アップグレード中に失敗した場合は、バックアップしたデータベースとファイル・システムをリストアすることで環境を復元できます。

スキーマをバックアップする方法の詳細は、『Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ユーザーズ・ガイド』を参照してください。

6.4 アップグレードに必要な環境変数の設定

この項では、アップグレードを進める前に設定する必要のある環境変数をリストします。

表6-2に、設定する環境変数をリストします。使用しているプラットフォームとアップグレード・シナリオに応じて、「使用するコマンド」列に示されているコマンドを使用して必要な環境変数を設定します。

表6-2 設定する環境変数

変数 該当するプラットフォーム 説明 使用するコマンド

JAVA_HOME

すべてのプラットフォーム

JDKの場所への絶対パスを指定します。

OAM/OIM/OHSノード上:

  • JAVA_HOME=MW_HOME/jdk6

  • export JAVA_HOME

LIBPATH

AIX

Sybase IQ共有ライブラリが置かれているディレクトリへの絶対パスを指定します。

OAM/OIM/OUD/OHSノード上:

  • LIBPATH=IDM_UPGRADE_HOME/lib:REPOS_HOME/perl/lib/site_perl/5.10.0/aix-thread-multi-64all/auto/XML/Parser/Expat

  • export LIBPATH

LD_LIBRARY_PATH

Solaris.Sparc64

Solaris.x64

HPUX.IA64

Sybase IQ共有ライブラリが置かれているディレクトリへの絶対パスを指定します。

OAM/OIM/OUD/OHSノード上:

Solaris.Sparc64では、次のコマンドを実行します。

  • LD_LIBRARY_PATH=IDM_UPGRADE_HOME/lib:REPOS_HOME/perl/lib/site_perl/5.10.0/sun4-solaris-thread-multi-64/auto/XML/Parser/Expat

  • export LD_LIBRARY_PATH

Solaris.x64では、次のコマンドを実行します。

  • LD_LIBRARY_PATH=IDM_UPGRADE_HOME/lib:REPOS_HOME/perl/lib/site_perl/5.10.0/i86pc-solaris-thread-multi-64/auto/XML/Parser/Expat

  • export LD_LIBRARY_PATH

HPUX.IA64では、次のコマンドを実行します。

  • LD_LIBRARY_PATH=IDM_UPGRADE_HOME/lib:REPOSI_HOME/perl/lib/site_perl/5.10.0/IA64.ARCHREV_0-thread-multi-LP64/auto/XML/Parser/Expat

  • export LD_LIBRARY_PATH

PERL5LIB

すべてのプラットフォーム

perlの場所を指定します。

OAM/OIM/OHSノード上:

  • PERL5LIB=REPOS_HOME/perl/lib/site_perl/5.10.0:REPOS_HOME/perl/lib/5.10.0

  • export PERL5LIB

前述のコマンドで、REPOS_HOMEは11.1.2.3.0リポジトリの場所への絶対パスを表します。

PATH

すべてのプラットフォーム

JAVA_HOME/binREPOS_HOME/perl/binを指すようにPATH変数を設定して、64ビットのperlバージョン5.10.0を使用します。

OAM/OIM/OHSノード上:

  • PATH=JAVA_HOME/bin:REPOS_HOME/perl/bin:$PATH

  • export PATH

前述のコマンドで、REPOS_HOMEは11.1.2.3.0リポジトリの場所への絶対パスを表します。

SKIP_ROOTPRE

AIX

SKIP_ROOTPRE環境変数をTRUEに設定して、インストーラがチェックの実行中にプロンプトを表示しないようにします。

OHSノード上:

  • SKIP_ROOTPRE=TRUE

  • export SKIP_ROOTPRE


6.5 ホスト・ファイルでのホスト名の検証

/etc/hostsファイルに、正規のホスト名(完全修飾ホスト名)とホスト名エントリの両方が含まれていることを確認します。確認するには、次のコマンドを実行します。

more /etc/hosts

このコマンドからのサンプル出力は次のとおりです。

192.0.2.1 myhost.example.com myhost

/etc/hostsファイルに完全修飾ホスト名が含まれていない場合は、ホスト名を追加し、システムを再起動するか、ネットワーク・システムを再開します。たとえば、/etc/rc.d/init.d/network restartのようにします。

6.6 自動アップグレード・ツールの入手

アップグレード・ツールをダウンロードし、アップグレードを実行するホスト上の任意の場所にコピーする必要があります。これを行うには、次の手順を実行します。

  1. 自動アップグレード・ツールをOracle Technology Network (OTN)からダウンロードします。アップグレード・ツールは、Oracle Identity and Access Management 11.1.2.3.0シップホームのidmUpgrade.zipという名前のzipファイルで入手できます。11gリリース2 (11.1.2.3.0)ソフトウェアの入手については、Oracle Fusion Middlewareのダウンロード、インストールおよび構成のReadMeを参照してください。

  2. アップグレードを実行するホスト上の任意の場所にアップグレード・ツールをコピーします。この場所は、このドキュメントではSCRIPT_FILE_LOCATIONと呼びます。

  3. 次のコマンドを実行して、idmUpgrade.zipファイルの内容を抽出します。

    cd SCRIPT_FILE_LOCATION;unzip -q idmUpgrade.zip

    このコマンドは、スクリプト・ファイルを含むr2ps3という名前の新規フォルダを作成します。


注意:

Oracle Identity and Access Managementの11gリリース2 (11.1.2.3.0)への自動アップグレードの実行手順では、Oracle Identity and Access Management自動アップグレード・ツール・バンドル・パッチ2 (11.1.2.3.2)を適用したことを想定しています。このパッチをダウンロードするには、次のURLにアクセスしてください。

https://updates.oracle.com/download/21419345.html


6.7 upgrade.propertiesファイルの更新

SCRIPT_FILE_LOCATION/r2ps3/idmUpgrade/upgrade.propertiesにあるupgrade.propertiesファイルを、アップグレード・シナリオに必要なプロパティの値で更新する必要があります。アップグレード・スクリプトは、このプロパティ・ファイルで指定する値を使用します。

upgrade.propertiesファイルを更新するには、次の手順を実行します。

  1. SCRIPT_FILE_LOCATION/r2ps3/idmUpgrade/upgrade.propertiesにあるupgrade.propertiesファイルをテキスト・エディタで開きます。

  2. アップグレードに必要なプロパティの値を設定します。

    表6-3に、upgrade.propertiesファイルに存在するすべてのプロパティ、その説明、デフォルト値、およびどのような場合にプロパティを使用するかについての情報をリストします。

    表6-3 upgrade.propertiesファイルで更新するプロパティ

    プロパティ 説明 アップグレード対象 サンプル値

    LOG_DIR

    これは、ログ・ファイルが作成される場所です。

    • OIM

    • OAM

    • OIM-OAM-OUD

    /IDM/BASEDIR/logs

    WALLET_DIR

    これは、cwallet.ssoファイルが作成される場所です。

    Oracleウォレットは、証明書、信頼できる証明書、証明書リクエスト、秘密鍵などの資格証明を格納するコンテナです。

    cwallet.ssoは自動ログイン・ウォレットです。

    • OIM

    • OAM

    • OIM-OAM-OUD

    /patchAutomation

    LCMCONFIG_HOME

    これは、デプロイメント・ツールを使用して設定がデプロイされたときに作成されたtopology.xmlの場所です。topology.xmlファイルには、環境関連プロパティが含まれます。

    topology.xmlファイルは、LCMCONFIG_HOME/topology/topology.xmlにあります。

    • OIM

    • OAM

    • OIM-OAM-OUD

    /IDMTOP/lcmdir/provisioning/phaseguards/lcmconfig

    START_STOP_SCRIPT_WORKING_DIR

    これは、IDM Start、Stopスクリプトが存在する場所です。

    • OIM

    • OAM

    • OIM-OAM-OUD

    /IDMTOP/config/scripts

    IDMLCM_HOME

    これは、IDM LCMライブラリ・ファイルが存在する場所です。IDM LCMライブラリ・ファイルを使用して、topology.xmlファイルを解析します。

    IDM LCMライブラリ・ファイルの場所はIDMLCM_HOME/common/libです。

    • OIM

    • OAM

    • OIM-OAM-OUD

    /BASEDIR/idmlcm

    JAVA_HOME

    これは、Javaホームの場所です。

    • OIM

    • OAM

    • OIM-OAM-OUD

    /IDM/BASEDIR/jdk6

    DB_SYS_PASSWORD

    これは、データベースsysパスワードです。

    • OIM

    • OAM

    • OIM-OAM-OUD

    Password1

    PATCHCONFLICT_TOOL_INSTALLER_LOC

    これは、Patch Conflict Managerをダウンロードした場所です。

    • OIM

    • OAM

    • OIM-OAM-OUD

    /patchConflict_tool_installer/PCMv6

    OAM_ADMIN_USER_NAME

    これはOAM管理者のユーザー名です。

    • OAM

    • OIM-OAM-OUD

    oamadmin

    OAM_ADMIN_USER_NAME_PASSWORD

    これはOAM管理者のパスワードです。

    • OAM

    • OIM-OAM-OUD

    Password1

    LDAP_ADMIN_USER

    LDAP管理者ユーザーを指定します。

    • OAM

    • OIM-OAM-OUD

    oudadmin

    LDAP_ADMIN_PASSWORD

    LDAP管理者パスワードを指定します。

    • OAM

    • OIM-OAM-OUD

    password1

    IDSTORE_ADMIN_PASSWD

    IDストア管理者のパスワードを指定します。

    • OIM

    • OAM

    • OIM-OAM-OUD

    password1

    OAAM_ADMIN_USER

    Oracle Adaptive Access Manager管理者のユーザー名を指定します。

    • OAM

    • OIM-OAM-OUD

    oaamadminuser

    OAAM_ADMIN_PASSWORD

    Oracle Adaptive Access Manager管理者パスワードを指定します。

    • OAM

    • OIM-OAM-OUD

    password1

    BIP_SERVER_PORT

    これは、Oracle BI Publisherのプレーン・ポートです。

    • OIM

    • OIM-OAM-OUD

    9704

    BIP_SERVER_SSL_PORT

    これは、Oracle BI PublisherのSSLポートです。

    • OIM

    • OIM-OAM-OUD

    9804

    POLICY_MGR_PORT

    Oracle Access Management Policy Manager管理対象サーバーのポートを指定します。

    • OAM

    • OIM-OAM-OUD

    14150


6.8 preValidate.plスクリプトを使用した検証前チェックの実行

検証前チェックを実行するには、SCRIPT_FILE_LOCATION/r2ps3/idmUpgrade/から次のコマンドを実行します。

perl preValidate.pl -node=node -prop=location_of_upgrade.properties

このコマンドでは、次のように指定します。

  • nodeは、このスクリプトの実行対象のコンポーネントを表します。アップグレードするコンポーネントに応じて次の値のいずれかを指定します。

    • WEBTIER: Oracle HTTP Serverの検証前チェックを実行するためにpreValidate.plスクリプトを実行している場合は、-node引数にこの値を指定します。

    • DIRECTORY: Oracle Unified Directoryの検証前チェックを実行するためにpreValidate.plスクリプトを実行している場合は、-node引数にこの値を指定します。

    • OIM: Oracle Identity Managerの検証前チェックを実行するためにpreValidate.plスクリプトを実行している場合は、-node引数にこの値を指定します。

    • OAM: Oracle Access Managerの検証前チェックを実行するためにpreValidate.plスクリプトを実行している場合は、-node引数にこの値を指定します。

  • location_of_upgrade.propertiesは、upgrade.propertiesファイルの絶対パスを表します。upgrade.propertiesファイルは、SCRIPT_FILE_LOCATION/r2ps3/idmUpgrade/upgrade.propertiesにあります。

preValidate.plスクリプトは、検証前チェックのセットを実行します。検証に失敗した場合は、upgrade.propertiesファイルのLOG_DIRプロパティに対して指定した場所に生成されるログを確認する必要があります。

検証前チェックが正常に実行されたことを確認するには、ログ・ファイルで次のSUCCESS文字列をチェックします。

SUCCESS: All upgrade properties passed during preValidation process.

ログ・ファイルに次のERROR文字列が見つかった場合は、検証前チェックに失敗したことを意味します。失敗したプラグインを調査し、問題を解決し、検証前チェックを再実行する必要があります。

ERROR: SOME PREVALIDATE TESTS FAILED

6.9 Solaris、IBM AIXおよびHP ItaniumプラットフォームでOracle Identity ManagerをアップグレードするためのBIPスキーマの作成

自動アップグレード・ツールを使用してSolaris、IBM AIX、HP ItaniumなどのプラットフォームでOracle Identity Managerをアップグレードする場合は、LinuxまたはWindowsオペレーティング・システムを実行しているマシンからリポジトリ作成ユーティリティ(RCU) 11.1.2.3.0を使用してOracle BI Publisher (BIPLATFORM)スキーマを手動で作成する必要があります。


注意:

Linuxでは自動アップグレード・ツールによってBIPLATFORMスキーマが作成されるため、Linux上のOracle Identity Managerをアップグレードする場合はこの手順をスキップします。

RCUを使用してデータベース・スキーマを作成するには、次のタスクを実行します。

  1. リポジトリ作成ユーティリティの入手

  2. リポジトリ作成ユーティリティの起動

  3. スキーマの作成

6.9.1 リポジトリ作成ユーティリティの入手

リポジトリ作成ユーティリティ11.1.2.3.0をダウンロードします。リポジトリ作成ユーティリティを入手する方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Repository Creation Utilityユーザーズ・ガイド』のRCUの入手に関する説明を参照してください。

6.9.2 リポジトリ作成ユーティリティの起動

ダウンロードした場所からリポジトリ作成ユーティリティ11.1.2.3.0を起動します。リポジトリ作成ユーティリティを起動する方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Repository Creation Utilityユーザーズ・ガイド』のRCUの起動に関する説明を参照してください。

6.9.3 スキーマの作成

リポジトリ作成ユーティリティを使用して必要なスキーマを作成します。スキーマを作成する方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Repository Creation Utilityユーザーズ・ガイド』のスキーマの作成に関する説明を参照してください。


注意:

「コンポーネントの選択(作成操作用)」画面でBIPLATFORMスキーマのみを選択します。

6.10 idmUpgrade.plスクリプトを使用したOracle Identity and Access Managementバイナリおよび構成のアップグレード

バイナリと構成の両方をアップグレードするにはスクリプトidmUpgrade.plを使用できます。スクリプトの実行時に引数-modeに指定した値によって、スクリプトがバイナリと構成のどちらをアップグレードするために実行されるかが決まります。

Oracle Identity and Access Managementバイナリまたは構成、あるいはその両方をアップグレードするには、SCRIPT_FILE_LOCATION/r2ps3/idmUpgrade/から次のコマンドを実行します。

perl idmUpgrade.pl -node=node -repoLocs=repo_location -props=location_of_upgrade.properties -mode=mode

このコマンドでは、次のように指定します。

  • nodeは、バイナリまたは構成、あるいはその両方のアップグレードの実行対象のコンポーネントを表します。アップグレードするコンポーネントに応じて次の値のいずれかを指定します。

    • WEBTIER: Oracle HTTP Serverに対してidmUpgrade.plスクリプトを実行している場合は、-node引数にこの値を指定します。

    • DIRECTORY: Oracle Unified Directoryに対してidmUpgrade.plスクリプトを実行している場合は、-node引数にこの値を指定します。

    • OIM: Oracle Identity Managerに対してidmUpgrade.plスクリプトを実行している場合は、-node引数にこの値を指定します。

    • OAM: Oracle Access Managerに対してidmUpgrade.plスクリプトを実行している場合は、-node引数にこの値を指定します。

  • repo_locationは11.1.2.3.0リポジトリの場所への絶対パスを表します。コマンドライン引数で、最大2つのリポジトリの場所をカンマで区切って渡すことができます。たとえば、repoとpost-repoの場所です。

  • location_of_upgrade.propertiesは、upgrade.propertiesファイルへの絶対パスを表します。upgrade.propertiesファイルは、SCRIPT_FILE_LOCATION/r2ps3/idmUpgrade/upgrade.propertiesにあります。

  • modeは、実行するアップグレードのタイプを表します。

    バイナリ・アップグレードの場合は、-mode引数の値としてbinaryを指定します。

    構成アップグレードの場合は、-mode引数の値としてconfigを指定します。

    バイナリと構成両方のアップグレードを実行する場合は、-mode引数の値としてbothを指定します。これは、単一ノード・アップグレードの場合に使用できます。-mode引数の値としてbothを指定した場合、アップグレード・スクリプトは最初にバイナリ・アップグレードを実行してから構成アップグレードを実行します。

    引数-modeの値を指定しない場合、値はbothとみなされ、スクリプトは最初にバイナリをアップグレードしてから構成をアップグレードします。

6.11 postValidate.plスクリプトを使用した検証後チェックの実行

バイナリ・アップグレードと構成アップグレードの実行後に、次のコマンドを実行して検証後チェックを実行する必要があります。

perl postValidate.pl -node=node -prop=location_of_upgrade.properties

このコマンドでは、次のように指定します。

  • nodeは、検証後チェックの実行対象のコンポーネントを表します。アップグレードするコンポーネントに応じて次の値のいずれかを指定します。

    • WEBTIER: Oracle HTTP Serverの検証後チェックを実行するためにpostValidate.plスクリプトを実行している場合は、-node引数にこの値を指定します。

    • DIRECTORY: Oracle Unified Directoryの検証後チェックを実行するためにpostValidate.plスクリプトを実行している場合は、-node引数にこの値を指定します。

    • OIM: Oracle Identity Managerの検証後チェックを実行するためにpostValidate.plスクリプトを実行している場合は、-node引数にこの値を指定します。

    • OAM: Oracle Access Managerの検証後チェックを実行するためにpostValidate.plスクリプトを実行している場合は、-node引数にこの値を指定します。

  • location_of_upgrade.propertiesは、upgrade.propertiesファイルへの絶対パスを表します。upgrade.propertiesファイルは、SCRIPT_FILE_LOCATION/r2ps3/idmUpgrade/upgrade.propertiesにあります。

postValidate.plスクリプトは、検証後チェックのセットを実行します。検証に失敗した場合は、upgrade.propertiesファイルのLOG_DIRプロパティに対して指定した場所に生成されるログを確認する必要があります。

検証後チェックが正常に実行されたことを確認するには、ログ・ファイルで次のSUCCESS文字列をチェックします。

SUCCESS: All upgrade properties passed during postValidation process.

ログ・ファイルに次のERROR文字列が見つかった場合は、検証後チェックに失敗したことを意味します。失敗したプラグインを調査し、問題を解決し、検証後チェックを再実行する必要があります。

ERROR: SOME POSTVALIDATE TESTS FAILED

6.12 stopall.shスクリプトを使用したすべてのサーバーの停止

SHARED_CONFIG_DIR/config/scriptsディレクトリにあるスクリプトstopall.shを使用して、環境内のすべてのサーバーを停止できます。スクリプトにより、特定のホストにインストールされているコンポーネントが次の順序で停止されます。何が停止されるかは、スクリプトを実行中のホストにインストールされているものによって異なります。

  1. Oracle HTTP Server

  2. Oracle Access Manager管理対象サーバー

  3. Oracle Identity Manager管理対象サーバー

  4. Oracle SOA Suite管理対象サーバー

  5. WebLogic管理サーバー

  6. ノード・マネージャ

  7. Oracle Unified Directory

ホスト上のすべてのサーバーを停止するには、SHARED_CONFIG_DIR/config/scriptsから次のコマンドを実行します。

./stopall.sh

プロンプトが表示されたら、WebLogicおよびノード・マネージャ管理者のパスワードを指定します。

6.13 アップグレード後タスク

この項では、アップグレード後タスクについて説明します。アップグレード・シナリオに適用されるタスクのみ実行する必要があります。

この項では、次の項目について説明します。

6.13.1 Oracle Adaptive Access ManagerのJavaシステム・プロパティの追加

Oracle Adaptive Access Manager (OAAM)が構成されたOracle Unified Directory (OUD)と統合されたトポロジをアップグレードした場合は、次のJAVAシステム・プロパティをIAMAccessDomain/bin/setDomainEnv.shスクリプトに追加する必要があります。

-Djava.security.auth.login.config=${ORACLE_HOME}/designconsole/config/authwl.conf

setDomainEnv.shファイルでJAVAシステム・プロパティを更新した後で、OAAM管理対象サーバー(たとえば、wls_oaam1)を再起動します。

6.14 トラブルシューティング

この項では、アップグレード・プロセス中に発生する可能性がある一般的な問題の一部およびその回避策について説明します。この項には次のトピックが含まれます:

6.14.1 HP-UX Itaniumで検証前および検証後チェックを実行している場合のIDM URLアクセスの問題

それぞれpreValidate.plおよびpostValidate.plスクリプトを実行してHP-UX Itaniumの検証前および検証後チェックを実行する場合は、Access ManagerまたはOracle Identity ManagerドメインのIDM URLアクセス・チェック中にWebページのチェックに関連するエラーが発生することがあります。これらのメッセージは無視してください。

この問題の回避策は、ブラウザからIDM URLのアクセス可能性を手動でチェックおよび確認することです。

6.14.2 AIXでのOIM/OAM分離アップグレード後にユーザー・パスワードをリセットした後のOIMコンソールへの自動ログインの失敗

AIXでOIMまたはOAMの分離アップグレードを実行した後、OIMコンソールへの自動ログインは次のシステム・エラー・メッセージで失敗します。

System error. Please re-try your action.If you continue to get this error, please contact the Administrator.

この問題の回避策は、OIMコンソールへのログインに新しいユーザー資格証明を使用することです。

6.14.3 preValidate.plスクリプトの実行時のPerl未定義シンボル・エラー

perlバージョンが5.10.1の場合は、preValidate.plスクリプトを実行して検証前チェックを実行するときに、次のエラーが発生します。

Checking webpage $OAM_ADMIN_LBRURL/console 
Making request to http://host.example.com:port/console... 
perl: symbol lookup error: 
/upgrade_script/r2ps3/idmUpgrade/auto/Crypt/SSLeay/SSLeay.so:
undefined symbol: Perl_Tstack_sp_ptr 

この問題の回避策は、自動アップグレード・スクリプトを実行する前にディレクトリSCRIPT_FILE_LOCATION/r2ps3/idmUpgrade/auto/Crypt/SSLeay/からSSLeay.soファイルを削除することです。

6.14.4 分離アップグレード後、/xmlpserver URLおよび/access URLがOHSポートを介してアクセスできない

分離アップグレード、つまり、ライフ・サイクル管理(LCM)ツールを使用してデプロイした環境でのOracle Identity ManagerまたはOracle Access Managementのみのアップグレードを実行した後、次のURLがOracle HTTP Serverポートを介してアクセスできません。

  • http://host:port/xmlpserver

  • http://host:port/access

この問題の回避方法は次のとおりです。

Oracle Identity Managerのみをアップグレードした場合は、次の行をOHS_INSTANCE_HOME/moduleconf/idm.confファイルに追加してこの問題を解決します。

# Oracle BIP console 
  <Location /xmlpserver> 
    SetHandler weblogic-handler 
    WLCookieName JSESSIONID 
    WebLogicHost host.example.com 
      WebLogicPort wls_port 

    WLLogFile "${ORACLE_INSTANCE}/diagnostics/logs/mod_wl/oim_component.log" 
  </Location> 

Oracle Access Managementのみをアップグレードした場合は、次の行をOHS_INSTANCE_HOME/moduleconf/idm.confファイルに追加してこの問題を解決します。

<Location /access> 
      SetHandler weblogic-handler 
      WebLogicHost host.example.com 
      WebLogicPort wls_port 
      WLCookieName OAMSESSIONID 
   </Location>