Oracle Fusion Middlewareアプリケーション(Java EEアプリケーションまたはSOA Compositeアプリケーションなど)をデプロイする前に、デプロイ・プロセス(アプリケーションの設計および開発、これらのアプリケーションの管理対象サーバーへのデプロイなど)を理解する必要があります。
この章の項目は次のとおりです。
デプロイヤは、Java EEアプリケーション、ADFアプリケーション、SOAコンポジット・アプリケーション、WebCenter Portalアプリケーションなどのアプリケーションを、WebLogic Serverのインスタンスまたはクラスタにデプロイする作業を担当します。
デプロイヤとして作業するユーザーには、Oracle WebLogic Serverのデプロイヤ・セキュリティ・ロールを付与する必要があります。デプロイヤ・セキュリティ・ロールが付与されていると、デプロイ操作の他に、サーバー構成の表示や起動クラスと停止クラスの変更などが可能になります。このロールをユーザーに付与するには、Oracle WebLogic Server管理コンソールを使用します。詳細は、Oracle WebLogic Server管理コンソール・ヘルプの、セキュリティ・ロールの管理に関する項を参照してください。
この項では、アプリケーションの設計および開発から本番環境へのデプロイに移行する際の一般的な手順について説明します。次の項目が含まれます。
多くの場合、開発者はアプリケーションの作成にOracle JDeveloperを使用します。Oracle JDeveloperは、Java、XML、Webサービス、ポートレット、SQLの最新業界標準を使用してサービス指向アプリケーションを構築するための統合開発環境(IDE)です。JDeveloperは、アプリケーションのモデリング、コーディング、デバッグ、テスト、プロファイル、チューニング、デプロイの各機能が統合されており、ソフトウェア開発のライフサイクル全体をサポートしています。
この環境では、統合型のOracle WebLogic Serverを使用します。これは、アプリケーションのテストを目的として、Oracle JDeveloperとともにパッケージ化されています。
アプリケーションのデプロイの詳細は、次を参照してください。
Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverアプリケーションの開発
Oracle Application Development Framework Fusion開発者ガイド
Oracle WebCenter PortalおよびOracle JDeveloperによるポータルの開発
Oracle SOA Suite開発者ガイド
統合型のOracle WebLogic Serverで設計とテストの済んだアプリケーションは、管理対象サーバー・インスタンスにデプロイできます。たとえば、本番環境にOracle WebLogic Serverをインストールして、管理対象サーバーを含めたドメインを構成し、その管理対象サーバーにアプリケーションをデプロイするとします。
次の各ドキュメントでは、様々なタイプのアプリケーションのデプロイについて具体的な情報が記述されています。
Java EEアプリケーションについては、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』を参照してください。
Oracle ADFについては、『Oracle Application Development Framework管理者ガイド』を参照してください。
Oracle WebCenter Portalについては、『Oracle WebCenter Portalの管理』を参照してください。
Oracle SOA Suiteについては、『Oracle SOA Suite開発者ガイド』を参照してください。
この項では、統合型のOracle WebLogic Serverからデプロイ環境とは別の環境にアプリケーションを移行する場合に必要な、主な手順の概要について説明します。一般的な手順は次のとおりです。
アプリケーションをパッケージ化します。Java EE、ADFおよびWebCenter Portalアプリケーションでは、アプリケーションをEARファイルにパッケージ化します。Oracle SOA Suiteでは、アプリケーションをJARまたはZIPファイルにパッケージ化します。
アプリケーションのパッケージ化の詳細は、次を参照してください。
Java EEアプリケーション: 『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』のデプロイのためのアプリケーションおよびモジュールの準備に関する説明
Oracle ADF: 『Oracle Application Development Framework Fusion開発者ガイド』のEARファイルおよびパッケージ化に関して知っている必要があることに関する項
Oracle WebCenter Portal: 『Oracle WebCenter PortalおよびOracle JDeveloperでのポータルの開発』のWebCenter Portalアプリケーションのパッケージ化に関する項
Oracle SOA Suite: 『Oracle SOA Suite開発者ガイド』のパッケージ化の影響の理解に関する項
環境を設定します。次のものが含まれます。
ドメイン、およびその正しいドメイン・テンプレートで構成された管理対象サーバーのインストールおよび構成。たとえば、Oracle SOA Suiteアプリケーションをデプロイする場合、管理対象サーバーではOracle SOA Suiteドメイン・テンプレートを使用する必要があります。構成ウィザードを使用してドメインを作成すると、適切なドメイン・テンプレートが適用されます。また、第20.2項で説明するように、ドメインを拡張して別のドメイン・テンプレートを使用することもできます。
具体的なコンポーネントのインストールおよび構成の詳細は、次を参照してください。
Oracle ADF: 『Oracle Application Development Framework管理者ガイド』のADF RuntimeをWebLogicインストレーションにインストールする方法に関する項
Oracle WebCenter Portal: 『Oracle WebCenter Portalインストレーション・ガイド』のOracle WebCenter Portalのインストールに関する項およびOracle WebCenter Portalの構成に関する項
Oracle SOA Suite: 『Oracle SOA SuiteおよびOracle Business Process Management Suiteインストレーション・ガイド』のOracle SOA SuiteおよびOracle Business Process Management Suiteのインストールに関する項およびOracle SOA SuiteおよびOracle Business Process Management Suiteの構成に関する項
必要なすべてのスキーマの既存のデータベースでの作成。『Repository Creation Utilityユーザーズ・ガイド』を参照してください。
Oracle WebLogic ServerドメインへのMDSリポジトリの登録(アプリケーションでMDSリポジトリを使用する場合)。たとえば、Oracle SOA SuiteとOracle WebCenter Portalの各アプリケーションにはMDSが必要です。一部のADFアプリケーションでは、MDSを使用してカスタマイズを行います。MDSリポジトリの登録の詳細は、第15.3.2.1.1項を参照してください。
アプリケーションでデータベースを使用する場合は、JDBCデータ・ソースを設定します。
JDBCデータ・ソースの設定の詳細は、次を参照してください。
ピュアJava EEアプリケーション: 『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Server JDBCデータ・ソースの構成と管理』
Oracle ADF: 『Oracle Application Development Framework管理者ガイド』のOracle WebLogic ServerでJDBCデータ・ソースを作成する方法に関する項
Oracle WebCenter Portal: 『Oracle WebCenter Portalの管理』のデータ・ソースの選択に関する項
Oracle SOA Suite: 『Oracle SOA Suite開発者ガイド』のデータ・ソースおよびキューの作成に関する項
Oracle SOA Suiteの場合、接続ファクトリおよび接続プールを作成します。詳細は、『Oracle SOA Suite開発者ガイド』の接続ファクトリおよび接続プールの作成に関する項を参照してください。
ターゲットとなる管理対象サーバーへの接続を作成します。
Oracle JDeveloperから、JDeveloperの外部にある管理対象サーバー・インスタンスにアプリケーションをデプロイできます。そのためには、まずアプリケーションのデプロイ先となるサーバー・インスタンスへの接続を作成する必要があります。
詳細は、次を参照してください:
Oracle ADF: 『Oracle Application Development Framework Fusion開発者ガイド』のターゲットのアプリケーション・サーバーへの接続を作成する方法に関する項
Oracle WebCenter Portal: 『Oracle WebCenter PortalおよびOracle JDeveloperでのポータルの開発』のWebLogic管理対象サーバー接続の作成に関する項
Oracle SOA Suite: 『Oracle SOA Suite開発者ガイド』のアプリケーション・サーバー接続の作成に関する項
Oracle SOA Suiteの場合、SOAコンポジット・アプリケーションが他のコンポジットとメタデータを共有している場合、SOA-MDS接続を作成します。『Oracle SOA Suite開発者ガイド』のSOA-MDS接続の作成に関する項を参照してください。
JDBC接続文字列や各種サーバーのホスト名など、環境に固有の値の情報を含む構成プランまたはデプロイメント・プランを作成します。詳細は、次を参照してください:
ピュアJava EEアプリケーション: 『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』の新しいデプロイメント・プランの作成によるアプリケーションの構成に関する項
Oracle SOA Suite: 『Oracle SOA Suite開発者ガイド』の構成プランの概要に関する項
資格証明、アイデンティティ、ポリシーなどのアプリケーション・セキュリティを移行します。詳細は、次を参照してください:
ピュアJava EEアプリケーション:『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverの保護』のセキュリティ・データの移行に関する項
Oracle ADF: 『Oracle Application Development Framework Fusion開発者ガイド』のデプロイメントのためのセキュア・アプリケーションの準備に関する項
Oracle WebCenter Portal: 『Oracle WebCenter Portalの管理』のWebCenter Portalアプリケーション・セキュリティの管理に関する項
Oracle SOA Suite: 『Oracle SOA Suite開発者ガイド』のセキュリティの有効化に関する項
デプロイメント・プロファイルを作成します。デプロイメント・プロファイルは、カスタムADF、WebCenter Portal、SOAの各アプリケーションおよび関連付けられたファイルをパッケージ化またはアーカイブして、Oracle WebLogic Server管理対象サーバー・インスタンスにアプリケーションをデプロイできるようにします。デプロイ・プロファイルは、プロジェクト・レベルおよびアプリケーション・レベルで作成されます。
詳細は、次を参照してください:
Oracle ADF: 『Oracle Application Development Framework Fusion開発者ガイド』のデプロイメント・プロファイルの作成方法に関する項
Oracle WebCenter Portal: 『Oracle WebCenter PortalおよびOracle JDeveloperでのポータルの開発』のデプロイメント・プロファイルの作成に関する項
Oracle SOA Suite: 『Oracle SOA Suite開発者ガイド』のプロジェクト・デプロイメント・プロファイルの作成(オプション)に関する項
Oracle SOA SuiteおよびOracle WebCenter Portal用のOracle JDeveloperの拡張機能を移行します。表10-1に、拡張機能とそれを説明しているドキュメントを示します。
表10-1 Oracle JDeveloperの拡張機能
| コンポーネント | 拡張機能 | 参照先 |
|---|---|---|
|
Oracle WebCenter Portal |
WebCenter Portalの拡張機能 |
『Oracle WebCenter PortalおよびOracle JDeveloperでのポータルの開発』のWebLogic管理対象サーバー・インスタンスの作成とプロビジョニングに関する項 |
|
Oracle SOA Suite |
SOAの拡張機能 |
『Oracle JDeveloperインストレーション・ガイド』のOracle Fusion Middlewareのデザインタイム・コンポーネントの追加インストールに関する項 |
アプリケーションを管理対象サーバーにデプロイします。
詳細は、次を参照してください:
ピュアJava EEアプリケーション: 『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』のデプロイメント用アプリケーションの新しい環境へのエクスポートに関する項
Oracle ADF: 『Oracle Application Development Framework Fusion開発者ガイド』のアプリケーションのデプロイに関する項
Oracle WebCenter Portal: 『Oracle WebCenter Portalの管理』のWebLogic管理対象サーバーに対するアプリケーションのデプロイに関する項
Oracle SOA Suite: 『Oracle SOA Suite開発者ガイド』のSOAコンポジット・アプリケーションのデプロイに関する項
アプリケーションの移行は、WLSTスクリプトまたはantスクリプトを使用して自動化できます。これにより、複数の環境または管理対象サーバーへのアプリケーションのデプロイ、および更新されたバージョンのアプリケーションのデプロイが容易になります。
スクリプトの使用によってアプリケーションを他の環境に移行する操作の詳細は、次を参照してください。
ピュアJava EEアプリケーション:『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Scripting Tool』のWebLogic Scripting Toolの使用に関する項
Oracle ADF: 『Oracle Application Development Framework管理者ガイド』のスクリプトおよびAntを使用したデプロイに関する項
Oracle WebCenter Portal: 『Oracle WebCenter PortalおよびOracle JDeveloperでのポータルの開発』のWebLogic管理対象サーバー・インスタンスの作成とプロビジョニングに関する項
Oracle SOA Suite: 『Oracle SOA Suite開発者ガイド』の次の項:
「スクリプトを使用したSOAコンポジット・アプリケーション」
「antスクリプトを使用したSOAコンポジット・アプリケーションの管理」
次に、アプリケーションを管理対象サーバーにデプロイする際に直面する可能性のある一般的な問題についていくつか説明します。
接続情報。ターゲットとなる管理対象サーバーへの接続を正しく構成していることを確認します。第10.2.2項の手順4、5および6を参照してください。
Oracle JDeveloperの拡張機能。Oracle JDeveloperの任意の拡張機能を移行していることを確認します。表10-1を参照してください。
データ・ソース。JDBCデータ・ソースを正しく構成していることを確認します。第10.2.2項のステップ3を参照してください。
セキュリティ構成。資格証明、アイデンティティ、ポリシーなどのアプリケーション・セキュリティを移行していることを確認します。第10.2.2項のステップ8を参照してください。
また、SOAアプリケーションのトラブルシューティングの詳細は、『Oracle SOA Suite開発者ガイド』の一般的なデプロイ・エラーのトラブルシューティングに関する項を参照してください。